TOP > 国内特許検索 > 複合型ターゲット

複合型ターゲット NEW

国内特許コード P170013757
掲載日 2017年3月15日
出願番号 特願2011-048187
公開番号 特開2012-186012
登録番号 特許第5700536号
出願日 平成23年3月4日(2011.3.4)
公開日 平成24年9月27日(2012.9.27)
登録日 平成27年2月27日(2015.2.27)
発明者
  • 松本 浩
  • 小林 仁
  • 吉岡 正和
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 複合型ターゲット NEW
発明の概要 【課題】従来よりも、陽子による放射化能の低減、及び有害且つ放射化能の高い速中性子の低減が可能であり、且つターゲット材料の熱問題や水素脆化の問題を根本的に解決することが可能な中性子発生用ターゲットを提供する。
【解決手段】本発明の複合型ターゲットは、陽子を衝突させて中性子を発生させるためのターゲットが、ベリリウム及び非金属材料を複合して成る複合型ターゲットであり、該ベリリウムが、陽子線の進行方向に対して垂直な平面積以上の表面積を有することを特徴とする。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要


近年、選択的ながん治療として期待されているホウ素中性子捕捉療法(BNCT:Boron Neutron Capture Therapy)のための中性子の発生方法及び装置の研究開発が盛んに行
われている。これらは、例えば、特許文献1、2、3、4、5、6、及び7に開示されている。



特許文献1は、高周波四重極線形加速器(RFQライナック:Radio Frequency Quadrupole Linac)の例えば30~40MeVの重陽子線を液体状のリチウムターゲットに衝突させてLi(d,n)反応を起こさせ中性子を発生させ、中性子減速材を介して治療用の熱中性子・熱外中性子を発生させることを特徴としている。



特許文献2は、中性子を発生させるためのターゲットに関し、大強度陽子線を衝突させるターゲットの冷却材に対する耐食性を改善するために、低水素吸収体であるNb、Pt、Au、Al、Be、Cr、ステンレス鋼又はその合金で被覆されたタングステンを用いることを特徴としている。



特許文献3は、液体状のリチウム、又は核融合反応の触媒作用を持つ金属との合金の表面に重水素イオンビームを衝突させることによって非熱核融合反応を誘発することによって中性子を発生させることを特徴としている。



特許文献4は、サイクロトロン等で発生させる20MeV以上のエネルギーを有する陽子線をタンタル、タングステン等の重金属に衝突させることによって核破砕反応物質を含む中性子を発生させ、同中性子を中性子減速部及び鉛で構成されるフィルターを介して有害な核破砕反応物質及び高速中性子を除去することによって治療用の熱中性子・熱外中性子を発生させることを特徴としている。



特許文献5は、固定磁場強収束(FFAG:Fixed Field Alternating Gradient)-内部標的(ERIT:Emittance Recovery Internal Target)方式による中性子発生方法及び装置を開示している。そして、特許文献5は、サイクロトロン型の陽子貯蔵リングで周回増強された11MeV以上15MeV未満のエネルギーを有する陽子線又は重陽子線を同リング内に設けたベリリウム製のターゲットに衝突させることによって発生した中性子を重水等の減速材を介して治療用の熱中性子・熱外中性子に調整することを特徴としている。



特許文献6は、RFQライナックやドリフトチューブライナックで加速された11MeV程度以上の陽子線を金属ターゲットに衝突させて中性子を発生させるための金属製ターゲットを開示しており、該ターゲットが、好ましくはベリリウムであることが開示されている。そして、特許文献6は、該ターゲットの厚みが同ターゲット中における陽子線の飛程と略同等又はそれよりもわずかに大きくし、又、ターゲットを冷却するためにターゲッ
トの伝熱面積と同程度以上の伝熱面積を有する金属板を介して冷却することを特徴としている。



特許文献7は、線形加速器を用いて例えば11MeVの陽子線をベリリウム製のターゲットに衝突させることによって10KeV以上の速中性子を発生させ、該速中性子を重水等の減速材を通過させることによって10KeV未満の熱外中性子又は0.5eV以下の熱中性子に調整することを特徴としている。



しかしながら、以上の特許文献1~7に開示された方法及び装置は、ターゲットに衝突させる陽子線又は重陽子線の加速エネルギーが少なくとも11MeVの高エネルギー陽子線を必要としている。そのため、以上の特許文献1~7に開示された方法及び装置では、陽子線又は重陽子線発生のための大型の加速器が必要であること、高エネルギー陽子線による部材の著しい放射化が生じること、ターゲットを冷却するための大型の冷却装置が必要であること、固体状ターゲットの場合にターゲットの溶断を防止するために厚さ1mm以上の高融点金属材料を中性子発生材料又はその支持材として用いていること、金属製支持材が核反応によって生じる活性水素によって脆化し、中性子発生材料が剥離すること、中性子発生用のターゲット材料が重金属等の金属製であるために人体に極めて有害であり且つ装置部材の放射化能も高い速中性子がかなり混在して発生しているので一次発生中性子を減速するための大がかりな減速装置が必要であること、有害且つ放射化能の高い陽子線、中性子及び核反応副生物質を吸収又は除去するための特殊な安全管理システムが必要であること、等の実用上における問題があった。特に、特許文献6にみられるように、固体状ターゲットを用いる場合にはターゲットで発生する熱の除熱が必須であることから、ベリリウム製ターゲットを支持するための金属製支持材の伝熱面積を大きくする工夫が提案されたが、熱応力による接着界面の剥離や活性水素による支持材の脆化及び剥離を防止することは困難であった。



以上の問題を解決するためには、従来よりも加速エネルギーの低い低放射化能の陽子線と薄いターゲット材料を用いて有害性の低い低エネルギーの熱中性子・熱外中性子を効率的に発生させるためのターゲットの開発が切望されていたが、これまで上記問題を解決するようなターゲットは殆ど知られていないのが現状である。そのため、本発明者らは、先に、特願2010-264724号を出願し、上記問題を解決することが可能な複合型の新規ターゲットを提案した。該複合型ターゲットは、ベリリウムと非金属材料から成る複合型ターゲットであるので、陽子との衝突による核反応を上記二種類の材料で分担して行うことができる。そして、該複合型ターゲットは、ターゲットを構成するベリリウム及び非金属材料が持つ陽子及び中性子に対する特有の物性によって、陽子及び中性子による放射化を低減できること、有害且つ放射化能の高い速中性子が低減された低エネルギー中性子の吸収が低いこと、非金属材料が持つ中性子の減速機能によって速中性子の発生が抑制されること、核反応の分担によって核反応熱の除熱が容易であること、非金属材料がベリリウムの支持材及び冷却材として機能しうるので、従来ターゲットとして用いられてきたベリリウムよりも薄いベリリウムを用いてもベリリウムの切断や溶融を防止できる、等の顕著な効果を有するものである。

産業上の利用分野


本発明は、陽子をターゲットに衝突させることによって中性子を発生させるための中性子発生用ターゲットに関するものである。さらに詳しくは、本発明は、陽子による放射化能の低減、及び有害且つ放射化能の高い速中性子の低減が可能であり、且つ陽子とターゲット材料の衝突によって発生する熱を効率的に除熱することが可能な新規の中性子発生用ターゲットを提供するものであり、特に医療用の中性子を発生させるためのコンパクト性に優れた中性子発生用ターゲットを提供するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
陽子を衝突させて中性子を発生させるためのターゲットが、ベリリウムと非金属材料の張り合わせによる複合、ベリリウムと非金属材料の混合による複合、多孔性の非金属材料にベリリウムを担持する複合、ベリリウムと非金属材料の化合による複合のいずれかの複合、又はこれらの組み合わせによる複合を施して成る複合型ターゲットであり、前記非金属材料が等方性黒鉛、多孔性カーボン、ダイヤモンド、ダイヤモンドライクカーボン、グラッシーカーボン、カーボンナノチューブ、フラーレン、ポリアセチレン、カルビン、グラフェン、窒化炭素、炭化ケイ素、ケイ素、窒化ケイ素のいずれか又はこれらの複合材料であり、前記ベリリウムが、ベリリウム表面に凹凸を施す、多孔性の非金属材料にベリリウムを担持させる、非金属材料にベリリウムをコーティングする、ベリリウムを粉末加工する、ベリリウムに傾斜面を施すことのいずれか、又はこれらの組み合わせによって、陽子線の進行方向に対して垂直なベリリウムの照射平面積以上の表面積を有することを特徴とする複合型ターゲット。

【請求項2】
凹凸表面を持つ非金属材料の前記凹凸表面上にベリリウムを付着させたことを特徴とする請求項1に記載の複合型ターゲット。

【請求項3】
前記非金属材料が、嵩密度1.5g/cm3~3.5g/cm3の範囲にある等方性黒鉛とこれ以外の少なくとも一つの非金属材料を複合して成る非金属系の複合材料であることを特徴とする請求項1又は2に記載の複合型ターゲット。

【請求項4】
陽子の照射面を除く複合型ターゲットの表面をチタン、窒化チタン、マグネシウム、アルミニウム、スズ、亜鉛、ケイ素のいずれかである放射化しにくい軽金属材料を用いて被覆したことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の複合型ターゲット。

【請求項5】
少なくともターゲットの内部にヘリウムを含む熱伝導性の高い気体冷媒の流路を設けた冷却機構を付帯することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の複合型ターゲット。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

JP2011048187thum.jpg
出願権利状態 登録
ライセンスをご希望の方、特許の内容に興味を持たれた方は、問合せボタンを押してください。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close