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被検溶液のpH測定方法及びpH測定装置

国内特許コード P160013547
整理番号 S2015-0872-N0
掲載日 2016年12月6日
出願番号 特願2015-069185
公開番号 特開2016-188818
登録番号 特許第6164753号
出願日 平成27年3月30日(2015.3.30)
公開日 平成28年11月4日(2016.11.4)
登録日 平成29年6月30日(2017.6.30)
発明者
  • 岡村 慶
出願人
  • 国立大学法人高知大学
発明の名称 被検溶液のpH測定方法及びpH測定装置
発明の概要 【課題】高塩分濃度被検体液や塩分汚濁被検体液や低塩分濃度被検体液のような各種被検溶液のpHを測定する際、ガラス電極や比較電極の内部液の塩化カリウムの濃度や液温によるpHの変化を補償して、真のpHとの間に誤差を生じさせない簡便で、高い精度で厳密かつ正確な被検溶液のpH測定方法を提供する。
【解決手段】被検溶液のpH測定方法は、塩化カリウム及びガラス電極用緩衝液が含有されたガラス電極内部液12を内包したガラス電極10、塩化カリウム及び比較電極用緩衝液が含有された比較電極内部液22を内包した比較電極20とからなる一対の電極間の電位差が、pH7.2~8.2の範囲外の溶液で0mVとなるように設定された電極10・20を用いて、被検溶液50に対して電極間に生じた電圧を検出し、比較電極内部液22中の前記塩化カリウムの濃度と被検溶液50の液温とで補償しつつ電圧から被検溶液50のpH値を検知するものである。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要


地球環境の変化を観測するため、海洋の水面や深部で高塩分濃度被検体液を採取したり、陸地の河川湖沼で淡水被検体液を採取したりして、そのまま現場で、又は回収して測定室で、pHが測定される。



近年、石油や石炭等の化石燃料の人為的な大量消費に起因して、大気中の二酸化炭素が徐々に増加してきており、地球温暖化が進行している。大気中の二酸化炭素は、海水や陸水や雲や雨水に溶けて炭酸水素イオンや炭酸イオンの濃度を増加させ、海洋等の酸性化を増長している。海洋の海水・汽水湖の湖水、河川湖沼の淡水等のpHを継続的に正確に測定して、地球環境の変化を観測し、地球規模での将来の環境を予測したり、更なる環境汚染・地球温暖化を防止する措置を講じたりするため、正確なpHデータを取得する必要がある。



水道水や希薄な酸性・アルカリ性の試液やサンプルのような通常の被検溶液のpHを25℃程度の定温の室温で測定するのに、ガラス電極と比較電極との電気化学的な電圧から求める市販の汎用pHメーターが用いられている。この場合、被検溶液のpHは、水素イオン指数(pH=-log[H];[H]は溶液中の水素イオン濃度)として表されている。電気化学的に実際、測定されているのは、水素イオン濃度自体ではなく水素イオン活量であるが、通常の被検溶液では、両者が略等しいから、pHを水素イオン指数で表している。



しかし、海水のような高塩分濃度被検体液では、高濃度共存イオンの存在や、共存イオンと水素イオンとの相互作用や、電極のイオン選択性や、溶存ガスの影響等のせいで、水素イオン濃度自体や水素イオン活量を正確に検出し難いため、そのpHを厳密に測定するのが困難である。



そこで、海水のpHを表すのに、通常の被検溶液のような水素イオン指数の他に、例えば非特許文献1に、海水測定を前提とし海水組成と同じ又は近似の溶媒に緩衝液を溶解させた海水測定用校正溶液(Tris-HCl緩衝液、AMP緩衝液等)でガラス電極と比較電極との校正を行うことによる、トータルスケールpH(以下、pHという。pH=-log([H+]+[HSO4-]);[H+]は溶液中の水素イオン濃度、[HSO4-]は溶液中の硫酸イオン濃度)や、海水スケールpH(以下、pHswsという。pHsws=-log([H+]+[HSO4-]+[F-]);[H+]は溶液中の水素イオン濃度、[HSO4-]は溶液中の硫酸イオン濃度、[F-]は溶液中のフッ素イオン濃度)が定義されている。海水組成と同じ又は近似にした海水測定用校正溶液は、調製が面倒で手間がかかるばかりか、Tris-HCl緩衝液のように温度に依存してそのpHが大きく変動するので、液温が0~35℃まで広範に変化する海洋の海水採取現場での被検溶液のpH測定に向かない。



簡易に精度良く被検溶液のpHを測定する方法として、特許文献1に、ガラス電極と比較電極とからなる一対の電極間の電位差がpH7.2~8.2の範囲の溶液で0mVとなるように設定された電極を用い、海水を測定溶液としこの電極間に生じた電圧に基づき測定溶液のpHを測定する方法が、開示されている。



このように電極間の電位差を0mVにするという設定条件のために、ガラス電極の内部液を飽和塩化カリウム濃度でpH7.2~8.2と設定する必要がある。測定溶液が海水の場合、その真のpHに近いpH標準溶液を用いた内部液を、使用することが望ましい。本発明者の研究において、pH標準溶液に対して塩化カリウムを飽和させた場合、活量係数の変化により、内部液のpHがpH標準溶液本来のpHより0.5程度減少することが明らかとなった。そのため、特許文献1の方法における設定条件のためにpH7.2~8.2の範囲の要件を満たす内部液としては、pH7.7~8.7の標準溶液を用いる必要がある。市販されているpH標準溶液には、定温の25℃でpH4.01のフタル酸塩緩衝液やpH6.86の中性リン酸塩緩衝液やpH7.41のリン酸塩緩衝液やpH9.17ホウ酸塩緩衝液のようなJIS規格緩衝液があるが、pH7.7~8.7で安定なpH標準溶液は、市販されていない。しかも、ガラス電極内や比較電極内の内部液のpH緩衝液成分本来のpHを慎重に選択しなければ誤差を生じてしまう。



従来、これらのガラス電極や比較電極の内部液に、3.3mol/L~飽和の塩化カリウムからなる水溶液や、海水等の被検体液のpHに近似するJIS規格緩衝液に塩化カリウムを共存させた水溶液が、用いられているが、海水のような被検溶液のpHを測定する際に、比較電極の内部液について塩化カリウムの濃度や液温を考慮することなくpH標準溶液本来のpHを基準として、電極間の電圧からpHを算出していた。



大気中の二酸化炭素が海水に溶解すると生じる、炭酸水素イオン(HCO3-)や炭酸イオン(CO32-)が、酸(H+)を中和し緩衝するため、海水のpHが中性付近(凡そpH7.4~8.2)になり、地球環境の変化を正確に観測するのに、pH変動を小数点以下3桁まで正確かつ精密に検知する必要がある。また海洋の海水は地域や水深によって約0~35℃までの広範囲にまたがるが、ガラス電極や比較電極の内部液の塩化カリウムの濃度や液温によるpHの変化が考慮されていなかったため、真のpHとの間に誤差を生じ得るばかりか、観測現場でpH変動を小数点以下3桁まで正確かつ精密に検知できない。

産業上の利用分野


本発明は、地球環境を観測するために海洋の海水・汽水湖の湖水等の高塩分濃度被検体液や河川湖沼等の淡水被検体液や、環境保全のために工業排水原液等の塩分汚濁被検体液を始めとする各種被検溶液のpHを測定する方法、及びそれに使用されるpHの測定装置に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
被検溶液の液温を検出する工程と、
塩化カリウム及びガラス電極用緩衝液が含有されたガラス電極内部液を内包したガラス電極と、塩化カリウム及び比較電極用緩衝液が含有された比較電極内部液を内包した比較電極とからなる一対の電極を用い、前記比較電極用緩衝液の固有pH値を、前記液温に応じ、前記比較電極用緩衝液の補正pH値へ演算し、前記比較電極内部液の電位変化値を、それの前記塩化カリウムの濃度に応じ演算し、その電位変化値から、前記液温に応じ、前記比較電極内部液の控除pH値へ演算した後、前記比較電極用緩衝液の補正pH値から、前記比較電極内部液の控除pH値を補償して、前記比較電極内部液の補償pH値を演算する工程と、
前記被検溶液中で前記電極間に生じた電圧を検出する工程と、
前記比較電極内部液中の前記塩化カリウムの濃度と前記被検溶液の液温とで補償しつつ前記電圧から、前記液温に応じ、pH差を演算した後、前記比較電極内部液の補償pH値に基づき、前記pH差から、前記被検溶液のpH値を検知する工程とを、
有していることを特徴とする被検溶液のpH測定方法。

【請求項2】
前記一対の電極間の電位差がpH7.2~8.2の範囲外の溶液で0mVとなるように設定された電極を用いることを特徴とする請求項1に記載の被検溶液のpH測定方法。

【請求項3】
前記被検溶液のpH値を、所定の室温値に換算する工程を有することを特徴とする請求項1に記載の被検溶液のpH測定方法。

【請求項4】
前記ガラス電極内部液と前記比較電極内部液とが、同質であることを特徴とする請求項1に記載の被検溶液のpH測定方法。

【請求項5】
前記ガラス電極内部液と前記比較電極内部液とが、それぞれ前記塩化カリウムを飽和していることを特徴とする請求項1に記載の被検溶液のpH測定方法。

【請求項6】
前記被検溶液が、海水、湖水及び河川水から選ばれる塩分含有被検体液又は淡水被検体液、若しくは塩分汚濁被検体液であることを特徴とする請求項1に記載の被検溶液のpH測定方法。

【請求項7】
前記ガラス電極がガラス感応膜を有し、前記比較電極が液絡を有することを特徴とする請求項1に記載の被検溶液のpH測定方法。

【請求項8】
前記比較電極内部液の前記補正pH値と、前記被検溶液のpH値との差が、最大で2とすることを特徴とする請求項1に記載のpH測定方法。

【請求項9】
塩化カリウム及びガラス電極用緩衝液が含有されたガラス電極内部液を内包したガラス電極と、塩化カリウム及び比較電極用緩衝液が含有された比較電極内部液を内包した比較電極とからな電極と、
前記電極を浸け、被検溶液での前記電極間に生じた電圧を検出する電圧検出器と、
前記被検溶液の液温を検出する温度検出器と、
前記比較電極用緩衝液の固有pH値を、前記液温に応じ、前記比較電極用緩衝液の補正pH値へ演算し、前記比較電極内部液の電位変化値を、それの前記塩化カリウムの濃度に応じ演算し、その電位変化値から、前記液温に応じ、前記比較電極内部液の控除pH値へ演算した後、前記比較電極用緩衝液の補正pH値から、前記比較電極内部液の控除pH値を補償して、前記比較電極内部液の補償pH値を演算し、前記比較電極内部液中の前記塩化カリウムの濃度前記被検溶液の液温とで補償しつつ前電圧から、前記液温に応じ、pH差を演算した後、前記比較電極内部液の補償pH値に基づき、前記pH差から、前記被検溶液のpH値を演算する回路とを、
有することを特徴とする被検溶液のpH測定装置。

【請求項10】
前記電極間の電位差がpH7.2~8.2の範囲外の溶液で0mVとなるように設定された前記電極を有することを特徴とする請求項9に記載の被検溶液のpH測定装置。
国際特許分類(IPC)
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出願権利状態 登録
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