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加工誤差予測のためのコンピュータプログラム、加工誤差予測装置およびその予測結果に基づいて工具経路を修正する装置 新技術説明会 実績あり

国内特許コード P160013582
掲載日 2016年12月28日
出願番号 特願2009-083216
公開番号 特開2010-237843
登録番号 特許第5309288号
出願日 平成21年3月30日(2009.3.30)
公開日 平成22年10月21日(2010.10.21)
登録日 平成25年7月12日(2013.7.12)
発明者
  • 西川 隆敏
  • 菊田 敬一
  • 岡野 仁
  • 山下 弘之
  • 金子 順一
出願人
  • 広島県
  • 国立大学法人埼玉大学
発明の名称 加工誤差予測のためのコンピュータプログラム、加工誤差予測装置およびその予測結果に基づいて工具経路を修正する装置 新技術説明会 実績あり
発明の概要 【課題】工具の形状誤差や撓みに起因する加工誤差を高速に予測可能な装置などを提供する。
【解決手段】コンピュータ装置1の3次元グラフィックス機能を利用し、加工誤差を予測する位置における工具M(切刃の通過軌跡)、この位置の直前および直後を含む所定範囲の工具掃引体T1,T2、および被削物形状Wを、それぞれ下方からの視野範囲Vにおいて描画する。描画された画像において工具Mが手前に表示されている画素領域を、加工終了後に残る加工面の領域として検出し、この加工面の代表点(創成点C)における工具の形状誤差や撓み量から加工誤差を予測する。予測した加工誤差に基づいて工具経路を修正すれば、成形後の手修正に要する工数、時間を大幅に削減できる。
【選択図】 図5
従来技術、競合技術の概要


従来より一般に、プレス製品などの製造に用いられる金型は、CAM(Computer Aided Manufacturing)から出力された工具の移動経路のデータ(NCデータ)に基づいて回転工具を移動させ、被削物を加工することによって製作されている。CAMは、例えばボールエンドミルのような工具の種類やその直径などの工具情報と送りピッチなどの加工条件とに基づいて、目標形状であるCAD(Computer Aided Design)のモデル形状に正確に工具を沿わせるように、その経路を出力する(仕上げ加工の場合)。



しかしながら、実際の加工中には切削力による工具の撓みが発生し、また、工具にはそれ自体に寸法誤差があるとともに工作機械の回転軸に取り付ける際の誤差もあるから、図1に模式的に示すようにCADモデル形状に対して誤差(加工誤差)を生じることは避けられない。このため、通常は切削加工後の金型において加工誤差の大きい部分を手作業で修正しなくてはならず、この修正と計測の繰り返しに多大な工数、時間が費やされている。



この切削力による工具撓みの問題に対し、NCデータを修正することによって解消しようとする取り組みがある。最も基本的なものとしては単位時間当りの切削体積などを計算し、その切削体積に基づいて送り速度を変更することにより、切削体積の変動を抑えるというものがあるが、切削体積を小さくするためには、工具の送り速度を小さくする必要が生じ、能率が低下する。また、送り速度を小さくしても工具の撓みは発生するから、加工誤差を本質的に解決するものではない。さらに、金型加工では一般にボールエンドミルが用いられるが、ボールエンドミル加工では工具1回転中に切削力の方向や大きさが変化するため、除去体積から工具撓み量を正確に推定することは困難であった。



そこで、工具の撓みを事前に算出し、撓みに起因する加工誤差を打ち消すように工具経路の座標値を変更するという技術も提案されている(特許文献1、2、3を参照)。すなわち、特許文献1においては構造計算ソフトウェアを用いて切削力、工具撓みを算出するとしているが、構造計算ソフトウェアを用いて切削力、工具撓みを算出するには多大な時間を要するため、金型をはじめとする大規模かつ複雑な形状をもつ製品を創成する切削工程に対して実用的な時間内に処理を実施することは難しい。



一方、特許文献2においては切削点でのSN(Surface Nominal)と工作機械のDSM(Dynamic Stiffness Matrix)、切削力などに基づいて撓みを算出するとしているが、この文献には切削力や工具撓みに起因する加工誤差の算出方法については記載されていない。また、特許文献3においては加工面の法線ベクトルと切削条件とから、経験則やデータベースに基づいた演算式により補正量を算出するとしているが、この演算式を作成するためには加工面と工具の回転軸心との相対姿勢毎に膨大な実験および評価が必要になる。



これらの点を考慮して本願の発明者らは、自由曲面を持つ複雑形状の加工において、工具の切込み状態を高速に判定し、切削力を予測する手法を提案している(非特許文献1、2を参照)。これは、コンピュータ装置の3次元グラフィックス機能を利用して、工具の切込み状態を判定することにより、任意の工具位置における工具1回転中の切削3分力を高速に予測するものである。この方法で算出された切削力と工具の剛性とから、工具の1回転中の撓み量を算出することができる。
【特許文献1】
特開2002-126834号公報
【特許文献2】
特開2004-174620号公報
【特許文献3】
特開2005-144620号公報
【非特許文献1】
2007年度精密工学会秋季大会学術講演会講演論文集pp67
【非特許文献2】
2008年度精密工学会愛媛地方学術講演会講演論文集pp45

産業上の利用分野


本発明は、切削加工の際の誤差の予測に関し、特に工具の形状誤差や撓みに起因する加工誤差をコンピュータ装置の3次元グラフィックス機能を利用して予測する技術に係る。

特許請求の範囲 【請求項1】
回転する工具による被削物の加工誤差を予測するための装置であって、
前記工具による加工前の被削物の形状、該工具の切刃形状、および該工具の送りによる移動経路の情報を含む、所定データの入力を受け入れるデータ入力手段と、
前記所定データに基づいて、前記工具の移動経路上で加工誤差を予測する位置における前記切刃の通過軌跡と、当該位置の直前および直後を含む所定範囲の工具掃引体と、前記被削物とを、それぞれ当該被削物の側から前記切刃の通過軌跡の全体を望むことのできる視野範囲において描画し、前記工具掃引体については当該視野範囲の全てにおいて描画する描画手段と、
前記描画手段によって描画された画像において切刃の通過軌跡が手前に表示されている画素領域を、加工終了後に残る加工面の領域として検出する加工面検出手段と、
前記加工面検出手段によって検出された画素領域から、加工面の創成時に被削物を切削する工具の切刃位置である創成位置を特定し、この創成位置における工具の形状誤差および撓み量の少なくとも一方に基づいて、加工誤差の推定値を算出する加工誤差算出手段と、を備えることを特徴とする加工誤差予測装置。

【請求項2】
請求項1の加工誤差予測装置において、
前記工具の形状誤差をその回転軸心に対する刃先位置のズレとして予め求め、その回転軸心方向の位置に対応付けて記憶したテーブルを作成しておき、
前記加工誤差算出手段は、特定した創成位置における工具の形状誤差を前記テーブルを用いて算出する、ことを特徴とする加工誤差予測装置。

【請求項3】
請求項1又は2のいずれかの加工誤差予測装置において、
前記加工誤差算出手段は、加工誤差の予測位置における切削力の大きさと工具の剛性とから、該工具の回転軸心周りの回転角位置と撓み量との関係を求めて、特定した創成位置における工具撓み量を算出する、ことを特徴とする加工誤差予測装置。

【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つの加工誤差予測装置において、
前記切刃の通過軌跡を、工具の回転軸心を中心とする軸対称形状とし、この通過軌跡上の各画素には、工具回転軸心周りの回転角位置および該回転軸心方向の位置の少なくとも一方に応じて値が変化するようにして、所定の画素情報を持たせておき、
前記加工誤差算出手段は、加工面検出手段によって検出された加工面領域の画素情報から創成位置を特定し、この創成位置の回転角位置および回転軸心方向位置の少なくとも一方を算出する、ことを特徴とする加工誤差予測装置。

【請求項5】
請求項1~4のいずれか1つの加工誤差予測装置において、
前記描画手段は、まず、加工誤差の予測位置における前記切刃の通過軌跡と、当該位置の直前までの工具掃引体と、前記被削物とを描画し、その後、前記予測位置の直後からの工具掃引体を描き加えるように構成され、
前記予測位置以降の工具掃引体が描き加えられる前に、前記描画手段によって描画されている画像において切刃の通過軌跡が手前に表示されている画素領域を、前記予測位置における切削領域として検出する切削領域検出手段と、
前記切削領域の情報から工具に作用する切削力を算出する切削力算出手段と、
をさらに備えることを特徴とする加工誤差予測装置。

【請求項6】
請求項5の加工誤差予測装置において、
前記切削領域検出手段によって検出された切削領域の情報に基づいて、前記描画手段における視点ないし視野範囲を修正する視野修正手段をさらに備える、ことを特徴とする加工誤差予測装置。

【請求項7】
請求項1~6のいずれか1つの加工誤差予測装置において、
前記工具の移動経路を分割し、そのうちのいずれか1つの分割経路における工具掃引体と、この分割経路に至るまでの工具掃引体と、前記被削物とを、それぞれ当該被削物の側から工具を望んで描画する第1の副描画手段と、
前記第1の副描画手段によって描画された画像において前記分割経路の工具掃引体が手前に表示されている画素領域があれば、この画素領域内に加工誤差の予測位置を設定する一方、手前に表示されている画素領域がなければ該分割経路内には加工誤差の予測位置を設定しない予測位置設定手段と、
をさらに備えることを特徴とする加工誤差予測装置。

【請求項8】
請求項1~7のいずれか1つの加工誤差予測装置において、
前記工具の移動経路を分割し、その分割経路のそれぞれにおける工具掃引体と、前記被削物とを、該被削物の側から工具を望んで描画する第2の副描画手段と、
前記第2の副描画手段によって描画された画像において工具掃引体が手前に表示されている分割経路について、それぞれの工具の回転軸心と被削面とがなす角度を推定し、この角度が所定値以下の分割経路に係る加工誤差の予測を禁止する予測禁止手段と、
をさらに備えることを特徴とする加工誤差予測装置。

【請求項9】
請求項1~8のいずれか1つに記載の加工誤差予測装置によって予測された加工誤差の値に基づいて、加工誤差が小さくなるように工具の移動経路を修正する経路修正手段を備えていることを特徴とする工具経路修正装置。

【請求項10】
回転する工具による被削物の加工誤差をコンピュータ装置の3次元グラフィックス機能を利用して予測するためのプログラムであって、
前記工具による加工前の被削物の形状、該工具の切刃形状、および該工具の送りによる移動経路の情報を含む、所定データの入力を受け入れるデータ入力ステップと、
前記所定データに基づいて、前記工具の移動経路上で加工誤差を予測する位置における前記切刃の通過軌跡と、当該位置の直前および直後を含む所定範囲の工具掃引体と、前記被削物とを、それぞれ当該被削物の側から前記切刃の通過軌跡の全体を望むことのできる視野範囲において描画し、前記工具掃引体については当該視野範囲の全てにおいて描画する描画ステップと、
前記描画ステップにて描画された画像において切刃の通過軌跡が手前に表示されている画素領域を、加工終了後に残る加工面の領域として検出する加工面検出ステップと、
前記加工面検出ステップにて検出された画素領域から、加工面の創成時に被削物を切削する工具の切刃位置である創成位置を特定し、この創成位置における工具の形状誤差および撓み量の少なくとも一方に基づいて、加工誤差の推定値を算出する加工誤差算出ステップと、を有することを特徴とする加工誤差予測のためのコンピュータプログラム。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2009083216thum.jpg
出願権利状態 登録


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