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自家和合性を有するアブラナ科植物の作出方法 NEW

国内特許コード P170013831
整理番号 (S2013-0423-N0)
掲載日 2017年3月16日
出願番号 特願2014-558553
出願日 平成26年1月20日(2014.1.20)
国際出願番号 JP2014050958
国際公開番号 WO2014115680
国際出願日 平成26年1月20日(2014.1.20)
国際公開日 平成26年7月31日(2014.7.31)
優先権データ
  • 特願2013-011504 (2013.1.24) JP
発明者
  • 高山 誠司
  • 宇野 栄子
出願人
  • 国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学
発明の名称 自家和合性を有するアブラナ科植物の作出方法 NEW
発明の概要 本発明は、自家不和合性のアブラナ科植物を自家和合性に変換する技術を提供することを主な課題とする。
前記課題は、アブラナ科植物の自家不和合性遺伝子座において、クラスIに属する優性側Sハプロタイプ上の逆位反復配列(SMI)を保持させつつ、花粉因子SP11を不活性化させることにより解決される。
従来技術、競合技術の概要


アブラナ科植物には、アブラナ、カブ、コマツナ、ハクサイ、チンゲンサイ、ダイコン等の植物体の全てが食用とされる植物が多く含まれるが、例えばアブラナはナタネ油の原料として種子に高い利用価値を有する植物も含まれる。従来、ナタネ油は食用や灯火燃料とされてきたが、近年ではバイオディーゼルの原料としても注目されている。



現在、ナタネ油の生産には、主に西洋アブラナ(Brassica napus)が利用されている。西洋アブラナは、自家和合性であり種子生産性にも優れていることから、北米やカナダでは盛んに栽培されているが、他の地域での生育・生産効率は良好とは言えず品種改良が必要とされている。しかしながら、西洋アブラナはアブラナ(Brassica rapa)とキャベツ類(Brassica oleracea)が自然交配して生じた複二倍体種であるとされており、遺伝的多様性に乏しいため、交配によって有益な遺伝子を導入する従来の育種法を適用することは困難であった。



一方、我が国においては古来ナタネ油の原料としてアブラナ(Brassica rapa)が利用されてきた。アブラナは遺伝的多様性に富み、環境適合性や種子生産性の向上等の観点で有利な株を作出できる可能性を有している。しかし、アブラナは自家不和合性であるため単独系統で種子をつけることがなく、集団栽培で昆虫等の自然交配に頼って系統を維持する必要があることから、安定的に特定の系統を維持することが難しい。また、種子をつけるには他個体との交配が必要であるため種子生産性が低く、交配を行う集団全体に品種改良を加えなければならず、優良系統の育種は困難であった。



このような背景から、アブラナをはじめとする自家不和合性のアブラナ科植物を自家和合性に変換することによって自殖種子稔性を付与し、その遺伝的多様性を利用して効率的に優良品種を作出、維持することが可能な技術が求められていた。



ここで、自家不和合性とは、植物が持つ自家受粉を抑制する機構の1つである。この機構がはたらくことによって、受粉の際に雌ずいと花粉の間で自他の認識反応が起き、他個体の花粉のみ受精が可能となる。即ち、自家不和合性の植物では、雌しべと花粉の遺伝子型が同じ場合、花粉が柱頭に到達しても花粉の発芽、粉管の伸長、胚珠の受精、受精胚の生育のいずれかの段階が停止するため、種子が形成されない。多くの植物において、このような自家不和合性の機構は、自家不和合性遺伝子座(S遺伝子座)上に連鎖して存在する一連の複対立遺伝子群(S1、S2、…Snハプロタイプ)によって制御されている。アブラナ科植物においては、Sハプロタイプはリガンドとなる花粉因子SP11と、レセプターとして機能する雌ずい因子SRKをコードしており、同一S遺伝子上のSP11とSRKが特異的に相互作用することによって自己の花粉が識別され、不和合反応が生じる。更に、S遺伝子座上には、SRKタンパク質と非常に類似した塩基配列を持っており、共同レセプターとして機能して自家不和合性反応を拡大するとされている柱頭タンパク質(SLG:S locus glycoprotein)が存在していることも知られている。



アブラナ科植物には100以上ものSハプロタイプが存在し、中には2つのハプロタイプ間で優劣の関係が生じる場合がある。このような場合、クラスIとして分類される優性側Sハプロタイプ上の逆位転写配列(SMI)の影響により、クラスIIとして分類される劣性側Sハプロタイプ上のSP11発現調節領域がDNAメチル化を受け、劣性側Sハプロタイプの発現が完全に抑制されることが明らかとなっている(例えば、非特許文献1及び2、ならびに図1を参照)。



このように、自家不和合性のメカニズムについて様々な知見が得られているが、自家不和合性のアブラナ科植物を効率的に自家和合性に変換するための実用的で簡便な手法については知られていなかった。

産業上の利用分野


本発明は、自家不和合性のアブラナ科植物を自家和合性に変換することを可能とする技術に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
自家不和合性アブラナ科植物から自家和合性アブラナ科植物を作出する方法であって、
アブラナ科植物の自家不和合性遺伝子座において、クラスIに属するSIハプロタイプの逆位反復配列(SMI)を保持させつつ、花粉因子SP11を不活性化させることを含む、前記作出方法。

【請求項2】
前記アブラナ科植物がBrassica属植物である、請求項1に記載の作出方法。

【請求項3】
前記Brassica属植物が、アブラナ、ハクサイ、カブ、コマツナ、ミズナ、チンゲンサイ、ノザワナ及びパクチョイからなる群より選択されるいずれか1種のBrassica rapaである、請求項2に記載の作出方法。

【請求項4】
下記工程(1a)を含む自家和合性アブラナ科植物の育種方法:
(1a)アブラナ科植物の自家不和合性遺伝子座において、クラスIに属し、且つ逆位反復配列を保持しつつ花粉因子SP11が不活性化されたS0ハプロタイプを有する株と、クラスIIに属するSIIハプロタイプを有する株とを交配し、自家和合性株を得る工程。

【請求項5】
下記工程(2a)を更に含む、請求項4に記載の育種方法:
(2a)前記工程(1a)で得られた自家和合性株のアブラナ科植物を自殖すること、又はSハプロタイプに関して同じ遺伝子型の株を用いて近親交配を行うことにより、S0ハプロタイプに関してホモ接合体である株を選択する工程。

【請求項6】
前記工程(2a)を5~7回繰り返す、請求項5に記載の育種方法。

【請求項7】
下記工程(1b)~(3b)を含む、アブラナ科植物のF1ハイブリッド育種用親株の育種方法:
(1b)アブラナ科植物の自家不和合性遺伝子座において、クラスIに属し、且つ逆位反復配列を保持しつつ花粉因子SP11が不活性化されたS0ハプロタイプを有する株と、クラスIIに属するSIIハプロタイプを有する株とを交配し、自家和合性株を得る工程;
(2b)前記工程(1b)で得られた自家和合性のアブラナ科植物を自殖する、又はSハプロタイプに関して同じ遺伝子型の株を用いて近親交配を行う工程;及び
(3b)前記工程(2b)において得られた株からクラスIIに属するSIIハプロタイプに関してホモ接合体である株を選択する工程。

【請求項8】
前記工程(2b)を5~7回繰り返す、請求項7に記載の育種方法。

【請求項9】
下記工程(1c)~(3c)を含む、自家和合性アブラナ科植物のスクリーニング方法であって、
(1c)被験アブラナ科植物からDNA試料を調製する工程;
(2c)前記工程(1c)で調製されたDNA試料から、逆位反復配列及びSP11をコードする塩基配列を含むDNA断片を増幅する工程;及び
(3c)前記工程(2c)で増幅したDNA断片の分子量又は塩基配列に基づいて、アブラナ科植物の自家不和合性遺伝子座において、クラスIに属し、且つ逆位反復配列を保持しつつ花粉因子SP11が不活性化されている株を選択する工程。

【請求項10】
自家和合性アブラナ科植物のスクリーニング用キットであって、
アブラナ科植物における自家不和合性遺伝子座上のクラスIに属するSIハプロタイプにおいて、
(i)逆位反復配列(SMI)を保持していることを検出可能な試薬;及び
(ii)花粉因子SP11が不活性化されていることを検出可能な試薬
を含む、前記キット。

【請求項11】
自家不和合性遺伝子座において、クラスIに属し、且つ逆位反復配列を保持しつつ花粉因子SP11が不活性化されたS0ハプロタイプを有するアブラナ科植物の株と、自家不和合性遺伝子座において、クラスIIに属するSIIハプロタイプを有するアブラナ科植物の株の、
自家和合性アブラナ科植物の作出のための使用。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 公開
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