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卵巣がんの予後検査・診断方法 NEW

国内特許コード P160013570
整理番号 (S2015-0954-N0)
掲載日 2016年12月28日
出願番号 特願2016-078514
公開番号 特開2016-198094
出願日 平成28年4月9日(2016.4.9)
公開日 平成28年12月1日(2016.12.1)
優先権データ
  • 特願2015-080452 (2015.4.9) JP
発明者
  • 宮本 新吾
  • 宮田 康平
出願人
  • 学校法人福岡大学
発明の名称 卵巣がんの予後検査・診断方法 NEW
発明の概要 【課題】血液サンプルを用いて卵巣がんの予後を予測できる卵巣がんの予後検査方法を提供すること。
【解決手段】本発明の卵巣がんの予後検査方法は、卵巣がんの予測検査・診断時点での血液サンプル中のmiRNAのmiR-135の発現量を比較サンプル中のmiR-135の基準発現量と比較してmiR-135の発現量が低下していることを検査して卵巣がんの予後予測をすることからなっている。また、前記miR-135の基準発現量が、対応する卵巣がんの摘出手術後のmiR-135の発現量および/またはROC曲線でのmiR-135の発現指数が0.40に対応するmiR-135の発現量であることをにも特徴を有する。
【選択図】図6
従来技術、競合技術の概要


婦人科がんは、主なものとして子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がんなどが挙げられ、アメリカでは、2014年に98,280人が発症し、30,440人が死亡している。このうち、卵巣がんは、21,290人が発症し、14,180人が死亡している(非特許文献1)。



このように卵巣がんの死亡率が高いのは、卵巣がんは、出血や痛みなどの自覚症状が出にくいため検診での発見が難しく、発見時には1~4期に分かれる進行期のうち、転移が広範囲に広がった3、4期に進行した状態で見つかる場合が多いことが原因の一つである。



しかしながら、卵巣がんは、病気が進行した進行期であれば5年生存率が約20%~30%と非常に悪いのに対し、1、2期の早期であれば、治癒率が約70%~90%と非常に高くなる。



このように、卵巣がんは、その受診時の進行期と生存率との間に密接な関係があることから、卵巣がんの早期発見ができれば、死亡率の低下と長期にわたる病後管理を達成できることが期待できる。



その上、卵巣がんは、術前に生検で病理組織学的診断ができる子宮頸がんや子宮体がんなどの他の婦人科がんとは異なり、術前に細胞診や組織診ができず、その病期も開腹手術で摘出された卵巣の病理組織学的診断結果が得られるまで決定できないため、現時点では、卵巣がんを早期発見する確実な方法がないのが実情である。



卵巣がんはまた、進行した状態で摘出手術だけで根治するのは極めて稀であって、術後にプラチナ製剤などの抗がん剤による化学療法で治療を施すのが一般的である。



一方で、卵巣がんは、抗がん剤が比較的効きやすいという特長もあり、また最近では抗がん剤の新薬も増え、治療の選択肢が増えてきている。



しかしながら、卵巣がんに有効な抗がん剤の種類は増加しているけれども、患者のがんの種類に合わせて治療薬を選択する方法は未だ確定されていない。



さらに、卵巣がんは、再発の可能性が高く、治療が困難で、予後予測が非常に困難な悪性腫瘍の一つである。卵巣がんの予後は現在、手術による腫瘍切除率、臨床進行期および病理学的検査によって予測しているが、血液検査などで卵巣がんの予後を予測する方法がないのが実情である(特許文献1)。



しかしながら、これまでの広範な経験から、外科的減量手術によって病変が完全に除去された場合や、僅かな細胞が取り残された場合であれば、患者の術後の結果が改善することが示されている(非特許文献2)。



このようにがん治療が進歩しても、治癒も可能な早期の卵巣がんを診断する正確なツールさえもないことから、卵巣がんの予後予測もできないのが現状である。



このように卵巣がんは受診時にすでに転移している進行期である場合が多いことから、卵巣がんの早期発見のために種々のスクリーニング法が開発されてきた。



そのスクリーニング法として、主なものはがん抗原125(CA-125)測定法、超音波画像診断法、バイオマーカーの探索などが挙げられる。



CA-125は、上皮性卵巣がんに高い割合で発現する高分子化合物のグリコタンパク質であり(非特許文献3)、上皮性卵巣がんの腫瘍マーカーとして確立されているけれども、その感度ならびに特異性は不十分である。



CA-125は、I期の上皮性卵巣がんでは約50%、進行期の卵巣がんでも約75%~90%に発現するだけである(非特許文献4、5、6)。



CA-125はまた、上皮性卵巣がんばかりではなく、その他の病理または正常組織にも発現している上に(非特許文献4)、悪性と良性の障害においても偽陽性の結果が認められる(非特許文献7、8)。したがって、CA-125は上皮性卵巣がんに特異的ながん抗原とはいえない。



また超音波を用いれば、卵巣の詳細な画像解析と悪性の進行度合いを示す形態的変化を検知することができる。経腟的超音波(TVUS)スクリーニング法は、卵巣がんの早期発見をする実行可能な方法であるとの報告もある(非特許文献9)。



しかしながら、これまで卵巣について数多くの超音波画像解析結果についての研究がなされてきたが、超音波画像診断では、画像解析に当たって観察者の間で相当の違いがあり、また画像解析ではがんの質的診断が不可能なところから卵巣がんの予後予測には不十分である。



そこで、卵巣がんは初診時すでに転移している患者が多いため、症状のない人を対象に、血液検査CA-125測定と、経腟的超音波検査との組み合わせによる検診で卵巣がんを早期発見しようとする多くの研究が特に欧米で実施された。



しかし、残念ながら、検診を受けた卵巣がん患者と受けなかった患者との間で死亡率に差が認められなかった。その結果、欧米では、無症状の女性が卵巣がん検診を受けることを推奨しないとのガイドラインが出されている。さらに、アメリカ予防医療作業部会は定期的に卵巣がん検診をすることさえ反対の立場を取っている(非特許文献10)。



このように上皮性卵巣がんの早期発見が困難であるが故、卵巣がんの早期発見についての研究が続けられ、卵巣がんに対する感受性を改善するバイオマーカーが、いろいろな材料と手法を用いて探索されてきた。



バイオマーカー探索において最も顕著な手法は、プロテオミクスを利用することである。その結果、数多くのバイオマーカーが検出されたが、その機能は残念ながら最高でもCA-125に類似したものであった。したがって、単一のバイオマーカーだけでは上皮性卵巣がんの診断には臨床的に使用できそうにない(非特許文献11)。



このようにこれまで卵巣がんのスクリーニング法が熱心に研究されてきたが、残念ながら、臨床応用可能な一般的な卵巣がんのスクリーニング法は未だ出来上がっていないのが実情である(非特許文献12)。



すなわち、現時点では、スクリーニング法によって生存率を改善できるという初歩的な証拠はあるとしても、卵巣がんの死亡率を改善できるかどうかは未だ明確ではない。また、プロテオミック手法によって望みが持てる初期的知見が得られているが、これらの知見は未だ臨床で利用できる段階に達していないのが現状である(非特許文献12)。



近年、遺伝子に関する研究の飛躍的進歩により、短鎖RNAの一つである内在性マイクロRNA(miRNA)は、真核生物において遺伝子の転写後発現調節を行う最も重要な調節因子の一つであることが明らかになっている。



このmiRNAは、タンパク質をコードしていない18~25塩基(nt)長の1本鎖RNA分子であって、タンパク質をコードする遺伝子の約30%以上の発現を調節していおり(非特許文献13)、また、ヒトゲノムには1000以上のmiRNAがコードされていると考えられている。その後の研究によって、miRNAは、標的mRNAの翻訳抑制に由来するタンパク質産生の抑制、mRNA切断、mRNA分解によって標的mRNAの発現を調節していることが明らかになった。



さらに、最近の研究では、ある種のmiRNAは、がん発生に重要な細胞増殖とアポトーシスの調節に関与していることが示されている。また、miRNAは、特定のがんの型ならびにステージにおいて特異的な発現様式を示すことから、miRNAをプロファイリングすることによりがん診断のバイオマーカーとして機能することが示唆されている(非特許文献14)。



ノーザンブロット分析、リアルタイムPCR、miRNAマイクロアレイ等の複数の手法によって、数種類のmiRNAが、肺がん、乳がん、脳腫瘍、肝がん、結腸がんや白血病などのヒトのがんに直接関与していることが明らかになった(例えば、非特許文献15)。



これらのがんに加えて、婦人科がんに関するmiRNAの報告も、がん細胞株を用いたもの(非特許文献15、16参照)、また患者臨床検体を用いてものがある(非特許文献17参照)。



非特許文献12には、様々なステージとグレードの子宮体がん組織と、子宮内膜正常組織との間の、mRNAとmiRNAの発現を比較し、13種のmiRNAを同定したと記載されている。ただし、当該非特許文献12には、13種のmiRNAのうち、8種のmiRNAは子宮体がんにおいて発現が増加し、5種のmiRNAが子宮体がんにおいて発現が低下したと記載されているだけで、これらの13種のmiRNAが子宮体がんの診断に使用できることについては一切記載されていない。ましてや、本非特許文献には卵巣がんについては一切記載も、示唆さえもなされていない。



また、特許文献1(特開2010-154843号公報)には、上記非特許文献13において同定された13種のmiRNAを含まない婦人科がんにおける数多くのmiRNAの発現プロファイルとその用途が記載されていて、特定のmiRNAを婦人科がんのバイオマーカーとして使用する方法が記載されている。



この特許文献では、miR-135を含む数多くのmiRNA群から選ばれる1または2種以上のmiRNAを婦人科がんのバイオマーカーとしての使用方法ならびに婦人科がんの判定方法、またmiR-135を含む数多くのmiRNAが、それぞれのヌクレオチド配列において1又は2個以上のヌクレオチドが欠失、置換、若しくは付加されたRNAからなり、かつ、婦人科がん組織又は婦人科がん被検体の血液においてコントロールと比較して発現が増加又は低下するRNAを婦人科がんのバイオマーカーとしての使用方法ならびに婦人科がんの判定方法が記載されている。



しかしながら、この特許文献には、miR-135を含む数多くのmiRNAが婦人科がん組織又は婦人科がん被検体の血液においてコントロールと比較して発現が増加又は低下すると記載されているだけで、かかるmiRNAの発現の増減を具体的にどのように判定してバイオマーカーとして使用するのかについて一切記載されていない。



miRNAががん組織や血液においてコントロールと比較して発現が増加または低下することは一般的にはよく知られた事実であるけれども、どの特定のmiRNAがどの特定のがんに対して発現が増加または低下するかは全く知られてなく、予測することも不可能である。



特許文献1には、miR-135がどの特定の婦人科がんの発現を増加または低下させたのか全く記載がなく、卵巣がんの発現を増加または低下させていることを予測することは不可能である。ましてや、当然のことながら、卵巣がんの予後についての予測については示唆さえもされていない。



したがって、術後の卵巣がんの再発、または他の臓器への転移の有無を調べるために、卵巣がんの予後予測が可能となる手段や方法が要望されている。

産業上の利用分野


本発明は、卵巣がんの予後検査・診断方法に関する。より詳細には、本発明は、マイクロRNA-135(miR-135)を腫瘍マーカーとして卵巣がんの予後を検査・診断する卵巣がんの予後検査・診断方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
卵巣がんの予後検査時点での血液サンプル中のmiR-135の発現量が、卵巣がん摘出手術後の比較サンプル中のmiR-135の基準発現量と比較して低下していることを検査することを特徴とする卵巣がんの予後検査方法。

【請求項2】
請求項1に記載の卵巣がんの予後検査方法であって、前記miR-135の基準発現量が、対応する卵巣がんの摘出手術後のmiR-135の発現量および/またはROC曲線でのmiR-135の発現指数が0.40に対応するmiR-135の発現量であることを特徴とする卵巣がんの予後検査方法。

【請求項3】
請求項1または2に記載の卵巣がんの予後検査方法であって、血液サンプル中の血清miR-135の発現量をPCR法及びマイクロアレイ法で測定することを特徴とする卵巣がんの予後検査方法。

【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の卵巣がんの予後検査方法であって、前記PCR法がリアルタイムPCR法またはTaqMan(登録商標)法を用いて行うことを特徴とする卵巣がんの予後検査方法。

【請求項5】
卵巣がんの予後診断時点での血液サンプル中のmiR-135の発現量が、卵巣がん摘出手術後の比較サンプル中のmiR-135の基準発現量と比較して低下していることによって、卵巣がんの予後が低下していると予後診断をすることを特徴とする卵巣がんの予後診断方法。

【請求項6】
請求項5に記載の卵巣がんの予後診断方法であって、前記miR-135の基準発現量が、対応する卵巣がんの摘出手術後のmiR-135の発現量および/またはROC曲線でのmiR-135の発現指数が0.40に対応するmiR-135の発現量であることを特徴とする卵巣がんの予後診断方法。

【請求項7】
請求項5または6に記載の卵巣がんの予後診断方法であって、血液サンプル中の血清miR-135の発現量をPCR法及びマイクロアレイ法で測定することを特徴とする卵巣がんの予後診断方法。

【請求項8】
請求項5~7のいずれか1項に記載の卵巣がんの予後診断方法であって、前記PCR法がリアルタイムPCR法またはTaqMan(登録商標)法を用いて行うことを特徴とする卵巣がんの予後診断方法。

【請求項9】
血液サンプルを用いてマイクロアレイによりmiRNAの発現量を網羅的に解析してmiR-135を選択し、該miR-135の発現量が、比較サンプル中のmiR-135の基準発現量と比較して低下していることを検査することを特徴とする卵巣がんの予後検査方法。

【請求項10】
請求項5~8のいずれか1項に記載の卵巣がんの予後診断方法であって、卵巣がんの予後診断時点での前記miR-135の発現量が、前記miR-135の基準発現量よりも低い場合、術後の卵巣がんの再発ならびに/もしくは転移している、および/または術後投与した抗がん剤の有効性が低いとして卵巣がんの予後が不良であると診断することを特徴とする卵巣がんの予後診断方法。

【請求項11】
生体より採取した血清検体中に含まれるmiR-135を測定し、基準発現量に比してmiR-135の濃度が低い場合と卵巣がんの術後における抗がん剤への抵抗性とを関連付けることによりを卵巣がんの予後不良を検査する方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
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出願権利状態 公開
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