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上皮間葉系転換に着目した早期肺腺癌悪性度診断マーカーの利用

国内特許コード P170013630
整理番号 S2015-1456-N0
掲載日 2017年1月19日
出願番号 特願2015-094599
公開番号 特開2016-211928
出願日 平成27年5月7日(2015.5.7)
公開日 平成28年12月15日(2016.12.15)
発明者
  • 岡山 明子
  • 堀内 弥生
  • 梁 明秀
  • 平野 久
  • 宮城 洋平
  • 中山 治彦
  • 伊藤 宏之
  • 尾下 文浩
  • 横瀬 智之
  • 山田 耕三
出願人
  • 公立大学法人横浜市立大学
  • 地方独立行政法人神奈川県立病院機構
発明の名称 上皮間葉系転換に着目した早期肺腺癌悪性度診断マーカーの利用
発明の概要 【課題】 早期肺腺癌の再発・転移の予測に有効な悪性度診断マーカーを用いた検査方法およびそのキットを提供すること。
【解決手段】 被検者由来の検体について、TrkCの516番目のチロシン、TNS1の1404番目のチロシン、SSFA2の92番目のセリンからなる群より選択される少なくとも1つの部位のリン酸化を検出することを含む、早期肺腺癌の悪性度検査法。TrkCの516番目のチロシンのリン酸化を検出できる試薬、TNS1の1404番目のチロシンのリン酸化を検出できる試薬、SSFA2の92番目のセリンのリン酸化を検出できる試薬からなる群より選択される少なくとも1つの試薬を含む、早期肺腺癌の検査キット。抗体、ペプチドも提供される。
【選択図】 図5
従来技術、競合技術の概要


肺腺癌は一般的に転移や再発がし易いために悪性度の高い癌として知られており、I期肺腺癌症例において、外科的に切除しても20%は再発する。そのため、その群には、再発・転移予防のための術後療法が必要である。しかし、I期肺腺癌症例の全員に必要な治療ではない。そのため、切除癌組織を用いて再発・転移のリスクを予測することができれば、予後不良の患者群にのみ、的確な術後療法を行える一方、予後良好な患者群には不必要な治療を行うリスクを軽減することができる。癌の診断にはX線CTやMRIなどの画像診断のほか、18F(フッ素18)を標識したフルオロデオキシグルコース(18F-FDG)を用いたPET(Positron Emission Tomography)検査、特定の癌に特異的に発現する癌マーカーを組織免疫染色で検出する方法や血液、組織中に漏出する癌マーカーなどを検出する方法が用いられている。肺腺癌予後予測マーカーに関する特許としては、肺癌手術組織のesRAGE(Endogenous Secretory Receptor for Advanced Glycation End products)発現を測定する方法(特許第4779115号:特許文献1)、I期肺腺癌組織の細胞におけるACTN4のmRNAコピー数を測定する方法(WO2011122634 A1:特許文献2)などがある。



従来の胸部レントゲン写真や CT, MRI では、癌が転移・再発する可能性を診断するための正確な情報を得ることは困難である。PET検査は、人体に影響が出るほどの量ではないが放射線をおびた検査薬を体内に注射するので放射線被曝があり、そのため、妊産婦や授乳中の女性は検査を受けることができない。組織免疫染色は、固定した組織標本に適した特異性の高い抗体が必要である上、組織を固定する段階での抗原性の減弱や失活・消失、固定ムラによる抗原への反応性の違いなどにより、正確に診断できない場合がある。特に免疫染色でのリン酸化タンパク質の検出は困難である。CEA、CYFRA21-1、Pro-GRPは肺癌診断に使用されている分子マーカーであるが、早期癌では感度が不十分である上、予後予測マーカーとしては十分ではない。また、予後予測マーカーを利用して、予後診断のために市販されている診断薬はまだない。

産業上の利用分野


本発明は、上皮間葉系転換に着目した早期肺腺癌悪性度診断マーカーの利用に関し、より詳細には、上皮間葉系転換に着目した早期肺腺癌悪性度診断マーカーを用いた検査方法およびそのキットに関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
被検者由来の検体について、TrkCの516番目のチロシン、TNS1の1404番目のチロシン、SSFA2の92番目のセリンからなる群より選択される少なくとも1つの部位のリン酸化を検出することを含む、早期肺腺癌の悪性度検査法。

【請求項2】
TrkCの516番目のチロシン、TNS1の1404番目のチロシン、SSFA2の92番目のセリンからなる群より選択される少なくとも1つの部位のリン酸化が亢進している場合に、早期肺腺癌が転移及び/又は再発する可能性が高いと判定する請求項1記載の方法。

【請求項3】
さらに、c-Metの1234/1235番目の一方又は両方のチロシンのリン酸化を検出することを含む請求項1又は2記載の方法。

【請求項4】
c-Metの1234/1235番目の一方又は両方のチロシンのリン酸化が亢進している場合に、早期肺腺癌が転移及び/又は再発する可能性が高いと判定する請求項3記載の方法。

【請求項5】
被検者由来の検体が、肺腺癌組織、血清、全血又は尿である請求項1~4のいずれかに記載の方法。

【請求項6】
TrkCの516番目のチロシンがリン酸化されたTrkCに対する抗体、TNS1の1404番目のチロシンがリン酸化されたTNS1に対する抗体、SSFA2の92番目のセリンがリン酸化されたSSFA2に対する抗体からなる群より選択される少なくとも1つの抗体を用いた抗原抗体反応により、リン酸化されたタンパク質の発現量を測定する請求項1~5のいずれかに記載の方法。

【請求項7】
さらに、c-Metの1234番目のチロシンがリン酸化されたc-Metに対する抗体及び/又はc-Metの1235番目のチロシンがリン酸化されたc-Metに対する抗体を用いた抗原抗体反応により、リン酸化されたc-Metの発現量を測定する請求項6記載の方法。

【請求項8】
多重反応モニタリング(MRM)分析により、TrkCの516番目のチロシン、TNS1の1404番目のチロシン、SSFA2の92番目のセリンからなる群より選択される少なくとも1つの部位のリン酸化を検出する請求項1~5のいずれかに記載の方法。

【請求項9】
さらに、c-Metの1234/1235番目の一方又は両方のチロシンのリン酸化を多重反応モニタリング(MRM)分析により検出する請求項8記載の方法。

【請求項10】
下記の表に示す条件で多重反応モニタリング(MRM)分析を行う請求項9記載の方法。



【請求項11】
検査が手術前及び/又は手術後に行われる請求項1~10のいずれかに記載の方法。

【請求項12】
TrkCの516番目のチロシンのリン酸化を検出できる試薬、TNS1の1404番目のチロシンのリン酸化を検出できる試薬、SSFA2の92番目のセリンのリン酸化を検出できる試薬からなる群より選択される少なくとも1つの試薬を含む、早期肺腺癌の検査キット。

【請求項13】
さらに、c-Metの1234及び/又は1235番目のチロシンのリン酸化を検出できる試薬を含む、請求項11記載のキット。

【請求項14】
試薬が抗体である請求項11又は12記載のキット。

【請求項15】
SSFA2の92番目のセリンがリン酸化されたSSFA2に対する抗体であって、C+TPLGA(pS)LDEQSを免疫原として得られた抗体。

【請求項16】
N末端にCysが付加されていてもよいTPLGA(pS)LDEQSのアミノ酸配列からなるペプチド。

【請求項17】
7番目のチロシンがリン酸化及び/又は13C6, 15N2同位体標識されていてもよいAGSLPNYATINGK、7番目のチロシンがリン酸化及び/又は13C6, 15N2同位体標識されていてもよいDMYDKEYYSVHNK、9番目のチロシンがリン酸化及び/又は13C6, 15N4同位体標識されていてもよいIPVIENPQYFR、6番目のセリンがリン酸化及び/又は13C6, 15N2同位体標識されていてもよいTPLGASLDEQSSSTLKからなる群より選択されるアミノ酸配列からなるペプチド。

【請求項18】
AGSLPNYATINGK、DMYDKEYYSVHNK、IPVIENPQYFR及びTPLGASLDEQSSSTLKからなる群より選択されるアミノ酸配列からなるペプチドであって、前記アミノ酸配列中のいずれかのアミノ酸がリン酸化及び/又は標識されていてもよい前記ペプチド。

【請求項19】
被験者由来の検体について、SSFA2のレベルを測定することを含む、肺腺癌の検査方法。

【請求項20】
SSFA2について、被験者由来の検体中のレベルが高い場合に、肺腺癌に罹患している可能性が高いと判定し、前記レベルが低い場合に、肺腺癌に罹患している可能性が低いと判定する請求項19記載の方法。

【請求項21】
被験者が肺腺癌の治療を受けている患者であり、SSFA2について、被験者由来の検体中のレベルを異なる時期に複数回測定し、前記レベルが低下した場合に、治療により肺腺癌から回復したと判定し、前記レベルが低下しない場合に、治療により肺腺癌から回復していない、あるいは、回復が不十分であると判定する請求項19載の方法。

【請求項22】
被験者由来の検体が、癌組織、血清、全血又は尿である請求項19~21のいずれかに記載の方法。

【請求項23】
SSFA2を特異的に検出できる試薬を含む、肺腺癌の検査キット。

【請求項24】
試薬が抗体である請求項23記載のキット。
国際特許分類(IPC)
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出願権利状態 公開
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