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海産魚の類結節症に対するDNAワクチン

国内特許コード P160013464
整理番号 (S2012-1123-N0)
掲載日 2016年11月4日
出願番号 特願2014-534420
出願日 平成25年9月6日(2013.9.6)
国際出願番号 JP2013074075
国際公開番号 WO2014038662
国際出願日 平成25年9月6日(2013.9.6)
国際公開日 平成26年3月13日(2014.3.13)
優先権データ
  • 特願2012-198719 (2012.9.10) JP
発明者
  • 廣野 育生
  • 近藤 秀裕
  • 山下 梢
出願人
  • 国立大学法人東京海洋大学
発明の名称 海産魚の類結節症に対するDNAワクチン
発明の概要 類結節症に対する防御免疫を誘導するための魚類用DNAワクチンを提供する。
フォトバクテリウム・ダムセラエ亜種ピスシシダ(Photobacterium damselae subsp. piscicida)に対する免疫原性ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むDNA、又は前記DNAを含む発現ベクターを有効成分として含む。
従来技術、競合技術の概要


魚介類を代表とする多くの水生生物の養殖産業において、閉鎖系である養殖領域でのウイルス性疾病及び細菌性疾病は、個体が高密度に存在していることから、それらの感染の影響は大きく、養殖産業において深刻な問題となっている。



類結節症(又はパスツレラ症)は、1963年のアメリカチェサピーク(Chesapeake)湾においてホワイトパーチ(ロカス・アメリカナス:Roccus americanus)の大量死の原因疾病として初めて報告された(非特許文献1)。日本では1968年の四国南西の養殖ブリ0歳魚においてその発生がみられ、その翌年1969年には西日本一帯の養殖ブリにおいて流行した。また、ブリ類のみならずクロダイ、マダイ、キジハタ、アユ、ウマヅラハギなどの魚種でも発生しており、本病は極めて強い伝染性を持つことから海産養殖を脅かす問題となっている(非特許文献1)。



P. damselae subsp. piscicidaはフォトバクテリア属に属し、グラム陰性、通性嫌気性を呈する非運動性短桿菌(0.6~1.2×0.8~2.6μm)の一科である。本細菌の増殖適温は25~30℃、至適pHは7.5~8.0、至適食塩濃度は2~3%で、アンピシリン、オキソリン酸、フロルフェニコール等に感受性を示す。本症の症状は、脾臓および腎臓における1mm前後の小白点形成を特長とする。小白点は細菌の集落が配置したもので、多くは繊維組織に取り囲まれ結節を成す。これらの菌集落の形成は貪食細胞による細胞内消化に耐え、食細胞内増殖を起こすことで毛細血管や間質組織内で菌球を形成することに基づく(非特許文献2)。



わが国では、本症に対して既に不活化ワクチンが承認されているが、不活化ワクチンは細胞性免疫の誘導が困難である。しかしながら、細胞性免疫の誘導能が高いワクチンはほとんど開発されていない(特許文献1及び特許文献2)。



細菌感染症の予防又は治療には、一般的にワクチンが使用されている。ワクチンには不活化ワクチン(日本脳炎、ワイル病など)、トキソイド(破傷風、ジフテリアなど)、弱毒ワクチン(BCG、ポリオなど)、遺伝子組換えワクチン(B型肝炎ウイルスなど)などがある。不活化ワクチン及び外毒素を無毒化したトキソイドは、これらに対する抗体を誘導する比較的安全なワクチンである。遺伝子組換えワクチンは、不活化ワクチンと比較すると、不純物を含まないので、より安全なワクチンと考えられている。



しかしながら、これらのワクチンにおいて抗体産生は誘導することができるが、細胞性免疫は誘導されにくいのが欠点である。また、不活化ワクチン及び弱毒ワクチンは、抗原となるタンパク質を産業的には大量に得ることが必要であり、適当な病原菌の増殖が必須である。更に、弱毒ワクチンで獲得した免疫効果は、長期間維持される場合が多いが、一方で副作用、危険性が指摘されている。不活化ワクチン及び遺伝子組換えワクチンは、抗原の持続性が宿主内において短いと考えられており、アジュバントなどを必要とする。これら従来型のワクチンは製造から被検体に接種するまでの間、冷蔵保存する必要があるため、コストの増加と効力の低下が生じる問題点があった。



最近、ワクチンの研究開発が進み、免疫原性タンパク質をコードするプラスミドDNAの投与をすることにより、免疫誘発をもたらす新しいワクチン種(DNAワクチン)が開発され、次に述べるような従来型ワクチンの不利益が改善されてきている。すなわち、DNAワクチンは、体液性免疫応答のみならず、細胞性免疫を強力に誘導できるので、感染症に対する防御能を賦与することが可能となること、また、高度に純化できること、室温又は高温下でも安定であり、冷蔵保存は必須でなく長期間の貯蔵が可能であること、遺伝子工学的手法によりDNAワクチンの迅速な改良がし易いこと、及びワクチン開発に費やす時間の短縮などの利点がある。



ラブドウイルス(Rhabdovirus)の構成タンパク質のグリコプロテインをコードしている遺伝子を筋肉に注射することによって、ニジマスおよびヒラメの免疫応答を刺激することが知られている(非特許文献3)。また、ニジマスおよびヒラメについてはDNAワクチンの報告もある(非特許文献4)。しかし、他の魚種でDNAワクチンの報告はない。

産業上の利用分野


本発明は、類結節症原因細菌フォトバクテリウム・ダムセラエ亜種ピシシダ(Photobacterium damselae subsp. piscicida)の魚類への感染に対する防御免疫を誘導するためのDNAワクチンに関する。
本明細書における「類結節症」とは、P. damselae subsp. piscicidaの感染により引き起こされる類結節症を意味し、従って、ブリ類において発症した類結節症が含まれるだけでなく、ブリ類以外の魚類[例えば、スズキ目に属する魚類(クロダイ、マダイ、キジハタ等)、キュウリウオ目に属する魚類(アユ等)、フグ目に属する魚種(ウマヅラハギ等)等]において同原因菌によって発症したパスツレラ症が含まれる。

特許請求の範囲 【請求項1】
フォトバクテリウム・ダムセラエ亜種ピシシダ(Photobacterium damselae subsp. piscicida)に対する免疫原性ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むDNA、若しくはその配列をヒラメのコドン使用頻度を元に改変したヌクレオチド配列を含むDNA、又は前記DNAを含む発現ベクターを有効成分として含むことを特徴とする、魚類用DNAワクチン。

【請求項2】
前記免疫原性ポリペプチドが、フォトバクテリウム・ダムセラエ亜種ピシシダのppa1、ppa2およびppars1からなる群から選んだ遺伝子にコードされているポリペプチド又はその部分断片である、請求項1に記載の魚類用DNAワクチン。

【請求項3】
前記免疫原性ポリペプチドが、配列番号2、4又は6で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド又はその部分断片である、請求項2に記載の魚類用DNAワクチン。

【請求項4】
前記免疫原性ポリペプチドが、(1)配列番号2、4又は6で表されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、(2)配列番号2、4又は6で表されるアミノ酸配列において、1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換、又は付加されたアミノ酸配列を含み、しかも、フォトバクテリウム・ダムセラエ亜種ピシシダに対する免疫原性を有する改変ポリペプチド、若しくは(3)配列番号2,5又は8で表されるアミノ酸配列との同一性が80%以上であり、しかも、フォトバクテリウム・ダムセラエ亜種ピスシシダに対する免疫原性を有する相同ポリペプチド、又はそれらの部分断片である、請求項1に記載の魚類用DNAワクチン。

【請求項5】
前記ヌクレオチド配列が、(1)配列番号1、3、5、7、9又は11で表されるヌクレオチド配列、若しくは(2)1、3、5、7、9又は11で表されるヌクレオチド配列との相同性が80%以上であり、しかも、フォトバクテリウム・ダムセラエ亜種ピシシダに対する免疫原性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、又はそれらの部分配列である、請求項1に記載の魚類用DNAワクチン。

【請求項6】
前記発現ベクターが、天然型遺伝子を含むプラスミドwild-ppa1、wild-ppa2若しくはwild-pars1、又は改変遺伝子を含むプラスミドopt-ppa1、opt-ppa2若しくはopt-ppars1である、請求項1に記載の魚類用DNAワクチン。

【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の魚類用DNAワクチンを魚に投与することを特徴とする、類結節症の予防又は治療方法。

【請求項8】
前記魚がスズキ目、フグ目又はキュウリウオ目に属する魚である、請求項7に記載の方法。

【請求項9】
請求項1~6のいずれか一項に記載の魚類用DNAワクチンの、海産魚の類結節症に対する免疫応答の誘発への使用。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2014534420thum.jpg
出願権利状態 公開


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