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慢性骨髄性白血病治療剤 UPDATE 外国出願あり

国内特許コード P170013654
整理番号 14084
掲載日 2017年1月25日
出願番号 特願2015-075195
公開番号 特開2016-193870
出願日 平成27年4月1日(2015.4.1)
公開日 平成28年11月17日(2016.11.17)
発明者
  • 仲 一仁
出願人
  • 国立大学法人広島大学
発明の名称 慢性骨髄性白血病治療剤 UPDATE 外国出願あり
発明の概要 【課題】慢性骨髄性白血病幹細胞の維持に関与する新規シグナル伝達経路を明らかにし、当該シグナルを選択的に阻害することにより、安全かつ有効なCML幹細胞除去薬、TKI抵抗性抑制薬ならびにマルチキナーゼ阻害薬抵抗性抑制薬を提供すること。これによって、再発CML及びPh+ALLの治療薬とCML及びPh+ALLの再発予防薬を提供すること。
【解決手段】p38 MAPKシグナルの選択的阻害薬を含有してなる、慢性骨髄性白血病治療剤。チロシンキナーゼ阻害薬またはマルチキナーゼ阻害薬と組み合わせてなる、上記治療剤。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要


慢性骨髄性白血病(CML)は、造血幹細胞を発症起源とする骨髄増殖性疾患であり、数年の慢性期の後、移行期を経て重篤な病態を呈する急性転化期へと進行する。CMLの治療においては、慢性期に徹底した治療を行って急性転化期への移行を防ぐことが重要となる。CML患者ではフィラデルフィア染色体とよばれる染色体転座t(9;22)(q34;q22)がみられ、この転座により、恒常的に活性化されたチロシンキナーゼBCR-ABL融合蛋白質を発現することが、CMLの発症の原因として知られている。BCR-ABLチロシンキナーゼは細胞内基質や自己をリン酸化し、細胞増殖、形質転換、アポトーシス抑制に関わる様々な細胞内シグナル伝達を活性化することにより、CML発症に深く関与する。



CMLの治療薬としてABLに対するチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)イマチニブ(上市薬はメシル酸塩)が開発され、CML患者の治療成績を著しく改善した。イマチニブは、チロシンキナーゼのATP結合部位に競合的に結合し、基質リン酸化に続くシグナル伝達を阻害することにより、細胞増殖を抑制し、アポトーシスを誘導してCML細胞を選択的に傷害する。このイマチニブや、さらに治療効果の高い、第二世代TKIのニロチニブ、ダサチニブ、ボスチニブ、ラドチニブ(IY5511)がCML患者の治療に用いられている。
しかし、イマチニブなどのTKI治療後のCML患者において、TKIが効かなくなったCML(治療抵抗性の再発CML)が臨床上の重大な問題となっている。近年、この再発のメカニズムとして、T315I(イマチニブ結合部位である315番目のスレオニン残基がイソロイシンに置換されている)に代表されるTKI抵抗性のBCR-ABLの点突然変異が出現することが明らかとなった。TKI耐性BCR-ABL1を発現するCML患者の治療薬として、マルチキナーゼ阻害薬ポナチニブが開発され、米国及びEUにおいて、前治療のTKIに抵抗性又は不耐容となったCMLを対象に承認されている。しかし、TKI抵抗性CML細胞の増殖源となるCML幹細胞を完全には排除できないため、ポナチニブ治療を中止すると再発の懸念がある。そのため、患者はポナチニブ治療を継続し続けなければならなくなる。また、TKI抵抗性CML幹細胞を発生起源として、さらに複数の遺伝子変異(コンパウンド変異)を持つCML幹細胞が発生すると、さらなるポナチニブ抵抗性を引き起こす原因ともなる。したがって、CMLを根治するためには、CML幹細胞を根絶する治療方法の開発が必要である。



CML幹細胞を抑制するいくつかの薬剤が報告され、TKIとの併用によるCML治療が提案されている。例えば、本発明者は以前、TGF-β-FOXOシグナル(特許文献1)やTGF-β-Smadシグナル(特許文献2)を阻害することにより、CML幹細胞を効率よく除去することができ、TKI抵抗性を抑制し得ること、さらにTKIとの併用により、分化したCML細胞とCML幹細胞とを同時に排除し得ることを見出し、寛解後の再発やTKI抵抗性獲得のリスクの低減された新規なCMLの治療手段を開発した。



ところで、p38 MAPK(mitogen-activated protein kinase)シグナル伝達経路は、環境ストレスや紫外線、アポトーシス、炎症反応に関与することが知られている。また、近年、種々のがんにおいてp38の活性化が報告され(非特許文献1)、p38の選択的阻害剤LY2228820が複数のがんモデル(黒色腫、非小細胞肺癌、卵巣癌、神経膠腫、骨髄腫、乳癌)で腫瘍の増殖を遅延させたとの報告もある(非特許文献2)。しかし、がんにおけるp38の作用は、腫瘍とその微小環境との相互作用と深く関わっており、がん種によって大きく異なると考えられている。特にCMLとの関連では、p38の活性化はCML細胞にアポトーシスを誘導し(非特許文献3、4)、CML細胞株K562細胞においてp38を阻害するとアポトーシスが抑制される(非特許文献5、6)ことが報告されている。また、ダサチニブの白血病治療効果にはp38の活性化が必須であるとの報告もある(非特許文献7)。

産業上の利用分野


本発明は、慢性骨髄性白血病(以下、「CML」ともいう。)治療剤に関する。より詳細には、本発明は、p38MAPK(以下、「p38」ともいう。)阻害薬を含有してなるCML治療剤、特にCML幹細胞除去剤、チロシンキナーゼ阻害薬(以下、「TKI」ともいう。)抵抗性抑制剤およびマルチキナーゼ阻害薬抵抗性抑制剤;並びに、p38阻害薬をTKIまたはマルチキナーゼ阻害薬と組み合わせてなるCML治療剤、特に、再発CML治療剤、CMLとフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病(以下、「Ph+ALL」ともいう)の再発予防剤に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
p38 MAPKシグナルの選択的阻害薬を含有してなる、慢性骨髄性白血病治療剤。

【請求項2】
阻害薬がp38α及びp38βを阻害するものである、請求項1記載の剤。

【請求項3】
阻害薬がLY2228820、VX-702、BIRB 796及びそれらの塩からなる群より選択される、請求項1又は2記載の剤。

【請求項4】
阻害薬がLY2228820又はその塩である、請求項3記載の剤。

【請求項5】
慢性骨髄性白血病幹細胞の除去剤である、請求項1~4のいずれか1項に記載の剤。

【請求項6】
チロシンキナーゼ阻害薬に対して抵抗性の慢性骨髄性白血病幹細胞の抑制剤である、請求項1~4のいずれか1項に記載の剤。

【請求項7】
チロシンキナーゼ阻害薬又はマルチキナーゼ阻害薬と組み合わせてなる、請求項1~6のいずれか1項に記載の剤。

【請求項8】
チロシンキナーゼ阻害薬がイマチニブ、ダサチニブ、ボスチニブ、ラドチニブもしくはニロチニブであり、マルチキナーゼ阻害薬がKW2449もしくはポナチニブである、請求項7記載の剤。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 公開


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