TOP > 国内特許検索 > 電子顕微鏡観察試料の調製方法

電子顕微鏡観察試料の調製方法

国内特許コード P160013590
整理番号 H26-047
掲載日 2016年12月28日
出願番号 特願2014-217925
公開番号 特開2016-085119
出願日 平成26年10月27日(2014.10.27)
公開日 平成28年5月19日(2016.5.19)
発明者
  • 祐村 恵彦
  • 沖田 圭丞
出願人
  • 国立大学法人山口大学
発明の名称 電子顕微鏡観察試料の調製方法
発明の概要 【課題】細胞構造の破壊がなく、細胞内の本来の微細構造を観察することが可能な電子顕微鏡観察試料の調製方法を提供する。
【解決手段】(a)表面をカーボン又は貴金属の薄膜でコーティングした熱伝導性フィルムを固定器具で固定する工程;(b)工程(a)で固定した熱伝導性フィルムに細胞を接着させる工程;(c)工程(b)で細胞を接着させた熱伝導性フィルムを、-150℃以下に冷却した冷却剤に浸漬させて細胞を急速凍結する工程;(d)工程(c)で急速凍結した細胞から電子顕微鏡観察試料を作製する工程;を行う。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要


細胞内の微細構造の観察には、高分解能を持つ電子顕微鏡での観察が必須である。電子顕微鏡で観察するためには、電子線を用いるため、真空内で観察する必要がある。しかし、細胞の成分のうち80%以上が水であるため、真空中で細胞を生きたまま電子顕微鏡で観察するのは困難である。



そこで、従来、グルタルアルデヒドなどの架橋剤による化学固定法により、細胞内の構造を架橋して固定し、アルコールによって脱水して観察する方法が一般的であった。しかし、架橋剤は細胞内への浸透が遅く、固定するまでに構造が変化し、細胞内の本来の微細構造は維持されないという問題があった。



化学固定法の問題を克服するため、細胞を瞬時に急速凍結することで、生きたままの細胞内構造を観察する方法が提案されている。細胞を瞬時に急速凍結する方法としては、たとえば、透過型電子顕微鏡を用いて生物試料を観察するための試料を作製するために、生物試料を液体ヘリウム温度に冷却した金属ブロックに短時間押し付けて急速に凍結固定する方法(特許文献1参照)や、エタンを10~90%の割合でプロパンと混合した混合冷却剤を前記プロパンの融点より低い温度以下に冷却剤によって冷却し、この冷却状態の混合冷却剤に試料を浸漬して試料を急速に凍結する試料急速凍結方法(特許文献2参照)や、液体ヘリウム、液体窒素などで冷却された冷却金属面、あるいは冷却剤中に試料を落下させて急速凍結する方法(特許文献3参照)が提案されている。このような急速凍結を行えば、化学固定とは異なり、生きた細胞内の構造をそのまま維持できる利点がある。



しかしながら、かかる方法を行うために必要な急速凍結装置は複雑な構造のため非常に高価であり、かつ高度な技術を要するという問題や、細胞を金属ブロックに押し付けることや冷却剤中に落下させることによる物理的衝撃によって細胞が有する本来の微細構造を維持できないといった問題があった。さらに、凍結過程で細胞内の水が氷の結晶となり、さらに氷の結晶が成長することで細胞内の構造を破壊するという問題があった。



凍結速度をより速めることで細胞内の水を「無結晶の氷」として、細胞構造の破壊を防げることができると考えられる。しかし、一般的に細胞はカバーグラスに付着させており、カバーグラスに付着させた状態で急速凍結を行う場合、細胞のまわりや上には、ある程度の培養液などがある。細胞の厚みはおよそ5-10μmのため、無結晶の氷になるように凍結させるには、培養液の層をできるだけ除く必要がある。ただし、培養液の層をできるだけ除くと培養液がすぐに乾燥しやすく、その結果、細胞は変質もしくは死んでしまうために高度な技術や装置を要する。また、カバーグラスはガラスでできているため熱伝導度が低い。そのためにカバーグラス側からの凍結速度は遅く、カバーグラスと近接していない細胞の側から凍結が進む。その結果、カバーグラスに近接する部位は凍結に時間を要し、うまく無結晶の氷にならない。そこで、無結晶の氷となるように細胞を急速凍結して、細胞構造の破壊を防いだ電子顕微鏡観察試料の調製方法が求められていた。

産業上の利用分野


本発明は、細胞構造の破壊がなく、細胞内の本来の微細構造を観察することが可能な電子顕微鏡観察試料の調製方法や、かかる調製方法に用いるための電子顕微鏡観察試料の調製キットに関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
以下の工程(a)~(d)を備えたことを特徴とする電子顕微鏡観察試料の調製方法。
(a)表面をカーボン又は貴金属の薄膜でコーティングした熱伝導性フィルムを固定器具で固定する工程;
(b)工程(a)で固定した熱伝導性フィルムに細胞を接着させる工程;
(c)工程(b)で細胞を接着させた熱伝導性フィルムを、-150℃以下に冷却した冷却剤に浸漬させて細胞を急速凍結する工程;
(d)工程(c)で急速凍結した細胞から電子顕微鏡観察試料を作製する工程;

【請求項2】
カーボン又は貴金属の薄膜が親水処理されていることを特徴とする請求項1記載の電子顕微鏡観察試料の調製方法。

【請求項3】
冷却剤が、液体プロパン又は液体イソペンタンであることを特徴とする請求項1又は2記載の電子顕微鏡観察試料の調製方法。

【請求項4】
固定器具がOリングであることを特徴とする請求項1~3のいずれか記載の電子顕微鏡観察試料の調製方法。

【請求項5】
工程(d)において、工程(c)で急速凍結した細胞を樹脂で包埋し、細胞を包埋した樹脂から熱伝導性フィルムを剥離し、超薄切片を作製することを特徴とする請求項1~4のいずれか記載の電子顕微鏡観察試料の調製方法。

【請求項6】
表面をカーボン又は貴金属の薄膜でコーティングした熱伝導性フィルムと、該熱伝導性フィルムを固定するための固定器具を備えたことを特徴とする電子顕微鏡観察試料の調製キット。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 公開
山口TLOは平成11年11月に山口大学の教官50名の出資により設立された、リエゾン一体型のTLO活動会社です。山口大学を主とし、山口県内の大学・高専の研究成果をご紹介致します。特許の内容に興味を持たれた方は、下記までご連絡ください。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close