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アンモニア合成触媒及びアンモニア合成方法

国内特許コード P170013792
掲載日 2017年3月16日
出願番号 特願2012-547860
登録番号 特許第5820817号
出願日 平成23年12月6日(2011.12.6)
登録日 平成27年10月9日(2015.10.9)
国際出願番号 JP2011078132
国際公開番号 WO2012077658
国際出願日 平成23年12月6日(2011.12.6)
国際公開日 平成24年6月14日(2012.6.14)
優先権データ
  • 特願2010-272976 (2010.12.7) JP
発明者
  • 細野 秀雄
  • 原 亨和
  • 北野 政明
  • 金 聖雄
  • 松石 聡
  • 戸田 喜丈
  • 横山 壽治
  • 林 文隆
出願人
  • 国立大学法人東京工業大学
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 アンモニア合成触媒及びアンモニア合成方法
発明の概要 本発明は、肥料の原料等として最も重要な化学物質の一つであるアンモニアを合成するための安定で高性能な触媒物質であり、高圧を必要としない緩やかな合成条件で触媒活性を発揮し、加えて資源の観点からも有利な触媒物質及びその製造方法を提供する。この触媒は、1015cm-3以上の伝導電子を含むマイエナイト型化合物をアンモニア合成触媒の担体とした担持金属触媒からなる。担体として用いるマイエナイト型化合物は、粉末、多孔体、固体焼結体、薄膜、固体単結晶など、その形状はいずれでもよい。この触媒を用いると遷移金属への電子供与能力が大きく、100℃から600℃以下の反応温度において10kPaから30MPa程度の低い反応圧力で原料の窒素と水素を触媒上で反応させてアンモニア合成を促進することができる。
従来技術、競合技術の概要


人類の生存を支える穀物の生産に欠かせない人工肥料(硫安、尿素肥料)は、アンモニアから作られる。窒素と水素を原料として鉄を主体とした触媒を用いてアンモニア合成を行う技術がハーバー・ボッシュ(Haber-Bosch)によって見いだされ、この技術(「ハーバー・ボッシュ法」と称される)は、1910年代に工業的に完成してから約1世紀経った現在でも、人類の生活を支える必要不可欠な技術となっている。



ハーバー・ボッシュ法は、Fe34に数重量%のAl23とK2Oを含んだ二重促進鉄(doubly promoted iron)触媒を用いて、窒素と水素の混合気体を400~600℃、約20MPa~約100MPaの高温高圧条件で直接反応させ、N2+3H2→2NH3の反応よって生成したアンモニアを冷却して、又は水で吸収して分離する方法である。この技術は現在でも、ほぼ完成当時のままの製造工程で工業的に用いられている。



一方、300℃以下の低温度でアンモニア合成活性をもつ遷移金属として、Mo,W,Re,Fe,Co,Ru,Osのうちの一種の元素、又はFeとRu,RuとRe、FeとMoとの組み合わせのいずれか1つを実質的に金属状態で使用する触媒が知られている(特許文献1)。Fe,Ru,Os,Co等の8族又は9族遷移金属を触媒とするアンモニア合成方法(特許文献2~4)や、特に、ルテニウムをアンモニア合成の触媒として用いる方法も開発された(特許文献5~8)。さらに、8族又は6B族遷移金属の窒化物やCo・Mo複合窒化物を触媒とするアンモニア合成方法も開発されている(特許文献9、10)。
さらに、Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W,Fe, Ru,Os,Co,Rh,Ir,Ni,Pd,Pt,Mn,Cuの群からの少なくとも1つの遷移金属から選ばれる触媒活性成分を担体材料に含有させた触媒を用いて窒素及び水蒸気からアンモニアをプラズマ接触により製造する方法が特許出願されている(特許文献11)。



従来、RuやFe等のアンモニア合成用触媒を高効率に利用するために、担体としてマグネシア、アルミナ、グラファイト、及びセリアなどが用いられ、促進剤となる化合物としてアルカリ金属、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物などが用いられてきた。



通常、アルミナ等の酸性化合物を担体として用いる場合には、電子供与能力を向上させて高活性な触媒とする目的で、電気陰性度の大きな促進剤となる化合物を多量に添加する必要があった。



一方、CaO、Al23、SiO2を構成成分とするアルミノケイ酸カルシウム中に、鉱物名をマイエナイトと呼ぶ物質があり、その結晶と同型の結晶構造を有する化合物を「マイエナイト型化合物」という。マイエナイト型化合物は、12CaO・7Al23(以下、「C12A7」と記す)なる代表組成を有し、C12A7結晶は、2分子を含む単位胞にある66個の酸素イオンの内の2個が、結晶骨格で形成されるケージ内の空間に「フリー酸素」として包接されているという、特異な結晶構造を持つことが報告されている(非特許文献1)。



2003年以降、このフリー酸素イオンが種々の陰イオンで置換できることが本発明者らにより明らかにされた。特に、強い還元雰囲気にC12A7を保持すると、全てのフリー酸素イオンを電子で置換することができる。フリー酸素イオンを電子で置換したC12A7は、化学式で、[Ca24Al2864]4+(e-4(以下、「C12A7:e-」と記すことができる。また、このように、陰イオンに対し電子が置き換わった物質をエレクトライドと呼び、エレクトライドは良好な電子伝導特性を示す特徴を有する(非特許文献2)。



さらに、本発明者らは、導電性マイエナイト型化合物であるC12A7:e-及びC12A7と同型化合物である12SrO・7Al23やC12A7と12SrO・7Al23との混晶化合物とその製造法を見出した(特許文献12)。さらに、Alの一部をGa又はInで置換したマイエナイト型化合物に係わる発明の出願がなされており(特許文献16)、これは、PDP保護膜材料や、有機ELデバイスにおける電荷注入材料など、高温加熱処理が必要とされる電極材料として適する。また、C12A7単結晶を(イ)アルカリ金属又はアルカリ土類金属蒸気中で高温でアニールする方法、(ロ)不活性イオンをイオン打ち込みする方法、又は、(ハ)還元雰囲気で融液から直接固化する方法で、1×1019/cm3以上の濃度の伝導電子を有するC12A7:e-及びC12A7と同型化合物が得られることを見出した(特許文献13)。



さらに、C12A7単結晶をチタン金属(Ti)蒸気中でアニールし、金属電気伝導性を示すC12A7:e-を得ることに成功し、その製法及び電子放出材料としてのその用途に関する発明を特許出願した(特許文献14)。金属電気伝導性を示すC12A7:e-に関しては、CaCO3及びAl23を11:7で混合して、1300℃ で加熱した生成物を金属Ca蒸気雰囲気中で加熱することで粉末を直接合成することもできる(非特許文献3)。



C12A7:e-に包接される電子は、陽イオンである結晶骨格のケージ内に緩く結合しているために、電場印加又は化学的な手段により外部に取り出すことができる。本発明者らは、外部に取り出された電子を還元反応に用いることができると考え、C12A7:e-に包接される電子でケトン化合物を還元し、2級アルコール及びジケトン化合物を製造する方法を発明し、これを特許出願した(特許文献15)。

産業上の利用分野


本発明は、水素と窒素とを反応させてアンモニアを合成するために適したアンモニア合成触媒及びその触媒の製造方法並びにその触媒を用いたアンモニア合成方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
1015cm-3以上の伝導電子を含むマイエナイト型化合物をアンモニア合成触媒の担体とした担持金属触媒からなることを特徴とするアンモニア合成触媒。

【請求項2】
マイエナイト型化合物が、12CaO・7Al23であることを特徴とする請求項1に記載の触媒。

【請求項3】
前記金属触媒の金属が、6族、7族、8族、及び9族金属元素から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の触媒。

【請求項4】
前記マイエナイト化合物の形状が、粉末、多孔体、固体焼結体、薄膜、固体単結晶のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の触媒。

【請求項5】
1015cm-3以上の伝導電子を含むマイエナイト型化合物粉末に前記金属触媒を含浸法、物理的混合法、熱分解法、液相法、又は蒸着法により担持させることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の触媒の製造方法。

【請求項6】
請求項5に記載の含浸法は、1015cm-3以上の伝導電子を含むマイエナイト型化合物粉末を遷移金属化合物の溶媒溶液に分散する工程、該溶媒溶液の溶媒を蒸発させて乾固した該遷移金属化合物からなる触媒前駆体を形成する工程、還元雰囲気中で加熱して該遷移金属化合物を還元して前記金属触媒を形成する工程からなることを特徴とする触媒の製造方法。

【請求項7】
請求項1乃至4のいずれかに記載の触媒を用い、反応装置内で、100℃から600℃以下の反応温度、10kPa~30MPaの反応圧力条件で、原料の窒素と水素を前記触媒上で反応させることを特徴とするアンモニア合成方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
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