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哺乳動物細胞内で増幅された目的遺伝子の発現を高めるポリヌクレオチド

国内特許コード P170013648
整理番号 14061
掲載日 2017年1月25日
出願番号 特願2015-003690
公開番号 特開2016-127817
出願日 平成27年1月9日(2015.1.9)
公開日 平成28年7月14日(2016.7.14)
発明者
  • 清水 典明
出願人
  • 国立大学法人広島大学
発明の名称 哺乳動物細胞内で増幅された目的遺伝子の発現を高めるポリヌクレオチド
発明の概要 【課題】哺乳動物細胞内で増幅された目的遺伝子の発現を高める手段を提供する。
【解決手段】本発明は、ヒトの第2番染色体短腕16.1の遺伝子密度の低い領域に由来する3,271bpのヒトゲノム断片B-3-31を発現促進ポリヌクレオチドとして利用する。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要


本発明者は、哺乳動物の複製開始領域(IR;Initiation Region)と核マトリックス結合領域(MAR; Matrix Attachment Region)とを持つプラスミドベクター(「IR/MARベクター」または「IR/MARプラスミド」という。)をヒト由来がん細胞(COLO 320 大腸がん細胞株、およびHeLa細胞株)にリポフェクション法で導入し、プラスミド上に存在する薬剤耐性遺伝子(ブラストサイジン(Blasticidin)あるいはネオマイシン(Neomycine))を利用して選択するだけで、
(1)発現させるべきタンパク質をコードする遺伝子(以下、適宜「目的遺伝子」という。)の細胞内コピー数を1万コピー程度にまで増幅できること、および、
(2)目的遺伝子はIR/MARベクターに対して同一の遺伝子構築物(シス)として導入した場合であっても、別の遺伝子構築物(トランス)として導入した場合であっても、高度に増幅することができるということを見出し、上記IR/MARベクターを用いて目的遺伝子を高度に増幅する系(「高度遺伝子増幅系」または「IR/MAR遺伝子増幅系」という。)を完成させるに至った(例えば、特許文献1、特許文献2、非特許文献1、および非特許文献2参照を参照のこと。)。ここで、高度遺伝子増幅系(IR/MAR遺伝子増幅系)を用いた遺伝子増幅法を、「IR/MAR遺伝子増幅法」と呼ぶ。



ところが、IR/MAR遺伝子増幅法によって遺伝子増幅を行った場合、増幅した領域には目的遺伝子による単純反復配列が形成される。一般的に、反復配列は、頻繁にRepeat-Induced Gene Silencing(RIGS)と呼ばれる現象によって、ヘテロクロマチン化が起こり、転写抑制されることが知られている。また反復配列はRNAi系を高効率的に活性化し、DNAのメチル化を誘導することも知られている。このため、IR/MAR遺伝子増幅法によって増幅した遺伝子は、コピー数とその発現量とが必ずしも比例しない場合があった(非特許文献3を参照のこと。)。



遺伝子の反復配列に起因する転写抑制を解除する方法としては、例えばtrichostatin A等のヒストン脱アセチル化酵素阻害剤で細胞を処理する方法が知られている(非特許文献4を参照のこと。)。



本発明者は、上記のようなIR/MAR遺伝子増幅法における反復配列に起因する遺伝子発現抑制の問題点を解決する手段を見出した(特許文献3を参照のこと。)。特許文献3には、(a)IR/MARベクターおよび目的遺伝子を哺乳動物細胞に導入する際に、λ-ファージDNA等の10kbp以上のポリヌクレオチド、またはインシュレーター配列を含むポリヌクレオチドをコトランスフェクションする、(b)IR/MARベクターおよび目的遺伝子が導入された哺乳動物細胞を、漸増濃度の薬剤を含有する培地で培養して選抜する、(c)目的遺伝子の発現を誘導するプロモーター活性を、転写活性化因子を用いて向上させる、(d)IR/MAR遺伝子増幅法を用いて増幅した遺伝子領域を、Cre-LoxP Systemで染色体外に切り出す、(e)IR/MAR遺伝子増幅法により遺伝子増幅が起こった細胞を5-aza-2’-deoxycytidineで処理を行ないDNAのメチル化のレベルを低下させる、(f)IR/MAR遺伝子増幅法による遺伝子増幅がダブルマイニュート染色体上で起こっている上記哺乳動物細胞を選択するという手段が開示されている。

産業上の利用分野


本発明は、哺乳動物細胞内で目的遺伝子を高度に増幅した際に起こる、目的遺伝子の発現抑制を回避(または軽減)し、目的遺伝子の発現を高める方法、および当該方法を行うためのキット等に関する。より具体的には、本発明者が開発した「高度遺伝子増幅系」を用いて高度に増幅した遺伝子に起こり得る発現抑制を回避(または軽減)して、増幅遺伝子を高発現させる手段に関する。また、当該方法により、目的遺伝子の発現が高められた形質転換細胞に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
哺乳動物細胞内で増幅された目的遺伝子の発現を高める方法であって、
哺乳動物細胞内で機能する哺乳動物複製開始領域および哺乳動物細胞内で機能する核マトリックス結合領域を具備するベクターと、目的遺伝子と、下記(a)または(b)を含む発現促進ポリヌクレオチドとを、哺乳動物細胞に同時に導入する工程を含む方法:
(a)配列番号1に示される塩基配列からなるポリヌクレオチド、
(b)配列番号1に示される塩基配列において1または数個の塩基が欠失、置換、若しくは付加され、且つ増幅された目的遺伝子の発現を高める活性を有するポリヌクレオチド。

【請求項2】
上記哺乳動物複製開始領域が、c-myc遺伝子座、ジヒドロ葉酸リダクターゼ遺伝子座、およびβ-グロビン遺伝子座の複製開始領域のいずれか1つに由来する、請求項1に記載の方法。

【請求項3】
上記核マトリックス結合領域が、Igκ遺伝子座、SV40初期領域、およびジヒドロ葉酸リダクターゼ遺伝子座の核マトリックス結合領域のいずれか1つに由来する、請求項1または2に記載の方法。

【請求項4】
上記目的遺伝子と、上記ポリヌクレオチドとが、上記ベクターに含まれた状態で、哺乳動物細胞に導入することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。

【請求項5】
哺乳動物細胞内で増幅された目的遺伝子の発現を高めるためのキットであって、
下記(a)または(b)を含む発現促進ポリヌクレオチドを少なくとも備えることを特徴とするキット:
(a)配列番号1に示される塩基配列からなるポリヌクレオチド、
(b)配列番号1に示される塩基配列において1または数個の塩基が欠失、置換、若しくは付加され、且つ増幅された目的遺伝子の発現を高める活性を有するポリヌクレオチド。

【請求項6】
哺乳動物細胞内で機能する哺乳動物複製開始領域と哺乳動物細胞内で機能する核マトリックス結合領域とを具備するベクターをさらに備える、請求項5に記載のキット。

【請求項7】
上記哺乳動物複製開始領域が、c-myc遺伝子座、ジヒドロ葉酸リダクターゼ遺伝子座、およびβ-グロビン遺伝子座の複製開始領域のいずれか1つに由来する、請求項6に記載のキット。

【請求項8】
上記核マトリックス結合領域が、Igκ遺伝子座、SV40初期領域、およびジヒドロ葉酸リダクターゼ遺伝子座の核マトリックス結合領域のいずれか1つに由来する、請求項6または7に記載のキット。

【請求項9】
上記ベクターは目的遺伝子が挿入されるベクターであり、
上記発現促進ポリヌクレオチドは、上記ベクターに含まれていることを特徴とする請求項6~8のいずれか1項に記載のキット。

【請求項10】
哺乳動物細胞内で機能する哺乳動物複製開始領域および哺乳動物細胞内で機能する核マトリックス結合領域を具備するベクターと、目的遺伝子と、下記(a)または(b)を含む発現促進ポリヌクレオチドとが導入されてなる哺乳動物細胞:
(a)配列番号1に示される塩基配列からなるポリヌクレオチド、
(b)配列番号1に示される塩基配列において1または数個の塩基が欠失、置換、若しくは付加され、且つ増幅された目的遺伝子の発現を高める活性を有するポリヌクレオチド。

【請求項11】
上記哺乳動物複製開始領域が、c-myc遺伝子座、ジヒドロ葉酸リダクターゼ遺伝子座、およびβ-グロビン遺伝子座の複製開始領域のいずれか1つに由来する、請求項10に記載の哺乳動物細胞。

【請求項12】
上記核マトリックス結合領域が、Igκ遺伝子座、SV40初期領域、およびジヒドロ葉酸リダクターゼ遺伝子座の核マトリックス結合領域のいずれか1つに由来する、請求項10または11に記載の哺乳動物細胞。

【請求項13】
上記目的遺伝子と、上記発現促進ポリヌクレオチドとが、上記ベクターに含まれた状態で、哺乳動物細胞に導入されていることを特徴とする請求項10~12のいずれか1項に記載の哺乳動物細胞。

【請求項14】
請求項10~13のいずれか1項に記載の哺乳動物細胞を用いた、目的タンパク質を生産する方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2015003690thum.jpg
出願権利状態 公開


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