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慢性疼痛の治療薬 NEW

国内特許コード P160013498
整理番号 S2015-0811-N0
掲載日 2016年11月10日
出願番号 特願2015-050063
公開番号 特開2016-169184
出願日 平成27年3月12日(2015.3.12)
公開日 平成28年9月23日(2016.9.23)
発明者
  • 植田 弘師
出願人
  • 国立大学法人 長崎大学
発明の名称 慢性疼痛の治療薬 NEW
発明の概要 【課題】作用機序のより明確な慢性疼痛の治療薬を提供する。
【解決手段】分泌型ホスホリパーゼA2-12A(PLA2g12A)阻害物質を有効成分として含有してなる慢性疼痛の治療薬。PLA2g12A阻害物質は、PLA2g12Aに対するアンチセンス核酸、siRNAおよびアンタゴニスト抗体ならびにPLA2g12Aの酵素活性を阻害する低分子量化合物からなる群より選ばれる。慢性疼痛は、慢性期神経障害性疼痛、慢性期線維筋痛症、慢性疲労症候群、過敏性大腸炎(あるいは顎関節症)などである。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要


痛みには、急性におこる生体への自己警告としての痛みと、慢性的におこる病気としての痛みがある。慢性疼痛では薬物をはじめとした治療による回復が望まれる一方で、発症機構が原因不明であるために治療法が確立されていない難治性疾患に悩まされる患者も少なくない。その一つに、全身性疼痛症候群がある。全身性疼痛症候群は、身体の広範囲に強い痛みを引き起こす原因不明の疾患で、検査による生態的異常所見の発見が難しい。全身性疼痛症候群は、慢性化する傾向が多くみられることから、難治性慢性疼痛として位置づけられている。患者においては日常生活や仕事に支障を及ぼすだけではなく、何科にかかればよいのかわからない、専門の医師が少なく検査によっても確定診断されない、治療薬がない、怠け病とみられるなど精神的な不安を抱えるケースも少なくない。事実、痛み以外に疲労感、うつ、不安などを合併することが多く知られている。また、全身性疼痛症候群の一例である線維筋痛症は、中高年の女性に圧倒的に多く発症しており、手術や事故による身体的外傷であったりストレスによる精神的要因が発症する背景に大きく関与していることが分かっている。



侵害性あるいは炎症性の急性痛は臨床現場では抗炎症薬やオピオイドにより適正に治療がなされるが、神経障害や心因性または情動性にもとづく慢性疼痛はこれらの薬剤に抵抗性を示し、昨今で数少ない治療薬の承認はなされているものの、治療方法はまだ確立されておらず、疼痛管理が不十分なままである。



リゾホスファチジン酸(LPA)は、組織傷害時に産生される脂質メディエーターであり、各種のGタンパク質(Gq/11/14、G12/13、Gi/o)と共役する7回膜貫通型受容体(LPA1、LPA2、LPA3、LPA4、LPA5、LPA6)に作用し、神経およびグリア細胞を始めとする各種の細胞に対して栄養因子として働くことが知られている。



本発明者は、これまでの研究から神経障害性疼痛(神経因性疼痛)発症の原因分子としてリゾホスファチジン酸(LPA)を同定している(非特許文献1~4)。この一連の研究ではマウスにおける坐骨神経部分結紮誘発性の数週間以上にも及ぶ神経障害性疼痛(非特許文献1)や、マウス中大脳動脈梗塞再還流により誘発される脳卒中モデル(非特許文献5)における慢性疼痛はLPA1受容体遺伝子欠損マウスを用いたときに消失するという事実に基づいている。この他、神経障害性疼痛モデルでは脊髄においてLPA産生が顕著に誘発され、詳細な解析からLPA産生は自身のLPA1あるいはLPA3受容体を介した機構により自己増幅されるという知見を得ている。また、LPA産生は初期には細胞質性ホスホリパーゼA2(cPLA2)とカルシウム非依存性ホスホリパーゼA2(iPLA2)の活性化によること、その後産生されるLPCは細胞外のリゾホスホリパーゼD活性を示すオートタキシン(ATX)によりLPAに変換される。実際、これらの機序はLPA1受容体のみならずLPA3受容体遺伝子欠損マウス、ATX遺伝子欠損(ヘテロ接合体)マウス、cPLA2やiPLA2阻害剤処置により慢性疼痛が顕著に消失し、さらにLPAによるミクログリアの活性化と関連していることが明らかとなっている(非特許文献4)。



この一連の研究とは別に、本発明者は、くり返し冷温ストレスにより誘発される線維筋痛症マウスモデルを作製しており(特許文献1)、様々な機能解析を通じてこの動物モデルが臨床所見と酷似することを証明してきた(非特許文献6~8)。これらの研究では、このモデルは臨床所見と同様に、全身性、雌性優位性、慢性疼痛、モルヒネ抵抗性および抗うつ薬gabapentinoids(ガバペンチンやプレガバリンなどに対する総称)感受性を示す事を明らかにしてきた。また、LPA1やATX遺伝子欠損マウスではこの動物モデルにおける慢性疼痛が消失することも明らかにしてきた(特許文献2)。

産業上の利用分野


本発明は、慢性疼痛の治療薬に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
分泌型ホスホリパーゼA2-12A(PLA2g12A)阻害物質を有効成分として含有してなる慢性疼痛の治療薬。

【請求項2】
PLA2g12A阻害物質がPLA2g12Aに対するアンチセンス核酸、siRNAおよびアンタゴニスト抗体ならびにPLA2g12Aの酵素活性を阻害する低分子量化合物からなる群より選ばれるものである、請求項1記載の治療薬。

【請求項3】
慢性疼痛が慢性期神経障害性疼痛、慢性期線維筋痛症、慢性疲労症候群、過敏性大腸炎または顎関節症である、請求項1または2に記載の治療薬。

【請求項4】
PLA2g12A阻害物質がPLA2g12Aに対するsiRNAであり、脊髄くも膜下腔内または全身に投与されるものである請求項1~3のいずれか1項に記載の治療薬。

【請求項5】
PLA2g12A阻害物質がPLA2g12Aに対するsiRNAであり、脳室内または全身に投与されるものである請求項1~3のいずれか1項に記載の治療薬。

【請求項6】
PLA2g12A阻害物質がPLA2g12Aの酵素活性を阻害する低分子量化合物であり、脳室内または全身に投与されるものである請求項1~3のいずれか1項に記載の治療薬。

【請求項7】
有効量のPLA2g12A阻害物質をそれを必要とする対象に投与する工程を含む、慢性疼痛の治療方法。

【請求項8】
PLA2g12A阻害物質がPLA2g12Aに対するアンチセンス核酸、siRNAおよびアンタゴニスト抗体、ならびにPLA2g12Aの酵素活性を阻害する低分子量化合物からなる群より選ばれるものである、請求項7記載の治療方法。

【請求項9】
慢性疼痛が慢性期神経障害性疼痛、慢性期線維筋痛症、慢性疲労症候群、過敏性大腸炎または顎関節症である、請求項7または8に記載の治療方法。

【請求項10】
PLA2g12A阻害物質がPLA2g12Aに対するsiRNAであり、脊髄くも膜下腔内または全身に投与される請求項7~9のいずれか1項に記載の治療方法。

【請求項11】
PLA2g12A阻害物質がPLA2g12Aに対するsiRNAであり、脳室内または全身に投与される請求項7~9のいずれか1項に記載の治療方法。

【請求項12】
PLA2g12A阻害物質がPLA2g12Aの酵素活性を阻害する低分子量化合物であり、脳室内または全身に投与される請求項7~9のいずれか1項に記載の治療方法。

【請求項13】
請求項1~6のいずれか1項に記載の慢性疼痛の治療薬を製造するための、PLA2g12A阻害物質の使用。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 公開
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