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4倍体ポプラの作出方法

国内特許コード P170013719
整理番号 S2015-1663-N0
掲載日 2017年2月16日
出願番号 特願2015-125160
公開番号 特開2017-006050
出願日 平成27年6月22日(2015.6.22)
公開日 平成29年1月12日(2017.1.12)
発明者
  • 梅田 正明
  • 岩川 秀和
出願人
  • 国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学
発明の名称 4倍体ポプラの作出方法
発明の概要 【課題】簡便な方法によりDNA倍加処理を行い、かつ、組織培養を介さずに4倍体ポプラを安定的に作出する方法を提供する。
【解決手段】2倍体ポプラのシュートの腋芽に対してコルヒチン溶液を滴下して培養し、出てきた側枝を植え継いで4倍体ポプラを作出する。コルヒチン溶液の濃度は、0.002w/v%以上、0.1w/v%未満であることが好ましく、より好ましくは、0.005w/v%以上、0.05w/v%未満である。コルヒチン溶液には、ゲル化剤が添加され、滴下方法は、植え継いで育成したシュートの下葉を残して主茎を切除したものの葉の根元の腋芽に対して行うことが好ましい。滴下の頻度は、2回、滴下間隔は1日であることが好ましい。コルヒチン溶液量は、腋芽に雫の玉ができる量、かつ、腋芽から流れ落ちない量であることが好ましい。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要


近年、植物バイオマスの資源化が進められている。植物バイオマスの資源化を実現する上で、原料となる植物バイオマスを効率的に生産する技術開発は極めて重要である。植物バイオマスの中でも、食糧資源と拮抗せず、大規模原料供給が可能な木本系バイオマスとしてポプラやユーカリが注目されている。ここで、ポプラ(poplar)とは、ヤナギ科(Salicaceae family)のヤマナラシ属またはポプラ属に属する樹木(広葉樹)の慣用名であり、成長が早く活着が良く、並木や街路樹、防風林として植生されているものである。
そこで、生産するポプラやユーカリの地上部器官を巨大化して生産量を向上させる方法が考えられる。この点、地球上の被子植物の内、約70%の被子植物はDNA倍加により細胞を肥大化させ、器官サイズを大きくしている。ところが、バイオマス生産の原料として注目されているポプラやユーカリではDNA倍加が起こらないと言われている。



一方で、ユーカリ属について、生産性の向上した個体を短期間に作成できるユーカリ属4倍体の作成方法が知られている(特許文献1を参照)。特許文献1のユーカリ属4倍体の作成方法は、2倍体であるユーカリ属の組織切片について染色体の倍加処理を行い、次いでこの組織切片を培養することにより染色体が倍加した組織を発生させ、この組織から個体を再生して、ユーカリ属4倍体を作成するものである。
しかし、バイオマス生産の原料としてはユーカリ属だけではなくポプラ等も有用であるが、特許文献1に開示された方法は、パルプ材として有用なユーカリ属について4倍体を作成するものに過ぎない。
また、特許文献1の明細書段落0012によると、DNA倍加処理方法として、シュートをコルヒチン等の溶液中に浸漬することにより行うことが、最も一般的としており、実施例においても、コルヒチン水溶液に24時間浸漬することで倍加処理を行っている。ここで、シュートとは、茎とその上にできる多数の葉からなる単位をいう。
しかしながら、染色体の倍加処理を行う際、ユーカリ属のシュート切片をコルヒチン等の溶液に浸漬して倍加処理を行う方法では、培養のための培地以外に、倍加処理を行うための大規模な装置が必要であり、煩雑であった。
さらに、倍加処理後に、植物ホルモンとしてBAPもしくはカイネチン、ショ糖、ゲランガムもしくは寒天を含有する培地或はそれらを改変した培地により組織培養を行わなければならない方法であったため、かかる点においても簡便な方法とはいえなかった。



また、ウリ科植物の分裂組織につきアミプロホスメチルを用いて染色体の倍加処理を行う染色体倍加方法が知られている(特許文献2を参照)。特許文献2のウリ科植物の染色体倍加方法は、コルヒチン等の倍加誘発剤を用いずにアミプロホスメチルを用いて倍加処理を行うものであり、倍加効率が高いとされている。
しかし、アミプロホスメチルは、通常、除草剤として用いられているため、植物体に薬害を発生させる危険性があるという問題があった。
また、特許文献2に開示されたウリ科植物の染色体倍加方法においても、染色体の倍加処理を行う際、ウリ科植物のシュート切片をアミプロホスメチル水溶液に浸漬して倍加処理を行っているが、特許文献1と同様、かかる方法は煩雑であり、簡便な方法とはいえなかった。
さらに、倍加処理後に組織培養を介する方法であるため、かかる点においても簡便な方法とはいえなかった。
なお、特許文献2の明細書段落0003には、温室で栽培中のメロンの腋芽に脱脂綿を乗せコルヒチンを滴下し処理する方法も試みたが倍加シュートは得られなかったと記載されており、従来は、植物の腋芽にコルヒチンを滴下する程度では倍加シュートは得られないのが常識とされていた。ここで、腋芽とは、葉の付け根から出る芽のことをいう。

産業上の利用分野


本発明は、高バイオマス性を有する4倍体ポプラの作出方法に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
2倍体ポプラのシュートの腋芽に対してコルヒチン溶液を滴下して培養し、出てきた側枝を植え継いで4倍体ポプラを作出することを特徴とする4倍体ポプラの作出方法。

【請求項2】
前記コルヒチン溶液の濃度は、0.002w/v%以上、0.1w/v%未満であることを特徴とする請求項1に記載の4倍体ポプラの作出方法。

【請求項3】
前記コルヒチン溶液の濃度は、0.005w/v%以上、0.05w/v%未満であることを特徴とする請求項1に記載の4倍体ポプラの作出方法。

【請求項4】
コルヒチン溶液には、ゲル化剤が添加されたことを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の4倍体ポプラの作出方法。

【請求項5】
コルヒチン溶液の滴下は、植え継いで育成したシュートの下葉を残して主茎を切除したものの葉の根元の腋芽に対して行うことを特徴とする請求項1~4の何れかに記載の4倍体ポプラの作出方法。

【請求項6】
コルヒチン溶液の滴下の頻度は、2回、滴下間隔は1日であることを特徴とする請求項1~5の何れかに記載の4倍体ポプラの作出方法。

【請求項7】
コルヒチン溶液量は、腋芽に雫の玉ができる量、かつ、腋芽から流れ落ちない量であることを特徴とする請求項6に記載の4倍体ポプラの作出方法。

【請求項8】
コルヒチン溶液の滴下後、4倍体ポプラの倍数性が安定するまで、植え継ぎを繰り返すことを特徴とする請求項1~7の何れかに記載の4倍体ポプラの作出方法。

【請求項9】
1)2倍体ポプラのシュートを培地へ植え継ぎ、植え継ぎから略28日後にシュートの下の葉を少なくとも1枚残して主茎を切除するコルヒチン処理準備ステップと、
2)シュートの腋芽にコルヒチン溶液を乗せ、略24時間培養を行った後、残った雫を除く第1のコルヒチン処理ステップと、
3)第1のコルヒチン処理ステップの後、腋芽に新たにコルヒチン溶液を乗せ、さらに略24時間培養後、残っている雫を除き、滅菌水を乗せて洗浄する第2のコルヒチン処理ステップと、
4)略1ヵ月培養し、出てきた側枝を新しい培地に植え継ぎ、側枝の下葉の倍数性を測定して、4倍体ポプラを作出状況を確認する作出状況確認ステップと、
5)4倍体ポプラの倍数性が安定するまで、植え継ぎと倍数性の測定を繰り返す倍数性安定化ステップ、
から成ることを特徴とする4倍体ポプラの作出方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 公開
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