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組織構造体及びその作製方法

国内特許コード P170013779
整理番号 (S2013-1083-N0)
掲載日 2017年3月15日
出願番号 特願2015-522539
出願日 平成26年6月9日(2014.6.9)
国際出願番号 JP2014003067
国際公開番号 WO2014199622
国際出願日 平成26年6月9日(2014.6.9)
国際公開日 平成26年12月18日(2014.12.18)
優先権データ
  • 特願2013-122190 (2013.6.10) JP
発明者
  • 江尻 洋子
  • 綾野 賢
  • 福原 直人
  • 谷口 英樹
  • 武部 貴則
出願人
  • 株式会社クラレ
  • 公立大学法人横浜市立大学
発明の名称 組織構造体及びその作製方法
発明の概要 成熟細胞の遺伝子パターンを包括的に捉える組織構造体及びその作製方法を提供する。組織構造体は、血管細胞、間葉系細胞、血管細胞から分泌される因子、間葉系細胞から分泌される因子、血管細胞と間葉系細胞の両方が存在することによって分泌される因子からなる群より選択される少なくとも1つの細胞及び/又は因子とともに、幹細胞由来の内胚葉、外胚葉または中胚葉細胞を共培養して得られる組織構造体であって、複数の機能についてピアソンの積率相関係数(Pearson product-moment correlation coefficient)を用いて検定した値が、胎児から採取された細胞または生体組織より、成体から採取された細胞または生体組織の値に近い生体組織から構成される。
従来技術、競合技術の概要


近年、様々な機能細胞へ分化する能力を持つ例えばiPS細胞といった多能性幹細胞を、目的臓器または細胞に特有の機能をもつ細胞に分化させて、それを創薬スクリーニングや再生医療に利用する試みが行われている(例えば、非特許文献1)。しかし、in vivoの機能の一部を再現できているにすぎず、その機能は生体内の機能に比べて格段に低い。
創薬スクリーニング試験においては、生体内での試験、いわゆるin vivo試験と同様の薬剤感受性、毒性反応を示すことが要求される。このような用途で利用するためには、上述した先行技術では不十分であり、より成熟化した、すなわち生体内の細胞がもつ機能に匹敵するレベルの機能が発現している細胞が求められている。



再生医療分野では臓器移植や人工臓器移植が行われているが、ドナー不足や拒絶反応といった問題が存在する。例えば、重篤な臓器不全に対して、臨床現場においては臓器移植や人工臓器による置換治療が行われている。しかし、臓器移植については拒絶反応や絶対的なドナー不足が存在し、人口臓器については機能の一部のみを短期間代替できるにすぎないなど(例えば、特許文献1,2)、根本的な未解決課題が残されている。ヒト組織の人為的創出については、終末分化した細胞を用いて単体(足場材料)への細胞播種を行う方法などが考案されているものの、肝臓などの複雑な高次機能を有する臓器については確立された手法は存在しないのが現状である(非特許文献2)。



このように最終分化した成熟細胞または生体組織が求められているものの、未だ達成されていないのが現状である。例えば、肝機能について成体と従来の分化細胞を比較した例を以下に述べる。
肝細胞の薬物代謝酵素のひとつであるチトクロムP450は57種類の遺伝子があることからも分かるように、細胞は非常に多くの機能を有している。これらが同時または必要に応じて機能することで生命を維持している。
また、肝細胞については80にも及ぶ遺伝子の発現量が胎児期から成体になっていくにつれ増加することが確認されている。さらに膵臓については、非特許文献3,4に、発生過程において、細胞が成熟するに従い遺伝子発現プロファイルが変化することが示されている。

産業上の利用分野


本発明は、幹細胞、例えば人工多能性幹細胞や胚性幹細胞等の未分化細胞から成熟組織に匹敵する機能を持つ組織構造体及びその作製方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
血管細胞、間葉系細胞、血管細胞から分泌される因子、間葉系細胞から分泌される因子、血管細胞と間葉系細胞の両方が存在することによって分泌される因子からなる群より選択される少なくとも1つの細胞及び/又は因子とともに、幹細胞由来の内胚葉、外胚葉または中胚葉細胞を共培養して得られる組織構造体であって、複数の機能についてピアソンの積率相関係数(Pearson product-moment correlation coefficient)を用いて検定した値が、胎児から採取された細胞または生体組織より、成体から採取された細胞または生体組織の値に近い組織構造体。

【請求項2】
前記複数の機能が、10種類以上の遺伝子の発現量であり、
前記10種類以上の遺伝子が、前記幹細胞由来の内胚葉、外胚葉または中胚葉細胞の遺伝子発現量に対し、前記組織構造体の遺伝子発現量が2倍以上変動する遺伝子であることを特徴とする請求項1記載の組織構造体。

【請求項3】
遺伝子発現量が、全ての遺伝子断片が固定されているDNAチップを用いて解析された値であり、
前記10種類以上の遺伝子が、前記幹細胞由来の内胚葉、外胚葉または中胚葉細胞の遺伝子発現量に対し、前記組織構造体の遺伝子発現量が2倍以上変動するすべての遺伝子であることを特徴とする請求項2記載の組織構造体。

【請求項4】
前記複数の機能が、10種類以上のタンパク質について測定したタンパク質量であり、
前記10種類以上のタンパク質が、前記幹細胞由来の内胚葉、外胚葉または中胚葉細胞のタンパク質量に対し前記組織構造体のタンパク量が20%以上変動する全てのタンパク質であることを特徴とする請求項1記載の組織構造体。

【請求項5】
前記組織構造体がスフェロイド形状であり、スフェロイドの直径が50μm~2mmであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の組織構造体。

【請求項6】
前記複数の機能が、肝臓または膵臓に特有の機能であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の組織構造体。

【請求項7】
血管細胞、間葉系細胞、血管細胞から分泌される因子、間葉系細胞から分泌される因子、血管細胞と間葉系細胞の両方が存在することによって分泌される因子からなる群より選択される少なくとも1つの細胞及び/又は因子とともに、幹細胞由来の内胚葉、外胚葉または中胚葉細胞を共培養して培養形成物を作製し、
前記培養形成物が有する複数の機能に関してピアソンの積率相関係数(Pearson product-moment correlation coefficient)を用いて検定し、
検定した値が、胎児から採取された細胞または生体組織より、成体から採取された細胞または生体組織の値に近い培養形成物を組織構造体として抽出する組織構造体の作製方法。

【請求項8】
前記複数の機能が、10種類以上の遺伝子の発現量であり、
前記10種類以上の遺伝子が、前記幹細胞由来の内胚葉、外胚葉または中胚葉細胞の遺伝子発現量に対し、前記組織構造体の遺伝子発現量が2倍以上変動する遺伝子であり、
前記組織構造体の抽出が、
前記幹細胞由来の内胚葉、外胚葉または中胚葉細胞及び前記培養形成物の遺伝子発現量を測定し、
前記幹細胞由来の内胚葉、外胚葉または中胚葉細胞の遺伝子発現量に対し、前記培養形成物の遺伝子発現量が2倍以上変動する遺伝子を10種類以上有する培養形成物を選択することを特徴とする請求項7記載の組織構造体の作製方法。

【請求項9】
前記幹細胞由来の内胚葉、外胚葉または中胚葉細胞と前記組織構造体との遺伝子発現量を、全ての遺伝子断片が固定されているDNAチップを用いて解析したときに、前記10種類以上の遺伝子が、前記幹細胞由来の内胚葉、外胚葉または中胚葉細胞の遺伝子発現量に対し、組織構造体の遺伝子発現量が2倍以上変動するすべての遺伝子であることを特徴とする請求項8記載の組織構造体の作製方法。

【請求項10】
前記複数の機能が、10種類以上のタンパク質について測定したタンパク質量であり、
前記10種類以上のタンパク質が、前記幹細胞由来の内胚葉、外胚葉または中胚葉細胞のタンパク量に対し組織構造体のタンパク量が20%以上変動する全てのタンパク質であり、
前記組織構造体の抽出が、
前記幹細胞由来の内胚葉、外胚葉または中胚葉細胞及び前記培養形成物のタンパク質量を測定し、
前記幹細胞由来の内胚葉、外胚葉または中胚葉細胞のタンパク質量に対し、前記培養形成物のタンパク質量が2倍以上変動するタンパク質を10種類以上有する培養形成物を選択することを特徴とする請求項7記載の組織構造体の作製方法。

【請求項11】
前記共培養の工程が、凝集体を形成させる工程、器官芽を形成させる工程、さらに培養を行い成熟化させる工程を含むことを特徴とする請求項7乃至10のいずれか一項に記載の組織構造体の作製方法。

【請求項12】
凝集体、器官芽、成熟化させる工程において、細胞同士が結合して凝集していることを特徴とする請求項11記載の組織構造体の作製方法。

【請求項13】
凝集体、器官芽、成熟化させる工程において、細胞同士が結合してスフェロイド形状の塊が形成されていることを特徴とする請求項11または12記載の組織構造体の作製方法。

【請求項14】
前記細胞同士が形成するスフェロイドの直径が50μm~2mmであることを特徴とする請求項13記載の組織構造体の作製方法。

【請求項15】
前記幹細胞由来の内胚葉、外胚葉または中胚葉細胞が、胎生幹細胞または人工多能性幹細胞由来から選択される細胞であることを特徴とする請求項7乃至14のいずれか一項に記載の組織構造体の作製方法。

【請求項16】
前記幹細胞由来の内胚葉、外胚葉または中胚葉細胞が、人工多能性幹細胞由来の細胞から内胚葉系列の細胞に分化可能な細胞であることを特徴とする請求項15記載の組織構造体の作製方法。

【請求項17】
前記複数の機能が、肝臓または膵臓に特有の機能であることを特徴とする請求項7乃至16のいずれか一項に記載の組織構造体の作製方法。

【請求項18】
前記組織構造体を、相当直径が20μm以上2.5mm以下、深さが20μm以上1000μm以下のマイクロ容器で培養することを特徴とする請求項7乃至17のいずれか一項に記載の組織構造体の作製方法。

【請求項19】
前記組織構造体を、培養表面が細胞非接着表面である培養容器を用いて培養することを特徴とする請求項18記載の組織構造体の作製方法。

【請求項20】
前記培養表面が、リン脂質、リン脂質・高分子複合体、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)(PHEMA)、ポリビニルアルコール、アガロース、キトサン、ポリエチレングリコール、及びアルブミン、のグループから選択される一つまたはこれら組合せからなるポリマーが細胞と接触する培養面にコートされている培養容器であることを特徴とする請求項19記載の組織構造体の作製方法。

【請求項21】
血管細胞:幹細胞由来の内胚葉、外胚葉または中胚葉細胞:間葉系細胞を、10:7~10:1~2の割合で共培養し、かつ、マイクロ容器1個あたり20個~2000個となる密度で細胞を播種することを特徴とする請求項18乃至20のいずれか一項に記載の組織構造体の作製方法。

【請求項22】
前記マイクロ容器が、底部と開口部とから構成されており、
前記開口部が、前記底部との境界から端部までを囲むテーパ角1度以上20度以下の壁で構成され、
前記底部が、半球状と円錐台とのいずれかの形状を有し、
請求項18乃至21のいずれか一項に記載の組織構造体の作製方法。
国際特許分類(IPC)
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出願権利状態 公開
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