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シス桂皮酸類縁体、重力屈性調節剤

国内特許コード P160013398
整理番号 S2015-0744-N0
掲載日 2016年10月25日
出願番号 特願2015-042924
公開番号 特開2016-160246
出願日 平成27年3月4日(2015.3.4)
公開日 平成28年9月5日(2016.9.5)
発明者
  • 藤井 義晴
  • 和佐野 直也
  • 田村 尚幸
  • 新藤 充
  • 松本 健司
出願人
  • 国立大学法人東京農工大学
  • 国立大学法人九州大学
発明の名称 シス桂皮酸類縁体、重力屈性調節剤
発明の概要 【課題】植物の匍匐性や果実の糖度等に影響を及ぼす重力屈折性調節剤の提供。
【解決手段】シス桂皮酸及び/又は下式(1)で示される桂皮酸類縁体を有効成分として含む重力屈折性調節剤。



[Aは置換基を有してもよい環状炭化水素;Xは結合又はC1~5の飽和又は不飽和炭化水素鎖;RはH、水酸基、アルカリ土類金属塩等;Rは結合又はC1~5の飽和又は不飽和炭化水素鎖;R及びRはH又は共に形成するC5~8の環状炭化水素]
【選択図】図6
従来技術、競合技術の概要


重力屈性は、重力ベクトルに対応して器官が成長運動を変化させながら姿勢制御を行う植物に特異的な生理作用である。地下部では重力の方向に成長する正の重力屈性が、地上部では重力と逆方向に成長する負の重力屈性があり、側根・側枝など重力方向と一定の角度を保って成長する傾斜重力屈性もある。



重力屈性に関しては、植物ホルモンであるオーキシン(インドール-3-酢酸(IAA)やインドール-3-酪酸(IBA))が関与していることが知られている。また、ナフタレン酢酸(NAA)、ナフトキシ酢酸、フェニル酢酸、2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)、2,4,5-トリクロロフェノキシ酢酸(2,4,5-T)等の合成オーキシンについても、抗オーキシンとして作用して重力屈性を阻害することがある。



オーキシンは主に茎の先端で作られ、基部(根の方向)に向かって移動していく。これを極性移動という。この移動には、細胞膜に存在するオーキシン取り込み輸送体と、排出輸送体(PINタンパク質など)が関与している。オーキシンの極性移動を阻害する物質としては、1-ナフチルフタラミン酸(NPA)やGravacinなどが知られている。例えば、非特許文献1には、オーキシン輸送の特異的阻害剤(IAA誘導体やNAA誘導体)がシロイヌナズナの幼根の重力屈性を阻害するとともに伸長を阻害することが開示されている。また、非特許文献2には、GravacinがP-Glycoprotein19を標的としてオーキシンの極性輸送を阻害し、根と地上部の重力屈性を阻害することが開示されている。



特許文献1には、植物の茎の重力屈性に関係する新規タンパク質とそれをコードする遺伝子、およびそれらの用途、重力屈性の強化または低下した植物の生産方法が開示されている。特許文献2には、植物の根の重力屈性に関わるAGR遺伝子、その類似遺伝子、これら遺伝子がコードするタンパク質が開示され、これらの遺伝子を利用して植物の根の重力屈性刺激応答を改良することが開示されている。



一方、特許文献3には、内在性のオーキシンの合成阻害剤を使用する植物成長抑制剤または除草剤が開示されるものの、重力屈性に対する影響は検討されていない。特許文献4には、植物の深根性を制御する遺伝子座(Dro1遺伝子座)の高精度連鎖解析を試みた結果、Dro1の遺伝子領域がInDelマーカーであるDro1-INDEL09からCAPSマーカーであるDro1-CAPS05で挟まれた6.0kbpの領域であること、Dro1の遺伝子の形質転換植物体は、優位に深根率が高いことを確認し、Kinandang Patong 型のDro1遺伝子を有する個体は耐乾性であることを確認している。しかし、特許文献4に開示された遺伝子についても重力屈性に関与するものではない。



なお、シロイズナズナでは、多くの重力屈性遺伝子が報告されている(非特許文献3)。ただし、イネでは根の屈性に関与する遺伝子の報告は少なく、光屈性遺伝子CPT1(非特許文献4)や冠根形成遺伝子Crl1(非特許文献5)が報告されているのみである。



また、特許文献5及び6には、シス桂皮酸及び/又はその誘導体化合物を有効成分とする植物成長調節剤が開示されている。特許文献5及び6では、植物のアレロパシー(他感作用)の研究から得た、シス桂皮酸が強い植物成長抑制活性を有するといった知見に基づいている。特許文献5及び6では、レタスの催芽種子から伸長した根の長さを測定することで、供試化合物による植物成長阻害活性を検証している。ただし、特許文献5及び6では、供試化合物により重力屈性に対する影響については何ら検討されていない。

産業上の利用分野


本発明は、シス桂皮酸:(Z)3-フェニル-2-プロペン酸の新規類縁体に関し、シス桂皮酸又は桂皮酸類縁体を含む重力屈性調節剤に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
シス桂皮酸及び/又は桂皮酸類縁体を有効成分として含む、重力屈性調節剤。

【請求項2】
上記桂皮酸類縁体は、下記式(1)で表される化合物であることを特徴とする請求項1記載の重力屈性調節剤。
【化1】


式(1)において、Aは置換基を有してもよい環状炭化水素を示し、Xは直接の結合又は炭素数1~5の飽和又は不飽和炭化水素鎖を示し、R1は水素、ヒドロキシ基、アルカリ土類金属塩、アミノ基、炭素数1~5のアルキルアンモニウム塩、置換基を有してもよい炭素数1~5の直鎖アルキルを有するアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素数1~5の分枝鎖アルキルを有するアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素数1~5のアルケニルを有するアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素数5~8のシクロアルキル基を有するアルコキシ基、置換基を有してもよいフェニル基を有するアルコキシ基、置換基を有してもよい複素環基を有するアルコキシ基、置換基を有してもよいフラノシル基、又はピラノシル基を示し、R2は直接の結合又は炭素数1~5の飽和又は不飽和炭化水素鎖を示し、R3及びR4は水素又は共に形成する炭素数5~8の環状炭化水素を示している。

【請求項3】
上記桂皮酸類縁体は、下記式(2)又は(3)で表されるシス桂皮酸類縁体であることを特徴とする請求項1記載の重力屈性調節剤。
【化2】


【化3】


式(2)及び(3)において、Aは置換基を有してもよい環状炭化水素を示し、R1は水素、ヒドロキシ基、アルカリ土類金属塩、アミノ基、炭素数1~5のアルキルアンモニウム塩、置換基を有してもよい炭素数1~5の直鎖アルキルを有するアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素数1~5の分枝鎖アルキルを有するアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素数1~5のアルケニルを有するアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素数5~8のシクロアルキル基を有するアルコキシ基、置換基を有してもよいフェニル基を有するアルコキシ基、置換基を有してもよい複素環基を有するアルコキシ基、置換基を有してもよいフラノシル基、又はピラノシル基を示し、式(3)においてR5はハロゲン、炭素数1~8の直鎖又は分枝アルキル基、炭素数2~8のアルケニル基、炭素数2~8のアルキニル基、又はアリール基を示す。

【請求項4】
上記桂皮酸類縁体は、下記式(4)で表されるシス桂皮酸類縁体であることを特徴とする請求項1記載の重力屈性調節剤。
【化4】


式(4)において、R1は水素、ヒドロキシ基、アルカリ土類金属塩、アミノ基、炭素数1~5のアルキルアンモニウム塩、置換基を有してもよい炭素数1~5の直鎖アルキルを有するアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素数1~5の分枝鎖アルキルを有するアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素数1~5のアルケニルを有するアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素数5~8のシクロアルキル基を有するアルコキシ基、置換基を有してもよいフェニル基を有するアルコキシ基、置換基を有してもよい複素環基を有するアルコキシ基、置換基を有してもよいフラノシル基、又はピラノシル基を示し、R6はハロゲン、置換基を有しても良い炭素数1~5の直鎖アルキル基、置換基を有してもよい炭素数1~5の分岐鎖アルキル基、置換基を有してもよい炭素数1~5のアルケニル基、置換基を有してもよい炭素数1~5のアルコキシ基、トリフルオロメチル基、ヒドロキシル基、ニトロ基、トリメチルシリル基又はアリール基を示す。

【請求項5】
上記桂皮酸類縁体は、下記式(5)~(40)で表される化合物群から選ばれる少なくとも1つの化合物であることを特徴とする請求項1記載の重力屈性調節剤。
【化5】







【請求項6】
下記一般式[I]~[XIII]のいずれかで表される化合物。
【化6】


式[I]~[XIII]においてR7は水素、アルカリ土類金属、アミノ基、炭素数1~5のアルキルアンモニウム塩、置換基を有してもよい炭素数1~5の直鎖アルキル基、置換基を有してもよい炭素数1~5の分枝鎖アルキル基、置換基を有してもよい炭素数1~5のアルケニル基、置換基を有してもよい炭素数5~8のシクロアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、又は置換基を有してもよい複素環基を示し、式[XI]においてR8は塩素原子、臭素原子、フッ素原子、tert-ブチル基、フェニル基、フェニルアセチレン基又は1-ヘキシン基を示す。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2015042924thum.jpg
出願権利状態 公開
※ 国立大学法人東京農工大学では、先端産学連携研究推進センターにおいて、知的財産の創出・権利化・活用に取り組んでいます。上記の特許・技術の内容および導入に興味・関心がありましたら、当センターまでお気軽にお問い合わせください。


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