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水素化物イオンを含有するペロブスカイト型酸化物とその製造方法

国内特許コード P170013805
掲載日 2017年3月16日
出願番号 特願2013-523910
登録番号 特許第5872555号
出願日 平成24年7月5日(2012.7.5)
登録日 平成28年1月22日(2016.1.22)
国際出願番号 JP2012067157
国際公開番号 WO2013008705
国際出願日 平成24年7月5日(2012.7.5)
国際公開日 平成25年1月17日(2013.1.17)
優先権データ
  • 特願2011-151738 (2011.7.8) JP
発明者
  • 細野 秀雄
  • 陰山 洋
  • 小林 洋治
  • 高野 幹夫
  • 矢島 健
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 水素化物イオンを含有するペロブスカイト型酸化物とその製造方法
発明の概要 【課題】酸化物イオン伝導体は、酸化物イオンの大きな重量と電荷のために高温での高い機能を発揮するものが多く、低温で機能を発揮させることは困難であった。
【解決手段】チタン含有ペロブスカイト型酸化物に含まれる酸化物イオン(O2-)の1原子%以上が水素化物イオン(H-)で置換された、水素化物イオン伝導性を有するペロブスカイト型酸化物。負の電荷をもつ水素化物イオン(H-)をイオン伝導に利用したこの酸化物は、水素化物イオン伝導性と電子伝導性をあわせもつ。ペロブスカイト型チタン含有酸化物を出発原料とし、真空中又は不活性ガス雰囲気中でLiH、CaH2、SrH2、BaH2から選ばれるアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水素化物粉末とともに300℃以上該水素化物の融点未満の温度範囲に保持して、該酸化物中の酸化物イオンの一部を水素化物イオンで置換して酸素サイトに水素化物イオンを挿入する。
従来技術、競合技術の概要


MTiO3(Mは、Ca、Ba、Mg、Sr、又はPb)に代表されるペロブスカイト型結晶構造又は層状ペロブスカイト型結晶構造のチタン含有酸化物やTiの一部をHf、Zrの内の少なくとも一種で置換したチタン含有酸化物(特許文献1)等(合わせて、「チタン含有ペロブスカイト型酸化物」という)は、極めて高い比誘電率をもつことからキャパシタ材料や誘電体膜などのデバイスとして、また、他のペロブスカイト型の遷移金属酸化物の基板材料、非線形抵抗体への利用などの観点から古くから盛んに研究が進められている。



これらの優れた性能に加え、チタンが環境への負荷が小さい生体に安全な元素であること、加えて地球上で豊富に存在することもペロブスカイト型のチタン含有酸化物の生体親和性材料への利用、電子材料や光学材料等の工業利用を後押ししている。地殻に存在する元素の割合を表すクラーク数では、チタンは全元素で10番目、遷移金属では鉄に次いで2番目である。



チタン化合物は、+4価(3d0)とともに+3価(3d1)のTiが安定に存在することが知られており、このd電子の伝導性を活用したチタン含有酸化物の材料開発は盛んである。例えば、Nbドープアナターゼ(TiO2)は、透明電極素材として、マグネリ相の一つとして知られるTi47は、金属-絶縁体転移を示すことからスイッチング材料(非特許文献1)として期待されている。



絶縁性のチタン含有ペロブスカイト型酸化物に酸素欠損(空孔)を作る、すなわち電子をドープすることによって、チタンを+3価、+4価の混合原子価状態にし、電気抵抗の低い材料に変換することができることが知られている(非特許文献2)。その方法としては、真空中、水素、窒素、アルゴンガス中、酸素ゲッターを用いた高温での熱処理等、様々な方法が使われている。



酸化物では、酸化物イオン混合伝導体(特許文献2)や、プロトン(H+)イオン伝導性をもつ材料を固体電解質として含む電気化学デバイス等が盛んに研究されている(特許文献3)が、これに対して負の電荷をもつ水素化物イオン(H-)は殆ど研究されていない。酸化物中の水素が水素化物イオンとして伝導する可能性は、2001年にS.Steinsvikらによって提唱されたが(非特許文献3)、この説に反対する意見もあり信憑性は未だに議論の的である。



一般に、酸化物イオンと水素化物イオンの相性は非常によくないため、酸素欠損(defect)量レベルを超えた量の水素化物イオンを酸化物に内包させることに成功した例は、典型元素を用いた僅かな数の物質に限られている。このような物質は、例えば、LaHO(非特許文献4)や12CaO・7Al23(非特許文献5、特許文献4)である。



2002年に、M.A.Haywardらは、水素化物イオンを有するコバルト酸化物-水素化物LaSrCoO30.7を合成することに成功した(非特許文献6)。次いで、2006年に、C.A.Bridgesらは、コバルト酸化物LaSrCoO30.7中の水素化物イオンの拡散現象について報告した(非特許文献7)。これは、当該物質の中の水素化物イオンが移動度(mobility)をもつことを示す。ただし、周りの雰囲気(例えば、気相)との化学反応を示すものではなく、また、イオン伝導性は未知である。さらに、R.M.Helpsらは、この物質に似た構造をもつコバルト酸化物-水素化物Sr3Co24.330.84を報告した(非特許文献8)。これらの2つの物質は遷移金属酸化物で大量の水素化物イオンを取り込んだ初めての例である。



【特許文献1】
特開2006-199578号公報
【特許文献2】
特許第4374631号公報
【特許文献3】
特開2005-100978号公報
【特許文献4】
特許第4219821号公報
【非特許文献1】
S.Ohkoshi et al.,“Nature Chemistry”2,p.539-545(2010)
【非特許文献2】
W.Gong et al.,“Journal of Solid State Chemistry”90,p.320-330(1991)
【非特許文献3】
S.Steinsvik et al.,“Solid State Ionics”143,p.103-116(2001)
【非特許文献4】
K.Hayashi et al.,“Nature”419,p.462-465(2002)
【非特許文献5】
B.Malaman,J.F.Brice,Journal of Solid State Chemistry“53,p.44-54(1984)
【非特許文献6】
M.A.Hayward et al.,“Science”295,p.1882-1884(2002)
【非特許文献7】
C.A.Bridges et al.,“Advanced Mate rials”18,p.3304-3308(2006)
【非特許文献8】
R.M.Helps et al.,“Inorganic Chemistry”49,p.11062-11068(2010)

産業上の利用分野


本発明は、チタン含有ペロブスカイト型酸化物、特に水素化物イオン伝導性を有するチタン含有ペロブスカイト型酸化物、該酸化物の製造方法、及び該酸化物の用途に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
チタン含有ペロブスカイト型酸化物に含まれる酸化物イオンの1原子%以上が水素化物イオン(H-)で置換された、水素化物イオン伝導性を有するペロブスカイト型酸化物からなる水素化物イオン伝導性と電子伝導性をあわせもつ混合伝導体。

【請求項2】
ペロブスカイト型チタン含有酸化物の粉末を出発原料とし、真空中又は不活性ガス雰囲気中で水素化リチウム(LiH)、水素化カルシウム(CaH)、水素化ストロンチウム(SrH)、水素化バリウム(BaH)から選ばれるアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水素化物粉末とともに300℃以上該水素化物の融点未満の温度範囲に保持して、該酸化物中の酸化物イオンの一部を水素化物イオンで置換することを特徴とする請求項1に記載される混合伝導体の粉末の製造方法。

【請求項3】
ペロブスカイト型チタン含有酸化物の薄膜を出発原料とし、真空中又は不活性ガス雰囲気中で水素化リチウム(LiH)、水素化カルシウム(CaH)、水素化ストロンチウム(SrH)、水素化バリウム(BaH)から選ばれるアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水素化物粉末とともに300℃以上該水素化物の融点未満の温度範囲に保持して、該酸化物中の酸化物イオンの一部を水素化物イオンで置換することを特徴とする請求項1に記載される混合伝導体の薄膜の製造方法。

【請求項5】
請求項1に記載された混合伝導体を用いたことを特徴とする水素電極、水素透過膜、又は水素ガスセンサ。

【請求項6】
請求項1に記載された混合伝導体を用いたことを特徴とする水素化触媒。

【請求項7】
請求項1に記載された混合伝導体を用いたことを特徴とする水素吸蔵、放出材料。
国際特許分類(IPC)
Fターム
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出願権利状態 登録
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