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多孔質ジオポリマー硬化体 NEW

国内特許コード P160013591
整理番号 H26-058
掲載日 2016年12月28日
出願番号 特願2015-011494
公開番号 特開2016-135723
出願日 平成27年1月23日(2015.1.23)
公開日 平成28年7月28日(2016.7.28)
発明者
  • 李 柱国
  • 池田 攻
出願人
  • 国立大学法人山口大学
発明の名称 多孔質ジオポリマー硬化体 NEW
発明の概要 【課題】密度が1.0g/cm以下である多孔質ジオポリマー硬化体を製造できる技術を提供すること。
【解決手段】アルカリ溶液中で金属イオンを溶出でき、SiO成分及びAl成分を含む活性フィラーと、アルカリ溶液と、発泡剤と、硬化前の粘性を増大させる増粘機能とともに気泡の寸法を小さくする整泡機能を有する混和剤(ステアリン酸塩粉末)、硬化前の粘性を増大させる増粘機能とともに硬化後の強度を増大させる増強機能を有する混和材1(ポルトランドセメント又は混合セメント)、硬化前の粘性を増大させる増粘機能とともに発泡反応を遅延させる発泡遅延機能を有する混和材2(セオライト粉末など)のうち少なくとも1種類とを混練し、常温又は60℃や80℃の高温で養生する。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要


従前より、廃棄物の埋立処分量を減らすために、焼却による減容化処理を行っている。しかし、都市ごみ焼却灰は、塩素、ダイオキンシ類及び重金属を含有するため、そのまま最終処分場に埋め立てられない。したがって都市ごみ焼却灰については、更なる減容化と無害化のため、これを高温溶融してスラグ化する処理が行われている。すなわち、都市ごみ焼却灰を高温溶融してスラグ化すると、更なる減容化が図られるとともに、塩素とダイオキンシ類が除去され、重金属はスラグに固定できる。



この都市ごみ焼却灰の高温溶融により生成したスラグ、すなわち都市ごみ焼却灰溶融スラグ粉末(以下、「WS」とも略称する。)は、コンクリートの骨材として利用されることが期待されている。しかし、WSを骨材としたコンクリートは耐久性に懸念があり、また、ポップアウト(ごみ中の銀紙(金属アルミニウム)に起因する水素の遅延発生)が生じるおそれがあるため、一般コンクリートやアスファルトへのWSの利用量は、その生成量の約4%に留まっており、ほとんどのWSは、最終処分場の覆土や盛土などに使われているのが現状である(非特許文献1参照)。



一方、セメント・コンクリートの環境負荷の低減と廃棄物の利用拡大を図るために、ジオポリマー(以下、「GP」とも略称する。)の研究開発が近年盛んである。GPは、活性フィラー(高炉スラグ粉末、流動床石炭灰、フライアッシュ、メタカオリン及び下水汚泥焼却灰溶融スラグ粉末など)とアルカリ溶液(ケイ酸ナトリウム及び水酸化ナトリウムの混合水溶液など)との混合物が硬化したものであり、強度発現が早く、重金属を固定でき、耐火性及び耐硫酸塩抵抗性が高い等の特徴を有する。セメントを使わないため、通常のコンクリートの環境負荷を80%程度削減できると言われている(非特許文献2参照)。



本発明者らは世界に先駆けて、WSを粉砕して得られた粉末を活性フィラーとしたGP(以下、「WS-GP」とも略称する。)を常温や高温(60~80℃)で製造できることを確認し、また、WS-GPが硬化過程で発泡・膨張する現象を発見した(非特許文献3参照)。この発泡は、都市ごみ焼却灰に含まれる金属アルミニウム(銀紙起源)がアルカリの環境で水素を生じるためである。発泡・膨張によって、WS-GPは体積が不安定となって、ひび割れを生じやすくなり、建築・土木材料には適用し難い。



また、上述のとおりジオポリマーの研究開発は近年盛んであるものの、実用化の段階には至っていない。ジオポリマーの利用量を拡大するために、その実用化技術の開発が求められている。ジオポリマー系コンクリートの性能、特に耐久性について未解明の部分があり、また、材料性能を設計・制御する手法はまだ確立されていないため、建築・土木工事の重要な部位、特に耐力部材に使用することは現時点では困難である。非耐力部材や部位への使用は注目されている。



他方、気泡コンクリート(ALC)として、セメント、珪石、石灰、金属アルミニウム粉末及び補強用のラス網などの原料を使って高温高圧蒸気養生(180℃、10気圧、約10時間)で製造されるものが知られている。ALCは、軽量で断熱性能が高いため、鉄骨造・木造建築の外壁、間仕切壁、屋根、床に多く使用されている。しかし、ALC製造に適した純珪石の鉱床が枯渇してきており、珪石を確保することが困難になりつつある(特許文献1参照)。



これらの背景を踏まえ本発明者らは、都市ごみ焼却灰溶融スラグ粉末、高炉スラグ粉末、流動床石炭灰、フライアッシュ、メタカオリン及び下水汚泥焼却灰溶融スラグ粉末などの活性フィラーの新たな有効利用方法として、これらの活性フィラーの1種以上を原料とし、密度が1.0g/cm以下の多孔質ジオポリマー硬化体(低環境負荷のジオポリマー系気泡コンクリート)について研究を開始した。



骨材を混入しないジオポリマーの密度は1.8~2.1g/cmである。そこで本発明者らは、多孔質ジオポリマー硬化体の密度を最終的にはALCの密度レベル(0.55g/cm)にできるようにするために、まず、気泡の導入方法を検討した。



セメント系気泡コンクリートへの気泡導入方法は、練混ぜ時に混入した金属アルミニウムや過酸化水素水などの発泡剤の化学反応により打設後に気泡を導入する方法(アフターフォーム法)が主流であるが、このほかに界面活性剤などの起泡剤を用いてスラリーの混合攪拌時に起泡させる方法(ミックスフォーム法)、起泡剤のみで生成させた気泡をスラリーに混入する方法(プレフォーム法)がある。しかし、GPは高アルカリ性であるため、発泡剤を混入すると、水素や酸素の気泡を急速に生じて、大半は脱出してしまう。このため、従来のアフターフォーム法では、GPの密度を1.0g/cm以下とすることは極めて困難である。また、起泡剤を水に添加すれば、高速攪拌で気泡を生成するが、GPの組成物であるアルカリ溶液中では気泡をほとんど生じない。したがって、従来のセメント系ALCのミックスフォーム法及びプレフォーム法も、そのままではGPには適用できない。



ここで、非特許文献4には、下水汚泥溶融スラグを活性フィラーとしたGPの発泡剤として、金属シリコン(Si)が好適である旨の報告がある。しかし、下水汚泥溶融スラグ以外の活性フィラーへの適用性が検証されていない。また、金属シリコン粉末による発泡は、数時間かけてゆっくりと進行するため、金属シリコン粉末は、硬化時間が短いGP(例えば、CaOの含有量が高い流動床石炭灰や高炉スラグ粉末を単独使用するもの、高炉スラグ粉末と他の活性フィラーを併用するもの等)に発泡剤としては適用できない。また、フライアッシュや都市ごみ焼却灰溶融スラグ粉末を用いたGPの強度は、特に常温養生の場合には低い。これらのGPの強度を上げるために、一般に活性カルシウム成分を有する増強材料(石灰や高炉スラグ粉末など)を添加する(特許文献2参照)。しかし、石灰や高炉スラグ粉末を添加すると、GPの硬化時間が金属シリコン粉末による発泡時間より短くなって、金属シリコン粉末が発泡する前にGPが硬化してしまい、発泡できなくなる。更に、型枠の転用速度を上げるため高温養生を行おうとしても、数時間を要する発泡が終わるまで高温養生を開始できない。成形後にすぐ高温養生すると、GPの硬化時間が発泡時間より短くなり、発泡できないか、又は発泡速度が速くなり、形成した気泡のサイズが大きくなってその一部が外に脱出し、密度が小さい多孔質GP硬化体を作製できない問題が引き起こされる。このように、発泡剤として金属シリコン粉末を添加する技術では、凝結時間が短いGPに適用できず、高温養生の場合に適用し難い。

産業上の利用分野


本発明は、都市ごみ焼却灰溶融スラグ粉末、高炉スラグ粉末、流動床石炭灰、フライアッシュ、メタカオリン、下水汚泥焼却灰溶融スラグ粉末等のアルミノシリケート源材料(アルカリ溶液中で金属イオンを溶出でき、SiO成分及びAl成分を含む活性フィラー)を原料とした多孔質ジオポリマー硬化体に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
アルカリ溶液中で金属イオンを溶出でき、SiO成分及びAl成分を含む活性フィラーと、アルカリ溶液と、発泡剤と、硬化前の粘性を増大させる増粘機能とともに気泡の寸法を小さくする整泡機能を有する混和剤、硬化前の粘性を増大させる増粘機能とともに硬化後の強度を増大させる増強機能を有する混和材1、硬化前の粘性を増大させる増粘機能とともに発泡反応を遅延させる発泡遅延機能を有する混和材2のうち少なくとも1種類とを混練し、養生して得られた多孔質ジオポリマー硬化体。

【請求項2】
前記活性フィラーが、都市ごみ焼却灰溶融スラグ粉末、高炉スラグ粉末、流動床石炭灰、フライアッシュ、メタカオリン及び下水汚泥焼却灰溶融スラグ粉末のうち少なくとも1種類を含むものである、請求項1に記載の多孔質ジオポリマー硬化体。

【請求項3】
前記混和剤はステアリン酸塩、混和材1はポルトランドセメント又は混合セメント、混和材2はリン酸化キチン、リン酸化キトサン、リン酸化セルロースのリン酸化多糖類、アルギン酸、酸化二オブ、酸化チタン、陽イオン交換樹脂及びゼオライトのうち少なくとも1種類である、請求項1又は2に記載の多孔質ジオポリマー硬化体。

【請求項4】
前記発泡剤が、過酸化水素水、アルミニウム粉末及びシリコン粉末のうち少なくとも1種類である、請求項1から3のいずれかに記載の多孔質ジオポリマー硬化体。

【請求項5】
前記アルカリ溶液が、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムと、ケイ酸ナトリウム又はケイ酸カリウムとの混合水溶液である、請求項1から4のいずれかに記載の多孔質ジオポリマー硬化体。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 公開
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