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ゲスト化合物内包高分子金属錯体結晶、その製造方法、結晶構造解析用試料の作製方法、及び有機化合物の分子構造決定方法

国内特許コード P160013426
整理番号 (AF11P022)
掲載日 2016年11月2日
出願番号 特願2014-534207
登録番号 特許第5969616号
出願日 平成25年3月7日(2013.3.7)
登録日 平成28年7月15日(2016.7.15)
国際出願番号 JP2013056370
国際公開番号 WO2014038220
国際出願日 平成25年3月7日(2013.3.7)
国際公開日 平成26年3月13日(2014.3.13)
優先権データ
  • 特願2012-197911 (2012.9.7) JP
  • 特願2012-270199 (2012.12.11) JP
発明者
  • 藤田 誠
  • 猪熊 泰英
  • 吉岡 翔太
  • 有吉 絢子
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 ゲスト化合物内包高分子金属錯体結晶、その製造方法、結晶構造解析用試料の作製方法、及び有機化合物の分子構造決定方法
発明の概要 本発明は、配位性部位を2つ以上有する配位子及び中心金属としての金属イオンとを含む高分子金属錯体であって、前記配位子が前記金属イオンに配位して形成された三次元ネットワーク構造を有し、かつ、該三次元ネットワーク構造内に三次元的に規則正しく整列した細孔等を有する高分子金属錯体の細孔等内に、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、エーテル類、エステル類、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素及びニトリル類から選ばれる少なくとも一種がゲスト化合物(A)として内包されてなり、細孔等内における、ゲスト化合物(A)の存在量が、細孔等内に内包されているすべてのゲスト化合物に対して60モル%以上であることを特徴とするゲスト化合物内包高分子金属錯体結晶、その製造方法、この結晶を用いる結晶構造解析用試料の作製方法、並びに、この方法によって得られた試料を用いる有機化合物の分子構造決定方法である。
従来技術、競合技術の概要


近年、海洋生物等に由来する微量の生理活性物質が農医薬資源等として期待されている(特許文献1、2)。このため、これらの微量の有機化合物の分子構造を、正確、かつ、効率よく決定することは、新規農医薬品の開発等において極めて重要になってきている。
また、農医薬品を製造する際は、安全性を高めるために、農医薬品やその原料に含まれる微量の不純物を正確に同定することが求められている。
同様に、電子部品の製造に用いる原材料についても、近年の電子部品の高性能化に伴い、微量の不純物を同定し、それを低減化することが望まれている。
このように、近年、多くの分野において、微量の有機化合物の分子構造を、正確、かつ、効率よく決定することが求められている。



従来、有機化合物の分子構造を決定する方法として、単結晶X線構造解析法が知られている。単結晶X線構造解析法は、良質な単結晶を作製することができれば、有機化合物の分子構造を正確に決定することができるため、極めて有用な方法である。



しかしながら、有機化合物が微量である場合、十分量の単結晶が得られないため、分子構造を決定する方法として、単結晶X線構造解析法を採用することが困難である。また、分子構造を決定する有機化合物が常温付近で液体である場合(すなわち、融点が室温以下の場合)等においては、単結晶を作製することが困難であった。

産業上の利用分野


本発明は、微量の有機化合物の分子構造を決定する際に用いられる結晶構造解析用試料の作製材料として有用な、ゲスト化合物内包高分子金属錯体結晶及びその製造方法、このゲスト化合物内包高分子金属錯体結晶を用いる結晶構造解析用試料の作製方法、並びに、この方法によって得られた結晶構造解析用試料を用いる、有機化合物の分子構造決定方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
式:[〔M(X)(L)]〔式中、Mは金属イオンを表し、Xは一価の陰イオンを表し、Lは、下記式(1)
【化1】


(式中、Arは、置換基を有していてもよい3価の芳香族基を表す。X~Xは、それぞれ独立に、2価の有機基、またはArとY~Yとを直接結ぶ単結合を表す。Y~Yは、それぞれ独立に、配位性部位を有する1価の有機基を表す。)で示される三座配位子を表し、nは任意の自然数を表す。〕で示される高分子金属錯体であって、
前記配位子が前記金属イオンに配位して形成された三次元ネットワーク構造を有し、かつ、該三次元ネットワーク構造内に三次元的に規則正しく整列した細孔及び中空を有する高分子金属錯体の、前記細孔及び中空内に、脂肪族炭化水素;脂環式炭化水素;エーテル類;エステル類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、ナフタレン、アントラセン及びフェナントレンからなる群から選ばれる芳香族炭化水素;ハロゲン化炭化水素、並びにニトリル類からなる群から選ばれる少なくとも一種がゲスト化合物(A)として内包されてなり、
前記細孔及び中空内における、前記ゲスト化合物(A)の存在量が、前記細孔及び中空内に内包されているすべてのゲスト化合物に対して60モル%以上であることを特徴とするゲスト化合物内包高分子金属錯体結晶。

【請求項2】
前記ゲスト化合物(A)が、炭素数3~20の脂環式炭化水素またはベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、ナフタレンからなる群から選ばれる芳香族炭化水素である、請求項1に記載のゲスト化合物内包高分子金属錯体結晶。

【請求項3】
前記ゲスト化合物(A)が、炭素数3~20の飽和脂環式炭化水素である、請求項1又は2に記載のゲスト化合物内包高分子金属錯体結晶。

【請求項4】
前記高分子金属錯体の細孔及び中空内に内包されているすべてのゲスト化合物の占有率が10%以上である、請求項1~3のいずれかに記載のゲスト化合物内包高分子金属錯体結晶。

【請求項5】
前記金属イオンが、周期表第8~12族の金属のイオンであることを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載のゲスト化合物内包高分子金属錯体結晶。

【請求項6】
前記金属イオンが、亜鉛(II)イオンまたはコバルト(II)イオンであることを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載のゲスト化合物内包高分子金属錯体結晶。

【請求項7】
一辺が10~1000μmの、立方体または直方体形状を有するものである、請求項1~6のいずれかに記載のゲスト化合物内包高分子金属錯体結晶。

【請求項8】
前記式(1)で示される三座配位子及び中心金属としての金属イオンとを含む高分子金属錯体であって、前記配位子が前記金属イオンに配位して形成された三次元ネットワーク構造を有し、かつ、該三次元ネットワーク構造内に三次元的に規則正しく整列した細孔及び中空を有する高分子金属錯体の前記細孔及び中空内に、結晶化溶媒(ゲスト化合物(A)を除く、)が内包されてなる結晶化溶媒内包高分子金属錯体結晶を、液体状のゲスト化合物(A)、または、ゲスト化合物(A)を含む不活性溶媒溶液中に浸漬させる工程を有する、請求項1~7のいずれかに記載のゲスト化合物内包高分子金属錯体結晶の製造方法。

【請求項9】
高分子金属錯体結晶の細孔及び中空内に、分子構造を決定するための有機化合物の分子が規則性をもって配列されてなる結晶構造解析用試料の作製方法であって、
前記有機化合物を含む溶媒溶液に、請求項1~7のいずれかに記載のゲスト化合物内包高分子金属錯体結晶を浸漬させる工程を有することを特徴とする、結晶構造解析用試料の作製方法。

【請求項10】
100μg以下の前記有機化合物を含む溶媒溶液に、式(2)
【数1】


(式中、bは溶媒溶液中の有機化合物の量を表し、aは前記高分子錯体結晶中のすべての細孔及び中空内を、比重1の物質で満たすと仮定したときに要する前記比重1の物質の量を表す。)
から算出されるA値が0.1~30となる量の、前記ゲスト化合物内包高分子金属錯体結晶を浸漬させる工程を有することを特徴とする、請求項に記載の結晶構造解析用試料の作製方法。

【請求項11】
溶媒溶液中の有機化合物の濃度が、0.001~50μg/μLである、請求項9又は10に記載の結晶構造解析用試料の作製方法。

【請求項12】
有機化合物が、天然物由来の化合物または合成化合物中の不純物である、請求項9~11のいずれかに記載の結晶構造解析用試料の作製方法。

【請求項13】
前記有機化合物を含む溶媒溶液に、ゲスト化合物内包高分子金属錯体結晶を浸漬させる工程の後、前記溶媒を揮発させて、溶媒溶液を濃縮する工程を有することを特徴とする、請求項9~12のいずれかに記載の結晶構造解析用試料の作製方法。

【請求項14】
溶媒の揮発速度が、0.1~1000μL/24時間である、請求項13に記載の結晶構造解析用試料の作製方法。

【請求項15】
溶媒を揮発させるときの温度が、0~180℃である、請求項14又は15に記載の結晶構造解析用試料の作製方法。

【請求項16】
前記有機化合物を含む溶媒溶液に、ゲスト化合物内包細孔及び中空性錯体高分子結晶を浸漬させる工程が、一粒のゲスト化合物内包高分子金属錯体結晶を、有機化合物を含む溶媒溶液に浸漬させるものである、請求項11~15のいずれかに記載の結晶構造解析用試料の作製方法。

【請求項17】
分子構造を決定する有機化合物を含む混合物を、液体クロマトグラフィーにより分離して、前記分子構造を決定する有機化合物の溶媒溶液を得るステップ(I)と、
前記ゲスト化合物内包高分子金属錯体結晶を、ステップ(I)で得られた分子構造を決定する有機化合物の溶媒溶液に浸漬させた後、溶媒を緩和な条件下で揮発させて、前記溶媒溶液を濃縮するステップ(II)を有することを特徴とする、請求項11~16のいずれかに記載の結晶構造解析用試料の作製方法。

【請求項18】
得られる結晶構造解析用試料が、管電圧が24kV、管電流が50mAで発生させたMoKα線(波長:0.71Å)を照射し、回折X線をCCD検出器で検出したときに、少なくとも1.5Åの分解能で分子構造を決定できるものである、請求項11~17のいずれかに記載の結晶構造解析用試料の作製方法。

【請求項19】
請求項11~18のいずれかに記載された方法により得られる結晶構造解析用試料の結晶構造解析を行うことにより、結晶構造解析用試料の細孔及び中空内に内包されている有機化合物の分子構造を決定する有機化合物の分子構造決定方法。

【請求項20】
式:[〔M(X)(L)]〔式中、Mは金属イオンを表し、Xは一価の陰イオンを表し、Lは、下記式(1)
【化2】


(式中、Arは、置換基を有していてもよい3価の芳香族基を表す。X~Xは、それぞれ独立に、2価の有機基、またはArとY~Yとを直接結ぶ単結合を表す。Y~Yは、それぞれ独立に、配位性部位を有する1価の有機基を表す。)で示される三座配位子を表し、nは任意の自然数を表す。〕で示される高分子金属錯体であって、
前記配位子が前記金属イオンに配位して形成された三次元ネットワーク構造を有し、かつ、該三次元ネットワーク構造内に三次元的に規則正しく整列した細孔及び中空を有する高分子金属錯体の、前記細孔及び中空内に、分子構造を決定する有機化合物の分子が規則性をもって配列されてなる結晶構造解析用試料を作製する装置であって、
容器本体と、容器を密閉可能な状態にできる蓋部と、気体分子が通過可能な開口部とを有し、
前記容器本体内部に前記有機化合物の有機溶媒溶液を収容し、前記有機溶媒溶液中に前記高分子錯体の単結晶を浸漬させ、前記開口部より前記有機溶媒を揮発除去させるものである、
結晶構造解析用試料の作製装置。

【請求項21】
前記開口部が、前記有機溶媒を、0.1~1000μL/24時間の揮発速度で揮発除去させるものである、
請求項20に記載の結晶構造解析用試料の作製装置。

【請求項22】
前記容器本体の底部が、先端が尖った形状を有することを特徴とする、請求項20又は21に記載の結晶構造解析用試料の作製装置。

【請求項23】
式:[〔M(X)(L)]〔式中、Mは金属イオンを表し、Xは一価の陰イオンを表し、Lは、下記式(1)
【化3】


(式中、Arは、置換基を有していてもよい3価の芳香族基を表す。X~Xは、それぞれ独立に、2価の有機基、またはArとY~Yとを直接結ぶ単結合を表す。Y~Yは、それぞれ独立に、配位性部位を有する1価の有機基を表す。)で示される三座配位子を表し、nは任意の自然数を表す。〕で示される高分子金属錯体であって、
前記配位子が前記金属イオンに配位して形成された三次元ネットワーク構造を有し、かつ、該三次元ネットワーク構造内に三次元的に規則正しく整列した細孔及び中空を有する高分子金属錯体の、前記細孔及び中空内に、分子構造を決定する有機化合物の分子が規則性をもって配列されてなる結晶構造解析用試料を作製する装置であって、
蓋部、容器本体及び気体分子が通過可能な開口部を有する密閉可能な容器と、前記蓋部に固定された結晶支持体とを備え、
前記結晶支持体の先端部が、前記高分子錯体の単結晶を固定し得るものであり、かつ、
前記容器を閉じたときに、前記結晶支持体の先端部が下向きに容器内部に収容されるものである、結晶構造解析用試料の作製装置。

【請求項24】
前記支持体又はその先端部が、そのまま結晶構造解析装置に取り付け可能なものである、請求項23に記載の結晶構造解析用試料の作製装置。

【請求項25】
前記容器本体内部に前記有機化合物の有機溶媒溶液を収容し、前記有機溶媒溶液中に、前記結晶支持体に固定された高分子錯体の単結晶を浸漬させ、前記開口部より前記有機溶媒を揮発除去させるものである、
請求項23又は24に記載の結晶構造解析用試料の作製装置。

【請求項26】
前記開口部が、前記有機溶媒を、0.1~1000μL/24時間の揮発速度で揮発除去させるものである、
請求項23~25のいずれかに記載の結晶構造解析用試料の作製装置。
国際特許分類(IPC)
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出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) CREST ナノ界面技術の基盤構築 領域
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