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白金コアシェル触媒、その製造方法及びそれを用いた燃料電池 NEW コモンズ

国内特許コード P160013516
整理番号 DP1563-B
掲載日 2016年11月25日
出願番号 特願2014-544408
出願日 平成25年10月10日(2013.10.10)
国際出願番号 JP2013077617
国際公開番号 WO2014069208
国際出願日 平成25年10月10日(2013.10.10)
国際公開日 平成26年5月8日(2014.5.8)
優先権データ
  • 特願2012-238151 (2012.10.29) JP
発明者
  • 稲葉 稔
  • 大門 英夫
  • 西川 健仁
  • 池畑 雄太
出願人
  • 学校法人同志社
発明の名称 白金コアシェル触媒、その製造方法及びそれを用いた燃料電池 NEW コモンズ
発明の概要 耐久性と触媒効率に優れた、極めて小粒径(5 nm以下)の金コア粒子を有する白金コアシェル触媒を提供することを課題とする。
金を含有するコア粒子と、当該コアの表面に形成された、白金と、イリジウム及び/又はルテニウムとを含有するシェルとを有し、粒径が1.6 nm~6.8 nmであることを特徴とする、燃料電池用の白金コアシェル触媒である。
従来技術、競合技術の概要


固体高分子形燃料電池(PEFC)は、アノード側で水素の酸化反応を、カソード側で酸素の還元反応を起こすことにより、水のみを生成するクリーンエネルギーデバイスである。カソード側の触媒として白金(Pt)を使用するものが知られている。貴金属である白金を用いる触媒は、触媒活性や電気伝導性が高く、また、周辺環境の状態や周辺環境に存在する物質による腐食や被毒を受けにくいという利点を有する。



一方で、白金は資源量が少なく価格が高いという問題があるため、その利用効率や耐久性を向上させて使用量を低減するために種々の検討が進められている。検討の一つとして、異種金属上に白金を被覆してなる白金コアシェル触媒が注目されている。白金コアシェル触媒は、触媒活性を発揮する白金原子は触媒粒子の最外層に露出した白金原子のみであることに着目して考案されたもので、白金原子層(シェル)で被覆された異種金属微粒子(コア)が、カーボン等の担体に高分散担持された構成を有する。



特許文献1(特開2012-41581号公報)には、白金の使用量を低減し、触媒活性を向上させるコアシェル微粒子として、面心立方結晶構造を有するルテニウムからなるコア粒子と、当該コア粒子の表面に形成された、面心立方結晶構造を有する白金からなるシェルとを有するコアシェル微粒子が開示されている。この発明は、触媒微粒子表面の白金原子の面密度を向上させることによって白金の触媒効率を上げ、もって使用量を削減することが主旨であり、シェルの白金原子の面密度が最大となる面心立方結晶構造を用いることを見出したものである。



また、白金シェルに対するコア金属として、金(Au)が知られている。金は貴金属であり、白金よりもイオン化傾向が小さく酸化に対して安定であり、また白金よりもはるかに資源量が多いことから、コア金属の一つとして期待されている。



特許文献2(特開2011-212666号公報)には、還元剤を用いることなく、金コア粒子の表面上に白金の表面触媒層を作製する方法が開示されている。この発明は従来のUPD法(Under-Potential Deposition法)に代替して、二価又は四価白金イオンを含む溶液に金コア粒子を浸漬することによって、金コア上に直接に白金層を析出させる方法に関する。この発明の方法によれば、簡潔な方法で金コア/白金シェルを有する触媒を得ることができることが開示されている。
しかしながらこの文献では、触媒の耐久性や触媒効率は検討されていない。



特許文献3(特開2010-92725号公報)には、Auまたはその合金で構成したコア粒子の表面に、Ptまたはその合金のシェルを形成した触媒が開示されている。この発明では、AuやPtの格子定数に着目し、格子定数の大きいAuをコア、格子定数の小さいPtをシェルとする。このように構成することで、下地のAuによってPtが引っ張り応力を受け、また、この引っ張り応力によってPtの電子状態が変化し、イオン化ポテンシャルが増大したことによって、Ptの優れた触媒活性と耐久性が得られたものと考えられている。
当該文献ではまた、コアやシェルはAuやPtの合金であってもよいことが開示されている。例えば、シェルのPtには、Fe,Co等の卑金属や、Ag,Ru,Pd,Ir等の貴金属が、40原子%以下追加されうることが開示されている。しかしながら、コアやシェルにこれらの金属を追加することの効果や機能については何ら考察されていない。
またこの文献には、Auコア粒子の大きさは1~10 nm、Ptシェルの厚さは2 nm以下との記載がある。しかしながら、実施例に開示されているのは粒径6 nmのAuコア粒子を有する粒径10 nmのコアシェル触媒粒子1種類のみである。すなわち、より小粒径の場合については実質的に検討されていない。また、この文献で言及されている格子定数は単結晶における格子定数であって、実際のナノ粒子における原子間距離については考慮されていない。



一方で、金属ナノ粒子においては、直径数nmを境界として物理化学的性質が大きく変化することが知られている。発明者らによって、直径8 nmのAuナノ粒子とバルクであるAuホイルとを比較すると、Auナノ粒子はAuホイルよりもAu-Au原子間距離が短く、また、その原子間距離はAuナノ粒子のサイズ減少に伴って短くなることが見いだされている([図1])。また、非特許文献1では、Au単結晶上に構成されたPtモノレイヤー触媒と、粒径3 nmのAuナノ粒子上に構成されたPtモノレイヤー触媒とを比較すると、後者の酸素還元活性が2.5倍程度優れることが報告されている。
これは、極めて小粒径のAuナノ粒子ではAu-Au原子間距離が減少し、Au単結晶上のPtモノレイヤーと比較して、Auナノ粒子表面に設けたPtモノレイヤーの受ける応力が変化し、これによってPtモノレイヤーに酸素還元反応に適した電子状態(酸素種との結合力)が獲得され、高い酸素還元活性を示したものと考えられている。



上記のとおり、極めて小粒径のナノ粒子における原子の状態は、単結晶の状態とは異なっているために、極めて小粒径のナノ粒子に対して単結晶の考え方をそのまま適用することはできないと考えられる。すなわちAuコア/Ptシェル触媒において未だ最適な形態は見出されておらず、耐久性と触媒効率の向上についてさらなる検討が要請されている。

産業上の利用分野


本発明は、燃料電池において酸素還元反応の触媒として用いるのに適した、白金コアシェル触媒とその製造方法、及び当該触媒を用いた燃料電池に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
金を含有するコア粒子と、当該コアの表面に形成された、白金と、イリジウム及び/又はルテニウムとを含有するシェルとを有し、粒径が1.6 nm~6.8 nmであることを特徴とする、燃料電池用の白金コアシェル触媒。

【請求項2】
前記触媒において、コア粒子の粒径が1.0 nm~5.0 nmであり、シェルの厚みが0.3 nm~0.9 nmであることを特徴とする、請求項1に記載の白金コアシェル触媒。

【請求項3】
前記シェルにおいて、白金に対するイリジウム及び/又はルテニウムの割合が、0.1~50 at.%であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の白金コアシェル触媒。

【請求項4】
前記シェルにおいて、白金に対するイリジウム及び/又はルテニウムの割合が、5~30 at.%であることを特徴とする、請求項3に記載の白金コアシェル触媒。

【請求項5】
前記シェルにおいて、白金と、イリジウム及び/又はルテニウムが同一層内で混在していることを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の白金コアシェル触媒。

【請求項6】
前記シェルにおいて、イリジウム及び/又はルテニウムが、白金と金コア粒子との間に介在していることを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の白金コアシェル触媒。

【請求項7】
前記触媒が、炭素質材料からなる坦体に担持されていることを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載の触媒。

【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の触媒を用いた、白金コアシェル触媒を酸素還元反応の触媒として利用する燃料電池。

【請求項9】
(1)炭素質担体に担持された金コア粒子の表面に銅からなる単分子層を形成させるステップと、
(2)前記ステップ(1)で得られた銅単分子層を、白金と、イリジウム及び/又はルテニウムとに置換するステップと、
を含むことを特徴とする、燃料電池用の白金コアシェル触媒の製造方法。

【請求項10】
前記ステップ(1)が、炭素質担体に担持された金コア粒子を、銅からなる固体が浸漬されたCuイオンを含む酸性水溶液に投入して撹拌することを含むステップであり、前記ステップ(2)が、前記水溶液から前記銅からなる固体を除いた後、白金イオンとイリジウム及び/又はルテニウムイオンを与える物質を投入し、前記ステップ(1)で得られた生成物表面の銅を、白金とルテニウム及び/又はイリジウムと置換することを含むステップであることを特徴とする、請求項9に記載の製造方法。

【請求項11】
前記ステップ(2)で置換された白金とルテニウム及び/又はイリジウムにおいて、白金に対するイリジウム及び/又はルテニウムの割合が、0.1~50 at.%であることを特徴とする、請求項9又は10に記載の製造方法。

【請求項12】
前記ステップ(2)で置換された白金とルテニウム及び/又はイリジウムにおいて、白金に対するイリジウム及び/又はルテニウムの割合が、5~30 at.%であることを特徴とする、請求項9又は10に記載の製造方法。

【請求項13】
前記ステップ(2)において、白金イオンを与える化合物とイリジウム及び又はルテニウムイオンを与える化合物を同時に投入し、白金とイリジウム及び/又はルテニウムとが同一層内で混在するシェルを形成することを特徴とする、請求項9~12のいずれかに記載の白金コアシェル触媒の製造方法。

【請求項14】
請求項9~13のいずれかに記載の方法によって製造された白金コアシェル触媒を酸素還元反応の触媒として利用する燃料電池。
国際特許分類(IPC)
Fターム
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出願権利状態 公開
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