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正極およびその製造方法、並びにその正極を用いた空気二次電池 UPDATE コモンズ

国内特許コード P160013512
整理番号 DP1683
掲載日 2016年11月25日
出願番号 特願2015-027443
公開番号 特開2016-152068
出願日 平成27年2月16日(2015.2.16)
公開日 平成28年8月22日(2016.8.22)
発明者
  • 盛満 正嗣
出願人
  • 学校法人同志社
発明の名称 正極およびその製造方法、並びにその正極を用いた空気二次電池 UPDATE コモンズ
発明の概要 【課題】耐アルカリ性および耐酸化性に優れ、かつニッケル粉末やニッケル粒子を導電材に用いた従来の正極よりも軽量な空気二次電池の正極を提供する。
【解決手段】本発明に係る正極は、アルカリ性水溶液を電解質に用いる空気二次電池の正極であって、ニッケルよりも密度の小さいコア材料と、前記コア材料を被覆するニッケルおよび/またはニッケル合金からなる被覆層とを含むニッケル被覆材料を備えたことを特徴とする。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要


空気電池は、空気中の酸素を正極活物質とする電池であり、市販されている亜鉛/空気一次電池がよく知られている。亜鉛/空気一次電池と類似な構造を有する空気電池には、負極活物質にアルミニウムや鉄を用いる電池がある。また、空気電池は、機械式充電型の亜鉛/空気二次電池を除いて、二次電池としてはいまだ実用化されていない。機械式充電型の亜鉛/空気二次電池とは、電池の反応としては放電だけを行うもので、放電後の亜鉛負極を電池外に取り出し、新しい亜鉛負極と取り替えることで電池を再び放電できるようにしたものである。したがって、一般に知られる二次電池のように、電池で生じる充電反応により蓄電して、繰り返し利用できるものではない。なお、上記のような亜鉛、アルミニウム、鉄などを負極活物質に用いる空気電池は、通常、KOH溶液やNaOH溶液のようなアルカリ性水溶液を電解質として用いている。



一方、アルカリ性水溶液を電解質とする空気二次電池として、本発明者は特許文献1および特許文献2に、水素吸蔵合金を負極に用いる空気二次電池を開示した。以下、これを水素/空気二次電池と称する。この電池では、放電と充電の際に、それぞれ以下のような式で表される電池反応が生じる。

放電:4MH+O→4M+2H
充電:4M+2HO→4MH+O

なお、式中のMは水素吸蔵合金を示し、MHは水素を吸蔵した状態の水素吸蔵合金を意味する。また、負極に亜鉛を用いる空気二次電池(亜鉛/空気二次電池)は前述の通り実用化されていないが、その電池反応は以下の式で示される。

放電:2Zn+O→2ZnO
充電:2ZnO→2Zn+O

これらの電池では、正極で起こる反応は同じで、以下の式で示される。

放電:O+2HO+4e→4OH
充電:4OH→O+2HO+4e

すなわち、アルカリ性水溶液を電解質とする空気二次電池の正極では、放電時に空気中の酸素が還元されてOHがアルカリ性水溶液中に生成され、充電時にアルカリ性水溶液中のOHが酸化されてOとHOとが生成される。



このような放電と充電の反応が正極で起こるためには、
1)放電の際に、空気中の酸素が正極内部に侵入して反応サイトまで到達可能であり、かつ、充電の際に、正極内部で発生した酸素が空気中に放出され得ること、
2)放電および充電の両方において、OHとO、HOの間で円滑な電子の受け渡しができるような反応サイトが提供されること、
3)電気化学的な酸化や還元が生じ、かつアルカリ性水溶液に接する雰囲気でも正極材料が安定であり、また酸素の発生に対して耐性がある(耐アルカリ性や耐酸化性に優れる)こと
などの条件を正極が満足する必要がある。



アルカリ性水溶液を電解質とする空気一次電池や空気二次電池の正極には、これまで、正極全体の導電性を保つための導電材として、様々な種類の炭素材料が用いられることが多く、例えば粉末状、粒子状、ファイバー状、チューブ状などの炭素材料が使用されている。また、その炭素材料には金属、酸化物、硫化物などの材料からなる触媒が担持されており、さらに導電材同士が接している部分の隙間などに入り込み、正極内部を結着させる作用と、正極内部に空気中の酸素が円滑に取り込まれ、または正極内部で発生する酸素が円滑に空気中に放出されるために、正極内部が電解質であるアルカリ性水溶液で完全に満たされないように、正極内部に撥水性を付与する撥水剤も正極を構成する材料として用いられ、例えば耐アルカリ性や耐酸化性に優れるポリテトラフルオロエチレンなどがその代表である。なお、撥水剤は上記に述べた役割からわかるように、結着剤とも称される。また、特許文献1および特許文献2で開示されているように、導電材にはニッケル粉末やニッケル粒子が用いられることも知られている。



アルカリ性水溶液を電解質とする空気二次電池では、正極が前述の1)~3)の条件を満たすことが望まれる一方、正極が可能な限り軽いことも望まれる。空気電池以外の他の形式の電池では正極活物質が正極内にあるが、空気二次電池では正極活物質が空気中の酸素であるため、正極内に貯蔵しておく必要がなく、理論的には空気二次電池の電池容量を増やすために、正極の重量をそれに伴って増やす必要はないからである。言い換えれば、正極の重量は可能な限り軽くした状態で、その重量を変えることなく、電池容量を増加させることができるのが、空気二次電池である。したがって、正極が軽くなれば、その分だけ電池全体の重量は小さくなり、放電容量と放電電圧から求められる放電エネルギー(放電容量×放電電圧)に対して、電池全体の重量の減少によって、電池重量当たりのエネルギーである重量エネルギー密度(Wh/kg)を高くすることができる。空気二次電池は、この重量エネルギー密度や、体積当たりの放電エネルギーである体積エネルギー密度(Wh/L)が、既存のリチウムイオン二次電池の理論値を上回る値を発揮できる可能性を持つことから、次世代の高エネルギー密度二次電池として期待されている。



上記のようなエネルギー密度の観点からは、アルカリ性水溶液を電解質とする空気二次電池の正極の導電材としての炭素材料は、導電性がよく、比表面積を大きくすることにより触媒を高分散で担持することができ、しかも密度も小さいので、軽量な正極を作製するための材料として優れているが、耐酸化性では非常に大きな問題がある。すなわち、炭素材料は、正極で充電時に酸素が発生すると、同時に酸化されて二酸化炭素となって消耗する。このような二酸化炭素への酸化が起こって導電材である炭素が消耗すると、正極は導電性のない部分が生じて反応が起こらなくなり、炭素が消耗した部分からアルカリ性水溶液が電池外部に漏れる漏液が起こり、電池として作動できなくなる。



これに対して、本発明者が特許文献1や特許文献2などで開示した空気二次電池の正極は、導電材としてニッケル粉末を用いたものである。アルカリ性水溶液を電解質とするニッケル水素二次電池の正極活物質がニッケルであることからも明らかなように、ニッケルはアルカリ性水溶液中で安定であり、さらに非特許文献1で開示しているように、アルカリ性水溶液を電解質とする空気二次電池の正極の導電材として用いた場合も、充電時の酸素発生に対して炭素材料のように消耗することはなく、安定性が高いことが判っている。

産業上の利用分野


本発明は、アルカリ性水溶液を電解質とし、正極では放電時に酸素が還元され、充電時には酸素が発生する空気二次電池の正極およびその製造方法、並びにその正極を用いた空気二次電池に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
アルカリ性水溶液を電解質に用いる空気二次電池の正極であって、
ニッケルよりも密度の小さいコア材料と、前記コア材料を被覆するニッケルおよび/またはニッケル合金からなる被覆層とを含むニッケル被覆材料を備えたことを特徴とする正極。

【請求項2】
前記コア材料がシリカ粒子であることを特徴とする請求項1に記載の正極。

【請求項3】
前記被覆層がニッケル-リン合金であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の正極。

【請求項4】
前記ニッケル被覆材料と混合された、ビスマスイリジウム酸化物および/またはビスマスルテニウム酸化物からなる触媒をさらに備えたことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の正極。

【請求項5】
前記ニッケル被覆材料と混合された、ポリテトラフルオロエチレンからなる撥水剤をさらに備えたことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の正極。

【請求項6】
アルカリ性水溶液を電解質に用いる空気二次電池の正極の製造方法であって、
ニッケルよりも密度の小さいコア材料にニッケルおよび/またはニッケル合金からなる被覆層を形成する被覆工程と、
前記被覆工程で得られたニッケル被覆材料と触媒と撥水剤とを混合する混合工程と、
前記混合工程で得られた混合物を成形する成形工程と、
前記成形工程で得られた成形体を加熱する加熱工程と、
を備え、前記混合工程において、前記撥水剤と同じ材料からなる混練具で混合することを特徴とする正極の製造方法。

【請求項7】
前記撥水剤がポリテトラフルオロエチレンであることを特徴とする請求項6に記載の正極の製造方法。

【請求項8】
前記混合工程が、
前記ニッケル被覆材料と前記触媒とを混合する第1混合工程と、
前記第1混合工程で得られた一次混合物と前記撥水剤とを混合する第2混合工程と、
を含むことを特徴とする請求項6または7に記載の正極の製造方法。

【請求項9】
前記コア材料がシリカ粒子であり、前記被覆層がニッケル-リン合金であることを特徴とする請求項6~8のいずれか1項に記載の正極の製造方法。

【請求項10】
アルカリ性水溶液を電解質に用いる空気二次電池であって、
正極と負極とを備え、
前記正極が、請求項1から5のいずれか1項に記載の正極であることを特徴とする空気二次電池。

【請求項11】
前記負極が、水素吸蔵合金、亜鉛、アルミニウム、鉄、リチウム、マグネシウム、ナトリウムのいずれかを含むことを特徴とする請求項10に記載の空気二次電池。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 公開
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