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カイコによるホロタンパク質の生産方法 UPDATE

国内特許コード P160013345
整理番号 (S2015-0646-N0)
掲載日 2016年10月5日
出願番号 特願2016-031204
公開番号 特開2016-154542
出願日 平成28年2月22日(2016.2.22)
公開日 平成28年9月1日(2016.9.1)
優先権データ
  • 特願2015-032142 (2015.2.20) JP
発明者
  • 神谷 典穂
  • 林 浩之輔
  • 日下部 宜宏
  • 季 在萬
出願人
  • 国立大学法人九州大学
発明の名称 カイコによるホロタンパク質の生産方法 UPDATE
発明の概要 【課題】化学的に修飾する代わりに、ペルオキシダーゼを構成要素とする組換え融合タンパク質を調製する。
【解決手段】ホロタンパク質の生産方法であって:(1)アポタンパク質を産生可能に操作されたカイコを準備し;そして(2)準備したカイコに少なくとも一の補助因子を投与し、カイコにおけるホロタンパク質の産生を上昇させる工程を含む、生産方法。
【選択図】図2
従来技術、競合技術の概要


カイコ(Bombyx mori)核多角体病ウイルス(BmNPV)発現系(BES)は、昆虫細胞または幼虫における組換えタンパク質産生のために、特に真核生物由来のタンパク質合成のために広く用いられ、他の真核生物発現系に比較して、高い生産性を期待できることで利用されている(非特許文献1、2)。



一方、ペルオキシダーゼ、例えば西洋ワサビペルオキシダーゼ(Horseradish peroxidase, HRP)は周知のヘム酵素であり、酵素免疫測定法など、臨床試験における診断ツールや基礎研究分野における標識酵素(可視化酵素)として使用されているほか、工業排水の処理に用いられるなど、産業上の需要がとても高い。酵素免疫測定法においては、ある特定の生体分子に直接結合できる一次抗体や、その抗体を介して間接的に生体分子に結合するタンパク質、例えば二次抗体などと組み合わせて利用されている(非特許文献3)。しかし、組換えHRPの産生は一般的には困難なので、上記目的のために抗体または抗体結合性タンパク質とコンジュゲート化するには、天然HRPが化学的修飾されて用いられてきた。



本発明者らは、アルスロマイセス・ラモサス(Arthromyces ramosus)由来のペルオキシダーゼ(ARP)、ならびに抗体結合タンパク質としての黄色ブドウ球菌(Staphylococcal aureus)プロテインAおよびストレプトコッカス属(Streptococcus)プロテインG(PG)の部分的ドメインで構成される融合タンパク質、ARP-PGを開発してきた。ARPのペルオキシダーゼ活性は、特に検出試薬として化学発光基質を用いた場合、HRPより高いことが報告された(非特許文献4)。ARPもHRP同様、ヘムタンパク質である。



ヘムタンパク質の生産に関し、特許文献1は、糸状菌におけるヘムタンパク質生産を増加させる方法を提案する。より具体的には、ヘムタンパク質の製造方法であって、(a)糸状菌細胞中に、(i)前記糸状菌細胞に対して内因性の第1核酸配列によりコードされているヘム生合成酵素の発現を指令することができる1又は複数の第1制御配列、ここで前記1又は複数の第1制御配列は前記第1核酸配列に作用可能に連結されている、及び/又は(ii)5-アミノレブリン酸(5-ALA)シンターゼをコードする核酸配列もしくはポルホビリノーゲンシンターゼをコードする核酸配列又はそれらの組み合わせであるヘム生合成酵素をコードする1又は複数の第2核酸配列の1又は複数のコピー、を導入し、ここで、前記1もしくは複数の第1制御配列及び/又は前記1もしくは複数の第2核酸配列の導入が前記糸状菌細胞により生産されるヘムの量を増加させ、その結果ヘムタンパク質の生産を増強させる;(b)ヘムタンパク質及びヘム生合成酵素の生成のために適切な栄養培地において前記糸状菌細胞を培養し;そして(c)前記糸状菌細胞の栄養培地から前記ヘムタンパク質を回収する;ことを含んで成る方法、を提案する。



また特許文献2は、大腸菌を用いたバクテリア由来のペルオキシダーゼの大量生産方法を提案している。具体的には、従来の脱色能力(分解能力)が高い糸状菌Geotrichum candidium Dec 1由来のペルオキシターゼがカビ由来すなわち真核生物由来であり、かつ、糖タンパクであるので、大腸菌により効率よく生産することは極めて困難であるという問題点に鑑み、Anabacna PC7120alr1585由来の新規なペルオキシダーゼを提案している。またalr1585がヘムタンパク質であるとの事実に基づき、大腸菌をトランスフォーメーションする際に、培地にヘムの原料物質である5-ALAを添加し、発現量が20~30%増大することが確認できたと報告している。



昆虫細胞を用いたBESに関しては、以前の研究によって、添加物として塩化ヘミンを、またはヘム前駆体として5-ALAを用いると、ペルオキシダーゼ産生に正の影響がありうることが立証されてきている。例えば、HartmannおよびSeguraは、ヨウトガ由来のSf9昆虫細胞株におけるBESによるHRP産生を示した。この特定の場合には、彼らは、添加物としてヘミンのみを用いていた(非特許文献5、6)。他方で、ShinおよびFragosoは、イラクサギンウワバ由来のHigh FiveTM昆虫細胞株において、5-ALAを用いて、ラクトペルオキシダーゼを産生した(非特許文献7、8)。

産業上の利用分野


本発明は、カイコを用いた組換えタンパク質の生産に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
ホロタンパク質の生産方法であって:
(1)アポンパク質を産生可能に操作されたカイコを準備し;そして
(2)準備したカイコに少なくとも一の補助因子を投与し、カイコにおけるヘムタンパク質の産生を上昇させる工程を含む、生産方法。

【請求項2】
ホロタンパク質が、ヘムタンパク質であり、補助因子がヘム化合物またはその前駆体もしくは誘導体である、請求項1に記載の生産方法。

【請求項3】
ヘムタンパク質が、オキシドレダクターゼである、請求項2に記載の生産方法。

【請求項4】
オキシドレダクターゼが、ペルオキシダーゼである、請求項3に記載の生産方法。

【請求項5】
ペルオキシダーゼが、アルスロマイセス・ラモサス由来ペルオキシダーゼ(ARP)または西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)である、請求項4に記載の生産方法。

【請求項6】
ホロタンパク質が、融合タンパク質として生産される、請求項1~5のいずれか1項に記載の生産方法。

【請求項7】
融合タンパク質が、ペルオキシダーゼと標的結合ドメインとの融合タンパク質である、請求項6に記載の生産方法。

【請求項8】
標的結合ドメインが、抗体結合ドメインである、請求項7に記載の生産方法。

【請求項9】
抗体結合ドメインが、プロテインAのBドメイン、ならびにストレプトコッカス属由来プロテインGのC2およびC3ドメインからなる群から選択されるいずれかである、請求項8に記載の生産方法。

【請求項10】
抗体結合ドメインが、プロテインAのBドメイン、ならびにストレプトコッカス属由来プロテインGのC2およびC3ドメインを含む、請求項9に記載の生産方法。

【請求項11】
少なくとも一の補助因子の投与が、カイコの血体腔内に注射することによる、請求項1~10のいずれか1項に記載の生産方法。

【請求項12】
少なくとも一の補助因子が、5-アミノレブリン酸である、請求項11に記載の生産方法。

【請求項13】
アポンパク質を産生可能に操作されたカイコが、組換えバキュロウイルスを用いてアポンパク質を産生可能に操作されたカイコである、請求項1~12のいずれかに記載の生産方法。

【請求項14】
カイコが、カイコ核多角体病ウイルス(BmNPV)高感受性の系統である、請求項1~13のいずれか1項に記載の生産方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 公開
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