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電気伝導性を有するC12A7系酸化物融液又はガラス材料及びそれらの製造方法

国内特許コード P170013793
掲載日 2017年3月16日
出願番号 特願2011-179866
公開番号 特開2013-040088
登録番号 特許第5681062号
出願日 平成23年8月19日(2011.8.19)
公開日 平成25年2月28日(2013.2.28)
登録日 平成27年1月16日(2015.1.16)
発明者
  • 細野 秀雄
  • 金 聖雄
  • 戸田 喜丈
出願人
  • 国立大学法人東京工業大学
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 電気伝導性を有するC12A7系酸化物融液又はガラス材料及びそれらの製造方法
発明の概要 【課題】ガラス基板やプラスチック基板上に薄膜を低温で大面積で形成できるなどの有用性も期待できる、低い仕事関数を持ちながら導電性を有し、かつ非晶質である酸化物材料を提供する。
【解決手段】C12A7系酸化物の組成を有し、電子濃度2×1018/cm3以上2.3×1021/cm3以下を包接する、C12A7系酸化物を溶媒とし電子を溶質とする溶媒和からなる融液であり、金属的な電気伝導性を示す導電性酸化物融液、あるいは非晶質固体物質であり、また半導体的な電気伝導性を示す導電性酸化物ガラス。このガラス材料は、仕事関数が3.0~4.1eVであり、上記融液を酸素分圧1Pa以下の還元雰囲気中で非晶質の固体が形成される冷却速度で冷却凝固することにより得られる。
【選択図】図4
従来技術、競合技術の概要


マイエナイトは、酸化物イオン包接アルミノケイ酸塩のことであり、その結晶構造は立方
晶系に属し、化学組成はCa12Al14-xSix33+0.5x (0≦x≦4)で示される。



マイエナイト型化合物は、12CaO・7Al23(以下、「C12A7」と記す)で表
わされる代表組成を有し、三次元的に連結された、直径約0.4nmの空隙(ケージ)か
ら構成される特徴的な結晶構造を持つ。このケージを構成する骨格は正電荷を帯びており
、単位格子当たり12個のケージを形成する。このケージの1/6は、結晶の電気的中性
条件を満たすため、酸素イオンによって占められているが、この酸素イオンは、骨格を構
成する他の酸素イオンとは化学的に異なる特性を持つことから、特に、フリー酸素イオン
又はフリー酸素と呼ばれている。以上のことから、C12A7結晶は、[Ca24Al28
644+・2O2-と表記される(非特許文献1)。



C12A7中のCaの一部をK、Na、Li、Mg、Ba、Srなどのアルカリ金属又は
アルカリ土類金属で置換することができる。また、Alの一部をGeなどのイオン半径が
0.5~0.8Å程度の金属元素で置換することができる。本明細書中において、C12
A7及びその成分のCa,Alを一部置換した化合物を含めてC12A7系酸化物という



細野らは、セメントの構成成分であるC12A7化合物を、H2雰囲気中で熱処理してケ
ージ(籠)の中にO2-イオンの代わりにH-イオンを包接させ、紫外光やX線を照射する
ことにより、ケージ中に電子を包接させて、永続的な導電性を室温で誘起できることを見
いだした(特許文献1)。



この包接された電子はケージに緩く束縛されていて、結晶中を自由に動くことができるの
で、本来は絶縁体であるマイエナイト型化合物のC12A7結晶に導電性を付与すること
に細野らは成功した。また、細野らは、マイエナイト型化合物であるC12A7結晶をア
ルカリ土類金属やチタンの蒸気中で還元処理を行うことで金属的な導電性が生じることを
見出した(特許文献2、3)。チタンの蒸気中での還元処理の場合、C12A7結晶の表
面に堆積したTi金属とC12A7結晶中のフリー酸素イオンが反応し、C12A7結晶
の表面にTiOxが形成される。この時、C12A7結晶のケージ中の酸素がはき出され
、ケージ中には電子が残る。すなわち、ケージ中のフリー酸素が電子に置換さる。



エレクトライド(electride;電子化物)とは、J.Dyeによって初めて合成されたイ
オン性化合物であり(非特許文献2)、酸素イオンが酸化物結晶中で陰イオン位置を占有
するように、エレクトライドでは電子が特定の結晶学的な陰イオン位置を占有することで
陰イオンとしての役割を担っている。フリー酸素イオンを電子で置換したC12A7(C
12A7:e-)では、電子はケージ内のフリー酸素イオン位置を占め、ケージ内に多く
の電子密度分布を持つ。このことから、C12A7:e-もエレクトライドの一種と考え
ることができる。



化学量論組成のC12A7は、キャリア電子が存在しないため電気的絶縁体であり、その
伝導度は通常の装置では測れないほど低く、10-10Scm-1以下である。C12A7の
フリー酸素イオンを電子で置き換えることで包接電子濃度を増やしていくと、導電率が急
激に増大するだけでなく、その温度依存性が、正の活性化エネルギーを示す半導体的挙動
から、負の傾きを示す金属的挙動まで変化し、室温においても1500Scm-1もの大き
な電気伝導度を示すようになる。C12A7:e-は、安定な無機骨格中に電子が包接さ
れているため、室温・大気中でも安定である。



一般に仕事関数の低い化合物は、二次電子放出性能が高い。C12A7:e-は、金属カ
リウムと同程度の約2.4eVの低い仕事関数を有することから蛍光管の陰極材料等の電
子放出素子材料、有機EL素子等の電子注入電極材料、熱電子発電素子等としての応用、
又は包接されている電子の還元力を利用した還元剤としての応用が期待されている(非特
許文献3~5、特許文献4)。



特許文献5~8には、導電性マイエナイト化合物の製造方法が開示されている。特に、特
許文献8には、原料を1415℃以上、好ましくは1550℃~1650℃で溶融して酸
素分圧10Pa以下の雰囲気で保持した後、低酸素分圧の雰囲気中又は大気雰囲気中で冷
却して、又は徐冷して凝固させる方法が開示されている。

産業上の利用分野


本発明は、電気伝導性を有するC12A7系酸化物の融液又はガラス材料及びそれらの製
造方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
C12A7系酸化物の組成を有し、電子濃度2×1018/cm3以上、2.3×1021
cm3以下を包接する、C12A7系酸化物を溶媒とし、電子を溶質とする溶媒和からな
る融液であり、金属的な電気伝導性を示すことを特徴とする導電性酸化物融液。

【請求項2】
C12A7系酸化物の組成を有し、電子濃度2×1018/cm3以上、2.3×1021
cm3以下を包接する、C12A7系酸化物を溶媒とし、電子を溶質とする溶媒和からな
る非晶質固体物質であり、半導体的な電気伝導性を示すことを特徴とする導電性酸化物ガ
ラス。

【請求項3】
室温で10-9S・cm-1以上、10-1S・cm-1以下の電気伝導性を示すことを特徴とす
る請求項2記載の導電性酸化物ガラス。

【請求項4】
仕事関数が3.0~4.1eVであることを特徴とする請求項2記載の導電性酸化物ガラ
ス。

【請求項5】
請求項2~4のいずれかに記載の導電性酸化物ガラスからなる電子放出素子材料。

【請求項6】
請求項2~4のいずれかに記載の導電性酸化物ガラスからなる電子注入電極材料。

【請求項7】
請求項2~4のいずれかに記載の導電性酸化物ガラスからなる還元材料。

【請求項8】
C12A7系酸化物原料を融解する方法において、原料として電子を2×1018cm-3
上含有するC12A7系酸化物を用い、該原料を酸素分圧1Pa以下の還元雰囲気中で1
200℃以上に加熱融解することを特徴とする請求項1記載の導電性酸化物融液の製造方
法。

【請求項9】
請求項1記載の導電性酸化物融液を酸素分圧1Pa以下の還元雰囲気中で非晶質の固体が
形成される冷却速度で冷却凝固することを特徴とする請求項2~4のいずれかに記載の導
電性酸化物ガラスの製造方法。

【請求項10】
電子を2×1018cm-3以上含有する結晶C12A7系酸化物のバルク体に10GPa
以上の圧力を加えて該バルク体を非晶質化することを特徴とする請求項2~4のいずれか
に記載の導電性酸化物ガラスの製造方法。

【請求項11】
電子を2×1018cm-3以上含有する結晶C12A7系酸化物をターゲットとし酸素分
圧1Pa以下の還元雰囲気中で気相蒸着法によって、非晶質の薄膜を成膜することを特徴
とする請求項2~4のいずれかに記載の導電性酸化物ガラスの製造方法。

【請求項12】
請求項9~11のいずれかに記載の方法で得られた導電性酸化物ガラスを真空中で熱処理
することにより電気伝導性を大きくすることを特徴とする導電性酸化物ガラスの製造方法
国際特許分類(IPC)
Fターム
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出願権利状態 登録
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