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神経細胞ネットワークの形成及びその利用、並びに神経細胞播種デバイス 新技術説明会

国内特許コード P160013430
整理番号 (AF19P007)
掲載日 2016年11月2日
出願番号 特願2014-536618
出願日 平成25年3月21日(2013.3.21)
国際出願番号 JP2013057976
国際公開番号 WO2014045618
国際出願日 平成25年3月21日(2013.3.21)
国際公開日 平成26年3月27日(2014.3.27)
優先権データ
  • 特願2012-205561 (2012.9.19) JP
発明者
  • 宇理須 恒雄
  • ワン ツーホン
  • 宇野 秀隆
  • 西藤 美穂
  • 長岡 靖崇
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 神経細胞ネットワークの形成及びその利用、並びに神経細胞播種デバイス 新技術説明会
発明の概要 培地中で生きた状態にある神経細胞の移動を制約しつつ、神経細胞ネットワークを構成できる神経細胞ネットワーク形成用培養装置と、その利用手段を提供する。
細胞培地を充填可能な平坦基板上に複数の突起部で囲まれた細胞定着部を形成し、かつ、(1)複数の突起部間には神経細胞の細胞体を通過させない程度に広い間隔を設定し、(2)細胞定着部が1~数個の神経細胞の細胞体を収容できる内径を持ち、(3)細胞定着部の底面である基板面には細胞外マトリクス形成物質をコーティングし、及び/又は、基板面下部側の吸引装置による培地吸引用の微細貫通孔を備える、神経細胞ネットワーク形成用培養装置。
【選択図】図5
従来技術、競合技術の概要


従来、研究目的あるいは実用目的から、培地(特に液体培地)中に神経細胞を保持して、神経細胞が生きたままの状態で神経細胞ネットワークをin vitroで構成しようとする提案がなされている。



例えば下記の非特許文献1では、図2に示すようにトランジスターを配置したSi基板上に複数の突起部で囲まれた領域を設け、ここに巻貝(stagnalis)の末梢神経細胞集合体である大きな神経節(ganglion)を配置して、神経細胞の電位変動を検出している。下記の非特許文献2では、基板上に図3に示すような「ケージ」と称する略円盤形の囲い(高さ約9μm)を複数形成し、各ケージの中央部のスペースに神経細胞を配置すると共に、ケージに設けた幾つかのトンネルを通じて神経細胞の軸索等を隣接のケージ中の神経細胞に向かって伸長させるニューロチップを開示している。

産業上の利用分野


本発明は神経細胞ネットワークの形成及びその利用、並びに神経細胞播種デバイスに関する。更に詳しくは本発明は、神経細胞の軸索と他の神経細胞の樹状突起によるシナプス接合を介した神経細胞ネットワーク(neural network)を培養下に形成させる神経細胞ネットワーク形成用培養装置と、同装置を用いてそのような神経細胞ネットワークを形成する方法に関する。更に本発明は、このような神経細胞ネットワークを用いたハイスループットスクリーニング(high throughput screening)技術、プレーナーパッチクランプ(planar patch-clamp)技術、神経細胞イメージング技術等に関する。



更に本発明は、神経細胞ネットワーク形成用培養装置又はこの培養装置を利用したプレーナーパッチクランプ装置における多数の選択領域(細胞定着部)に効率的に神経細胞を播種するための神経細胞播種デバイスに関する。



本発明において、「神経細胞」とは、第1に、中枢神経細胞、末梢神経細胞等の各種の神経細胞を包含する。神経細胞としては、未だ軸索や樹状突起を突出させていない状態のものが好ましい。又、「神経細胞」とは、第2に、例えばiPS細胞やES細胞のように神経細胞に分化可能な細胞、より好ましくは、iPS細胞やES細胞から神経細胞への分化の完成途上にある神経幹細胞等の状態にあるものを包含する。更に、「神経細胞」とは、第3に、細胞相互間にネットワークを形成する性質を持つ細胞、及び、細胞相互間にネットワークを形成する性質を持つ細胞に分化が可能な細胞も包含する。
又、「神経細胞の細胞体」とは、神経細胞における軸索や樹状突起のような突出部分を除いた細胞の本体部分を言う。



更に、「選択領域」又は「細胞定着部」とは、神経細胞ネットワーク形成の中心となり、又はイオンチャンネル電流計測や各種イメージングにおける電流/電圧印加等の対象となるべき神経細胞が配置される基板上の領域を言い、「選択細胞」とは、選択領域(細胞定着部)に配置される神経細胞を言う。

特許請求の範囲 【請求項1】
細胞培地を充填可能な平坦な基板上に、複数の突起部で囲まれた細胞定着部を形成し、この細胞定着部が下記(1)~(3)の条件を備えていることを特徴とする神経細胞ネットワーク形成用培養装置。
(1)細胞定着部を構成する複数の突起部間には、神経細胞の細胞体を通過させない限りにおいて広い間隔が設定されている。
(2)複数の突起部により規定される細胞定着部の内径が、1~数個の神経細胞の細胞体を収容できるサイズである。
(3)細胞定着部の底面を構成する基板面には、以下の(ア)及び(イ)の内の少なくとも一方の要素を備える。
(ア)細胞外マトリクス形成物質をコーティングしている。
(イ)前記基板面の下部に設けた吸引装置による培地吸引用の微細貫通孔であって、神経細胞を通過させない孔径のものを設けている。

【請求項2】
前記培養装置が以下(1)~(3)のいずれかに該当することを特徴とする請求項1に記載の神経細胞ネットワーク形成用培養装置。
(1)前記基板上に選択領域としての細胞定着部が形成され、この細胞定着部に選択細胞としての神経細胞が1~数個配置されると共に、他の神経細胞は単に基板上に播種される。
(2)前記基板上に複数の細胞定着部が適宜な相互間隔をもって形成され、これらの細胞定着部には神経細胞が1~数個配置されると共に、その内の1の細胞定着部が神経細胞を配置した選択領域として用いられる。
(3)前記基板上に上記(1)又は(2)に該当する神経細胞ネットワークのユニットを複数ないし多数形成できるように、上記の細胞定着部を適宜な位置に分散して形成させた、神経細胞ネットワークのハイスループット解析用培養装置。

【請求項3】
前記神経細胞ネットワーク形成用培養装置が神経細胞ネットワークを対象とするプレーナーパッチクランプ装置であって、
(1)前記基板が電気絶縁性基板であって、その電気絶縁性基板の細胞定着部の底面を構成する基板面の両側の表面を連通させる前記微細貫通孔を設け、(2)微細貫通孔の第一表面側である神経細胞ネットワーク形成側と、その反対側である第二表面側にはそれぞれ、前記細胞培地である導電性液体を保持するための液溜部と、該液溜部の導電性液体に対して通電可能に配置された電極部とを設け、(3)第一表面側の液溜部が前記細胞定着部に定着された神経細胞用の液溜部とされていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の神経細胞ネットワーク形成用培養装置。

【請求項4】
前記プレーナーパッチクランプ装置において、前記第一表面側及び第二表面側の電極部が以下の(a)~(c)の要素を備えることを特徴とする請求項3に記載の神経細胞ネットワーク形成用培養装置。
(a)前記液溜部に導電性液体が導入された際にその導電性液体に接することとなる容器壁の少なくとも一部が無機多孔質材料で構成されている電極容器。
(b)上記の電極容器内に収容された、貴金属Nmの表層部にその貴金属の塩化物NmCl層を形成した電極。
(c)上記の電極容器内に充填された、前記貴金属の塩化物NmCl及びアルカリ金属塩化物が飽和濃度で溶解した電極溶液。

【請求項5】
前記神経細胞ネットワーク形成用培養装置が以下(A)~(C)のいずれかの目的に使用されるものであることを特徴とする請求項1~請求項4のいずれかに記載の神経細胞ネットワーク形成用培養装置。
(A)神経細胞ネットワークにおける神経細胞イオンチャンネル電流の計測・解析に用いる。
(B)少なくとも、Caイメージング解析、前シナプス部位のマーカーであるsynaptophysin又は synapsinの標識によるイメージング解析、樹状突起のマーカーであるMAP2の標識によるイメージング解析、及び、エンドソームやエキソソームを標識するFM1-43又はFM4-64によるイメージング解析を包含するイメージング解析に用いる。
(C)神経細胞ネットワークのハイスループットスクリーニングシステムに用いる。

【請求項6】
前記神経細胞ネットワーク形成用培養装置が(B)に記載のイメージング解析に用いるものである場合に、更に下記(D)~(F)の1以上の要素を備えることを特徴とする請求項5に記載の神経細胞ネットワーク形成用培養装置。
(D)前記基板の上部に、神経細胞が発する光の受光装置を設置している。
(E)前記基板の上部に、神経細胞あるいは基板表面に光を照射する照射装置を設置している。
(F)上記(E)の照射装置は、所定の単一の神経細胞にのみ光を照射するための集光系を装備している。

【請求項7】
請求項1~請求項6のいずれかに記載の神経細胞ネットワーク形成用培養装置を用いて、任意の研究目的のもとに培養下の神経細胞ネットワークを形成させる方法であって、
(1)細胞培地充填下の前記平坦な基板上に神経細胞を播種する工程と、
(2)細胞定着部の細胞外マトリクス形成物質により、及び/又は、細胞定着部の底面の微細貫通孔から液体培地を吸引することにより、一つの細胞定着部ごとに1~数個の神経細胞を配置・定着させる工程と、
(3)細胞定着部に定着した神経細胞の移動を複数の突起部により制約しつつ、複数の突起部の間隔部分により相互に相手の神経細胞の存在を認識させて軸索又は樹状突起による神経細胞間のシナプス接合を形成させる工程と、
を含むことを特徴とする神経細胞ネットワーク形成方法。

【請求項8】
前記神経細胞ネットワーク形成方法において、(1)の工程で神経細胞を播種する際、併せてグリア細胞を細胞定着部以外の部分に播種することを特徴とする請求項7に記載の神経細胞ネットワーク形成方法。

【請求項9】
神経細胞ネットワーク形成用培養装置又はこの培養装置を利用したプレーナーパッチクランプ装置における細胞培地を充填可能な平坦な装置基板上に設置して、装置基板における複数の突起部で囲まれた多数の細胞定着部に神経細胞を播種するための神経細胞播種デバイスであって、
前記装置基板上への設置が可能なボード状のデバイス本体が、その設置状態において前記多数の細胞定着部を覆う広さを持つと共に、その平坦な底面が多数の細胞定着部における複数の突起部の頂端に接するようになっており、
デバイス本体には、(1)神経細胞を一定密度で懸濁させた神経細胞懸濁液を外部から供給するための懸濁液供給口と、(2)デバイス本体の内部において前記懸濁液供給口から分枝状に延設させた多数の微細な懸濁液流路と、(3)前記各懸濁液流路の端末においてデバイス本体の底面に開口した、神経細胞懸濁液を前記各細胞定着部に注入するための懸濁液注入口と、
を設けたことを特徴とする神経細胞播種デバイス。

【請求項10】
前記神経細胞播種デバイスにおいて、多数の前記懸濁液流路が実質的に同一の長さに設定され、かつ、神経細胞ネットワーク形成用培養装置又はプレーナーパッチクランプ装置の装置基板上に前記神経細胞播種デバイスを設置した際に個々の前記懸濁液注入口が個々の前記細胞定着部に正確に対応して位置するように設計されていることを特徴とする請求項9に記載の神経細胞播種デバイス。

【請求項11】
前記ボード状のデバイス本体が、前記懸濁液供給口を設けた上部ボードと前記懸濁液注入口を設けた下部ボードとを密着状態で接合させてなり、かつ、上部ボードと下部ボードの少なくとも一方の接合面に前記懸濁液流路を構成する溝を形成していることを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の神経細胞播種デバイス。

【請求項12】
前記神経細胞ネットワーク形成用培養装置が請求項1に記載の神経細胞ネットワーク形成用培養装置であり、及び/又は、前記プレーナーパッチクランプ装置が請求項3に記載のプレーナーパッチクランプ装置であることを特徴とする請求項9~請求項11のいずれかに記載の神経細胞播種デバイス。

【請求項13】
前記デバイス本体が、前記神経細胞ネットワーク形成用培養装置又は前記プレーナーパッチクランプ装置の装置基板における前記細胞定着部以外の領域に対して前記神経細胞懸濁液を注入するための第2懸濁液流路系を更に備えていることを特徴とする請求項9~請求項12のいずれかに記載の神経細胞播種デバイス。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 公開
参考情報 (研究プロジェクト等) CREST プロセスインテグレーションによる機能発現ナノシステムの創製 領域
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