TOP > 国内特許検索 > 並列反応用懸濁液、並列反応方法、スクリーニング方法および検査方法

並列反応用懸濁液、並列反応方法、スクリーニング方法および検査方法

国内特許コード P160013302
整理番号 S2016-0421-N0
掲載日 2016年9月16日
出願番号 特願2016-027804
公開番号 特開2017-143783
出願日 平成28年2月17日(2016.2.17)
公開日 平成29年8月24日(2017.8.24)
発明者
  • 市川 創作
  • 児玉 康平
  • 杉浦 慎治
  • 佐藤 琢
  • 金森 敏幸
出願人
  • 国立大学法人 筑波大学
  • 国立研究開発法人産業技術総合研究所
発明の名称 並列反応用懸濁液、並列反応方法、スクリーニング方法および検査方法
発明の概要 【課題】 並列反応用の懸濁液、この懸濁液を用いた並列反応、並列反応を利用したスクリーンニング法及び検査方法を提供する。
【解決手段】
ゲルビーズ3内にはラテックスなどを材料とする微粒子4が多数分散している。各微粒子4の表面はアフィリティリガンド(PCR用プライマー及びNTA)で修飾されている。具体的には、核酸増幅反応プライマーとして機能する長さが15~50塩基の範囲に含まれる1本鎖DNAで表面が修飾された微粒子4と、NTA(ニトリロ三酢酸)で表面が修飾された微粒子4がゲルビーズ3内に分散している。
【選択図】 図1
従来技術、競合技術の概要


ランダムに変異が入った多くの候補タンパク質の中から、目的の活性を有する酵素を探索したり、多くの候補物質の中から目的の活性を持つ触媒を探索する手法は、創薬や新規化学物質の探索においてしばしば用いられている。



例えば非特許文献1には目的のタンパク質を発現する細胞をクローニングする際に、限界希釈法により1つの容器に1つの細胞が入る濃度から細胞を培養し、目的のタンパク質を発現するクローンを取得する方法が提案されている。



また非特許文献2及び非特許文献3には、ある酵素の一部のアミノ酸をランダムに置換してライブラリーを作製し、このライブラリーから産業上有用な活性を有する酵素を探索することが開示されている。



非特許文献2及び非特許文献3に示す手法では、一般的に96穴ウェルプレートなどの数百μlから数ml程度の容積の反応器を使用している。



例えば、目的の細胞を含む細胞懸濁液を96穴ウェルプレートに分注し、抗体などを含む分析用試薬類を順次添加して細胞表面に発現した物質若しくは細胞から分泌される物質の量を定量する。また、多様なアミノ酸置換を含む酵素を発現するライブラリーの中について、96穴ウェルプレート等の反応器の中で酵素を発現させ、酵素の反応基質等を添加することにより酵素の活性を測定して活性の高い酵素を発現するクローンを選択する。
つまり96穴ウェルプレート等を用いる場合には、多数の反応器(穴)に順次複数の試薬を分注する必要があり、分析対象となる酵素や細胞の数の増加に伴い必要となる反応器数が増大し、それに伴う溶液・試薬の分注操作が煩雑となる。



非特許文献4には、半導体加工技術を利用して微小な反応容器を作製することが提案されているが、分注操作の問題は解消されていない。そこで、反応容器を更に小さくし且つ分注操作等も不要とする提案が特許文献1~4及び、非特許文献5~10に提案されている。



本発明者らが2011年に提案した特許文献1には、懸濁液中の多数のゲル粒子(ゲルビーズ)の3次元網目構造の部分に、核酸増幅反応プライマーとして機能する長さが15~50塩基の範囲に含まれる1本鎖DNAを多数固定し、また前記ゲル粒子には限界希釈することによって1分子のテンプレートDNAを含ませ、核酸増幅反応によって前記テンプレートDNAを増幅して多数の同一DNAを1つのゲル粒子内で生産し、更にゲル粒子内にタンパク質合成に必要な物質を供給することで各ゲル粒子内の多数の同一DNAによって特定のタンパク質を合成することが開示されている。



また前記特許文献1では、核酸増幅反応プライマーとは別に、NTA(ニトリロ三酢酸)などの特定のタンパク質を認識する物質をゲル粒子(ゲルビーズ)の3次元網目構造の部分に固定することも開示されている。



特許文献2には、W/O型エマルションを構成する水滴中に、親水性分子と酵素などの機能性分子を別々に封じ込め、これら水滴を融合させることで、特異的な反応を誘導する内容が開示されている。また、この特許文献2にはDNAを封じ込めることも開示されている。



特許文献3には、一方の荷電を有するベシクルに反応性物質を内包させ、他方の荷電を有するベシクルに前記反応性物質と反応する物質を内包させ、これら2つのベシクルを融合させ、融合した1つのベシクル内で反応を起こさせるようにしたことが開示されている。



特許文献4には、エマルションの水相(水滴)内にPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)用のプライマーが結合した固相担体を含ませ、水滴内でPCRを行い固相担体に核酸複合体を連結させ、この後エマルションを破壊して固相担体-核酸複合体の結合体を回収し、この固相担体-核酸複合体を用いて無細胞タンパク質合成を行うことが開示されている。



非特許文献5にはエマルションの水相中(水滴)内にPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)用のプライマーを含ませ、この水滴を酵素分解したゲノムDNAを含む水滴とマイクロ流体デバイス内で合一させ、この後水滴内でPCRを行い、ゲノムDNA中の特定の部分を増幅する方法が開示されている。また非特許文献6には、エマルションの水相(水滴)内にタンパク合成用の酵素及び基質を含ませ、水滴内でタンパク合成反応を行う方法が開示されている。



非特許文献7には、リン脂質二重膜により構成される閉鎖小胞であるベシクルに目的とする分子を封じ込め、これらベシクルをレーザにより移動させて融合させる技術が開示されている。
また非特許文献8には、ゲル粒子内でタンパク質合成反応を行わせるために、ゲル粒子表面の高分子皮膜を通してゲル粒子内に基質を供給する内容が開示されている。非特許文献9にはゲル粒子を反応容器として用いてPCRを行う方法が開示されている。
更に非特許文献10には、高効率の遺伝子増幅プロセスとして、微小ビーズ内にプライマーDNAを固定し、このビーズ内にPCRに必要な物質を含ませ、ビーズ内でPCRを行わせることが開示されている。

産業上の利用分野


本発明は、多数のゲルビーズ内で複数の化学反応、生化学反応を同時並行的に行うための懸濁液、この懸濁液を用いた並列反応方法、この並列反応を用いたスクリーニング方法およびこの並列反応を利用した検査方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
ゲルビーズが液体中に分散した並列反応用懸濁液であって、前記ゲルビーズ内にはアフィニティリガンドが表面に固定された微粒子が分散していることを特徴とする並列反応用懸濁液。

【請求項2】
請求項1に記載の並列反応用懸濁液において、前記アフィニティリガンドが、DNA(デオキシリボ核酸)であることを特徴とする並列反応用懸濁液。

【請求項3】
請求項1に記載の並列反応用懸濁液において、前記アフィニティリガンドが、特定のタグ配列を持つタンパク質を認識する物質であることを特徴とする並列反応用懸濁液。

【請求項4】
請求項1に記載の並列反応用懸濁液において、この並列反応用懸濁液中にはDNA(デオキシリボ核酸)が表面に固定された微粒子が分散するゲルビーズと、特定のタグ配列を持つタンパク質を認識する物質が表面に固定された微粒子が分散するゲルビーズとが分散していることを特徴とする並列反応用懸濁液。

【請求項5】
請求項2または4に記載の並列反応用懸濁液において、前記DNAは核酸増幅反応プライマーとして機能する長さが15~50塩基の範囲に含まれる1本鎖DNAであることを特徴とする並列反応用懸濁液。

【請求項6】
請求項3または4に記載の並列反応用懸濁液において、前記タグ配列を持つタンパク質を認識する物質は、ニトリロ三酢酸(NTA)、抗体、グルタチオン、マルトースの何れかであることを特徴とする並列反応用懸濁液。

【請求項7】
請求項1乃至6の何れか1項に記載の並列反応用懸濁液において、前記微粒子の大きさ(平均径)は0.1~10μmであることを特徴とする並列反応用懸濁液。

【請求項8】
請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載の並列反応用懸濁液において、前記ゲルビーズがアガロースであることを特徴とする並列反応用懸濁液。

【請求項9】
請求項1乃至請求項8の何れか1項に記載の並列反応用懸濁液において、前記ゲルビーズの大きさ(平均径)は1~500μmであることを特徴とする並列反応用懸濁液。

【請求項10】
アフィニティリガンドが表面に固定された微粒子を含んだゲルビーズが液体中に分散した並列反応用懸濁液を用いた並列反応方法であって、複数種のDNAが含まれる溶液を限界希釈または所定の濃度とし、この複数種のDNAが含まれる溶液を液体中に分散することで前記ゲルビーズとし、1つのゲルビーズ中に1分子のDNAを固定し、次いでゲルビーズ中に核酸増幅反応を行うのに必要な物質を導入し、個々のゲルビーズ中で個別の核酸増幅反応を同時に並行して行うことを特徴とする並列反応方法。

【請求項11】
請求項10に記載の並列反応方法において、前記アフィニティリガンドが、核酸増幅反応プライマーとして機能する長さが15~50塩基の範囲に含まれる1本鎖DNAであることを特徴とする並列反応方法。

【請求項12】
請求項10に記載の並列反応方法において、前記アフィニティリガンドが、特定のタグ配列を持つタンパク質を認識する物質であることを特徴とする並列反応方法。

【請求項13】
請求項10に記載の並列反応方法において、前記複数種のDNAが所定の濃度で含まれる溶液は核酸増幅反応を行うのに必要な物質を含有することを特徴とする並列反応方法。

【請求項14】
請求項10乃至13の何れか1項に記載の並列反応方法において、ゲルビーズ中にタンパク質を合成するのに必要な物質を導入することで、前記個々のゲルビーズ中で核酸増幅反応を行った後に、タンパク質合成反応を個々のゲルビーズ中で同時に並行して行うことを特徴とする並列反応方法。

【請求項15】
請求項10乃至請求項14の何れか1項に記載の並列反応方法において、前記核酸増幅反応およびタンパク質合成反応を水と混じり合わない液体にゲルビーズを懸濁させて行うことを特徴とする並列反応方法。

【請求項16】
請求項10乃至請求項14の何れか1項に記載の並列反応方法において、前記タンパク質合成反応に必要な物質はアミノ酸と酵素であることを特徴とする並列反応方法。

【請求項17】
請求項10乃至16に記載された並列反応に続いて、個々のゲルビーズ内に固定されているタンパク質の特性を検査し、目的のタンパク質をコードするDNAを選別することを特徴とするスクリーニング方法。

【請求項18】
請求項17に記載のスクリーニング方法において、前記DNAの選別は蛍光を発するゲルビーズを分取することを特徴とするスクリーニング方法。

【請求項19】
請求項10乃至16に記載された並列反応に続いて、個々のゲルビーズに固定されているDNAの量を評価することで、元のテンプレートDNA中の特定の配列を検査する検査方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

JP2016027804thum.jpg
この特許について質問等ある場合は、電子メールによりご連絡ください。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close