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抗腫瘍DNAワクチン

国内特許コード P170013809
整理番号 (S2013-0262-N0)
掲載日 2017年3月16日
出願番号 特願2015-549702
公表番号 特表2016-516667
出願日 平成26年4月4日(2014.4.4)
公表日 平成28年6月9日(2016.6.9)
国際出願番号 JP2014060356
国際公開番号 WO2014163213
国際出願日 平成26年4月4日(2014.4.4)
国際公開日 平成26年10月9日(2014.10.9)
優先権データ
  • 特願2013-079854 (2013.4.5) JP
発明者
  • 中野 賢二
出願人
  • 国立大学法人九州大学
発明の名称 抗腫瘍DNAワクチン
発明の概要 本発明は、少なくとも1つの腫瘍関連抗原遺伝子を内包するミセルである、腫瘍を治療するための医薬組成物を提供する。本発明はまた、腫瘍を治療する方法であって、少なくとも1つの腫瘍関連抗原遺伝子を内包するミセルをかかる治療を必要とする患者に投与することを含む前記方法を提供する。
従来技術、競合技術の概要


化学療法、放射線療法、外科的療法と異なり、癌ワクチンは低侵襲性に抗腫瘍効果を発揮するので、悪性腫瘍に対する有望な治療法として注目されつつある。抗腫瘍効果は、腫瘍特異的な拒絶免疫の賦活化によりもたらされる。腫瘍関連抗原(TAA)は、樹状細胞(DC)/抗原提示細胞(APC)に運ばれ[1]、ここで断片化されたTAAペプチドが、細胞表面の主要組織適合抗原複合体(MHC)クラス1分子およびクラス2分子に提示される。これらは、補助刺激作用、例えば、B7/CD28およびCD40/CD40Lと共同して活性化される、特異的細胞傷害性Tリンパ球およびヘルパーTリンパ球により、それぞれ認識される[2]。更に顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)による細胞外刺激は、DC/APC細胞を成熟させ、MHCクラス2分子の発現を亢進し[3]、ワクチン効果を増強する[4]。



三つのタイプのワクチン(ペプチド、細胞および遺伝子ワクチン)が、癌治療法として基礎研究や臨床試験において検討されてきた。ペプチドワクチンは、低い生産コスト、臨床における高い安全性および良好な服薬コンプライアンスという優れた特性を有するが、免疫原性の低い腫瘍に対して強力なワクチン効果を誘発するTAAエピトープペプチドの同定は困難である[5、6]。エピトープペプチドと提示できるMHC型(ハプロタイプ)が一致することも必要であり、ペプチドワクチンの適応がある患者が限られることになる[5、6]。細胞ワクチンは、ウイルスベクターを通常用いて培養DCまたは自己の腫瘍細胞にTAA遺伝子を導入して作製される。細胞ワクチンは、構築に時間がかかり、改変は容易ではなく、病原体に関する安全性の問題を有し、かつ高い生産コストがかかる問題点を有する[7]。一方、ウイルスベクターなしでTAA単独またはアジュバント遺伝子を併用してTAAを導入する遺伝子ワクチンにより抗腫瘍免疫が誘発されるならば、上記の問題点を解決することになる[8]。



種々の合成素材、例えば、カチオン性リポソーム[9、10]、多糖類[11、12]、デンドリマー[13、14]およびカチオン性ポリマー[15~17]を用いた非ウイルス性遺伝子担体デバイスの開発が研究されてきた。しかしながら、非ウイルス性遺伝子担体デバイスの特性は未だ完成の域に遠く、正常組織損傷を引き起こすことなく、生体内での高率な遺伝子導入が達成できていない。近年、カチオン性ポリマーの改変により正常組織損傷少なく生体内に遺伝子導入できる高分子ミセル型遺伝子担体の開発が報告されている[18~21]。



参考文献
1. Smits, EL, Anguille, S, Cools, N, Berneman, ZN, and Van Tendeloo, VF (2009). Dendritic cell-based cancer gene therapy. Human gene therapy 20: 1106-1118.
2. Andersen, BM, and Ohlfest, JR (2012). Increasing the efficacy of tumor cell vaccines by enhancing cross priming. Cancer letters 325: 155-164.
3. Lu, L, et al. (1994). Propagation of dendritic cell progenitors from normal mouse liver using granulocyte/macrophage colony-stimulating factor and their maturational development in the presence of type-1 collagen. The Journal of experimental medicine 179: 1823-1834.
4. van de Laar, L, Coffer, PJ, and Woltman, AM (2012). Regulation of dendritic cell development by GM-CSF: molecular control and implications for immune homeostasis and therapy. Blood 119: 3383-3393.
5. Lazoura, E, and Apostolopoulos, V (2005). Insights into peptide-based vaccine design for cancer immunotherapy. Current medicinal chemistry 12: 1481-1494.
6. Berzofsky, JA, Terabe, M, and Wood, LV (2012). Strategies to use immune modulators in therapeutic vaccines against cancer. Seminars in oncology 39: 348-357.
7. Mackiewicz, J, and Mackiewicz, A (2009). Design of clinical trials for therapeutic cancer vaccines development. European journal of pharmacology 625: 84-89.
8. van den Berg, JH, Oosterhuis, K, Beijnen, JH, Nuijen, B, and Haanen, JB (2010). DNA vaccination in oncology: current status, opportunities and perspectives. Current clinical pharmacology 5: 218-225.
9. Liu, Y, et al. (1997). Factors influencing the efficiency of cationic liposome-mediated intravenous gene delivery. Nature biotechnology 15: 167-173.
10. Schafer, J, Hobel, S, Bakowsky, U, and Aigner, A (2010). Liposome-polyethylenimine complexes for enhanced DNA and siRNA delivery. Biomaterials 31: 6892-6900.
11. Du, YZ, Lu, P, Zhou, JP, Yuan, H, and Hu, FQ (2010). Stearic acid grafted chitosan oligosaccharide micelle as a promising vector for gene delivery system: factors affecting the complexation. International journal of pharmaceutics 391: 260-266.
12. Beaudette, TT, et al. (2009). Chemoselective ligation in the functionalization of polysaccharide-based particles. Journal of the American Chemical Society 131: 10360-10361.
13. Liu, H, Wang, H, Yang, W, and Cheng, Y (2012). Disulfide cross-linked low generation dendrimers with high gene transfection efficacy, low cytotoxicity, and low cost. Journal of the American Chemical Society 134: 17680-17687.
14. Nam, HY, Nam, K, Lee, M, Kim, SW, and Bull, DA (2012). Dendrimer type bio-reducible polymer for efficient gene delivery. Journal of controlled release : official journal of the Controlled Release Society 160: 592-600.
15. Howard, KA, et al. (2004). Formulation of a microparticle carrier for oral polyplex-based DNA vaccines. Biochimica et biophysica acta 1674: 149-157.
16. Miyata, K, et al. (2008). Polyplexes from poly(aspartamide) bearing 1,2-diaminoethane side chains induce pH-selective, endosomal membrane destabilization with amplified transfection and negligible cytotoxicity. Journal of the American Chemical Society 130: 16287-16294.
17. Takae, S, et al. (2008). PEG-detachable polyplex micelles based on disulfide-linked block catiomers as bioresponsive nonviral gene vectors. Journal of the American Chemical Society 130: 6001-6009.
18. Harada-Shiba, M, et al. (2009). Intratracheal gene transfer of adrenomedullin using polyplex nanomicelles attenuates monocrotaline-induced pulmonary hypertension in rats. Molecular therapy : the journal of the American Society of Gene Therapy 17: 1180-1186.
19. Itaka, K, et al. (2007). Bone regeneration by regulated in vivo gene transfer using biocompatible polyplex nanomicelles. Molecular therapy : the journal of the American Society of Gene Therapy 15: 1655-1662.
20. Vachutinsky, Y, et al. (2011). Antiangiogenic gene therapy of experimental pancreatic tumor by sFlt-1 plasmid DNA carried by RGD-modified crosslinked polyplex micelles. Journal of controlled release : official journal of the Controlled Release Society 149: 51-57.
21. Itaka, K, Osada, K, Morii, K, Kim, P, Yun, SH, and Kataoka, K (2010). Polyplex nanomicelle promotes hydrodynamic gene introduction to skeletal muscle. Journal of controlled release : official journal of the Controlled Release Society 143: 112-119.

産業上の利用分野


本発明は、遺伝子担体デバイス、少なくとも1つの腫瘍関連抗原遺伝子を内包するミセルである、腫瘍を治療するための医薬組成物に関する。本発明はまた、腫瘍を治療する方法であって、少なくとも1つの腫瘍関連抗原遺伝子を内包するミセルをかかる治療を必要とする対象(被験対象)に投与することを含む前記方法を提供する。

特許請求の範囲 【請求項1】
少なくとも1つの腫瘍関連抗原遺伝子および少なくとも1つのアジュバント遺伝子を内包するミセルである、腫瘍を治療するための医薬組成物。

【請求項2】
前記腫瘍関連抗原遺伝子が、T細胞3により認識される扁平上皮癌抗原(SART3)、Yボックス結合タンパク質1(YB-1)、細胞表面関連ムチン1(MUC1)およびサバイビンからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1に記載の医薬組成物。

【請求項3】
前記アジュバント遺伝子が、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)およびCD40Lからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1または2に記載の医薬組成物。

【請求項4】
前記アジュバント遺伝子が、以下の(a)~(e):
(a)配列番号13のヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド、
(b)配列番号14のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチド、
(c)1~40個のアミノ酸が配列番号14のアミノ酸配列において欠失、置換、挿入および/または付加されているアミノ酸配列からなり、28scFv(LH)-CD86キメラの活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド、
(d)配列番号14のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の相同性を有するアミノ酸配列を有し、28scFv(LH)-CD86キメラの活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド、および
(e)配列番号13のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドにストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、28scFv(LH)-CD86キメラの活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
からなる群から選択されるポリヌクレオチドのいずれか1つである、請求項1または2に記載の医薬組成物。

【請求項5】
ポリヌクレオチドをGM-CSFおよびCD40Lのいずれか1つまたは両方と組み合わせて含む、請求項4に記載の医薬組成物。

【請求項6】
前記ミセルがポリイオン複合体ミセルである、請求項1~5のいずれか一項に記載の医薬組成物。

【請求項7】
前記腫瘍が、骨肉腫、軟部組織肉腫、乳房の癌腫、肺の癌腫、膀胱の癌腫、甲状腺の癌腫、前立腺の癌腫、結腸の癌腫、結腸直腸の癌腫、膵臓の癌腫、胃の癌腫、肝臓の癌腫、子宮の癌腫、子宮頸部の癌腫、卵巣の癌腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、神経芽細胞腫、メラノーマ、ミエローマ、ウィルムス腫瘍、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、急性リンパ性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、グリオーマ、および網膜芽細胞腫からなる群から選択される1つである、請求項1~6のいずれか一項に記載の医薬組成物。

【請求項8】
少なくとも1つの腫瘍関連抗原遺伝子および少なくとも1つのアジュバント遺伝子を内包するミセルの有効量を対象に投与することを含む、対象における腫瘍を予防および/または治療する方法。

【請求項9】
前記腫瘍が獲得拒絶記憶免疫により予防される、請求項8に記載の方法。

【請求項10】
前記腫瘍関連抗原遺伝子が、T細胞3により認識される扁平上皮癌抗原(SART3)、Yボックス結合タンパク質1(YB-1)、細胞表面関連ムチン1(MUC1)、およびサバイビンからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項8または9に記載の方法。

【請求項11】
前記アジュバント遺伝子が、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)およびCD40Lからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項8~10のいずれか一項に記載の方法。

【請求項12】
前記アジュバント遺伝子が、以下の(a)~(e):
(a)配列番号13のヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド、
(b)配列番号14のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチド、
(c)1~40個のアミノ酸が配列番号14のアミノ酸配列において欠失、置換、挿入および/または付加されているアミノ酸配列からなり、28scFv(LH)-CD86キメラの活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド、
(d)配列番号14のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の相同性を有するアミノ酸配列を有し、28scFv(LH)-CD86キメラの活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド、および
(e)配列番号13のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドにストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、28scFv(LH)-CD86キメラの活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
からなる群から選択される、ポリヌクレオチドのいずれか1つである、請求項8~10のいずれか一項に記載の方法。

【請求項13】
前記ポリヌクレオチドが、GM-CSFおよびCD40Lのいずれか1つまたは両方と組み合わせて用いられ得る、請求項12に記載の方法。

【請求項14】
前記ミセルがポリイオン複合体ミセルである、請求項8~13のいずれか一項に記載の方法。

【請求項15】
前記腫瘍が、骨肉腫、軟部組織肉腫、乳房の癌腫、肺の癌腫、膀胱の癌腫、甲状腺の癌腫、前立腺の癌腫、結腸の癌腫、結腸直腸の癌腫、膵臓の癌腫、胃の癌腫、肝臓の癌腫、子宮の癌腫、子宮頸部の癌腫、卵巣の癌腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、神経芽細胞腫、メラノーマ、ミエローマ、ウィルムス腫瘍、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、急性リンパ性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、グリオーマ、および網膜芽細胞腫からなる群から選択される1つである、請求項8~14のいずれか一項に記載の方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 公開
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