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白金触媒の製造方法及びそれを用いた燃料電池

国内特許コード P170013902
整理番号 (S2015-0700-N0)
掲載日 2017年3月29日
出願番号 特願2015-198803
公開番号 特開2017-029967
出願日 平成27年10月6日(2015.10.6)
公開日 平成29年2月9日(2017.2.9)
優先権データ
  • 特願2015-047090 (2015.3.10) JP
  • 特願2015-154501 (2015.8.4) JP
発明者
  • 稲葉 稔
  • 大門 英夫
  • 奥野 紘介
  • 樋口 峻哉
  • 松井 祐貴
  • 青木 直也
  • 井上 秀男
  • 西川 健仁
出願人
  • 学校法人同志社
  • 石福金属興業株式会社
発明の名称 白金触媒の製造方法及びそれを用いた燃料電池
発明の概要 【課題】コア金属としてパラジウム(Pd)を用いた白金コアシェル触媒や、白金と白金以外の金属とを含む白金合金触媒であって、酸素還元活性に優れたカーボン担持白金触媒、及び、かかる触媒を工業的に量産化可能な方法で得るための製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】白金と白金以外の金属とを含む燃料電池用の白金触媒の製造方法であって、プロトンを含む酸性溶液に白金触媒を分散した分散溶液中に、(I)前記白金触媒の白金の酸化物生成開始電位よりも高い電位を与える化学種を存在させる工程と、(II)前記白金触媒の白金の酸化物還元開始電位よりも低い電位を与える化学種を存在させる工程と、を含む、白金触媒の製造方法。
【選択図】図7
従来技術、競合技術の概要


固体高分子形燃料電池(PEFC)は、アノード側で水素の酸化反応を、カソード側で酸素の還元反応を起こすことにより、水のみを生成するクリーンエネルギーデバイスであって、カソード側の触媒として、白金(Pt)を使用するものが知られている。貴金属である白金を用いる触媒は、触媒活性や電気伝導性が高く、また、周辺環境の状態や周辺環境に存在する物質による腐食や被毒を受けにくいという利点を有する。



一方で、白金は資源量が少なく価格が高いという問題があり、その利用効率や耐久性を向上させて使用量を低減するために種々の検討が進められている。検討の一つとして、異種金属上に白金を被覆してなる白金コアシェル触媒が注目されている。白金コアシェル触媒は、触媒活性を発揮する白金原子は触媒粒子の最外層に露出した白金原子のみであることに着目して考案されたもので、白金原子層(シェル)で被覆された異種金属微粒子(コア)が、カーボン等の担体に高分散担持された構成を有する。



白金コアシェル触媒のコア金属の一つとして、パラジウム(Pd)が知られている。非特許文献1及び非特許文献2には、コア金属としてPdを使用した場合、PEFCでの酸素還元反応(Oxygen Reduction Reaction: ORR)活性が高まることが開示されている。Pdの格子定数(0.38898 nm)はPt(0.39231 nm)よりも小さいため、Pdコア上に設けたPtシェルには僅かな圧縮応力が発生する。この圧縮応力によって、Ptシェル表面で酸素還元反応が進行しやすい状況が実現され、ORR活性が高まったものと考えられている。



白金をシェル、パラジウムをコアとしたコアシェル触媒では、上述のようにORR活性が向上する一方で、Pdの標準酸化還元電位(0.92 V vs. NHE)がPt(1.19 V vs. NHE)に比べて低いため、その耐久性に問題がある。非特許文献3では、カーボン担持Pdコア/Ptシェル触媒(以後、Pt/Pd/C触媒と記述することもある。)をカソードに使用したPEFCにおいて、発電によりPdコアの一部が酸化溶解し、固体高分子電解質膜中に金属Pdが再析出し、Pdバンドが現れることが報告されている。



発明者らは既に、Pdコアの酸化溶出は触媒の耐久性の観点からは問題である一方で、Pdの酸化溶出によってPt/Pd/C触媒の粒径と形態に変化が生じ、ORR活性が高まることを見出している。特許文献1には、従来、触媒の電位サイクル耐久性試験(Accelerated Durability Test, ADT)として行われてきた電圧の印加が、Pt/Pd/C触媒の活性を向上させる結果をもたらすことが開示されている。また特許文献1には、Pt/Pd/C触媒に、Ptの酸化物還元開始電位よりも高い電位と、Ptの酸化物生成開始電位よりも低い電位とを繰り返し与えることによって、Pt/Pd/C触媒の活性が向上することも開示されている。



特許文献1に開示された具体的な電位付与方法は、プロトンを含む酸性溶液中に白金コアシェル触媒を分散し、酸化還元電位が当該白金コアシェル触媒の酸化物生成開始電位よりも低い金属を共存させながら、酸素供給下に撹拌するという方法であった。当該方法は全く新規な手法であり、一定の効果を得るものであったが、ORR活性のさらなる向上が期待されていた。



一方、特許文献2には白金合金の触媒とその製造方法が開示されている。特許文献2に開示された製造方法は、白金の有機金属錯体と金属塩化物を有機溶媒に分散してから、還元剤を加えて調製した混合溶液を加圧及び加熱して、2nm以下の径の白金合金ナノ粒子を合成する工程と、前記白金合金ナノ粒子を真空中300℃以上1000℃以下の温度で加熱(アニール)して、その直径を2nm以上100nm以下とする工程とを有する。特許文献2の発明では、白金合金ナノ粒子を合成した後に加熱(アニール)を行うことによって、合金粒子の粒子径を2nm以上100nm以下に調整し、特定の結晶形の白金合金粒子を得ることができると考えられている。

産業上の利用分野


本発明は、燃料電池において酸素還元反応の触媒として用いるのに適した白金触媒の製造方法、及び当該触媒を用いた燃料電池に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
白金と白金以外の金属とを含む燃料電池用の白金触媒の製造方法であって、プロトンを含む酸性溶液に白金触媒を分散した分散溶液中に、
(I)前記白金触媒の白金の酸化物生成開始電位よりも高い電位を与える化学種を存在させる工程と、
(II)前記白金触媒の白金の酸化物還元開始電位よりも低い電位を与える化学種を存在させる工程と、を含む、製造方法。

【請求項2】
前記工程(I)及び前記工程(II)を交互に複数回行う、請求項1に記載の白金触媒の製造方法。

【請求項3】
前記工程(I)及び前記工程(II)を、それぞれ所定の持続時間行う、請求項1又は2に記載の白金触媒の製造方法。

【請求項4】
前記所定の持続時間が、1分~30分のいずれかの時間である、請求項3に記載の白金触媒の製造方法。

【請求項5】
前記工程(I)及び前記工程(II)が、前記分散溶液中に、気体及び/又は固体を存在させる工程である、請求項1~4のいずれか1項に記載の白金触媒の製造方法。

【請求項6】
前記工程(I)が、(A)前記白金触媒の白金の酸化物生成開始電位よりも高い電位を与える気体を送入する工程、であり、
前記工程(II)が、(B-1)前記白金触媒の白金の酸化物還元開始電位よりも低い電位を与える気体を送入する工程である、
請求項1~4のいずれか1項に記載の白金触媒の製造方法。

【請求項7】
前記工程(B-1)において、白金の酸化物還元開始電位よりも低い電位を与える気体が、水素である、請求項6に記載の白金触媒の製造方法。

【請求項8】
前記工程(I)が、(A)前記白金触媒の白金の酸化物生成開始電位よりも高い電位を与える気体を送入する工程、であり、
前記工程(II)が、(B-2)前記白金触媒の白金の酸化物還元開始電位よりも低い電位を与える固体を前記分散溶液中に存在させながら、不活性気体を送入する工程である、
請求項1~4のいずれか1項に記載の白金触媒の製造方法。

【請求項9】
前記工程(B-2)において、白金の酸化物還元開始電位よりも低い電位を与える固体が銅であり、不活性気体がアルゴンガスあるいは窒素ガスである、請求項8に記載の白金触媒の製造方法。

【請求項10】
前記工程(A)において、白金の酸化物生成開始電位よりも高い電位を与える気体が、酸素を含む気体である、請求項6~9のいずれか1項に記載の白金触媒の製造方法。

【請求項11】
前記プロトンを含む酸性溶液が硫酸溶液である、請求項1~10のいずれか1項に記載の白金触媒の製造方法。

【請求項12】
前記工程(I)と、前記工程(II)との間に、(III)不活性ガスを送入する工程をさらに含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の白金触媒の製造方法。

【請求項13】
前記白金触媒が、パラジウムを含有するコア粒子と、当該コア粒子の表面に形成された白金シェルとを有する白金コアシェル触媒である、請求項1~12のいずれか1項に記載の白金触媒の製造方法。

【請求項14】
前記白金触媒が、白金と、パラジウム、コバルト、ニッケル、鉄又は銅との白金合金触媒である、請求項1~12のいずれか1項に記載の白金触媒の製造方法。

【請求項15】
請求項1~14のいずれか1項に記載の方法によって製造された白金触媒。

【請求項16】
請求項1~14のいずれか1項に記載の方法によって製造された白金触媒を酸化還元反応の触媒として利用する燃料電池。

【請求項17】
燃料電池用の白金触媒の活性を向上させる方法であって、白金触媒を酸性溶液中に分散させて、
(1)白金触媒分散溶液に、不活性ガスを送入する工程と、
(2)白金触媒分散溶液に、水素を送入する工程と、
(3)白金触媒分散溶液に、不活性ガスを送入する工程と、
(4)白金触媒分散溶液に、酸素を送入する工程と、を順番に繰り返して複数回行う方法。

【請求項18】
燃料電池用の白金触媒の活性を向上させる方法であって、白金触媒を酸性溶液中に分散させて、
(101)白金触媒分散溶液に、不活性ガスを送入する工程と、
(102)白金触媒分散溶液に、不活性ガスを送入しながら、固体銅を存在させる工程と、
(103)前記工程(102)の固体銅を白金触媒分散溶液中から除去する工程と、
(104)白金触媒分散溶液に、酸素を送入する工程と、を順番に繰り返して複数回行う方法。
国際特許分類(IPC)
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出願権利状態 公開
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