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複合型ターゲット、複合型ターゲットを用いる中性子発生方法、及び複合型ターゲットを用いる中性子発生装置 UPDATE

国内特許コード P170013756
掲載日 2017年3月15日
出願番号 特願2010-264724
公開番号 特開2012-119062
登録番号 特許第5697021号
出願日 平成22年11月29日(2010.11.29)
公開日 平成24年6月21日(2012.6.21)
登録日 平成27年2月20日(2015.2.20)
発明者
  • 松本 浩
  • 小林 仁
  • 吉岡 正和
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 複合型ターゲット、複合型ターゲットを用いる中性子発生方法、及び複合型ターゲットを用いる中性子発生装置 UPDATE
発明の概要 【課題】陽子による部材の放射化を低減するためのターゲット、該ターゲットに陽子を衝突させて低エネルギーの中性子、特に医療用の中性子を発生させるための中性子発生方法及び装置を提供する。
【解決手段】陽子による部材の放射化を低減させるために非金属材料及びベリリウムから構成される新規の複合型ターゲットを用いる。有害な速中性子が殆ど含まれていない中性子を発生させるために照射陽子として4MeV以上11MeV未満の範囲にある陽子を用いる。そしてまた、加速器として、小型の線形加速器を用いる。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要


近年、選択的ながん治療として期待されているホウ素中性子捕捉療法(BNCT:Boron
Neutron Capture Therapy)のための中性子の発生方法及び装置の研究開発が盛んに行わ
れている。これらは、例えば、特許文献1、2、3、4、5、6、及び7に開示されている。



特許文献1は、高周波四重極線形加速器(RFQライナック:Radio Frequency Quadrupole Linac)の例えば30~40MeVの重陽子線をリチウムに衝突させてLi(d,n
)反応を起こさせ中性子を発生させ、中性子減速材を介して治療用の熱中性子・熱外中性子を発生させることを特徴としている。



特許文献2は、中性子を発生させるためのターゲットに関し、大強度陽子線を衝突させるターゲットの冷却材に対する耐食性を改善するために、低水素吸収体であるNb、Pt、Au、Al、Be、Cr、ステンレス鋼又はその合金で被覆されたタングステンを用いることを特徴としている。



特許文献3は、液体状のリチウム、又は核融合反応の触媒作用を持つ金属との合金の表面に重水素イオンビームを衝突させることによって非熱核融合反応を誘発することによって中性子を発生させることを特徴としている。



特許文献4は、サイクロトロン等で発生させる20MeV以上のエネルギーを有する陽子線をタンタル、タングステン等の重金属に衝突させることによって核破砕反応物質を含む中性子を発生させ、同中性子を中性子減速部及び鉛で構成されるフィルターを介して有害な核破砕反応物質及び高速中性子を除去することによって治療用の熱中性子・熱外中性子を発生させることを特徴としている。



特許文献5は、固定磁場強収束(FFAG:Fixed Field Alternating Gradient)-内部標的(ERIT:Emittance Recovery Internal Target)方式による中性子発生方法及び装置を開示している。そして、特許文献5は、サイクロトロン型の陽子貯蔵リングで周回増強された11MeV以上15MeV未満のエネルギーを有する陽子線又は重陽子線を同リング内に設けたベリリウム製のターゲットに衝突させることによって発生した中性子を重水等の減速材を介して治療用の熱中性子・熱外中性子に調整することを特徴としている。



特許文献6は、RFQライナックやドリフトチューブライナックで加速された11MeV程度以上の陽子線を金属ターゲットに衝突させて中性子を発生させるためのターゲットを開示している。また、該ターゲットが金属ターゲットであり、好ましくはベリリウムで
あることが開示されている。そして、特許文献6は、該ターゲットの厚みが同ターゲット中における陽子線の飛程と略同等又はそれよりもわずかに大きくし、又、ターゲットを冷却するためにターゲットの伝熱面積と同程度以上の伝熱面積を有する金属板を介して冷却することを特徴としている。



特許文献7は、線形加速器を用いて例えば11MeVの陽子線をベリリウム製のターゲットに衝突させることによって10keV以上の速中性子を発生させ、該速中性子を重水などの減速材を通過させることによって10keV未満の熱外中性子又は0.5eV以下の熱中性子に調整することを特徴としている。



しかしながら、以上の特許文献1~7に開示された方法及び装置は、ターゲットに衝突させる陽子線又は重陽子線の加速エネルギーが少なくとも11MeVの高エネルギー陽子線を必要としている。そのため、以上の特許文献1~7に開示された方法及び装置では、陽子線又は重陽子線発生のための大型の加速器が必要であること、高エネルギー陽子線による部材の著しい放射化が生じること、ターゲットを冷却するための大型の冷却装置が必要であること、中性子発生用のターゲットの厚さが1mm以上であること、中性子発生用のターゲット材料が重金属等の金属製であるために人体に極めて有害であり且つ装置部材の放射化能も高い速中性子がかなり混在して発生しているので一次発生中性子を減速するための大がかりな減速装置が必要であること、有害且つ放射化能の高い陽子線、中性子及び核反応副生物質を吸収又は除去するための特殊な安全管理システムが必要であること、等の実用上における問題があった。
以上の問題を解決するためには、従来よりも加速エネルギーの低い低放射化能の陽子線を用いて有害性の低い低エネルギーの熱中性子・熱外中性子を効率的に発生させるためのターゲットの開発が切望されていたが、これまで上記問題を解決するようなターゲットは知られていないのが現状である。

産業上の利用分野


本発明は、陽子をターゲットに衝突させることによって中性子を発生させるためのターゲット、陽子をターゲットに衝突させる中性子発生方法、及び陽子をターゲットに衝突させることによる中性子発生装置に関するものである。さらに詳しくは、従来よりも低エネルギーの陽子を用いて中性子を発生させるための新規のターゲット、新規のターゲットを用いた中性子発生方法、及び新規のターゲットを用いた中性子発生装置を提供するものであり、特に医療用の中性子を発生させるためのコンパクト性に優れた装置を提供するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
陽子を衝突させて中性子を発生させるためのターゲットが、等方性黒鉛、ダイヤモンド、ダイヤモンドライクカーボン、グラッシーカーボン、炭化ケイ素、窒化ケイ素のいずれか、またはこれらの複合材料からなる放射化を低減させる非金属材料及びベリリウムから構成されることを特徴とする複合型ターゲット。

【請求項2】
前記ターゲットが前記放射化を低減させる非金属材料製の基板及び該基板の片面に付着された厚さ0.01mm以上1mm未満のベリリウムから構成されることを特徴とする請求項1に記載の複合型ターゲット。

【請求項3】
前記放射化を低減させる非金属材料が、かさ密度1.5g/cm~3.5g/cm3の範囲に
ある等方性黒鉛であることを特徴とする請求項1及び2のいずれか1項に記載の複合型ターゲット。

【請求項4】
前記ターゲットの側部及び又は内部に冷媒の流路を設けた冷却機構を付帯することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の複合型ターゲット。

【請求項5】
陽子を衝突させて中性子を発生させるためのターゲットが、かさ密度1.5g/cm3~3.5g/cm3の範囲にある等方性黒鉛製の基板及び該基板の片面に付着された厚さ0.01m
m以上1mm未満のベリリウムから構成されており、少なくともターゲットの側部又は内部のうちのどちらか一方に冷媒の流路を設けた冷却機構を付帯することを特徴とする複合型ターゲット。

【請求項6】
陽子をターゲットに衝突させて中性子を発生させるための中性子発生方法において、
陽子が4MeV以上11MeV未満の陽子であり、
ターゲットが請求項5の複合型ターゲットであり、
該ターゲットに前記陽子を真空下で衝突させることによって、核反応による中性子を発生させると共に核反応に伴って発生する熱を該ターゲットの冷却機構によって除熱することを特徴とする中性子発生方法。

【請求項7】
複合型ターゲットのベリリウム面が陽子の進行方向に対面していることを特徴とする請
求項6に記載の中性子発生方法。

【請求項8】
陽子発生のための水素イオン発生部と、
水素イオン発生部で発生する陽子を加速するための加速器と、
加速器によって加速された陽子を照射するための陽子照射部と、
照射部の陽子を衝突させて中性子を発生させるためのターゲットと、を備え、
前記加速器が線形加速器であり、
前記ターゲットが請求項5の複合型ターゲットであり、
該ターゲットのベリリウム表面が陽子の進行方向に対面するように前記陽子照射部の端部に配置されていることを特徴とする中性子発生装置。

【請求項9】
線形加速器が陽子を4MeV以上11MeV未満の範囲に加速することができる線形加速器であることを特徴とする請求項8に記載の中性子発生装置。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
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