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細胞観察装置、細胞観察方法及びそのプログラム 新技術説明会

国内特許コード P170013696
整理番号 (AF30P001)
掲載日 2017年2月2日
出願番号 特願2014-549862
出願日 平成25年11月27日(2013.11.27)
国際出願番号 JP2013081894
国際公開番号 WO2014084255
国際出願日 平成25年11月27日(2013.11.27)
国際公開日 平成26年6月5日(2014.6.5)
優先権データ
  • 特願2012-259880 (2012.11.28) JP
発明者
  • 大矢 禎一
  • 河野 重行
  • 野上 識
  • 大貫 慎輔
  • 大田 修平
  • 渡邉 光一
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 細胞観察装置、細胞観察方法及びそのプログラム 新技術説明会
発明の概要 この細胞観察装置は、一層の細胞を撮像した撮像画像から、当該撮像画像内の細胞の画像のエッジの画素を抽出し、抽出したエッジの画素からなるエッジ画像を生成する輪郭抽出部と、撮像画像における細胞の画像の色素体の画素を抽出し、この抽出した色素体の画素からなる色素体画像を生成する色素体領域抽出部と、エッジ画像と色素体画像とを重ね合わせて合成された合成画像において、撮像画像における細胞の画像領域と背景の画像領域とを、画素の輝度値の分散により検出し、撮像画像における細胞の画像領域を検出する画像合成部とを備える。
従来技術、競合技術の概要


近年、細胞の状態を検出する際、細胞を生きたままの状態で長期間にわたって顕微鏡により観察できる実験装置が実用化されてきている。こうした実験装置を使用することにより、細胞の成長や細胞の分裂といった過程をリアルタイムで観察することができる。そして、こうした細胞の変化の過程を撮影して得られる細胞の画像データを時系列的に解析することで、細胞に生じる変化を詳細に分析することが可能となる。



例えば、単細胞の酵母を用いて発酵を行い、ビール、焼酎等の様々な酒類を製造することができる。酒類の品質保持のためには、このような発酵に使用する酵母の生理状態を発酵前に判定して、その後の発酵への影響を予測することが行われている(例えば、特許文献2参照)。すなわち、酵母を用いた発酵、醸造や物質生産等において、生産にこれから用いようとする酵母細胞の生理状態を予め把握しておくことは、発酵の成否を予見し、高品質で安定した製品を得るために必要である。



微細藻類は、主として単細胞の光合成生物を指している。この微細藻類は、光合成により、光エネルギーを化学エネルギーに変換し、変換したエネルギーを自己の生存及び増殖のために用いている。
また、微細藻類は、種類によって、有用成分として炭化水素や必須不飽和脂肪酸(例えばDHA(Docosa Hexaenoic Acid)、EPA(Eicosa Pentaenoic Acid)など)、デンプン、色素などを生合成するものがあり、これらの生合成の機能の工業的利用が期待されている。



微細藻類を用いた上記有用成分の高効率な生産を行おうとする場合、微細藻類の細胞の生理状態を適切に把握することが重要である。すなわち、微細藻類の細胞の生理状態は、培地組成、二酸化炭素濃度、光強度、培養温度、細胞密度などの周辺環境の生育条件によって大きく変化する。そして、微細藻類の細胞は、生理状態に応じて有用成分の産生及び蓄積量も変化するからである。



したがって、微細藻類の細胞による有用成分の高効率な生産のため、細胞の生育条件の最適化の過程においても、また細胞による有用成分の生産の過程においても、培養中の微細藻類の細胞の生理状態を把握し、有用成分の生産量を把握することが必要である。
また、細胞を培養している培地中への他種生物の混入が微細藻類の細胞の生理状態に影響を及ぼす場合がある。この他種生物の混入による生理状態への影響が、細胞による有用成分の生産過程において問題となることも少なくない。
したがって、上述した培養中の培地へ混入した他種生物の検出も、微細藻類の細胞を用いた有用成分の高効率な生産のためには重要となる。



微細藻類の細胞の一例として、微細藻類の一種であるHaematococcus pluvialisを挙げる。このHaematococcus pluvialisは、健康食品としても用いられる赤色の抗酸化剤アスタキサンチンを生合成することで工業的にも有用性が高い。Haematococcus pluvialisは、細胞の生理状態を反映して様々な細胞形態を示す。またアスタキサンチンの蓄積量も、培養中の条件に応じて異なる(例えば、非特許文献1参照)。



Haematococcus pluvialisによるアスタキサンチン生産の高効率化には、高生産株の利用や培養条件の最適化が行われてきた(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、現状ではその生産性は高いとはいえず、更なる生産性の向上が期待されている。さらに、近年、Haematococcus pluvialisに寄生する他種生物の一例として真菌Paraphysoderma sedebokerensisが発見された。Paraphysoderma sedobokerensisに感染したHaematococcus pluvialisは、細胞色が緑から茶褐色に変化し、死に至る(例えば、非特許文献2参照)。



Haematococcus pluvialisと同定されている培養株の複数種類を、世界中から複数種類取り寄せ、Haematococcus pluvialis以外の生物の混入を調べた。この結果、驚くべきことに、工業的に利用されている株を含む全ての培養株において混入が確認された。したがって、Haematococcus pluvialisの細胞の生理状態、有用成分アスタキサンチンの蓄積量、他種生物の混入率を把握することは、工業利用において重要な課題である。



細胞の生理状態を把握する方法として、微生物である出芽酵母に対しては、メチレンブルー法による死滅判別技術等の評価方法(例えば、非特許文献3参照)が知られている。
しかしながら、この非特許文献3による方法では、細胞の生理状態を多面的に判定できない。
また、特許文献2には、細胞形態定量値を用いる酵母の生理状態の評価方法が示されている。詳しくは、目的とする酵母の細胞の外郭、核、およびアクチン細胞骨格の蛍光染色画像を画像解析して、酵母細胞の形態学的な特徴に基づいて予め設定された形態パラメータについて、細胞形態定量解析値を求め、その値を予め用意したデータベースと比較することによって、目的とする酵母の生理状態を評価する方法である。



しかしながら、この方法では細胞の固定・染色処理と蛍光顕微鏡による観察を必要としており、野外および生産現場等におけるリアルタイムの生理状態の把握には適さない。また微細藻類の細胞への適用には何ら検討も示唆もされていない。
また、有用成分の蓄積量を把握する方法として、特許文献1では、Haematococcus pluvialisのアスタキサンチン量を、ジメチルスルフォキシドによって細胞から色素体を抽出し、492nmおよび750nmの吸光度を測定することで定量する方法が示されている。
しかし、測定には多数の微細藻類の細胞からの色素体の抽出を必要とし、色素体の抽出に時間を要する。



また、他種生物の検出については、微細藻類である珪藻の細胞に寄生している真菌であるツボカビ類を、ツボカビ類の細胞壁の成分であるキチンに結合するcalcofluor whiteで特異的に染色する方法が示されている(非特許文献4)。
また、別の先行研究では、Haematococcus pluvialisに寄生するParaphysoderma sedebokerensisの遊走子嚢をFITC-WGAで染色している(非特許文献5)。



しかし、これらはいずれも、細胞の染色処理を必要としており、培養液中の細胞を直接判別するものではない。また、特許文献2及び非特許文献5などの方法では、蛍光顕微鏡を必要とするため、野外および生産現場等における判別には適さない。
以上に述べたとおり、微細藻類の細胞の生育状況、また微細藻類の細胞の培地に混入する他種生物(例えば寄生菌)などの混入状況、微細藻類の細胞による有用物質の生産量の各々をリアルタイムにモニターする簡便な方法はない。

産業上の利用分野


本発明は、細胞の顕微鏡画像を用いてこの細胞の状態を観察する細胞観察装置、細胞観察方法及びそのプログラムに関する。
本願は、2012年11月28日に、日本に出願された特願2012-259880号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。

特許請求の範囲 【請求項1】
一層の細胞を撮像した撮像画像から、当該撮像画像内の細胞の画像のエッジの画素を抽出し、抽出したエッジの画素からなるエッジ画像を生成する輪郭抽出部と、
前記撮像画像における細胞の画像の色素体の画素を抽出し、この抽出した色素体の画素からなる色素体画像を生成する色素体領域抽出部と、
前記エッジ画像と前記色素体画像とを重ね合わせて合成された合成画像において、前記撮像画像における細胞の画像領域と背景の画像領域とを、前記画素の輝度値の分散により検出し、前記撮像画像における細胞の画像領域を検出する画像合成部と
を備えることを特徴とする細胞観察装置。

【請求項2】
前記合成画像において色素体の存在する細胞の画像領域を対象細胞画像とし、色素体の存在しない細胞の画像領域を非対象細胞画像として検出し、前記合成画像における全細胞の画像における当該非対象細胞画像の比率を求める細胞形態検出部
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の細胞観察装置。

【請求項3】
前記細胞の画像領域における色素体の輝度値から前記色素体の量である色素体量を算出する色素値抽出部
をさらに備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の細胞観察装置。

【請求項4】
前記細胞の画像領域から色素体の平均輝度値を求めておき、前記撮像画像を撮像した当該細胞から色素体を抽出して色素体量を求め、平均輝度値と細胞当たりの色素体量との回帰式を予め求めて記憶部に記憶させておき、
前記色素値抽出部が前記細胞画像における平均輝度値を求め、前記回帰式から細胞当たりの色素体量を求めることを特徴とする請求項3に記載の細胞観察装置。

【請求項5】
輪郭抽出部が、一層の細胞を撮像した撮像画像から、当該撮像画像内の細胞の画像のエッジの画素を抽出し、抽出したエッジの画素からなるエッジ画像を生成する輪郭抽出過程と、
色素体領域抽出部が、前記撮像画像における細胞の画像の色素体の画素を抽出し、この抽出した色素体の画素からなる色素体画像を生成する色素体領域抽出過程と、
画像合成部が、前記エッジ画像と前記色素体画像とを重ね合わせて合成された合成画像において、前記撮像画像における細胞の画像領域と背景の画像領域とを、前記画素の輝度値の分散により検出し、前記撮像画像における細胞の画像領域を検出する画像合成過程と
を含むことを特徴とする細胞観察方法。

【請求項6】
細胞の形状を観察する細胞観察装置の動作をコンピュータに実行させるプログラムであり、
コンピュータを、
一層の細胞を撮像した撮像画像から、当該撮像画像内の細胞の画像のエッジの画素を抽出し、抽出したエッジの画素からなるエッジ画像を生成する輪郭抽出手段、
前記撮像画像における細胞の画像の色素体の画素を抽出し、この抽出した色素体の画素からなる色素体画像を生成する色素体領域抽出手段、
前記エッジ画像と前記色素体画像とを重ね合わせて合成された合成画像において、前記撮像画像における細胞の画像領域と背景の画像領域とを、前記画素の輝度値の分散により検出し、前記撮像画像における細胞の画像領域を検出する画像合成手段
として機能させるためのプログラム。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 公開
参考情報 (研究プロジェクト等) CREST 藻類・水圏微生物の機能解明と制御によるバイオエネルギー創成のための基盤技術の創出 領域
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