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シリコンインゴット及びその製造方法並びに種結晶 コモンズ

国内特許コード P170013634
掲載日 2017年1月19日
出願番号 特願2015-164999
公開番号 特開2016-172681
出願日 平成27年8月24日(2015.8.24)
公開日 平成28年9月29日(2016.9.29)
優先権データ
  • 特願2015-052392 (2015.3.16) JP
発明者
  • ▲高▼橋 勲
  • 宇佐美 徳隆
  • 沓掛 健太朗
出願人
  • 国立大学法人名古屋大学
発明の名称 シリコンインゴット及びその製造方法並びに種結晶 コモンズ
発明の概要 【課題】高品質な疑似単結晶を成長させることができるシリコンインゴット及びその製造方法並びに種結晶を提供する。
【解決手段】本発明のシリコンインゴットの製造方法は、坩堝底に側壁91から順に複数の単結晶シリコンブロックを配列させるとともに、結晶成長に伴って転位発生を抑制する第1第1転位抑制粒界51を形成させ得る少なくとも一つの第1転位抑制境界1と、第1転位抑制境界よりも側壁側に位置して結晶成長に伴って転位を発生させ得る転位発生粒界54を形成させ得る少なくとも一つの転位発生境界4と、を有するように、複数の単結晶シリコンブロックを配置して種結晶6を形成する配置工程と、種結晶の上にシリコン融液を配置し、シリコン融液を冷却して種結晶の結晶方位を受け継いで下方から上方へ一方向に結晶粒を成長させてシリコンインゴット7を形成する成長工程と、を有する。
【選択図】図7
従来技術、競合技術の概要


多結晶型シリコン太陽電池は、比較的高い変換効率を有し、大量生産が可能であり、しかも電池生産に必要な資源が豊富である。このため、多結晶型シリコン太陽電池は、各種太陽電池の中でも、大きなシェアを確保し続けている。



多結晶型シリコン太陽電池に用いられる多結晶シリコン材料は、一般的にキャスト成長法により製造される。キャスト成長法は、坩堝内に入れたシリコン融液を用いて、坩堝底面から一方向に向かってシリコンバルク多結晶インゴットを成長させる方法である。



近年、疑似単結晶シリコンが注目されている。疑似単結晶シリコンは、変換効率の向上が期待できるため、太陽電池用材料として有望視されてきている。



疑似単結晶シリコンを製造するために、キャスト成長法の一種としてモノライクキャスト法が開発されている。モノライクキャスト法は、坩堝底面に単結晶シリコンブロックを敷き、そこから粒結晶を一方向に成長させて疑似単結晶を形成する。



モノライクキャスト法では、図17に示すように、成長した結晶粒81の両側上部に方位がランダムな多結晶化部分80が生じることがある。図18は、シリコンインゴットを示す。シリコンインゴットの上部両側部に、方位がランダムな多結晶化部分が認められる。多結晶化部分は、シリコン融液から種結晶を使って疑似単結晶を育成する過程で、坩堝側壁に接する部分から種結晶とは別の方位の結晶粒が多数発生して、別の方位の結晶粒の占有部分が拡大したものである。



多結晶化の問題の克服のために、本願発明者らは、特許文献1に示されているように、種結晶を複合させて人工的な結晶粒界を形成し、この粒界を利用して多結晶領域の拡大を抑制する方法を考案した。



また、非特許文献1に示されるように、坩堝壁近傍に多結晶領域を形成させてシリコンインゴット中心部の品質を向上させることが提案されている。



モノライクキャスト法は、更に以下の問題が残る。



図17に示すように、坩堝9を用いたキャスト法では、凝固時の体積膨張によって転位82が導入されやすい。複数の単結晶シリコンブロックを配列させた種結晶を用いて結晶成長をさせると、粒界から転位が発生してしまう。



図17に示すように、坩堝9は、側面及び底面に離型材が塗布されて用いられる。坩堝9の側面及び底面に接触した部分から離型材由来の不純物85が結晶粒81に拡散する。不純物を有するシリコンインゴットを太陽電池に用いた場合、キャリア再結合速度が速くなる。図19に示すように、シリコンインゴットの外側部分の坩堝側壁近傍は不純物が存在するため、キャリアのライフタイムが短い低ライフタイム部となり、中央部分は不純物の拡散が少なくキャリアのライフタイムが長い高ライフタイム部となる。不純物の拡散が広く低ライフタイム部が大きいと、太陽電池材料として使用可能な高ライフタイム部の割合が少なくなり、シリコンインゴットの歩留まりも低下してしまう。

産業上の利用分野


本発明は、多結晶型シリコン太陽電池などに用いられるシリコンインゴット及びその製造方法並びに種結晶に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
坩堝底に側壁から順に複数の単結晶シリコンブロックを配列させるとともに、結晶成長に伴って転位発生を抑制する第1転位抑制粒界を形成させ得る少なくとも一つの第1転位抑制境界と、前記第1転位抑制境界よりも前記側壁側に位置して結晶成長に伴って転位を発生させ得る転位発生粒界を形成させ得る少なくとも一つの転位発生境界と、を有するように、前記複数の単結晶シリコンブロックを配置して種結晶を形成する配置工程と、
前記種結晶の上にシリコン融液を配置し、前記シリコン融液を冷却して前記種結晶の結晶方位を受け継いで一方向に結晶粒を成長させてシリコンインゴットを形成するとともに、前記シリコンインゴット中に前記転位発生境界と前記第1転位抑制境界をそれぞれ引き継いだ前記転位発生粒界と前記第1転位抑制粒界を形成して、前記転位発生粒界に対面する結晶粒に転位を発生させるとともに、前記第1転位抑制粒界に対して前記側壁と反対側で対面する結晶粒での転位発生を抑制させる成長工程と、を有することを特徴とするシリコンインゴットの製造方法。

【請求項2】
前記配置工程において、前記第1転位抑制境界に対して前記側壁と反対側に、結晶成長に伴って転位発生を抑制する第2転位抑制粒界を形成させ得る少なくとも一つの第2転位抑制境界を有するように、前記複数の単結晶シリコンブロックを配置して種結晶を形成し、
前記成長工程において、前記シリコンインゴット中に前記第2転位抑制境界を引き継いだ前記第2転位抑制粒界を形成して、前記第2転位抑制粒界に対面する結晶粒での転位発生を抑制させる請求項1に記載のシリコンインゴットの製造方法。

【請求項3】
前記配置工程において、前記転位発生境界よりも前記側壁側に、結晶成長に伴って転位発生を抑制する第3転位抑制粒界を形成させ得る少なくとも一つの第3転位抑制境界を有するように、前記複数の単結晶シリコンブロックを配置して種結晶を形成し、
前記成長工程において、前記シリコンインゴット中に前記第3転位抑制境界を引き継いだ前記第3転位抑制粒界を形成して、前記第3転位抑制粒界の前記側壁側で対面する結晶粒での転位発生を抑制させる請求項1又は2に記載のシリコンインゴットの製造方法。

【請求項4】
前記転位発生粒界のΣ値は、前記第1転位抑制粒界のΣ値よりも小さい請求項1~3のいずれかに記載のシリコンインゴットの製造方法。

【請求項5】
前記転位発生境界に対面する前記単結晶シリコンブロックの結晶方位に対する、前記転位発生粒界に対面する結晶粒の結晶方位のズレ角度が0°以上10°以下である請求項1~4のいずれかに記載のシリコンインゴットの製造方法。

【請求項6】
前記坩堝の対向する一対の側壁のうち一方の側壁の近傍に配置された少なくとも一つの前記転位発生境界に対面する前記単結晶シリコンブロックの合計厚みは、1mm以上100mm以下である請求項1~5のいずれかに記載のシリコンインゴットの製造方法。

【請求項7】
前記種結晶は、前記第1転位抑制境界よりも前記側壁側に位置して、前記第1転位抑制境界に対して前記側壁側と反対側の単結晶シリコンブロックよりも高い転位密度を有する高転位単結晶シリコンブロックを有する請求項1~6のいずれかに記載のシリコンインゴットの製造方法。

【請求項8】
前記配置工程において、前記坩堝の側壁から順に、前記転位発生境界及び前記第1転位抑制境界を配置させる請求項1~7のいずれかに記載のシリコンインゴットの製造方法。

【請求項9】
前記配置工程において、前記坩堝底が四角形状をなし、4つの前記側壁について各側壁から順に、前記転位発生境界及び前記第1転位抑制境界を配置させる請求項8に記載のシリコンインゴットの製造方法。

【請求項10】
前記配置工程において、前記坩堝の側壁から順に、前記第3転位抑制境界、前記転位発生境界及び前記第1転位抑制境界を配置させる請求項3に記載のシリコンインゴットの製造方法。

【請求項11】
前記配置工程において、前記坩堝底が四角形状をなし、4つの前記坩堝について各側壁から順に、前記第3転位抑制境界、前記転位発生境界及び前記第1転位抑制境界を配置させる請求項10に記載のシリコンインゴットの製造方法。

【請求項12】
坩堝底に側壁から順に複数の単結晶シリコンブロックを配列させるとともに、結晶成長に伴って転位発生を抑制する第1転位抑制粒界を形成させ得る少なくとも一つの第1転位抑制境界と、前記第1転位抑制境界よりも前記側壁側に位置して、前記第1転位抑制境界に対して前記側壁側と反対側の単結晶シリコンブロックよりも高い転位密度を有する高転位単結晶シリコンブロックと、を有するように、前記複数の単結晶シリコンブロックを配置して種結晶を形成する配置工程と、
前記種結晶の上にシリコン融液を配置し、前記シリコン融液を冷却して前記種結晶の結晶方位を受け継いで一方向に結晶粒を成長させてシリコンインゴットを形成するとともに、前記シリコンインゴット中に前記第1転位抑制境界を引き継いだ前記第1転位抑制粒界と前記高転位単結晶シリコンブロックを引き継いで転位を発生させた高転位結晶粒とを形成して、前記第1転位抑制粒界に対して前記側壁と反対側で対面する結晶粒での転位発生を抑制させる成長工程と、を有することを特徴とするシリコンインゴットの製造方法。

【請求項13】
前記配置工程において、前記坩堝の側壁から順に、前記高転位単結晶シリコンブロック及び前記第1転位抑制境界を配置させる請求項12に記載のシリコンインゴットの製造方法。

【請求項14】
シリコンの結晶粒を成長させてシリコンインゴットを製造するために用いられる種結晶であって、
前記種結晶は、前記結晶粒が成長する成長方向に対して垂直方向の端部から順に複数の単結晶シリコンブロックが配列されてなるとともに、結晶成長に伴って転位発生を抑制する第1転位抑制粒界を形成させ得る少なくとも一つの第1転位抑制境界と、前記第1転位抑制境界よりも前記端部側に位置して結晶成長に伴って転位を発生させ得る転位発生粒界を形成させ得る少なくとも一つの転位発生境界と、を有することを特徴とする種結晶。

【請求項15】
シリコンの結晶粒を成長させてシリコンインゴットを製造するために用いられる種結晶であって、
前記種結晶は、前記結晶粒が成長する成長方向に対して垂直方向の端部から順に複数の単結晶シリコンブロックが配列されてなるとともに、結晶成長に伴って転位発生を抑制する第1転位抑制粒界を形成させ得る少なくとも一つの第1転位抑制境界と、前記第1転位抑制境界よりも前記端部側に位置して、前記第1転位抑制境界に対して前記端部側と反対側の単結晶シリコンブロックよりも高い転位密度を有する少なくとも一つの高転位単結晶シリコンブロックと、を有することを特徴とする種結晶。

【請求項16】
シリコンの種結晶の結晶方位を受け継いで一方向に成長した複数の結晶粒よりなるシリコンインゴットであって、
前記シリコンインゴットは、第1転位抑制粒界と、前記第1転位抑制粒界よりも結晶粒の成長方向に対して垂直方向の端部側に位置する転位発生粒界とを有するとともに、前記転位発生粒界に対面する結晶粒に転位が発生されており、前記第1転位抑制粒界に対して前記端部と反対側で対面する結晶粒に発生している転位は、前記転位発生粒界に対面する結晶粒に発生している転位よりも少ないことを特徴とするシリコンインゴット。

【請求項17】
前記端部から順に、前記転位発生粒界及び前記第1転位抑制粒界が配置されている請求項16に記載のシリコンインゴット。

【請求項18】
前記シリコンインゴットの結晶粒の成長方向に対して垂直方向の断面は四角形状をなし、前記垂直方向の4つの前記端部について前記各端部から順に、前記転位発生粒界及び前記第1転位抑制粒界が配置されている請求項18に記載のシリコンインゴット。

【請求項19】
シリコンの種結晶の結晶方位を受け継いで一方向に成長した複数の結晶粒よりなるシリコンインゴットであって、
前記シリコンインゴットは、第1転位抑制粒界と、前記第1転位抑制粒界よりも結晶粒の成長方向に対して垂直方向の端部側に位置する高転位結晶粒とを有するとともに、前記高転位結晶粒には転位が発生されており、前記第1転位抑制粒界に対して前記端部と反対側で対面する結晶粒に発生している転位は、前記高転位結晶粒に発生している転位よりも少ないことを特徴とするシリコンインゴット。

【請求項20】
前記端部から順に、前記高転位結晶粒及び前記第1転位抑制粒界が配置されている請求項19に記載のシリコンインゴット。

【請求項21】
前記シリコンインゴットの結晶粒の成長方向に対して垂直方向の断面は四角形状をなし、前記垂直方向の4つの前記端部について前記各端部から順に、前記高転位結晶粒及び前記第1転位抑制粒界が配置されている請求項20に記載のシリコンインゴット。
国際特許分類(IPC)
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出願権利状態 公開
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