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複合型ターゲット、複合型ターゲットを用いる中性子発生方法、及び複合型ターゲットを用いる中性子発生装置 NEW

国内特許コード P170013758
掲載日 2017年3月15日
出願番号 特願2011-192030
公開番号 特開2013-054889
登録番号 特許第5751673号
出願日 平成23年9月2日(2011.9.2)
公開日 平成25年3月21日(2013.3.21)
登録日 平成27年5月29日(2015.5.29)
発明者
  • 松本 浩
  • 小林 仁
  • 吉岡 正和
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 複合型ターゲット、複合型ターゲットを用いる中性子発生方法、及び複合型ターゲットを用いる中性子発生装置 NEW
発明の概要 【課題】陽子による部材の放射化を低減することが可能な複合型ターゲット、複合型ターゲットを用いる中性子発生方法、及び複合型ターゲットを用いる中性子発生装置を提供する。
【解決手段】複合型ターゲット8は、ベリリウム材料(又はリチウム材料)1と結晶配向性炭素材料2を重ね合わせて成る複合体の形状を有するターゲット3、及びターゲット3の側面及び内部に冷媒の流路5を有する冷却機構6を付帯している。冷媒の流路5としては、液体の冷媒の流路だけでなく、気体の冷媒の流路も設けることができる。ターゲット3には、大気側に位置するの結晶配向性炭素材料2の表面をシールするための真空シール4が施されている。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要


近年、選択的ながん治療として期待されているホウ素中性子捕捉療法(BNCT: Boron Newtron Capture Therapy)のための中性子発生方法及び装置の研究開発が盛んに行わ
れている。これらは、例えば、特許文献1~12に開示されている。



特許文献1は、高周波四重極線形加速器(RFQライナック:Radio Frequency Quadrupole Linac)の例えば30MeV~40MeVの重陽子線をリチウムに衝突させてLi(d,n)反応
を起こさせ中性子を発生させ、中性子減速材を介して治療用の熱中性子・熱外中性子を発生させることを特徴としている。



特許文献2は、中性子を発生させるためのターゲットに関し、大強度陽子線を衝突させるターゲットの冷却材に対する耐食性を改善するために、低水素吸収体であるNb、Pt、Au、Al、Be、Cr、ステンレス鋼又はその合金で被覆されたタングステンを用いることを特徴としている。



特許文献3は、液体状のリチウム、又は核融合反応の触媒作用を持つ金属との合金の表面に重水素イオンビームを衝突させることによって非熱核融合反応を誘発することによって中性子を発生させることを特徴としている。



特許文献4は、サイクロトロン等で発生させる20MeV以上のエネルギーを有する陽子
線をタンタル、タングステン等の重金属に衝突させることによって核破砕反応物質を含む中性子を発生させ、同中性子を中性子減速部及び鉛で構成されるフィルターを介して有害な核破砕反応物質及び高速中性子を除去することによって治療用の熱中性子・熱外中性子を発生させることを特徴としている。



特許文献5は、固定磁場強収束(FFAG:Fixed Field Alternating Gradient)-内
部標的(ERIT:Emittance Recovery Internal Target)方式による中性子発生方法及び装置を開示している。そして、特許文献5は、サイクロン型の陽子貯蔵リングで周回増強された11MeV以上15MeV未満のエネルギーを有する陽子線又は重陽子線を同リング内に設けたベリリウム製のターゲットに衝突させることによって発生させた中性子を重水等の減速材を介して治療用の熱中性子・熱外中性子に調整することを特徴としている。



特許文献6は、RFQライナックやドリフトチューブライナックで加速された出力30kW程度、11MeV程度以上の陽子線を金属ターゲットに衝突させて中性子を発生させるためのターゲットを開示している。また、該ターゲットが金属ターゲットであり、好ましくはベリリウムであることが開示されている。そして、特許文献6は、該ターゲットの厚みが同ターゲット中における陽子線の飛程と略同等又はそれよりもわずかに大きくし、又、ターゲットを冷却するためにターゲットの伝熱面積と同程度以上の伝熱面積を有する金属板を介して冷却することを特徴としている。



特許文献7は、線形加速器を用いて例えば11MeVの陽子線をベリリウム製のターゲッ
トに衝突させることによって10keV以上の速中性子を発生させ、該速中性子を重水等の
減速材を通過させることによって10keV未満の熱外中性子又は0.5eV以下の熱中性子
に調整することを特徴としている。



特許文献8は、リチウムターゲットを製造する方法が、圧延されたリチウム薄膜を銅製の基板上に圧着する方法であることを特徴としている。



特許文献9は、Li(p,n)反応の閾値(約2MeV)よりもやや大きいエネルギーの陽子をターゲットに衝突させて中性子を発生させるためのリチウム製ターゲットについて、リチウムの溶融防止のためのターゲットの構造が、冷却機構を有するブロックに円錐形状の切り込みを施し、該円錐形状の切り込み表面にバッキングホイル基板上に付着させたベリリウム被覆のリチウム薄膜を付着させた構造であることを特徴としている。



特許文献10は、中性子発生用リチウム製ターゲットについて、リチウム粒子の溶融防止及び発熱によって液状化したリチウムの漏れ防止のためのリチウム粒子の構造が、リチウム粒子を焼結カーボン、炭化ケイ素、炭化ジルコニウムの順番で順次被覆した構造であることを特徴としている。



特許文献11は、BNCT用のリチウム製ターゲットについて、リチウムターゲットが鉄基板、タンタル基板、またはバナジウム基板上に付着させたリチウムであることを特徴としている。



特許文献12は、出力20mA-50kW、2.5MeV程度のエネルギーの陽子をターゲッ
トに衝突させて中性子を発生させるためのリチウム製ターゲットについて、リチウムの溶融防止のためのターゲットの構造が、冷却機構を有する円錐形状の伝熱板の表面にパラジウム薄膜を設け、該パラジウム薄膜上にリチウム薄膜を付着させた構造であることを特徴としている。



しかしながら、以上の特許文献1~7に開示された方法及び装置は、ターゲットに衝突させる陽子線又は重陽子線の加速エネルギーが少なくとも11MeVの高エネルギー陽子線
を必要としている。そのため、以上の特許文献1~7に開示された方法及び装置では、陽子線又は重陽子線発生のための大型の加速器が必要であること、高エネルギー陽子線によるターゲット等の部材の著しい放射化が生じること、ターゲットを冷却するための大型の冷却装置が必要であること、液体ターゲットの場合には取り扱いが容易ではないこと、固体状ターゲットの場合にはターゲットの溶断を防止するために比較的厚めのターゲット材料を熱伝導性の金属製支持体に付着させていること、中性子発生用のターゲット材料が重金属などの金属製の場合には、人体に極めて有害であり且つ装置部材の放射化能も高い高速中性子がかなり混在して発生しているので一次発生中性子を減速するための大がかりな減速装置が必要であること、有害且つ放射化能の高い陽子線、中性子及び核反応副生物質を吸収又は除去するための特殊な安全管理システムが必要であること、反応副生物である活性水素によるターゲット材料の脆化防止対策、等の実用上における問題があった。特に陽子線及び中性子によるターゲット等の部材による放射化の問題は、放射化部材から受ける放射線被曝の問題であるので、解決すべき重要な課題であった。また、特許文献6にみられるように、ベリリウムの固体ターゲットを用いる場合には、ターゲットで発生する熱の除熱が必須であることから、ターゲットを支持するための金属製支持材の伝熱面積を大きくする工夫が提案されたが、熱応力による接着界面の剥離や活性水素による支持材の脆化及び剥離を防止することは困難であった。また、以上の特許文献8~12に開示されたリチウム製の固体ターゲットの場合には、低融点であるリチウム(融点が約180℃)の
溶融防止のために、リチウム薄膜の支持体である伝熱板の構造に関する工夫やリチウム粒子を高融点材料で被覆する方法が提案されているが、これらの方法では冷却効率の飛躍的な向上は期待されないので、リチウムの溶融を防止することは困難であると考えられる。以上の問題を解決するためには、陽子の衝突によって生じるターゲットの熱問題の解決、及び陽子・中性子によるターゲット等の部材の放射化の低減のためのターゲットの開発が切望されていたが、これまで上記問題を解決するようなターゲットは知られていないのが現状である。そのため、本発明者らは、先に、特願2010-264724号、特願2011-048187号、及び特願2011-113950号を出願し、上記問題を解決することが可能な複合型の新規ターゲットを提案した。該複合型ターゲットは、ベリリウム材料(又はリチウム材料)と非金属材料から成る複合型ターゲットであるので、陽子との衝突による核反応を上記二種類の材料で分担して行うことができる。そして、該複合型ターゲットは、ターゲットを構成するベリリウム材料(又はリチウム材料)及び非金属材料が持つ陽子及び中性子に対する特有の物性によって、陽子及び中性子による放射化を低減できること、有害且つ放射化能の高い速中性子が低減された低エネルギー中性子の吸収が低いこと、非金属材料が持つ中性子の減速機能によって速中性子の発生が抑制されること、ターゲットで発生する熱の除熱が容易であること、非金属材料がベリリウム材料(又はリチウム材料)の支持材及び冷却材として機能しうるので、従来ターゲットとして用いられてきたベリリウム(又はリチウム)よりも薄いベリリウム(又はリチウム)を用いてもベリリウム(又はリチウム)の切断や溶融を防止できること、等の顕著な効果を有するものである。

産業上の利用分野


本発明は、陽子をターゲットに衝突させることによって中性子を発生させるためのターゲットに関するものである。さらに詳しくは、低エネルギーの陽子を用いて中性子を発生させるための新規のターゲットを提供するものであり、ターゲットの熱問題の解決、及び陽子・中性子によるターゲット部材等の放射化の低減のためのターゲットを提供するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
陽子を衝突させて中性子を発生させるためのターゲットが、ベリリウム材料及びリチウム材料のいずれか一つの材料と結晶配向性炭素材料を重ね合わせて成る複合体であることを特徴とする複合型ターゲット。

【請求項2】
前記複合型ターゲットが、該複合型ターゲットの表面に真空シールを付帯することを特徴とする請求項1に記載の複合型ターゲット。

【請求項3】
前記複合型ターゲットが、該複合型ターゲットの表面に真空シールを付帯し、且つ、該複合型ターゲットに冷媒流路を有する冷却機構を付帯することを特徴とする請求項1に記載の複合型ターゲット。

【請求項4】
陽子をターゲットに衝突させて中性子を発生させるための中性子発生方法において、
陽子が2MeV以上11MeV未満の陽子であり、
ターゲットが請求項3の複合型ターゲットであり、
該複合型ターゲットに前記陽子を真空下で衝突させることによって核反応による中性子を発生させると共に該複合型ターゲットの冷却機構によってターゲットを冷却することを特徴とする中性子発生方法。

【請求項5】
陽子発生のための水素イオン発生部と、
水素イオン発生部で発生する陽子を加速するための加速器と、
加速器によって加速された陽子を照射するための陽子照射部と、
陽子を衝突させて中性子を発生させるためのターゲットと、を備え、
前記加速器が線形加速器であり、
前記ターゲットが請求項3の複合型ターゲットであることを特徴とする中性子発生装置。

【請求項6】
線形加速器が陽子を2MeV以上11MeV未満の範囲に加速することができる線形加速器であることを特徴とする請求項5に記載の中性子発生装置。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
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