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滑膜細胞増殖抑制剤及び滑膜細胞の増殖抑制方法 UPDATE 外国出願あり

国内特許コード P170013666
整理番号 F13089-JP
掲載日 2017年1月25日
出願番号 特願2016-507342
出願日 平成27年3月3日(2015.3.3)
国際出願番号 JP2015001118
国際公開番号 WO2015136887
国際出願日 平成27年3月3日(2015.3.3)
国際公開日 平成27年9月17日(2015.9.17)
優先権データ
  • 特願2014-046300 (2014.3.10) JP
発明者
  • 越智 光夫
  • 泉 聡太朗
出願人
  • 国立大学法人広島大学
発明の名称 滑膜細胞増殖抑制剤及び滑膜細胞の増殖抑制方法 UPDATE 外国出願あり
発明の概要 滑膜細胞の増殖を適切に抑制できる滑膜細胞増殖抑制剤を提供する。式1を含有することを特徴とする。
小胞体ストレス応答を阻害し、小胞体ストレスにて滑膜細胞をアポトーシスに誘導し、滑膜炎を抑制する。関節リウマチは滑膜細胞の異常な増殖により分泌されるサイトカインや蛋白分解酵素によって関節軟骨、ひいては関節を破壊するが、IRE1を抑制することにより、XBP1遺伝子の転写・活性化を阻害(小胞体ストレス応答を阻害)し、ERAD系を抑制することにより滑膜細胞をアポトーシスに導いて、滑膜細胞の増殖を抑制する。


従来技術、競合技術の概要


関節リウマチ(以下「RA」と記載することもある。)は多発性の滑膜関節炎を主病変とする全身性炎症疾患である。30-50歳代の女性に好発するが、小児発症や高齢発症もみられる。日本における患者数は約70万人とされ、そのうち約1割は身障者とされている。倦怠感等の全身症状、朝のこわばりと共に関節の疼痛、腫張、発赤、圧痛を対称性に認める。関節炎による骨・関節破壊の進行は、靱帯の弛緩、腱鞘炎等と共に亜脱臼や種々の関節変形をもたらす。



関節リウマチの進行による病型は3型に分類され、多くは多周期型(70%)であるが、2年以内に寛解をみる単周期型(20%)や進行型(10%)もみられる。また、経過中種々の関節外症状もみられ、血管炎を基盤とする生命予後の不良な臨床病態は、日本では悪性関節リウマチの概念でとらえられている。



何らかの原因によって抗原提示細胞(マクロファージ、樹状細胞)が活性化されると、HLAクラスIIと抗原をヘルパーT細胞に提示し、ヘルパーT細胞の活性化をもたらす。その活性化にはcostimulatory signal(CD28/B7)が必要で、これには接着分子が関与する。ヘルパーT細胞からB細胞、形質細胞へ分化し、リウマトイド因子等の自己抗体を産生する系が活性化される。リウマトイド因子を含む可溶性の免疫複合体は好中球により貪食され、活性化した好中球から産生されるプロスタグランジンやリソゾーム酵素、活性酸素等が組織障害をもたらす。また、抗原提示細胞であるマクロファージが活性化されるとIL-1やTNF-α等のサイトカインを産生する(関節リウマチ病理メカニズムの「滑膜炎症」)。そしてこれらは滑膜細胞の増殖、破骨細胞の活性化、線維芽細胞の増殖、軟骨細胞の障害をもたらす(関節リウマチ病理メカニズムの「滑膜増生」)。更に、滑膜細胞の増殖によりPGE、IL-1、IL-6、IL-8、MCP-1等のプロスタグランジンやサイトカインが産生され、また軟骨細胞と共にコラゲナーゼ等を含むプロテアーゼ産生の亢進をもたらし、これらは骨破壊につながる(関節リウマチ病理メカニズムの「関節破壊」)。これらのサイトカインは全身の免疫や炎症にかかわる細胞の活性化にも関与する。



関節リウマチの早期寛解を目的としては、免疫調節薬、免疫抑制薬、生物学的製剤が提供されている。免疫調節薬には、D-ペニシラミン、ブシラミン、ロベンザリット、アクタリット等が含まれるが、全ての関節リウマチ患者に同等に効果がみられるわけではなく、更には重篤な副作用も存在する。免疫抑制剤には、メトトレキセート、ミゾリビン、レフルノミド等が含まれるが、これらの薬剤には時には重篤な副作用もみられる。



上記のようにIL-1とTNF-αは関節リウマチの滑膜炎と骨関節破壊に関与する重要なサイトカインであり、これらのサイトカインを阻害する生物学的製剤が注目されている。最も効果的な抗サイトカイン療法は、関節リウマチの炎症に中心的に働いているTNF-αに対する阻害薬であり、例えばキメラ型抗TNFモノクローナル抗体(マウス蛋白を25%含有)であるインフリキシマブが挙げられる。この生物学的製剤は全身投与されるものであり、その効果は約2週間目より認められることが多い。しかし、上述の生物学的製剤は投与を継続しているのに治療効果が減少することがある。これをエスケープ減少と呼ぶ。更には全身投与であるため、病初期の手指等の小関節に対し選択的に使用するには副作用を懸念しはばかられる傾向がある。また結核を含む感染症や過敏反応等の副作用も発生することがある。



近年、関節リウマチの病態について小胞体ストレスが関与していることが明らかとなってきている。正常な高次構造に折り畳まれなかったタンパク質(unfolded protein)が小胞体に蓄積し、それにより細胞への悪影響(ストレス)が生じることを小胞体ストレス(Endoplasmic reticulum (ER) stress)という。過剰もしくは持続する小胞体ストレスは細胞の正常な生理機能を妨げるため、細胞にはその障害を回避し、恒常性を維持する仕組みが備わっている。この小胞体ストレスに対する細胞の反応を小胞体ストレス応答 (unfolded protein response: UPR)という。小胞体膜上に存在する3つの1回膜貫通型タンパク質(IRE1, PERK, ATF6)が小胞体ストレスセンサーとして異常タンパク質の蓄積を感知し、細胞質あるいは核内にシグナルを伝える。



特許文献1には、B細胞自己免疫疾患を治療する薬剤としてIRE1阻害化合物が記載されており、そのB細胞自己免疫疾患の一具体例として関節リウマチが記載されている。また非特許文献1には、骨髄由来の未分化な細胞をマクロファージに分化させ、そのマクロファージに対する8-formyl-7-hydroxy-4-methylcoumarin(4μ8C)の効果が記載されている。

産業上の利用分野


本発明は、滑膜細胞増殖抑制剤及び滑膜細胞の増殖抑制方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
式1又は式2の少なくとも何れか一方の化合物を含有することを特徴とする滑膜細胞増殖抑制剤。
【化1】



【化2】



【請求項2】
関節リウマチの治療に用いられることを特徴とする請求項1に記載の滑膜細胞増殖抑制剤。

【請求項3】
関節リウマチ治療薬のエスケープ現象を回避することを特徴とする請求項2に記載の滑膜細胞増殖抑制。

【請求項4】
式1又は式2の少なくとも何れか一方の化合物を含有する薬剤を使用することを特徴とする滑膜細胞の増殖抑制方法。
【化1】



【化2】



【請求項5】
式1又は式2の少なくとも何れか一方の化合物を含有する薬剤を使用することを特徴とする関節リウマチの予防及び/又は治療方法。
【化1】



【化2】



【請求項6】
0.01~10mg/mLの前記薬剤を6週間~18週間の間隔をおいて投与することを特徴とする請求項5に記載の関節リウマチの予防及び/又は治療方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2016507342thum.jpg
出願権利状態 公開


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