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水銀イオン捕捉材及びその製造方法、並びに処理対象の水から水銀イオンを除去する方法 UPDATE コモンズ

国内特許コード P170013662
整理番号 P2015-123393
掲載日 2017年1月25日
出願番号 特願2015-123393
公開番号 特開2017-006832
出願日 平成27年6月19日(2015.6.19)
公開日 平成29年1月12日(2017.1.12)
発明者
  • 小野 晶
  • 實吉 尚郎
出願人
  • 学校法人神奈川大学
発明の名称 水銀イオン捕捉材及びその製造方法、並びに処理対象の水から水銀イオンを除去する方法 UPDATE コモンズ
発明の概要 【課題】水処理において簡便に使用することができ、かつ水銀イオンに対して高い選択性を備えた水銀イオン捕捉材、及びそれを用いた水処理の方法を提供すること。
【解決手段】側鎖の末端に下記一般式(1)で表される構造を備え、水と接触することにより質量増加をするポリマーからなる水銀イオン捕捉材を用いる。



(上記一般式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に、上記一般式(2)で表される一価の基であり、L及びLは、それぞれ独立に、鎖中に酸素原子又は窒素原子を含んでもよい炭素数1~10の2価の鎖状基である。上記一般式(2)中、Aで表される環構造は、5員環から8員環の環構造であり、半円で表した環の部分構造に含まれる原子から延びる化学結合により上記一般式(1)におけるL又はLに結合する。)
【選択図】図4
従来技術、競合技術の概要


水銀は非常に毒性の強い金属の一つである。溶液中の水銀化合物は、食物連鎖を経て体内に蓄積し、蓄積濃度が20~30ppm以上になると、知覚障害や運動障害といった中毒症状がみられるようになる。そのため、水銀による環境汚染を防止し、人の健康の保護及び生活環境の保全を図るため、環境関連法制度に基づく様々な対策がある。例えば、排水中における水銀化合物の量は厳しく規制されている。その一方で、水銀は、人類の活動によらずとも自然界にも一定量が存在し、その多くが火山活動から生まれてくるとされている。地中のマグマに含まれる水銀が火山活動によって地上に噴出し、硫黄と反応して硫化水銀を形成する。また、地殻活動によって気化した水銀蒸気は石炭層にもしみ込み、石炭にも水銀が含まれる。したがって、石炭を燃焼させるとそこに含まれる水銀が気化し、排煙と一緒に大気中に排出される。このように水銀による環境汚染は続いているので、水銀イオン(Hg(II)イオン)を検出したり除去したりする技術の開発は、環境のモニターや保全に役立つといえる。



昨今、水銀イオンを結合することのできる種々の高分子化合物が開発され、市販されている。このような高分子化合物の一例として、キレート樹脂であるダイヤイオン(登録商標)CRやイオン交換樹脂であるDOWEX(登録商標)等がある。これらの金属イオン結合性高分子は、水銀イオンと強く結合するが、同時に他の金属イオンとも結合し、水銀イオンに対する選択性が低い。



このような状況の中、近年、本発明者らによってDNAの二本鎖中のチミン-チミン(T-T)塩基対に水銀イオンが選択的に結合し、二個のチミン塩基が水銀により架橋された構造(T-Hg-T)となることが見出されている(非特許文献1及び2を参照)。また、チミンはウラシルの5位がメチル基で置換された5-メチルウラシルであるが、この5位のメチル基を水素、ハロゲン、シアノ基等で置換したウラシル類もまた水銀イオンを結合し得ることも本発明者らによって報告されている(非特許文献3)。さらに、こうした選択性を利用し、ピレンのようなエキシマー形成可能な蛍光性基を鎖中に含んだ特定配列の一本鎖DNAによる水銀イオンの蛍光センサーが提案されている(特許文献1を参照)。この蛍光センサーに含まれるチミンが水銀により分子間架橋(T-Hg-T)されると、架橋された蛍光センサー分子に含まれる蛍光性基同士が互いに接近してエキシマー発光を示すので、そのエキシマー発光の強度により水銀イオンを選択的に検出することができるとされる。

産業上の利用分野


本発明は、水銀イオン捕捉材及びその製造方法、並びにその捕捉材を用いて処理対象の水から水銀イオンを除去する方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
側鎖の末端に下記一般式(1)で表される構造を備え、水と接触することにより質量増加をするポリマーからなる、水銀イオン捕捉材。
【化1】


(上記一般式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に、下記一般式(2)で表される一価の基であり、L及びLは、それぞれ独立に、鎖中に酸素原子又は窒素原子を含んでもよい炭素数1~10の2価の鎖状基である。)
【化2】


(上記一般式(2)中、Aで表される環構造は、5員環から8員環の環構造であり、半円で表した環の部分構造に含まれる原子から延びる化学結合により上記一般式(1)におけるL又はLに結合する。)

【請求項2】
上記一般式(2)で表される一価の基が下記一般式(3)又は(4)で表される、請求項1記載の水銀イオン捕捉材。
【化3】


(上記一般式(3)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン、炭素数1~4のアルキル基、アシル基、-C(=O)NH-R、又はシアノ基であり、Rは、炭素数1~5のアルキル基である。上記一般式(4)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン、炭素数1~4のアルキル基、アシル基、-C(=O)NH-R、又はシアノ基であり、Rは、炭素数1~5のアルキル基である。)

【請求項3】
前記一般式(1)で表される構造が下記一般式(5)、(6)又は(7)で表される、請求項1又は2記載の水銀イオン捕捉材。
【化4】


(上記一般式(5)中、2つのRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン、炭素数1~4のアルキル基、アシル基、-C(=O)NH-R、又はシアノ基であり、2つのRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン、炭素数1~4のアルキル基、アシル基、-C(=O)NH-R、又はシアノ基であり、Rは、炭素数1~5のアルキル基であり、nは、2~10の整数であり、mは、2~10の整数である。上記一般式(6)中、2つのRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン、炭素数1~4のアルキル基、アシル基、-C(=O)NH-R、又はシアノ基であり、2つのRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン、炭素数1~4のアルキル基、アシル基、-C(=O)NH-R、又はシアノ基であり、Rは、炭素数1~5のアルキル基であり、pは、2~10の整数であり、qは、2~10の整数である。上記一般式(7)中、2つのRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン、炭素数1~4のアルキル基、アシル基、-C(=O)NH-R、又はシアノ基であり、2つのRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン、炭素数1~4のアルキル基、アシル基、-C(=O)NH-R、又はシアノ基であり、Rは、炭素数1~5のアルキル基である。)

【請求項4】
前記ポリマーは、主鎖がポリスチレン骨格からなるポリスチレンビーズであり、ポリスチレン骨格のフェニル基から延びた側鎖の始点から前記一般式(1)、(5)、(6)又は(7)で表される前記側鎖の末端までの間に、1のエチレングリコール鎖又はそれが2以上繰り返された構造を含む二価の鎖状基を備えたものである、請求項1~3のいずれか1項記載の水銀イオン捕捉材。

【請求項5】
前記側鎖が下記一般式(8)、(9)又は(10)で表される、請求項1~4のいずれか1項記載の水銀イオン捕捉材。
【化5】


(上記一般式(8)中、2つのRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン、炭素数1~4のアルキル基、アシル基、-C(=O)NH-R、又はシアノ基であり、2つのRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン、炭素数1~4のアルキル基、アシル基、-C(=O)NH-R、又はシアノ基であり、Rは、炭素数1~5のアルキル基であり、nは、2~10の整数であり、mは、2~10の整数であり、Lは、1のエチレングリコール鎖又はそれが2以上繰り返された構造を含む二価の鎖状基であり、Lは、二価の鎖状基であり、鉤括弧を付した末端のPhは、ポリスチレン骨格のフェニル基を意味する。上記一般式(9)中、2つのRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン、炭素数1~4のアルキル基、アシル基、-C(=O)NH-R、又はシアノ基であり、2つのRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン、炭素数1~4のアルキル基、アシル基、-C(=O)NH-R、又はシアノ基であり、Rは、炭素数1~5のアルキル基であり、pは、2~10の整数であり、qは、2~10の整数であり、Lは、1のエチレングリコール鎖又はそれが2以上繰り返された構造を含む二価の鎖状基であり、Lは、二価の鎖状基であり、鉤括弧を付した末端のPhは、ポリスチレン骨格のフェニル基を意味する。上記一般式(10)中、2つのRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン、炭素数1~4のアルキル基、アシル基、-C(=O)NH-R、又はシアノ基であり、2つのRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン、炭素数1~4のアルキル基、アシル基、-C(=O)NH-R、又はシアノ基であり、Rは、炭素数1~5のアルキル基であり、Lは、1のエチレングリコール鎖又はそれが2以上繰り返された構造を含む二価の鎖状基であり、Lは、二価の鎖状基であり、鉤括弧を付した末端のPhは、ポリスチレン骨格のフェニル基を意味する。)

【請求項6】
前記側鎖が下記一般式(11)、(12)又は(13)で表される、請求項1~5のいずれか1項記載の水銀イオン捕捉材。
【化6】


(上記一般式(11)中、2つのRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン、炭素数1~4のアルキル基、アシル基、-C(=O)NH-R、又はシアノ基であり、2つのRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン、炭素数1~4のアルキル基、アシル基、-C(=O)NH-R、又はシアノ基であり、Rは、炭素数1~5のアルキル基であり、nは、2~10の整数であり、mは、2~10の整数であり、Lは、1のエチレングリコール鎖又はそれが2以上繰り返された構造を含む二価の鎖状基であり、鉤括弧を付した末端のPhは、ポリスチレン骨格のフェニル基を意味する。)
【化7】


(上記一般式(12)中、2つのRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン、炭素数1~4のアルキル基、アシル基、-C(=O)NH-R、又はシアノ基であり、2つのRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン、炭素数1~4のアルキル基、アシル基、-C(=O)NH-R、又はシアノ基であり、Rは、炭素数1~5のアルキル基であり、pは、2~10の整数であり、qは、2~10の整数であり、Lは、1のエチレングリコール鎖又はそれが2以上繰り返された構造を含む二価の鎖状基であり、鉤括弧を付した末端のPhは、ポリスチレン骨格のフェニル基を意味する。)
【化8】


(上記一般式(13)中、2つのRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン、炭素数1~4のアルキル基、アシル基、-C(=O)NH-R、又はシアノ基であり、2つのRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン、炭素数1~4のアルキル基、アシル基、-C(=O)NH-R、又はシアノ基であり、Rは、炭素数1~5のアルキル基であり、pは、2~10の整数であり、qは、2~10の整数であり、Lは、1のエチレングリコール鎖又はそれが2以上繰り返された構造を含む二価の鎖状基であり、鉤括弧を付した末端のPhは、ポリスチレン骨格のフェニル基を意味する。)

【請求項7】
側鎖中に1のエチレングリコール鎖又はそれが2以上繰り返された構造を含む二価の鎖状基を含み、その末端にアミノ基を有するポリスチレンに、下記一般式(14)で表される化合物を反応させる工程を備えた、水銀イオン捕捉材の製造方法。
【化9】


(上記一般式(14)中、R及びRは、それぞれ独立に、下記一般式(2)で表される一価の基であり、L及びLは、それぞれ独立に、鎖中に酸素原子又は窒素原子を含んでもよい炭素数1~10の2価の鎖状基であり、Lは、鎖中に酸素原子、窒素原子、硫黄原子、カルボニル基、又は-NHC(=O)-を含んでもよい炭素数1~10の2価の鎖状基であり、Eは、求核置換反応における脱離基となる基である。)
【化10】


(上記一般式(2)中、Aで表される環構造は、5員環から8員環の環構造であり、半円で表した環の部分構造に含まれる原子から延びる化学結合により上記一般式(1)におけるL又はLに結合する。)

【請求項8】
前記一般式(2)で表される一価の基が下記一般式(3)又は(4)で表される、請求項7記載の水銀イオン捕捉材の製造方法。
【化11】


(上記一般式(3)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン、炭素数1~4のアルキル基、アシル基、-C(=O)NH-R、又はシアノ基であり、Rは、炭素数1~5のアルキル基である。上記一般式(4)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン、炭素数1~4のアルキル基、アシル基、-C(=O)NH-R、又はシアノ基であり、Rは、炭素数1~5のアルキル基である。)

【請求項9】
前記一般式(14)で表される化合物が下記一般式(15)、(16)又は(17)で表される、請求項7又は8記載の水銀イオン捕捉材の製造方法。
【化12】


(上記一般式(15)中、2つのRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン、炭素数1~4のアルキル基、アシル基、-C(=O)NH-R、又はシアノ基であり、2つのRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン、炭素数1~4のアルキル基、アシル基、-C(=O)NH-R、又はシアノ基であり、Rは、炭素数1~5のアルキル基であり、nは、2~10の整数であり、mは、2~10の整数であり、Eは、求核置換反応における脱離基となる基である。上記一般式(16)中、2つのRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン、炭素数1~4のアルキル基、アシル基、-C(=O)NH-R、又はシアノ基であり、2つのRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン、炭素数1~4のアルキル基、アシル基、-C(=O)NH-R、又はシアノ基であり、Rは、炭素数1~5のアルキル基であり、pは、2~10の整数であり、qは、2~10の整数であり、Eは、求核置換反応における脱離基となる基である。上記一般式(17)中、2つのRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン、炭素数1~4のアルキル基、アシル基、-C(=O)NH-R、又はシアノ基であり、2つのRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン、炭素数1~4のアルキル基、アシル基、-C(=O)NH-R、又はシアノ基であり、Rは、炭素数1~5のアルキル基であり、Eは、求核置換反応における脱離基となる基である。)

【請求項10】
前記一般式(14)、(15)、(16)又は(17)におけるEが、ペンタクロロフェノキシ基である、請求項7~9のいずれか1項記載の水銀イオン捕捉材の製造方法。

【請求項11】
請求項1~6のいずれか1項記載の水銀イオン捕捉材を容器に充填し、水銀イオンを含み、処理対象となる水を前記容器に通過させることを特徴とする、処理対象の水から水銀イオンを除去する方法。
国際特許分類(IPC)
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