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幼若ホルモンセンサー

国内特許コード P160013395
整理番号 S2015-0711-N0
掲載日 2016年10月25日
出願番号 特願2015-040712
公開番号 特開2016-161420
出願日 平成27年3月2日(2015.3.2)
公開日 平成28年9月5日(2016.9.5)
発明者
  • 山崎 俊正
  • 塩月 孝博
  • 黄川田 隆洋
  • 土居 渉
  • 菊田 真吾
出願人
  • 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
  • 国立大学法人東京農工大学
発明の名称 幼若ホルモンセンサー
発明の概要 【課題】幼若ホルモンを高感度で検出及び定量することのできる幼若ホルモンセンサーを開発し、提供する。
【解決手段】チョウ目昆虫由来の幼若ホルモン結合タンパク質の特定の位置に蛍光特性の異なる2種類の蛍光物質等を修飾又は連結した幼若ホルモン特異的なバイオセンサータンパク質を提供する。このセンサータンパク質に幼若ホルモンが結合すると、幼若ホルモン結合タンパク質の立体構造変化により前記蛍光物質間において共鳴エネルギー移動(FRET)が生じる。そのエネルギー変化を検出することにより幼若ホルモンの高感度な検出及び定量が可能となる。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要


幼若ホルモン(Juvenile Hormone:JH)(以下、本明細書ではしばしば「JH」と表記する)は、昆虫をはじめとする節足動物に固有のホルモンで、卵から成体までの全ステージの生理現象に関与している。JHは、発現後、シグナルペプチド除去等の細胞内輸送を経て、血液中に分泌される。その後、血液中を移動して標的細胞や組織に運ばれ、JH受容体に結合してその機能を発揮する(非特許文献1)。



このJHの分子構造を模したJH類似体(JH様化合物)は、昆虫等の節足動物の変態を効果的に阻害することができる。一方、ヒトをはじめとする哺乳動物に対しては影響がないか、又は極めて低いため、安全性の高い殺虫剤として農薬等の有効成分に利用されている。しかし、薬理効果の高いJH類似体の開発及び探索には技術的な困難を伴うことから、近年では新しいJH類似体が得られていない。一般に、新規JH類似体を効果的かつ効率的に開発するためには、簡便、迅速、かつ高感度にJHを検出及び定量できるハイスループットなリガンドスクリーニング方法が必用となる。しかし、JHをハイスループットでスクリーニングする方法は、現在まで確立していない。



従来、JHの検出及び定量には、高速液体クロマトグラフ-質量分析(LC-MS)法(非特許文献2及び3)、ラジオアイソトープ(RI)法(非特許文献4)、又は電気化学インピーダンス分光(EIS)法(非特許文献5)が使用されてきた。しかし、LC-MS法によるJHの検出及び定量は、煩雑なJH抽出処理が必要な上に、高感度で測定するにはJHを誘導体に変換する必要があるという問題がある。また、RI法によるJH定量は、RI施設が必要な上に、結果を得るまでに時間も要するという問題がある。さらに、EIS法によるJH定量は、一報告例があるに過ぎず、再現性や汎用性の点で問題がある。これら以外にも、JHの新規検出及び定量方法として、「JH応答配列を利用した新規昆虫制御剤のスクリーニングシステム」(非特許文献6)を用いる方法が知れられている。この方法は、従来法に比較すると技術的には有用性の高い方法ではあるが、コスト面及び間接的なJH定量という問題を抱えている。



したがって、従来のJHの検出及び定量方法は、いずれもハイスループットスクリーニング法としては不向きであり、より簡便かつ迅速で高感度なJHの検出及び定量方法の開発が求められていた。



さらに、生体内におけるJH類似体の薬理効果を検証するためには、JHの体内動態をモニタリングする方法が不可欠となるが、そのような方法は現在まで知られていない。例えば、前述のJHを検出及び定量する方法は、いずれも体液や組織の抽出等の細胞若しくは組織の破壊作業を伴うため、生体内におけるJHの動態に関する情報を得ることはできないという問題があった。

産業上の利用分野


本発明は、生体内外の幼若ホルモンを検出及び定量することのできる幼若ホルモンセンサー、及び該幼若ホルモンセンサーを用いた、幼若ホルモンの生体内動態モニタリング方法及び幼若ホルモン類似体探索方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
チョウ目昆虫における幼若ホルモン結合タンパク質のシグナルペプチドを除いた切端アミノ酸配列において、
該切端アミノ酸配列のアミノ末端におけるアミノ酸残基を1位としたときに、10~15位のいずれか一のアミノ酸残基が共鳴エネルギー供与型物質及び該共鳴エネルギー供与型物質の励起エネルギーを受容する共鳴エネルギー受容型物質のいずれか一方で修飾され、かつ
前記切端アミノ酸配列のカルボキシル末端のアミノ酸残基が前記共鳴エネルギー供与型物質及び前記共鳴エネルギー受容型物質の他方で修飾されている
タンパク質からなる幼若ホルモンセンサー。

【請求項2】
前記共鳴エネルギー供与型物質が発光若しくは蛍光共鳴エネルギー供与型物質である、請求項1に記載の幼若ホルモンセンサー。

【請求項3】
チョウ目昆虫における幼若ホルモン結合タンパク質のシグナルペプチドを除いた切端アミノ酸配列において、
該切端アミノ酸配列のアミノ末端におけるアミノ酸残基を1位としたときに、10~15位の範囲内の連続する2つのアミノ酸残基間に共鳴エネルギー供与型物質及び該共鳴エネルギー供与型物質の励起エネルギーを受容する共鳴エネルギー受容型物質のいずれか一方を連結し、かつ
前記切端アミノ酸配列のカルボキシル末端に前記共鳴エネルギー供与型物質及び前記共鳴エネルギー受容型物質の他方を連結した
融合ポリペプチドからなる幼若ホルモンセンサー。

【請求項4】
前記共鳴エネルギー供与型物質及び/又は共鳴エネルギー受容型物質がペプチドである、請求項3に記載の幼若ホルモンセンサー。

【請求項5】
前記ペプチドが発光若しくは蛍光ペプチドである、請求項4に記載の幼若ホルモンセンサー。

【請求項6】
チョウ目昆虫における幼若ホルモン結合タンパク質のシグナルペプチドを除いた切端アミノ酸配列において、
該切端アミノ酸配列のアミノ末端におけるアミノ酸残基を1位としたときに、10~15位の範囲内の連続する2つのアミノ酸残基間に2分割された発光又は蛍光タンパク質断片のアミノ末端側のアミノ酸配列を連結し、かつ
前記切端アミノ酸配列のカルボキシル末端に2分割された発光又は蛍光タンパク質断片のカルボキシル末端側のアミノ酸配列を連結した
融合ポリペプチドからなる幼若ホルモンセンサー。

【請求項7】
前記連続する2つのアミノ酸残基間が11位と12位のアミノ酸残基間である、請求項3~6のいずれか一項に記載の幼若ホルモンセンサー。

【請求項8】
前記切端アミノ酸配列が(a)~(c)で示すいずれかのアミノ酸配列である、請求項3~7のいずれか一項に記載の幼若ホルモンセンサー。
(a)配列番号2、4、5又は8で示すアミノ酸配列、
(b)(a)に記載のいずれか一のアミノ酸配列において1若しくは複数個のアミノ酸残基が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列、又は
(c)(a)に記載のいずれか一のアミノ酸配列に対して90%以上のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列

【請求項9】
請求項4~8のいずれか一項に記載の幼若ホルモンセンサーを構成する融合ポリペプチドをコードするDNA。

【請求項10】
請求項9に記載のDNAを発現可能な状態で包含する幼若ホルモンセンサー発現ベクター。

【請求項11】
請求項10に記載の幼若ホルモンセンサー発現ベクターを宿主細胞又は宿主生物に導入した形質転換体又はその後代。

【請求項12】
節足動物の生体内における幼若ホルモンの動態をモニタリングする方法であって、
被験体の節足動物に請求項1~8のいずれか一項に記載の幼若ホルモンセンサーを導入する工程、
前記被験体において共鳴エネルギー移動により変動するエネルギー変異又は発光若しくは蛍光タンパク質の再構築により発生する発光若しくは蛍光を測定する工程、及び
前記測定工程で測定された測定値に基づいて幼若ホルモンを検出する工程
を含む前記方法。

【請求項13】
前記変動するエネルギー変異が発光若しくは蛍光である、請求項12に記載の方法。

【請求項14】
節足動物の生体内における幼若ホルモンの動態をモニタリングする方法であって、
被験体の節足動物に請求項10に記載の幼若ホルモンセンサー発現ベクターを導入し、形質転換体を作製する工程、
前記形質転換体において幼若ホルモンセンサー発現ベクターから発現した幼若ホルモンセンサーに由来する発光若しくは蛍光共鳴エネルギー移動により変動するエネルギー変異又は発光若しくは蛍光タンパク質の再構築により発生する発光若しくは蛍光を測定する工程、及び
前記測定工程で測定された測定値に基づいて幼若ホルモンを検出する工程
を含む前記方法。

【請求項15】
前記変動するエネルギー変異が発光若しくは蛍光である、請求項14に記載の方法。

【請求項16】
節足動物の幼若ホルモンに構造的に類似する幼若ホルモン類似体の探索方法であって、
前記請求項1~8のいずれか一項に記載の幼若ホルモンセンサーと候補物質とを混合する工程、
前記幼若ホルモンセンサーの共鳴エネルギー移動によるエネルギー変異又は発光若しくは蛍光タンパク質の再構築により発生する蛍光を測定する工程、及び
前記測定工程で得られた測定値に基づいて候補物質を幼若ホルモン類似体として選択する工程
を含む前記方法。

【請求項17】
前記変動するエネルギー変異が発光若しくは蛍光である、請求項16に記載の方法。

【請求項18】
前記選択工程が、前記混合工程において候補物質を混合しない陰性対照の測定値との有意差、又は候補物質の濃度依存的な測定値の増加に基づく、請求項16又は17に記載の方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 公開
※ 国立大学法人東京農工大学では、先端産学連携研究推進センターにおいて、知的財産の創出・権利化・活用に取り組んでいます。上記の特許・技術の内容および導入に興味・関心がありましたら、当センターまでお気軽にお問い合わせください。


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