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DNA結合ドメイン組込み用ベクターおよびそのセット、融合タンパク質コーディングベクターおよびそのセットならびにその製造方法、デスティネーションベクター、植物細胞用発現ベクターおよびその製造方法、植物細胞用発現ベクター作製用キット、形質転換方法、ならびにゲノム編集方法 NEW

国内特許コード P160013493
整理番号 S2015-0518-N0
掲載日 2016年11月10日
出願番号 特願2015-051424
公開番号 特開2016-163556
出願日 平成27年3月13日(2015.3.13)
公開日 平成28年9月8日(2016.9.8)
優先権データ
  • 特願2015-037195 (2015.2.26) JP
発明者
  • 島田 浩章
  • 草野 博彰
出願人
  • 学校法人東京理科大学
発明の名称 DNA結合ドメイン組込み用ベクターおよびそのセット、融合タンパク質コーディングベクターおよびそのセットならびにその製造方法、デスティネーションベクター、植物細胞用発現ベクターおよびその製造方法、植物細胞用発現ベクター作製用キット、形質転換方法、ならびにゲノム編集方法 NEW
発明の概要 【課題】植物細胞中でTALEのDNA結合ドメインにFokIのDNA切断ドメインなどの生物学的活性を有するタンパク質を連結した融合タンパク質を複数、効率よく植物細胞に導入する方法、およびそのために使用可能なベクター群を提供する。
【解決手段】attL組換え部位と、TALEのDNA結合ドメイン用挿入領域と、タンパク質をコードする遺伝子と、第2のattL組換え部位と、を含み、第1のattL組換え部位、挿入領域、遺伝子、および第2のattL組換え部位は、タンパク質コード方向における上流側から下流側に向かってこの順に配置されており、第1のattL組換え部位と挿入位置との間に、プロモーターを有しない、DNA結合ドメイン組込み用ベクター。前記DNA結合ドメイン組込み用ベクターと組換え可能であり、反対方向を向いたプロモーター対を有するデスティネーションベクター。およびこれらを用いた方法およびキット。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要


Transcription activator-like effector nucleases(TALEN)は、植物に対する細菌病原体であるXanthomonas由来のタンパク質であるTranscription activator-like effector(TALE)と、FokIのDNA切断ドメインとを連結した人工融合タンパク質である。TALEの中には、典型的にはLTPEQVVAIASHDGGKQALETVQRLLPVLCQAHG(配列番号1)で表される通常34アミノ酸長の配列が繰り返された中央繰り返しドメイン(central repeat domain)が存在する。繰り返し数は概ね1.5~33.5であり、つまりC末端の最後の繰り返しは完全なものではなく、2アミノ酸残基のみとなっている(half repeat)。上記の配列の12番目および13番目のアミノ酸残基は可変であり、TALEが結合するDNA配列に対する特異性を決めている。これら2つのアミノ酸残基はrepeat variable diresidue(RVD)とも呼ばれ、この2アミノ酸残基の配列と、認識されるヌクレオチドとの間には固定した関係が存在する。



このため、各繰り返しにおけるRVDの配列を改変することにより、TALEは一定の範囲内の長さを有する任意のDNA配列に結合可能となる。TALEがDNA配列に結合すると、TALEに連結したFokIヌクレアーゼが作用して、その近傍でDNAを切断する。この技術によれば、従来の制限酵素が有していた認識配列についての制約が大きく解消される。



今から始めるゲノム編集(羊土社2014、p191)にはTALEN構成用ベクターが開示されており、プロモーターの下流にTALEのDNA結合ドメインを導入している。このベクターは制限酵素を用いてさらなるクローニングを受ける。また、Zhang et al., PLOS ONE(November 2013 | Volume 8 Issue 11, e80281)には動物細胞でTALENを発現するためのTALEN構成用ベクターが記載されており、やはりプロモーターの下流にTALEのDNA結合ドメインを導入している。



また、核酸を細胞に導入することにより、当該核酸にコードされたタンパク質やRNAを発現させることも行われている。細胞を核酸に導入する技術については、例えば細菌である大腸菌については広く研究されており、例えば、対数増殖期の細胞を塩化カルシウム溶液で処理することによって得られるコンピテントセルをDNA存在下で熱処理するなどの方法により、核酸を導入することが出来る。また、動物細胞の場合にはリポフェクション(核酸含有リポソームを動物細胞内に導入する方法)、エレクトロポレーション(電気パルスにより細胞膜に穴をあけ、核酸を動物細胞内に導入する方法)、マイクロインジェクション(ガラスのマイクロピペットを用いて、DNAを動物細胞内に注入する方法)、パーティクル・ガン法(金属の微粒子をDNAでコーティングし、動物細胞内に打ち込む方法)、およびウイルスベクターを利用して遺伝子を動物細胞内に導入する方法などがある。特に、マイクロインジェクションなどの方法を用いれば、DNAを高い確実性で動物細胞内に導入することが可能である。



しかし、これらの方法の多くは、植物細胞には適用できない。植物細胞には細胞壁が存在し、このために、マイクロインジェクションなどの方法を採ることは出来ない。植物細胞の形質転換方法としては、アグロバクテリウムを用いる方法や、パーティクル・ガン法などがあるだけである。

産業上の利用分野


本発明は、DNA結合ドメイン組込み用ベクターおよびそのセット、融合タンパク質コーディングベクターおよびそのセットならびにその製造方法、デスティネーションベクター、植物細胞用発現ベクターおよびその製造方法、植物細胞用発現ベクター作製用キット、形質転換方法、ならびにゲノム編集方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
第1のattL組換え部位と、
可変領域を有するTALE(TAL effector)のDNA結合ドメインの可変繰り返し配列をコードする核酸セグメントを挿入可能な挿入位置を有する挿入領域と、
前記挿入位置にTALEのDNA結合ドメインの可変繰り返し配列をコードする核酸セグメントが挿入された場合にTALEのDNA結合ドメインとの融合タンパク質をコードする核酸配列を形成可能となるように位置する、生物学的活性を有するタンパク質をコードする遺伝子と、
第2のattL組換え部位と、
を含み、
前記第1のattL組換え部位、前記挿入領域、前記生物学的活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、および前記第2のattL組換え部位は、前記生物学的活性を有するタンパク質がコードされている方向における上流側から下流側に向かってこの順に配置されており、前記第1のattL組換え部位と前記挿入位置との間に、プロモーターを有しない、DNA結合ドメイン組込み用ベクター。

【請求項2】
前記第1のattL組換え部位の核酸配列は、前記第2のattL組換え部位の核酸配列とは異なる、請求項1に記載のDNA結合ドメイン組込み用ベクター。

【請求項3】
前記生物学的活性を有するタンパク質をコードする遺伝子が、ヌクレアーゼ活性、ポリメラーゼ活性、核酸組換え活性、核酸修復活性、転写制御活性、および核酸修飾活性からなる群から選択される1つ以上を有するタンパク質をコードする遺伝子である、請求項1または請求項2に記載のDNA結合ドメイン組込み用ベクター。

【請求項4】
前記生物学的活性を有するタンパク質をコードする遺伝子がイントロンを含む、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載のDNA結合ドメイン組込み用ベクター。

【請求項5】
前記第1のattL組換え部位と前記第2のattL組換え部位との間に、マーカー遺伝子をさらに含む、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載のDNA結合ドメイン組込み用ベクター。

【請求項6】
各々が請求項1~請求項5のいずれか一項に記載のDNA結合ドメイン組込み用ベクターである複数種類のベクターを含む、DNA結合ドメイン組込み用ベクターセットであって、
前記複数種類のベクターは、
前記第1のattL組換え部位と前記第2のattL組換え部位との間に第1のマーカー遺伝子を含む、第1のDNA結合ドメイン組込み用ベクター、および
前記第1のattL組換え部位と前記第2のattL組換え部位との間に、第1のマーカー遺伝子とは異なる第2のマーカー遺伝子を含む、第2のDNA結合ドメイン組込み用ベクター、
を含む、DNA結合ドメイン組込み用ベクターセット。

【請求項7】
各々が請求項1~請求項5のいずれか一項に記載のDNA結合ドメイン組込み用ベクターである複数種類のベクターを含む、DNA結合ドメイン組込み用ベクターセットであって、
前記複数種類のベクターは、前記第1のattL組換え部位と前記第2のattL組換え部位との間に第1のマーカー遺伝子を含む、第1のDNA結合ドメイン組込み用ベクター群、および前記第1のattL組換え部位と前記第2のattL組換え部位との間に、第1のマーカー遺伝子とは異なる第2のマーカー遺伝子を含む、第2のDNA結合ドメイン組込み用ベクター群、を含み、
前記第1のDNA結合ドメイン組込み用ベクター群は、それぞれ、アデニン認識用ジペプチド、シトシン認識用ジペプチド、チミン認識用ジペプチド、およびグアニン認識用ジペプチド、をコードする核酸セグメントを前記挿入領域における前記挿入位置の下流側隣接位置に含む4種のDNA結合ドメイン組込み用ベクターを含み、
前記第2のDNA結合ドメイン組込み用ベクター群は、それぞれ、アデニン認識用ジペプチド、シトシン認識用ジペプチド、チミン認識用ジペプチド、およびグアニン認識用ジペプチド、をコードする核酸セグメントを前記挿入領域における前記挿入位置の下流側隣接位置に含む4種のDNA結合ドメイン組込み用ベクターを含む、DNA結合ドメイン組込み用ベクターセット。

【請求項8】
請求項1~請求項5のいずれか一項に記載のDNA結合ドメイン組込み用ベクターを準備すること、および
前記DNA結合ドメイン組込み用ベクターの前記挿入位置に、TALEのDNA結合ドメインの可変繰り返し配列をコードする核酸セグメントを挿入すること、
を含む、融合タンパク質をコードする核酸セグメントを含む融合タンパク質コーディングベクターの製造方法。

【請求項9】
第1のattL組換え部位と、
TALEのDNA結合ドメインをコードする核酸セグメントと、
前記TALEのDNA結合ドメインとの融合タンパク質を形成するように位置する、生物学的活性を有するタンパク質をコードする遺伝子と、
第2のattL組換え部位と、
を含み、
前記第1のattL組換え部位、前記TALEのDNA結合ドメインをコードする核酸セグメント、前記生物学的活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、および前記第2のattL組換え部位は、前記生物学的活性を有するタンパク質がコードされている方向における上流側から下流側に向かってこの順に配置されており、前記第1のattL組換え部位と前記TALEのDNA結合ドメインをコードする核酸セグメントとの間に、プロモーターを有しない、融合タンパク質コーディングベクター。

【請求項10】
各々が請求項9に記載の融合タンパク質コーディングベクターである複数種類のベクターを含む、融合タンパク質コーディングベクターセットであって、
前記複数種類のベクターは、前記第1のattL組換え部位と前記第2のattL組換え部位との間に第1のマーカー遺伝子を含む、第1の融合タンパク質コーディングベクター、および前記第1のattL組換え部位と前記第2のattL組換え部位との間に、第1のマーカー遺伝子とは異なる第2のマーカー遺伝子を含む、第2の融合タンパク質コーディングベクター、を含む、融合タンパク質コーディングベクターセット。

【請求項11】
第1のDNAブロックおよび第2のDNAブロックを含むデスティネーションベクターであって、
前記第1のDNAブロックは、
植物細胞で作動可能な第1のプロモーターと、
第1のattR組換え部位と、
第2のattR組換え部位と、
を含み、
前記第2のDNAブロックは、
植物細胞で作動可能な第2のプロモーターと、
第3のattR組換え部位と、
第4のattR組換え部位と、
を含み、
前記第2のDNAブロックは前記第1のプロモーターの上流側に位置し、かつ前記第1のDNAブロックとは逆向きに配置されており、前記第1のDNAブロックにおいて、前記第1のプロモーター、前記第1のattR組換え部位および前記第2のattR組換え部位は、前記第1のプロモーターがコードされている方向における上流側から下流側に向かってこの順に配置されており、前記第2のDNAブロックにおいて、前記第2のプロモーター、前記第3のattR組換え部位および前記第4のattR組換え部位は、前記第2のプロモーターがコードされている方向における上流側から下流側に向かってこの順に配置されている、デスティネーションベクター。

【請求項12】
前記第1のDNAブロックにおける前記第1のプロモーターがコードされた方向を基準として前記第2のattR組換え部位よりも下流側の位置に配置された右境界配列RBを有する核酸セグメントと、前記第2のDNAブロックにおける前記第2のプロモーターがコードされた方向を基準として前記第4のattR組換え部位よりも下流側の位置に配置された左境界配列LBを有する核酸セグメントと、をさらに含む、請求項11に記載のデスティネーションベクター。

【請求項13】
前記第1のattR組換え部位の核酸配列が前記第2のattR組換え部位の核酸配列とは異なり、前記第3のattR組換え部位の核酸配列が前記第4のattR組換え部位の核酸配列とは異なる、請求項11または請求項12に記載のデスティネーションベクター。

【請求項14】
請求項10に記載のベクターセットにおける前記第1の融合タンパク質コーディングベクターにおける前記第1のattL組換え部位を、請求項11~請求項13のいずれか一項に記載のデスティネーションベクターにおける前記第1のattR組換え部位と組み換えること、
前記第1の融合タンパク質コーディングベクターにおける前記第2のattL組換え部位を、前記デスティネーションベクターにおける前記第2のattR組換え部位と組み換えること、
前記ベクターセットにおける前記第2の融合タンパク質コーディングベクターの前記第1のattL組換え部位を、前記デスティネーションベクターにおける前記第3のattR組換え部位と組み換えること、および
前記第2の融合タンパク質コーディングベクターの前記第2のattL組換え部位を、前記デスティネーションベクターにおける前記第4のattR組換え部位と組み換えること、
を含む、植物細胞用発現ベクターの製造方法。

【請求項15】
第1のDNAブロックおよび第2のDNAブロックを含む植物細胞用発現ベクターであって、
前記第1のDNAブロックは、
植物細胞で作動可能な第1のプロモーターと、
第1のattB組換え部位と、
特定の核酸配列に結合可能なTALEのDNA結合ドメインをコードする第1の核酸セグメントと、
前記TALEのDNA結合ドメインとの融合タンパク質を形成するように位置する、生物学的活性を有するタンパク質をコードする第1の遺伝子と、
第2のattB組換え部位と、
を含み、
前記第2のDNAブロックは、
植物細胞で作動可能な第2のプロモーターと、
第3のattB組換え部位と、
特定の核酸配列に結合可能なTALEのDNA結合ドメインをコードする第2の核酸セグメントと、
前記TALEのDNA結合ドメインとの融合タンパク質を形成するように位置する、生物学的活性を有するタンパク質をコードする第2の遺伝子と、
第4のattB組換え部位と、
を含み、
前記第2のDNAブロックは前記第1のプロモーターの上流側に位置し、かつ前記第1のDNAブロックとは逆向きに配置されており、前記第1のDNAブロックにおいて、前記第1のプロモーター、前記第1のattB組換え部位、前記第1の核酸セグメント、前記第1の遺伝子および前記第2のattB組換え部位は、前記第1の遺伝子がコードされている方向における上流側から下流側に向かってこの順に配置されており、前記第2のDNAブロックにおいて、前記第2のプロモーター、前記第3のattB組換え部位、前記第2の核酸セグメント、前記第2の遺伝子および前記第4のattB組換え部位は、前記第2の遺伝子がコードされている方向における上流側から下流側に向かってこの順に配置されている、植物細胞用発現ベクター。

【請求項16】
請求項6または請求項7に記載のDNA結合ドメイン組込み用ベクターセットおよび請求項11~請求項13のいずれか一項に記載のデスティネーションベクターを含む、植物細胞用発現ベクター作製用キット。

【請求項17】
請求項15に記載の植物細胞用発現ベクターを植物細胞に導入することを含む、前記植物細胞用発現ベクターを遺伝子導入した植物細胞を作製する方法。

【請求項18】
前記導入することが、前記植物細胞用発現ベクターをアグロバクテリウムに導入すること、および前記アグロバクテリウムを植物細胞に感染させることにより、前記植物細胞用発現ベクターを前記植物細胞内に導入すること、を含み、
前記植物細胞用発現ベクターは、前記第1のDNAブロックにおける前記生物学的活性を有するタンパク質をコードする第1の遺伝子がコードされた方向を基準として前記第2のattB組換え部位よりも下流側の位置に配置された右境界配列RBをコードする核酸セグメントと、前記第2のDNAブロックにおける前記第4のattB組換え部位よりも下流側の位置に配置された左境界配列LBをコードする核酸セグメントと、をさらに含む、請求項17に記載の方法。

【請求項19】
請求項15に記載の植物細胞用発現ベクターを植物細胞に導入すること、前記導入された植物細胞用発現ベクターから前記生物学的活性を有するタンパク質を発現させること、および前記生物学的活性を有するタンパク質を植物細胞のゲノムに作用させること、を含むゲノム編集方法であって、前記生物学的活性を有するタンパク質が、FokIのDNA切断ドメインであり、前記TALEのDNA結合ドメインと共にTALEN融合タンパク質を形成しており、前記FokIのDNA切断ドメインが前記植物細胞のゲノムにおける、前記TALEのDNA結合ドメインが結合可能な特定の配列の近傍を切断する、ゲノム編集方法。
国際特許分類(IPC)
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出願権利状態 公開
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