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RNA修飾の簡易検出法、及び該検出法を用いた2型糖尿病の検査方法 NEW

国内特許コード P170013747
整理番号 (S2013-0635-N0)
掲載日 2017年3月14日
出願番号 特願2015-504379
出願日 平成26年3月6日(2014.3.6)
国際出願番号 JP2014055758
国際公開番号 WO2014136870
国際出願日 平成26年3月6日(2014.3.6)
国際公開日 平成26年9月12日(2014.9.12)
優先権データ
  • 特願2013-047278 (2013.3.8) JP
  • 特願2013-150133 (2013.7.19) JP
発明者
  • 富澤 一仁
  • 魏 笵研
  • 鈴木 健夫
  • 鈴木 勉
出願人
  • 国立大学法人 熊本大学
発明の名称 RNA修飾の簡易検出法、及び該検出法を用いた2型糖尿病の検査方法 NEW
発明の概要 本発明は、少量のRNA試料を用いて、RNAに存在する修飾を検出する方法を提供することを目的とする。本発明は、更には、tRNAに存在する修飾、例えば、チオメチル化を検出する方法を提供することを目的とする。本発明はまた、tRNAのチオメチル化を検出することにより、ヒト2型糖尿病又はそのリスクを診断する方法を提供することを目的とする。
本発明は、RNA試料中のRNAに存在する修飾を、第1のプライマーを用いてRNAから逆転写によりcDNAを生成し、そのcDNAの量を、第2のプライマーを用いてRNAから逆転写により生成されるcDNAの量と比較することにより、RNAに存在する修飾(例えば、チオメチル化)を検出することを特徴とする。
従来技術、競合技術の概要


トランスファーRNA(tRNA)は、mRNAの情報(コドン)を解読して、対応するアミノ酸を合成中のポリペプチド鎖に転移させるアダプター分子であり、タンパク翻訳において中心的な役割を有する小分子RNAである。tRNAのアンチコドンループは化学修飾を受けるが、これは、翻訳の忠実度(ファイデリティ)に必要であり、特にアンチコドンに位置する34番の塩基及びアンチコドンすぐ近傍の37番の塩基における化学修飾は、翻訳の正確性を制御する重要な役割を有する。また、tRNAのアンチコドンループの化学修飾の破綻は、疾患に関係していると考えられている。



2型糖尿病は、環境因子及び遺伝因子の組み合わせによって発症する疾患であり、世界中で患者は2億人を超えており、多くの国において患者数は増加している。2型糖尿病は、インスリン抵抗性及び/又は膵臓β細胞でのインスリン分泌の異常を特徴としているが、主要なメカニズムはまだ議論されている。2007年以降、世界各国で2型糖尿病患者を対象とした大規模遺伝子多型疫学研究が精力的に行われ、糖尿病の罹患と相関のある遺伝子一塩基多型(SNP)が多く同定されている。中でも、Cdkal1(cdk5 regulatory associated protein 1-like 1)のSNPsは、2型糖尿病の発症と最も高い相関があることが多くの論文で報告されている。そして、Cdkal1遺伝子の危険対立遺伝子(リスクアレル)を保有している人では、ブドウ糖応答性インスリン分泌が悪いが、肥満、インスリン抵抗性とは相関がないことが明かとされている。また、アジア人種がこの遺伝子リスクアレルを多く保有しており、リスクアレル保有者の表現型を加味すると、Cdkal1のSNPsはアジア人種型2型糖尿病の発症に関与していると推察されている。



そして、Cdkal1の生理機能は、リジンに対応するtRNAの37番目のアデニンをチオメチル化して、2-メチルチオ-N6-スレオニルカルバモイルアデノシン(ms26A)とする酵素であることが明らかにされた(非特許文献1:Arragain S., et al. J. Biol. Chem. 285, 28425-28433 (2010) 、及び非特許文献2:富澤ら、上原記念生命科学財団研究報告書、25 (2011) 論文番号77)。ms26A修飾は、リジンコドンの正確なデコーディング(decoding)に必要であり(非特許文献1)、同種コドン(cognate codons)の読み誤りを防ぐのに、特に翻訳速度が比較的早い場合に読み誤りを防ぐのに重要な役割を果たしていることが示された(非特許文献3:富澤ら、Endocrine Journal 2011, 58 (10), 819-825)。



Cdkal1欠損マウスにおいては、ミトコンドリアATP生成及び第一相インスリン分泌が損なわれることが観察されること、そして、膵臓β細胞特異的Cdkal1ノックアウトマウスは、2型糖尿病の病態を示し、膵島肥大と血中グルコースの制御障害が観察され、高脂肪食で誘発される小胞体ストレスに対して過敏であることが報告されている(非特許文献3、及び非特許文献4:Wei, F. Y. et al. J. Clin. Invest. 121, 3598-3608 (2011))。



すなわち、本発明者らにより、遺伝的あるいは環境的な要因によりCdkal1の発現量や活性が低下すると、リジンtRNAのチオメチル化が低下し、その結果、インスリンの翻訳精度が低下し、2型糖尿病が発症するというメカニズムが示され、リジンtRNAのチオメチル化は糖尿病発症と密接に関連することが判った。一方、ミトコンドリアDNAがコードするミトコンドリアtRNAにもチオメチル化が存在する。ミトコンドリアtRNAのチオメチル化はCdk5rap1によって修飾され、Cdk5rap1遺伝子の一塩基多型変異は白斑症の発症と相関することが報告されている(非特許文献1,及び比特許文献5:Reiter, V. et al. Nucleic Acids Res. 40, 6235-6240(2012))。このようにtRNAのチオメチル化は疾患の新たなバイオマーカーとして注目されている。



tRNAのチオメチル化を検出する方法としては、質量分析法を利用した検出法が一般的に使用されている(非特許文献6:Suzuki, T. et al. Method. Enzymol. 425, 211-229 (2007))。質量分析法では、まず、組織や細胞からtRNAを精製したのち、ヌクレアーゼによりtRNAを数個のオリゴヌクレオチドまで消化する。その後、消化されたオリゴヌクレオチドを精製し、逆相液体クロマトグラフィ及び質量分析機にて分析することによりチオメチル化を検出する。しかし、この質量分析によるチオメチル化の検出は、多量のRNA(mg単位)を必要とするが、臨床サンプルは量が一般的に限られ、mg単位のサンプルを入手することが困難である。そのため、臨床サンプルを用いて、質量分析によりチオメチル化を検出することは困難である。また、質量分析によるチオメチル化検出法は、上述したように多くの前処理が必要であるため、チオメチル化を検出するまでに数日かかり、迅速な検出ができないばかりか、コストが嵩むという問題がある。更には、多くの試料を同時に扱うことは困難である。その上、質量分析機は非常に高価であり、また、使用するためには熟練した経験が必要とされるため、一般的な医療機関や研究室で分析を行うのは困難であるという問題がある。



上記したように、質量分析法は時間及びコストがかかり、更には、多量の臨床サンプルを入手することは困難であるという問題のため、RNAのチオメチル化の検出法として質量分析法は臨床応用に対応できない。従って、RNAのチオメチル化を効率よく、つまり迅速にそして安価に検出でき、更には、少ないサンプルを用いて検出できる、新しい検出法が望まれていた。

産業上の利用分野


本発明は、逆転写法を用いてRNA修飾を検出する方法に関する。本発明はまた、逆転写法と核酸増幅法、例えばPCR法を組み合わせて、RNAにおける修飾を検出するとともに、修飾の程度を定量する方法に関する。より詳しくは、RNAの修飾部位を含む領域と結合するプライマー、及びRNAの修飾部位を含まない領域と相補的に結合するプライマーを含む、少なくとも2種類のプライマーを用いて逆転写を行い、次いで核酸増幅、例えばPCRを行うことにより、該修飾を検出及び/又は定量する方法に関する。本発明はまた、該検出方法を用いた、2型糖尿病に対する遺伝的感受性の検査方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
RNAに存在するRNA修飾を検出するための方法であって、
以下の2つの工程:
a.第1プライマーを用いて、該RNAから逆転写によりcDNAを生成する工程、ここで、該第1プライマーは、該RNA上の該RNA修飾を有する部位を含む領域と相補的に結合するように設計されたオリゴヌクレオチドである、
b.第2プライマーを用いて、該RNAから逆転写によりcDNAを生成する工程、ここで、該第2プライマーは、該RNA上の該RNA修飾を有する部位より上流側(3’側)の領域と相補的に結合するように設計されたオリゴヌクレオチドである、
をそれぞれ別々又は同時に行い、それぞれの工程から生成されたcDNA量の差を測定することにより該RNA修飾を検出する方法。

【請求項2】
前記工程aとbを別々に行う請求項1に記載の方法。

【請求項3】
前記cDNA量の差を核酸増幅反応又は蛍光法により測定する請求項1又は2に記載の方法。

【請求項4】
前記核酸増幅反応が、定量PCR法又はリアルタイム定量PCR法を用いて行われる、請求項3に記載の方法。

【請求項5】
前記cDNA量の差を、核酸増幅反応における核酸の増幅速度の差として測定する、請求項4に記載の方法。

【請求項6】
前記RNAがtRNAである請求項1~5のいずれか一つに記載の方法。

【請求項7】
前記RNAに存在するRNA修飾が、tRNAに存在するチオメチル化、メチル化又はタウリン化である、請求項6に記載の方法。

【請求項8】
前記tRNAに存在するチオメチル化が、Lysに対応するtRNA、Trpに対するtRNA、Pheに対するtRNA、又はSer(UCN)に対するtRNAのいずれかの37番目のアデノシンのチオメチル化である、請求項7に記載の方法。

【請求項9】
前記tRNAに存在するチオメチル化が、Lysに対応するtRNAの37番目のアデノシンのチオメチル化である、請求項8に記載の方法。

【請求項10】
前記RNAがヒト組織又はヒト血液由来のRNAを含む、請求項1~9のいずれか一つに記載の方法。

【請求項11】
前記RNAがヒト末梢血由来のRNAを含む請求項10に記載の方法。

【請求項12】
RNAに存在するRNA修飾率が既知の少なくとも2つの試料、及びRNA修飾率が未知の試料、のそれぞれについて請求項1~11のいずれか一つに記載の方法を行い、それぞれの試料について測定されたcDNA量の差を示すパラメーターを比較することにより、未知の試料中のRNA修飾率を測定する方法。

【請求項13】
前記核酸増幅反応が定量PCR法又はリアルタイム定量PCR法であり、かつ前記パラメーターが、第1のプライマー及び第2のプライマーを用いた際の標的核酸増幅のための閾値サイクル数(threshold cycle)の差である、請求項12に記載の方法。

【請求項14】
RNAに存在するRNA修飾率が未知の試料について請求項1~11のいずれか一つに記載の方法を行い、該試料について測定されたcDNA量の差を示すパラメーターを予め決められている検量線と比較することにより、未知の試料中のRNA修飾率を測定する方法。

【請求項15】
前記核酸増幅反応が定量PCR法又はリアルタイム定量PCR法であり、かつ前記パラメーターが、第1のプライマー及び第2のプライマーを用いた際の標的核酸増幅のための閾値サイクル数(threshold cycle)の差である、請求項14に記載の方法。

【請求項16】
試料中のRNAに存在するRNA修飾を検出するためのキットであって、
該RNA上の該RNA修飾を有する部位を含む領域と相補的に結合するように設計されたオリゴヌクレオチドである第1のプライマー、および
該RNA上の該RNA修飾を有する部位より3’側の領域と相補的に結合するように設計されたオリゴヌクレオチドである第2のプライマー、
を含むキット。

【請求項17】
前記RNAがtRNAである請求項16に記載のキット。

【請求項18】
前記RNAに存在するRNA修飾が、tRNAに存在するチオメチル化である、請求項17に記載のキット。

【請求項19】
前記tRNAに存在するチオメチル化が、Lysに対応するtRNA、Trpに対するtRNA、Pheに対するtRNA、又はSer(UCN)に対するtRNAのいずれかの37番目のアデノシンのチオメチル化である、請求項18に記載のキット。

【請求項20】
さらに、PCRを行うための別のプライマーを含む、請求項16~19のいずれか一つに記載のキット。

【請求項21】
請求項9に記載の方法を用いて、前記tRNAが由来する被験者が2型糖尿病患者又はそのリスクがあるか否かを判定する方法。

【請求項22】
前記tRNAは、被験者の組織又は血液に由来するtRNAである請求項21に記載の方法。

【請求項23】
請求項9に記載の方法を用いて、前記tRNAが由来する被験者のインスリン分泌能を検定する方法。

【請求項24】
前記tRNAは、被験者の組織又は血液に由来するtRNAである請求項23に記載の方法。
国際特許分類(IPC)
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