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細胞の再プログラミングを誘導するタンパク質含有成分、並びに該成分を用いた多能性細胞の製造方法および該成分を含む培地 NEW

国内特許コード P170013854
整理番号 (S2013-0852-N0)
掲載日 2017年3月17日
出願番号 特願2015-511166
出願日 平成26年3月14日(2014.3.14)
国際出願番号 JP2014056948
国際公開番号 WO2014167943
国際出願日 平成26年3月14日(2014.3.14)
国際公開日 平成26年10月16日(2014.10.16)
優先権データ
  • 特願2013-082797 (2013.4.11) JP
  • 特願2013-218575 (2013.10.21) JP
発明者
  • 太田 訓正
出願人
  • 国立大学法人 熊本大学
発明の名称 細胞の再プログラミングを誘導するタンパク質含有成分、並びに該成分を用いた多能性細胞の製造方法および該成分を含む培地 NEW
発明の概要 本発明の目的は、再生医療への応用において安全性が高い多能性細胞、およびその製造方法を提供することである。本発明の目的はまた、特には細胞の癌化の問題や、細胞内での菌の存在という、安全性に対する懸念がより少ない多能性細胞、およびその製造方法を提供することである。
本発明により体細胞から多能性細胞を製造する方法が提供される。該方法は、体細胞に、発酵能を有する細菌から得ることができる、細胞を再プログラミング誘導することができる糖タンパク質含有成分を接触させる工程を含む。
従来技術、競合技術の概要


ES細胞は、胚性幹細胞と呼ばれ、1981年にはマウスの胚から、1998年にはヒ卜の胚から発見された。ES細胞は胎盤を構成する細胞以外のさまざまな種類の細胞に変化する能力(多能性)を持つ細胞として、それを用いた組織や器官を構築する研究が主に行われてきた。しかしながら、ES細胞は順調に成長すれば生命になる受精卵を利用しているため、倫理的に大きな問題を抱えている。もうひとつの大きな問題として、拒絶の問題がある。ES細胞を元に作製した分化細胞や臓器を患者に移植しても、免疫系はこれらを非自己と認識し攻撃する可能性がある。



これらES細胞の問題を解決するために、京都大学の山中伸弥教授のグループは、通常は他の機能を持つ細胞に分化しない皮膚細胞からさまざまな種類の細胞に変化する能力を持つ細胞を開発し、iPS細胞と名付けた。山中ファクターと呼ばれる4つの因子(Qct 3/4, Sox2, KLf4,c-Myc) をマウスやヒ卜の皮膚細胞にレ卜口ウイルスベクターを使って導入すると、細胞の初期化がおこり、ES細胞と同じく多能性を持つ細胞が作り出せることを示した[非特許文献1 ;及び非特許文献2]。この時に用いる細胞は、患者自身の分化した皮膚などの体細胞に由来するため、iPS細胞から分化させた細胞を患者に移植しても免疫系はその臓器を自己と認識し移植が拒絶されることはない。iPS細胞の発見によりES細胞が抱えていた「生命倫理」という問題もクリアされた。



上記の通り、iPS細胞は再生医療の切り札として世界的に注目されているが、細胞が癌化してしまうという技術的な問題が残されている。癌化の原因のひとつは、細胞に導入したc-Myc遺伝子によるものだが、最近では、c-Myc遺伝子を除く3つの因子でもiPS細胞が作製された。また、遺伝子の細胞への導入もレ卜口ウイルスを使うのではなく、アデノウイルスやプラスミドを用いてiPS細胞を作製することで、より安全で実用化に近いiPS細胞の作製に一歩近づいた。しかし、人工的にいくつかの遺伝子を、細胞分化を終えた細胞に強制発現させる手法をとることから、将来、これらの細胞が癌化する可能性は否定できない。



また、特許文献1において、マィコバクテリウム・レプラエ菌またはその成分を用いて、再ブログラミングされた胚幹細胞(ES) 様細胞を産生する方法が提案されている。特許文献1には、マイコバクテリウム・レプラエ菌そのものを、成人の分化細胞に接触・感染させることによる、再プログラミングされたES様細胞を産生する方法、この方法によって産生された細胞が記載されている。接触・感染させた菌は、産生されたES様細胞中に存在することが記載されている。しかしながら、マイコバクテリウム・レプラエ菌はらい菌であり、再生医療への応用には安全性の懸念がある。



また、本発明者により、発酵能を有する細菌である乳酸菌や納豆菌を、体細胞に感染させて、体細胞から多能性細胞を製造する方法が報告されている(特許文献2)。

産業上の利用分野


本発明は、細胞の再プログラミングを誘導するタンパク質含有成分に関する。本発明はまた、そのようなタンパク質含有成分を用いて多能性細胞を製造する方法に関する。本発明はさらには、そのようなタンパク質含有成分を含む培地に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
単離された哺乳類動物の体細胞から誘導された多能性細胞であって、以下の工程、
(a)前記体細胞に、発酵能を有する細菌のホモジネートから得ることができる細胞を再プログラミング誘導するタンパク質含有成分であって、以下の性質:
(i)m-アミノフェニルボロン酸に結合する、
(ii)コンカナバリンAに結合しない、および
(iii)小麦胚芽レクチン(Wheat germ lectin)に結合しない
の少なくとも一つを有するタンパク質含有成分を接触させて培養または維持する工程、および
(b)形成された細胞塊を回収する工程、
含む製造工程により生産される多能性細胞。

【請求項2】
前記タンパク質含有成分が、細菌のホモジネートを硫安沈殿法を用い濃縮することにより得られた、100KDaの限外ろ過フィルターを透過しない大きさの成分である、請求項1に記載の多能性細胞。

【請求項3】
前記タンパク質含有成分が、SDS-PAGEにおいて約55~約65KDaの分子量を示すタンパク質をメインバンドとして含む、請求項1または2に記載の多能性細胞。

【請求項4】
前記発酵能を有する細菌が乳酸菌または納豆菌である請求項1~3のいずれか一つに記載の多能性細胞。

【請求項5】
前記乳酸菌が、Lactococcus属、Streptococcus属、またはLactobacillus属の乳酸菌である請求項4に記載の多能性細胞。

【請求項6】
前記タンパク質含有成分が、(a)発酵能を有する細菌を破砕することにより得られるホモジネートを硫安濃度20~60%飽和で沈殿させて硫安沈殿として得る工程、および(b)該硫安沈殿を溶解した溶液を100KDaの限外ろ過フィルターを透過させ、透過しない画分を得る工程、を含む工程により得られるタンパク質含有成分である、請求項1~5のいずれか一つに記載の多能性細胞。

【請求項7】
前記体細胞が、ヒト由来の、正常体細胞またはがん細胞である請求項1~6のいずれか一つに記載の多能性細胞。

【請求項8】
請求項1~7のいずれか一つに記載の多能性細胞を分化誘導培地で培養することにより分化誘導された細胞。

【請求項9】
前記細胞が、脂肪細胞、骨細胞、軟骨細胞、神経細胞、心筋細胞、肝細胞、膵臓細胞、または血球細胞である、請求項8に記載の細胞。

【請求項10】
単離された哺乳類動物の体細胞から多能性細胞を製造するための方法であって、
前記体細胞に、発酵能を有する細菌のホモジネートから得ることができる細胞を再プログラミング誘導するタンパク質含有成分であって、以下の性質:
(i)m-アミノフェニルボロン酸に結合する、
(ii)コンカナバリンAに結合しない、および
(iii)小麦胚芽レクチン(Wheat germ lectin)に結合しない
の少なくとも一つを有するタンパク質含有成分を接触させることを含む体細胞から多能性細胞を製造する方法。

【請求項11】
前記タンパク質含有成分が、細菌のホモジネートを硫安沈殿法を用い濃縮することにより得られた、100KDaの限外ろ過フィルターを透過しない大きさの成分である、請求項10に記載の方法。

【請求項12】
前記タンパク質含有成分が、SDS-PAGEにおいて約55~約65KDaの分子量を示すタンパク質をメインバンドとして含む、請求項10または11に記載の方法。

【請求項13】
前記発酵能を有する細菌が乳酸菌または納豆菌である請求項10~12に記載の方法。

【請求項14】
前記乳酸菌が、Lactococcus属、Streptococcus属、またはLactobacillus属の乳酸菌である請求項13に記載の方法。

【請求項15】
前記タンパク質含有成分が、(a)発酵能を有する細菌を破砕することにより得られるホモジネートを硫安濃度20~60%飽和で沈殿させて硫安沈殿として得る工程、および(b)該硫安沈殿を溶解した溶液を100KDaの限外ろ過フィルターを透過させ、透過しない画分を得る工程を含む工程により得られるタンパク質含有成分である、請求項10~14のいずれか一つに記載の方法。

【請求項16】
前記体細胞が、ヒト由来の、正常体細胞またはがん細胞である請求項10~15のいずれか一つに記載の方法。

【請求項17】
発酵能を有する細菌のホモジネートから得られる細胞を多能性細胞に再プログラミング誘導するタンパク質含有成分であって、以下の性質:
(i)m-アミノフェニルボロン酸に結合する、
(ii)コンカナバリンAに結合しない、および
(iii)小麦胚芽レクチン(Wheat germ lectin)に結合しない
の少なくとも一つを有する糖タンパク質含有成分を含有する細胞再プログラミング誘導組成物。

【請求項18】
前記タンパク質含有成分が、細菌のホモジネートを硫安沈殿法を用い濃縮することにより得られた、100KDaの限外ろ過フィルターを透過しない大きさの成分である、請求項17に記載の組成物。

【請求項19】
前記タンパク質含有成分が、SDS-PAGEにおいて約55~約65KDaの分子量を示すタンパク質をメインバンドとして含む、請求項17または18に記載の組成物。

【請求項20】
前記発酵能を有する細菌が乳酸菌または納豆菌である請求項17~19のいずれか一つに記載の組成物。

【請求項21】
前記乳酸菌が、Lactococcus属、Streptococcus属、またはLactobacillus属の乳酸菌である請求項20に記載の組成物。

【請求項22】
前記タンパク質含有成分が、(a)発酵能を有する細菌を破砕することにより得られるホモジネートを硫安濃度20~60%飽和で沈殿させて硫安沈殿として得る工程、および(b)該硫安沈殿を溶解した溶液を100KDaの限外ろ過フィルターを透過させ、透過しない画分を得る工程、を含む工程により得られるタンパク質含有成分である、請求項17~21のいずれか一つに記載の組成物。

【請求項23】
前記細胞が、ヒト由来の、正常体細胞またはがん細胞である請求項17~22のいずれか一つに記載の組成物。

【請求項24】
請求項17~23のいずれか一つに記載の組成物を含む抗がん剤。

【請求項25】
乳酸菌または納豆菌からのホモジネートまたは粗精製物を含む、単離された哺乳類動物体細胞の再プログラミング培地。

【請求項26】
前記ホモジネートまたは粗精製物が、以下の性質:
(i)m-アミノフェニルボロン酸に結合する、
(ii)コンカナバリンAに結合しない、および
(iii)小麦胚芽レクチン(Wheat germ lectin)に結合しない
の少なくとも一つを有するタンパク質を含むことを特徴とする、請求項25に記載の培地。

【請求項27】
前記成分が、SDS-PAGEにおいて約55~約65KDaの分子量を示すタンパク質をメインバンドとして含む、請求項26に記載の培地。

【請求項28】
前記乳酸菌が、Lactococcus属、Streptococcus属、またはLactobacillus属の乳酸菌である請求項25~27のいずれか一つに記載の培地。

【請求項29】
前記培地が、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、イーグル最少必須(EME)培地、イスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)、アルファ-最少必須培地(α-MEM)、RPMI 1640、Ham-F-12、MCDBおよびそれらの改変培地からなる群より選ばれる、請求項25~28のいずれか一つに記載の培地。
国際特許分類(IPC)
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出願権利状態 公開
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