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薬物代謝酵素誘導および細胞毒性の評価方法、ならびにそのためのベクターおよび細胞 コモンズ

国内特許コード P160013445
整理番号 (H24-007)
掲載日 2016年11月2日
出願番号 特願2014-542212
出願日 平成25年10月21日(2013.10.21)
国際出願番号 JP2013079058
国際公開番号 WO2014061829
国際出願日 平成25年10月21日(2013.10.21)
国際公開日 平成26年4月24日(2014.4.24)
優先権データ
  • 特願2012-232018 (2012.10.19) JP
発明者
  • 多田 政子
  • 押村 光雄
  • 川村 文彦
  • 辻 咲織
出願人
  • 国立大学法人鳥取大学
発明の名称 薬物代謝酵素誘導および細胞毒性の評価方法、ならびにそのためのベクターおよび細胞 コモンズ
発明の概要 本発明は、薬物代謝酵素遺伝子の発現制御領域の下流にレポーター遺伝子を接続したベクター、およびこれを導入した細胞を用いて、簡便な操作によって、従来よりも正確に被験物の薬物代謝酵素誘導を評価することを目的とする。本発明は、被験物の薬物代謝酵素誘導および細胞毒性を評価するための細胞を製造するためのベクターであって、胎児期特異的遺伝子の発現制御領域、第1のレポーター遺伝子、薬物代謝酵素遺伝子の発現制御領域、および第2のレポーター遺伝子を含み、ここで、第1のレポーター遺伝子が胎児期特異的遺伝子の発現制御領域の下流に位置し、第2のレポーター遺伝子が薬物代謝酵素遺伝子の発現制御領域の下流に位置する、ベクターを提供する。また、本発明は、これを含む細胞、およびこれを用いて被験物の薬物代謝酵素誘導および細胞毒性を評価する方法を提供する。
従来技術、競合技術の概要


薬物が有用であるための3大条件として、「効果があること」、「毒性が少ないこと」、および「体内に蓄積されないこと」が挙げられており、医薬品候補化合物については、一般的に吸収(Absorption)、分布(Distibution)、代謝(Metabolism)、排泄(Escresion)、および毒性(Toxity)が検討される。



薬物の代謝は、各種の薬物代謝酵素によって行われることが知られている。代表的な薬物代謝酵素であるシトクロームP450は、生体内での薬物代謝の8割に関与する酸化酵素である。CYP3A群は、シトクロームP450ファミリーに属する主要な遺伝子であり、市販の薬物の約50%の代謝に関連するといわれる(非特許文献1)。



薬物代謝酵素に関して、薬物代謝酵素誘導という現象が知られている。薬物代謝酵素誘導は、特定の薬物が薬物代謝酵素のプロモーターを活性化することなどによって、薬物代謝酵素の発現を向上させるという現象である。薬物代謝酵素誘導は有害な薬物間相互作用を引き起こす。たとえば、薬物代謝酵素の発現を向上させる第1の医薬と別の第2の医薬を同時に投与すると、第1の医薬によって発現が向上した薬物代謝酵素が第2の医薬の代謝を行って第2の薬物の薬効を低下させてしまう。したがって、有用な薬物を取得するにあたっては、医薬品候補化合物について薬物代謝酵素誘導を調べることが重要である。



薬物代謝酵素誘導を調べる方法として、薬物代謝酵素遺伝子の発現制御領域の下流にレポーター遺伝子を接続させたベクターを導入した生体モデル細胞と薬物候補物質とを接触させて、接触前後の細胞におけるレポーター遺伝子の発現の変化を調べ、レポーター遺伝子の発現を向上させた薬物候補物質を薬物代謝酵素誘導性物質と評価する方法がある(特許文献1~4参照)。これらの方法は、煩雑な操作が不要であり簡便に行うことができる。しかしながら、これらの方法によって薬物代謝酵素誘導を起こすと評価された薬物候補物質にも、実際の生体内などで薬物代謝酵素誘導を起こさないものがあり、また、逆に薬物代謝酵素誘導を起こさないと評価された薬物候補物質にも、生体内で薬物代謝酵素誘導を起こすものがあり、従来の評価方法は正確性が不十分であった。



特許文献3には、CYP3A4の発現領域と蛍光タンパク質を有するベクターが記載されている。しかしながら、特許文献3には、薬物候補物質を接触させる細胞の性能を向上させることに関する記載はなく、また、胎児期特異的遺伝子に関する記載はない。



特許文献4には、CYP3A4の調節核酸分子とレポーター核酸分子を用いることの記載があり、レポーター核酸分子としてβガラクトシダーゼを用いた実施例の記載がある。しかしながら、特許文献4には、蛍光タンパク質を用いた実施例の記載や、薬物候補物質を接触させる細胞の性能の向上に関する記載や、胎児期特異的遺伝子に関する記載はない。



これらに類似する技術として、特許文献5は、レポーター遺伝子として蛍光タンパク質のGFPを有し、胎児期特異的遺伝子であるCYP3A7のプロモーター領域を含むベクターを用いて、薬物の毒性や生物学的利用能を評価する方法を開示する。しかしながら、特許文献5の技術は、薬物代謝酵素誘導の評価を目的とするものではない。また、特許文献5には、複数の遺伝子の発現領域を組み合わせたベクターの記載や、薬物候補物質を接触させる細胞の性能の向上に関する記載はない。

産業上の利用分野


本願は、国等の委託研究の成果に係る出願(平成22年度、文部科学省、イノベーションシステム整備事業「創薬及び食品機能性評価モデル動物等の開発に係わる染色体工学研究拠点形成」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)である。



本発明は、被験物における薬物代謝酵素誘導および細胞毒性を評価する方法、ならびにそのためのベクターおよび細胞に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
被験物の薬物代謝酵素誘導および細胞毒性を評価するための細胞を製造するためのベクターであって、胎児期特異的遺伝子の発現制御領域、第1のレポーター遺伝子、薬物代謝酵素遺伝子の発現制御領域、および第2のレポーター遺伝子を含み、ここで、第1のレポーター遺伝子が胎児期特異的遺伝子の発現制御領域の下流に位置し、第2のレポーター遺伝子が薬物代謝酵素遺伝子の発現制御領域の下流に位置する、ベクター。

【請求項2】
薬物代謝酵素遺伝子が、チトクロムP450である、請求項1に記載のベクタ。

【請求項3】
胎児期特異的遺伝子が、CYP3A7である、請求項1または2に記載のベクター。

【請求項4】
レポーター遺伝子が、光シグナルによって検出されるものである、請求項1~3のいずれか1項に記載のベクター。

【請求項5】
レポーター遺伝子が、蛍光タンパク質をコードするものである、請求項1~4のいずれか1項に記載のベクター。

【請求項6】
被験物の薬物代謝酵素誘導および細胞毒性を評価するための細胞であって、請求項1~5のいずれか1項に記載のベクターを含む、細胞。

【請求項7】
肝腫瘍細胞由来細胞株に由来する、請求項6に記載の細胞。

【請求項8】
成熟肝細胞に分化できる幹細胞の性質を有する、請求項6または7に記載の細胞。

【請求項9】
請求項6~8のいずれか1項に記載の細胞であって、
(ア)請求項1~5のいずれか1項に記載のベクターを含む細胞を培養する工程、および
(イ)工程(ア)における培養の際の前記細胞中の第1のレポーター遺伝子の発現量を指標として細胞を選択する工程
を含む方法によって選択された、細胞。

【請求項10】
工程(ア)における培養が、請求項1~5のいずれか1項に記載のベクターを含む細胞を肝細胞へ分化させるための培養である、請求項9に記載の細胞。

【請求項11】
請求項1~5のいずれか1項に記載のベクターを含む、非ヒト動物。

【請求項12】
被験物の薬物代謝酵素誘導および細胞毒性を評価する方法であって、
(a)請求項6~10のいずれか1項に記載の細胞中の第1のレポーター遺伝子の発現を評価する工程、および
(b)請求項6~10のいずれか1項に記載の細胞と被験物との接触の前後における、請求項6~10のいずれか1項に記載の細胞中の第2のレポーター遺伝子の発現の変化を評価する工程
を含む、方法。

【請求項13】
工程(b)における第2のレポーター遺伝子の発現の変化の評価が、第2のレポーター遺伝子の発現の継続的な測定結果に基づくものである、請求項12に記載の方法。

【請求項14】
被験物の薬物代謝酵素誘導および細胞毒性を評価するためのキットであって、請求項1~5のいずれか1項に記載のベクターを含む、キット。

【請求項15】
さらに、成熟肝細胞に分化できる幹細胞の性質を有する細胞を含む、請求項14に記載のキット。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 公開
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