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二酸化炭素の吸着還元剤及び還元方法

国内特許コード P170013807
掲載日 2017年3月16日
出願番号 特願2010-167366
公開番号 特開2012-025636
登録番号 特許第5530288号
出願日 平成22年7月26日(2010.7.26)
公開日 平成24年2月9日(2012.2.9)
登録日 平成26年4月25日(2014.4.25)
発明者
  • 細野 秀雄
  • 戸田 喜丈
  • 平山 博之
出願人
  • 国立大学法人東京工業大学
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 二酸化炭素の吸着還元剤及び還元方法
発明の概要 【課題】高価な金属化合物を触媒として用いることなく、かつ、低エネルギーで、二酸化炭素を還元する方法の提供。
【解決手段】導電性マイエナイト型化合物を用いて二酸化炭素を一酸化炭素に還元する。導電性マイエナイト型化合物を室温に保持するか、200℃以下に加熱し、乾燥空気中、乾燥酸素中又は不活性ガス雰囲気中で、二酸化炭素含有ガス、又は二酸化炭素を該化合物に接触させて二酸化炭素を吸着させ、次いで、二酸化炭素を吸着した状態の該化合物を200℃以上、該化合物の融点未満に加熱することによって、二酸化炭素を一酸化炭素に還元する。又は、導電性マイエナイト型化合物を200℃以上、該化合物の融点未満に加熱し、乾燥空気中、乾燥酸素中又は不活性ガス雰囲気中で、二酸化炭素含有ガス、又は二酸化炭素を該化合物に接触させることによって、吸着と同時に二酸化炭素を一酸化炭素に還元する。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要


二酸化炭素を一酸化炭素に還元する技術は、C1化学の原料として有用な一酸化炭素を製
造する方法として、また、環境問題において非常に重要である。人間の社会的活動により
大気中に放出される二酸化炭素は地球温暖化の原因の一つであることが知られており、近
年、大気中の二酸化炭素量を削減することが大きな課題となっている。



大気中の二酸化炭素量の削減方法としては、単に排出源からの排出量を減らす方法だけで
なく、排出された二酸化炭素の処理方法として、液化した二酸化炭素の海洋貯留に代表さ
れる物理的方法、植物の光合成を利用する生物的方法、及び吸着剤による吸着や、還元剤
による分解を利用する化学的方法が考案されている。



液化又は固化した二酸化炭素を海洋や地中に貯留する方法に関しては、長期的な隔離の安
定性や周辺環境への影響が未知であり、貯留には大きなエネルギーが必要になる。また、
光合成を利用する生物的方法も植林に広大な土地が必要であり、樹木の成長も待たなけれ
ばならないために短期的な二酸化炭素の削減効果は望みにくい。近年では生物的方法とし
てプランクトンを利用する方法も研究されているが、広大な面積の水面が必要になる。



一方で、化学的方法は物理的、生物的方法と比較して、エネルギーの低減や短期的な効果
が望める他、広大な土地が必要になることもない。さらに、化学的方法の内、排出源にお
いて還元剤を用いて二酸化炭素を分解する方法では、二酸化炭素の削減効果の他に、生成
物として一酸化炭素や蟻酸等が得られるので、二酸化炭素を資源として有効に転用できる
という利点もある。



このような化学的方法として、硫化タングステン上に二酸化炭素と水素を導入し、加熱又
は太陽光の照射により二酸化炭素を一酸化炭素に転化する方法(特許文献1)、酸化鉄を
含む複合金属酸化物を触媒とし、二酸化炭素と水素を触媒に接触させて一酸化炭素を製造
する方法(特許文献2)、Fe及びCrを活性成分とする逆COシフト触媒又は活性アル
ミナを活性成分とする逆COシフト触媒の存在下にH2で還元する方法(特許文献3)、
ポルフィリン等の環状配位子化合物を活性成分として含有する還元触媒を用いる方法(特
許文献4)、酸化第一鉄を用いて二酸化炭素を炭素に還元する方法(特許文献5)、酸化
ニッケルを用いて二酸化炭素を一酸化炭素に還元する方法(特許文献6)等に関して特許
出願されている。また、高炉や発電所等からの燃焼排ガス中の二酸化炭素をゼオライトを
用いて物理吸着し分離する方法もある(特許文献7,8、9)。しかし、化学的方法は、
熱や電気といった二酸化炭素の分離や還元に要するエネルギーや、水素や触媒物質のコス
トに課題が残されている。



CaO、Al23、SiOを構成成分とするアルミノケイ酸カルシウムは、鉱物名をマイ
エナイトと言い、その結晶と同型の結晶構造を有する化合物を「マイエナイト型化合物」
という。マイエナイト型化合物は、12CaO・7Al23(以下、「C12A7」と記
す)なる代表組成を有し、C12A7結晶は、2分子を含む単位胞にある66個の酸素イ
オンの内の2個が、結晶骨格で形成されるケージ内の空間に「フリー酸素」として包接さ
れているという、特異な結晶構造を持つことが報告されている(非特許文献1)。



2003年以降、このフリー酸素イオンが種々の陰イオンで置換できることが明らかにさ
れた。特に、強い還元雰囲気にC12A7を保持すると、全てのフリー酸素を電子で置換
することができる。これは、化学式で、[Ca24Al2864]4+(e-4(以下、「C12
A7:e-」と記す)と記述され、良好な電子伝導特性を示す(非特許文献2)。



本発明者らは、導電性マイエナイト型化合物であるC12A7:e-及びC12A7と同
型化合物である12SrO・7Al23やC12A7と12SrO・7Al23との混晶
化合物とその製造法に関する発明を特許出願した(特許文献10)。また、C12A7単
結晶を(イ)アルカリ金属又はアルカリ土類金属蒸気中で高温でアニールする方法、(ロ
)不活性イオンをイオン打ち込みする方法、又は、(ハ)還元雰囲気で融液から直接固化
する方法で、1×1019/cm3以上の伝導電子を有するC12A7:e-及びC12A
7と同型化合物が得られることを見出し、これらに関する発明を特許出願した(特許文献
11)。



さらに、C12A7単結晶をチタン金属(Ti)蒸気中でアニールし、金属電気伝導性を
示すC12A7:e-を得ることに成功し、その製法及び電子放出材料としてのその用途
に関する発明を特許出願した(特許文献12)。金属電気伝導性を示すC12A7:e-
に関しては、CaCO3及びAl23を11:7で混合して、1300℃で加熱した生成
物を金属Ca蒸気雰囲気中で加熱することで粉末を直接合成することもできる(非特許文
献3)。



C12A7:e-に包接される電子は、陽イオンである結晶骨格のケージ内に緩く結合し
ているために、電場印加又は化学的な手段により外部に取り出すことができる。本発明者
らは、外部に取り出された電子を還元反応に用いることができると考え、C12A7:e
-に包接される電子でケトン化合物を還元し、2級アルコール及びジケトン化合物を製造
する方法を発明し、これを特許出願した(特許文献13)。しかしながら、この製法では
C12A7:e-を水中で用いるため、C12A7:e-は分解してしまい、一工程につ
き一度しか使用できなかった。



さらに、Alの一部をGa又はInで置換したマイエナイト型化合物に係わる発明の出願
がなされており(特許文献14)、これは、PDP保護膜材料や、有機ELデバイスにお
ける電荷注入材料など、高温加熱処理が必要とされる電極材料として適する。

産業上の利用分野


本発明は、複合金属酸化物からなる二酸化炭素の吸着還元剤及び該吸着還元剤を加熱する
だけで二酸化炭素を一酸化炭素に還元する方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
1×1019/cm3以上の伝導電子を有する導電性マイエナイト型化合物からなることを
特徴とする二酸化炭素の吸着還元剤。

【請求項2】
前記導電性マイエナイト型化合物の形状が、粉末、固体焼結体、薄膜、又は固体単結晶で
あることを特徴とする請求項1記載の吸着還元剤。

【請求項3】
1×1019/cm3以上の伝導電子を有する導電性マイエナイト型化合物を室温に保持す
るか、200℃以下に加熱し、乾燥空気中、乾燥酸素中、又は不活性ガス雰囲気中で、二
酸化炭素含有ガス、又は二酸化炭素を該化合物に接触させて二酸化炭素を吸着させ、次い
で、二酸化炭素を吸着した状態の該化合物を200℃以上、該化合物の融点未満に加熱す
ることによって、二酸化炭素を一酸化炭素に還元して該化合物から脱離させることを特徴
とする二酸化炭素の還元方法。

【請求項4】
1×1019/cm3以上の伝導電子を有する導電性マイエナイト型化合物を200℃以上
、該化合物の融点未満に加熱し、乾燥空気中、乾燥酸素中、又は不活性ガス雰囲気中で、
二酸化炭素含有ガス、又は二酸化炭素を該化合物に接触させることによって、吸着と同時
に二酸化炭素を一酸化炭素に還元して該化合物から脱離させることを特徴とする二酸化炭
素の還元方法。

【請求項5】
前記の吸着及び/又は還元を大気圧下で行うことを特徴とする請求項3又は4記載の二酸
化炭素の還元方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
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