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導電性マイエナイト型化合物の製造方法

国内特許コード P170013791
掲載日 2017年3月16日
出願番号 特願2007-519015
登録番号 特許第4495757号
出願日 平成18年5月30日(2006.5.30)
登録日 平成22年4月16日(2010.4.16)
国際出願番号 JP2006310808
国際公開番号 WO2006129675
国際出願日 平成18年5月30日(2006.5.30)
国際公開日 平成18年12月7日(2006.12.7)
優先権データ
  • 特願2005-157881 (2005.5.30) JP
発明者
  • 細野 秀雄
  • 林 克郎
  • 金 聖雄
  • 平野 正浩
  • 鳴島 暁
  • 伊東 節郎
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
  • 国立大学法人東京工業大学
  • 旭硝子株式会社
発明の名称 導電性マイエナイト型化合物の製造方法
発明の概要 良好な特性をもつ導電性マイエナイト型化合物を、高価な設備、高温あるいは長時間の反応および煩雑な反応制御を必要とせず、容易に安定してかつ低コストで得ることができる製造方法を提供する。
前駆体を熱処理する工程を備えた導電性マイエナイト型化合物の製造方法であって、前記前駆体は、Ca及び/またはSrと、Alとを含有し、酸化物換算した、(CaOとSrOの合計:Al)のモル比が(12.6:6.4)~(11.7:7.3)であり、CaO、SrOおよびAlの合計の前記前駆体中の含有率が50モル%以上であり、ガラス質または結晶質であり、かつ該前駆体と還元剤とを混合して、この混合物を、酸素分圧10Pa以下の不活性ガスまたは真空雰囲気中で600~1415℃に保持する熱処理をおこなう工程を含むことを特徴とする。
従来技術、競合技術の概要


マイエナイト型化合物は12CaO・7Al(以下C12A7と記す)なる代表組成を有し、三次元的に連結された、直径約0.4nmの空隙(ケージ)から構成される特徴的な結晶構造を持つ。このケージを構成する骨格は正電荷を帯びており、単位格子当たり12個のケージを形成する。このケージの1/6は、結晶の電気的中性条件を満たすため、酸素イオンによって占められているが、この酸素イオンは、骨格を構成する他の酸素イオンとは化学的に異なる特性を持つことから、とくに、フリー酸素イオンと呼ばれている。前記のことから、C12A7結晶は、[Ca24Al28644+・2O2-と表記される(非特許文献1)。



また、マイエナイト型化合物としては、12SrO・7Al(以下S12A7と記す)が知られており、任意のCaとSrの混合比を持つ、C12A7とS12A7の混晶化合物も存在する(非特許文献2)。



細野らは、C12A7結晶の粉末あるいはその焼結体を、H雰囲気中で熱処理してケージの中にHイオンを包接させ、次いで、紫外光を照射することにより、ケージ中に電子を包接させて、永続的な導電性を室温で誘起できることを見いだした(特許文献1)。この包接された電子はケージに緩く束縛されていて、結晶中を自由に動くことができるので、マイエナイト型化合物のC12A7結晶に導電性が付与される。しかしながらこの方法で得られる導電性マイエナイト型化合物は、十分な量の電子を包接させることができないため、導電性が十分でない。



細野らは、また、C12A7単結晶を、アルカリ金属蒸気を用いて還元処理すると、ケージ中のフリー酸素イオンを電子で置き換えて、単結晶の導電性マイエナイト型化合物を作製できることを見いだした(特許文献1)。しかしながらこの方法では、単結晶の作製と、カルシウムによる還元処理に長時間を要するため、工業的に用いるのは困難である。



従来、一般的なガラスの作製法である溶融急冷法によって、C12A7組成をもつガラスが得られることが知られていて(非特許文献3)、該ガラスを再加熱して結晶化させると、マイエナイト型化合物のC12A7が生成することが知られていた。Liらは、空気中での溶融急冷によって得られたC12A7ガラスの再結晶化に必要な温度は、940~1040℃であり、また、生成する主な結晶相がマイエナイト型化合物のC12A7結晶であり、副生成物としてCaAl結晶が得られることを報告している(非特許文献4)。しかしながらこのようにして得られたマイエナイト型化合物はケージ中にフリー酸素を有する絶縁体であった
細野らは、C12A7結晶をカーボン坩堝中で溶解して作製した透明なガラスを、酸素分圧が10-11Paと極めて低い雰囲気中1600℃で1時間または真空中1000℃で30分間再加熱処理して結晶化させることにより、導電性マイエナイト型化合物が生成することを見出した(非特許文献5)。しかしながら、再加熱処理に、上記した如く、ガラスを再溶融するための高温度かつ極低酸素分圧の雰囲気、あるいは真空、を要するため、この方法を用いて工業的に安価で大量に生産するのは困難であった。



【特許文献1】
WO2005-000741号公報
【非特許文献1】
F.M.Lea and C.H.Desch,The Chemistry of Cement and Concrete,2nd ed.,p.52,Edward Arnold & Co.,London,1956.
【非特許文献2】
O.Yamaguchi,A.Narai,K.Shimizu,J.Am.Ceram.Soc.1986,69,C36.
【非特許文献3】
今岡稔、ガラスハンドブック(昨花、高橋、境野編)、朝倉書店、880頁(1975)
【非特許文献4】
W.Li,B.S.Mitchell,J.Non-Cryst.Sol.1999,255(2,3),199.
【非特許文献5】
S.W.Kim,M.Miyakawa,K.Hayashi,T.Sakai,M.Hirano,and H.Hosono,J.Am.Chem.Soc.,http://pubs.acs.org/journals/jacsat/,Web Release Date:15-Jan-2005).

産業上の利用分野


本発明は、導電性マイエナイト型化合物の製造方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
前駆体を熱処理する工程を備えた導電性マイエナイト型化合物の製造方法であって、
前記前駆体は、Ca及び/またはSrと、Alとを含有し、酸化物換算した、(CaOとSrOの合計:Al)のモル比が(12.6:6.4)~(11.7:7.3)であり、CaO、SrOおよびAlの合計の前記前駆体中の含有率が50モル%以上であり、ガラス質または結晶質であり、かつ該前駆体と還元剤とを混合して、この混合物を、酸素分圧10Pa以下の不活性ガスまたは真空雰囲気中で600~1415℃に保持する熱処理をおこなう工程を含むことを特徴とする導電性マイエナイト型化合物の製造方法。

【請求項2】
前記前駆体が、12CaO・7Alなる代表組成を有し三次元的に連結された空隙(ケージ)から構成される結晶構造を持つマイエナイト型化合物、またはマイエナイト型化合物のCaおよびAlの一部またはすべてが他の元素で置換された同型化合物である請求項1に記載の導電性マイエナイト型化合物の製造方法。

【請求項3】
前記前駆体が含有するAlの一部が、iまたはGeで置換されている請求項1または2に記載の導電性マイエナイト型化合物の製造方法。

【請求項4】
前記前駆体が、Si、Ge及びBからなる群から選ばれる少なくとも1種を酸化物換算した合計で0~17モル%;Li、Na及びKからなる群から選ばれる少なくとも1種を酸化物換算した合計で0~5モル%;Mg及びBaからなる群から選ばれる少なくとも1種を酸化物換算した合計で0~10モル%;(Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm及びYbからなる群から選ばれる少なくとも1種の希土類元素)及び(T、i、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni及びCuからなる群から選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素または典型金属元素)からなる群から選ばれる少なくとも1種を酸化物換算した合計で0~8モル%;を含有する請求項1~3のいずれか1項に記載の導電性マイエナイト型化合物の製造方法。

【請求項5】
前記前駆体および前記還元剤が、平均粒子径が100μm以下の粉末である請求項1~4のいずれか1項に記載の導電性マイエナイト型化合物の製造方法。

【請求項6】
前記還元剤粉末は炭素からなる粉末であって、前記前駆体粉末と、前記前駆体粉末中のCa、SrおよびAlの合計原子数に対する炭素原子数の比が0.2~11%となる量の炭素粉末を混合し、この混合物を熱処理する請求項5に記載の導電性マイエナイト型化合物の製造方法。

【請求項7】
前記還元剤粉末が金属からなる粉末である請求項5に記載の導電性マイエナイト型化合物の製造方法。

【請求項8】
前記金属がアルミニウムであり、不活性ガスが少なくともArまたはHeを含む請求項7に記載の導電性マイエナイト型化合物の製造方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
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