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アレルギー疾患に関連する、CD300a発現細胞の活性調節剤を含有する医薬品、ならびにCD300a遺伝子欠損マウスおよびCD300a発現細胞の活性調節剤の使用

国内特許コード P170013914
整理番号 (S2013-0159-N0)
掲載日 2017年3月29日
出願番号 特願2014-545706
出願日 平成25年11月5日(2013.11.5)
国際出願番号 JP2013079890
国際公開番号 WO2014073529
国際出願日 平成25年11月5日(2013.11.5)
国際公開日 平成26年5月15日(2014.5.15)
優先権データ
  • 特願2012-245816 (2012.11.7) JP
発明者
  • 渋谷 彰
  • 小田 ちぐさ
  • カンカーナム ガマゲ ウダヤンガ サナトゥ
  • 三木 春香
出願人
  • 国立大学法人 筑波大学
発明の名称 アレルギー疾患に関連する、CD300a発現細胞の活性調節剤を含有する医薬品、ならびにCD300a遺伝子欠損マウスおよびCD300a発現細胞の活性調節剤の使用
発明の概要 アレルギー疾患(アトピー性皮膚炎、喘息等)に対する医薬品や、アレルギー疾患の病態解析に有用なツールを提供すること。CD300aとホスファチジルセリンの結合を阻害する物質を含有する、CD300aを発現するミエロイド系細胞の抑制性シグナル伝達を抑制するための活性調節剤を有効成分として含有する医薬品は、アレルギー疾患を治療または予防するために使用することができる。また、CD300a遺伝子欠損マウスは、アレルギー疾患を誘導させる物質を投与したときにアレルギー疾患を誘発しにくいモデルマウスとして、アレルギー疾患の病態解析を行うための、またはその治療薬もしくは予防薬の有効成分となりうる候補物質をスクリーニングするために使用することができる。
従来技術、競合技術の概要


宿主(人体または動物体内)に病原体(細菌、ウイルス、寄生虫等)が侵入したり、内因性の起炎物質が発生したりすると、病原体の侵入部位または起炎物質の発生部位にて細動脈が一時的に収縮した後、拡張・充血に至って、病原体の侵入部位または起炎物質の発生部位の血流が局所的に緩慢になるといった炎症反応が発生する。



すると、白血球が血管壁に膠着し、さらに各種免疫系細胞から放出されるケミカルメディエーターの作用により、アメーバ様運動により血管壁を通過して遊走する。ケミカルメディエーターとしては、ヒスタミン、セロトニン、リンホカイン等が知られている。ヒスタミンやセロトニンを産生・放出するマスト細胞は、炎症反応において中心的な役割を果たしているリンパ球の一つである。また、マクロファージもマスト細胞と同様にTNF等のケミカルメディエーターを産生・放出する。



炎症反応によって、遊走させられた白血球が病原体等に誘引されると、病原体に抗原抗体反応を伴う体液性免疫や細胞障害性T細胞等が関与する細胞性免疫によって、病原体が体内から除去され(クリアランス)、感染拡大が防止される。このように、炎症反応およびそれに基づく免疫反応は、生体の恒常性を維持するためには極めて重要である。



一方で、炎症反応は、上述のような生体防御とともに、発赤、発熱、腫張、疼痛、機能障害といった不具合な徴候・症状を示してしまう。このような症状として、具体的には、アレルギー疾患、各種急性または慢性炎症が挙げられる。また、免疫学的寛容が適用されず、自己に対して免疫応等が生じてしまう自己免疫疾患が発生した場合も、炎症反応によって組織傷害が発生してしまう。



すなわち、炎症反応を伴う疾患を予防するには、炎症反応を惹起させる病原体を各種抗生物質(抗菌剤)によって死滅させることや、生体内の免疫機能を向上させる薬剤を投与して、炎症反応が過剰に亢進する前に、病原体を除去することが重要である。



一方、炎症反応を伴う疾患を改善・治療するには、たとえば、ケミカルメディエーターの放出を抑制するような、過剰に活性化した免疫機能を低下させる薬剤(抗炎症剤)を投与して、炎症の鎮静化を図ることが知られている。



たとえば、特許文献1には、免疫活性剤として、抗原提示細胞として各種免疫系細胞の活性化を担う樹状細胞の機能賦活化剤が開示され、具体的には、イソロイシン、ロイシンおよびバリンから選ばれる少なくとも1種の分岐鎖アミノ酸を有効成分とすることを特徴とするものである。



特許文献2には、抗炎症剤として、SPARC(Secreted prоtein which is acidic and rich in cystein)ペプチドおよび薬理学的担体を含む薬剤が開示されている。



ところで、自然免疫系を担当するミエロイド系(骨髄系)細胞の細胞膜上には、MAIR(Myeloid Associated Ig like Receptors)と称されるレセプター分子群が発現していることが知られている(非特許文献1)。このうち、CD300aとしても知られている(その他「LMIR1」、「CLM-8」と称されることもある)MAIR-Iは、マクロファージ、肥満細胞、顆粒球(好中球)、樹状細胞に発現しており、細胞内領域のITIM(Immunoreceptor tyrosine-based inhibitory motif)配列を介して脱リン酸化酵素と会合し、抑制性シグナルを伝達する抑制性レセプターであることが知られている(非特許文献2)。しかしながら、当該受容体のリガンドは不明であり、いわゆるオーファンレセプターとなっていた。



アトピー性皮膚炎は、アレルギー物質(抗原)が体内に入り、活性化した免疫細胞から分泌された物質(インターロイキン4,13)が刺激となって作られたペリオスチンが、皮膚の角化細胞表面にある別のタンパク質「インテグリン」と結合することで炎症を起こすことが原因となっている。



ペリオスチンがインテグリンと結合することによって新たな炎症誘発性物質が産生され、抗原がなくても症状が継続して慢性化する。マウスを使った実験で、ペリオスチンとインテグリンの結合を阻害剤により阻害すると、アトピー性皮膚炎は起きないことが示されている(非特許文献3)。



アトピー性皮膚炎の主たる病因が明らかになったものの、アトピー性皮膚炎の病態のさらなる解明および他の炎症疾患との関連性の解析、上記阻害剤と併用可能なアトピー性皮膚炎用の医薬品等も望まれている。



一方、気管支喘息(Bronchial Asthma)とはアレルギー反応や細菌・ウイルス感染などが発端となった気管支の炎症が慢性化することで気道過敏性の亢進、可逆性の気道狭窄をおこし、発作的な喘鳴、咳などの症状をきたす呼吸器疾患である。また、気管支喘息は、気道過敏性、アレルギー体質、環境の組合せでおこるとされている。ぜん鳴、無呼吸、胸部緊張および咳などの再発性の症状の発現の形で、特に夜または早朝に現れる。



多くの細胞および細胞成分、特に肥満細胞、好酸球、Tリンパ球、マクロファージ、好中球および上皮細胞は、気道の炎症に役割を演じている。炎症は、血漿の滲出、浮腫、平滑筋肥大、粘液填塞(mucus plugging)および上皮変化と関連している。また、炎症は、種々の刺激に対して存在する気管支過応答の関連する増大を引き起こす。



気道の炎症は、気道平滑筋の萎縮、微小血管の破裂および気管支過応答を導く。気道の反応性が高いと、症状はより重く、持続的になり、肺機能の日中の変動の規模がより大きくなる。気道の炎症が気管支の反応性に関連しているメカニズムは不明であり、喘息の病態解明に有用なツールや、医薬品等が望まれていた。

産業上の利用分野


本発明は、アレルギー疾患に関連する、CD300a発現細胞の活性調節剤を含有する医薬品、ならびにCD300a遺伝子欠損マウスおよびCD300a発現細胞の活性調節剤の使用に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
CD300aとホスファチジルセリンの結合を阻害する物質を含有する、CD300aを発現するミエロイド系細胞の抑制性シグナル伝達を抑制するための活性調節剤を有効成分として含有することを特徴とする、アレルギー疾患を治療または予防するための医薬品。

【請求項2】
前記CD300aとホスファチジルセリンの結合を阻害する物質がホスファチジルセリン結合性物質である、請求項1に記載の医薬品。

【請求項3】
前記ホスファチジルセリン結合性物質が、MFG-E8、MFG-E8変異体(D89E MFG-E8)、T細胞免疫グロブリン、可溶型TIM-1、可溶型TIM-4、可溶型スタビリンおよび可溶型インテグリンαvβ3からなる群から選択される少なくとも1種類である、請求項2に記載の医薬品。

【請求項4】
前記CD300aとホスファチジルセリンの結合を阻害する物質がCD300a結合性物質である、請求項1に記載の医薬品。

【請求項5】
前記CD300a結合性物質が、配列番号3で表されるアミノ酸配列または当該アミノ酸配列に対して1,2,3,4または5個のアミノ酸の置換、付加、挿入または欠失を有するアミノ酸配列からなるH鎖可変領域と、配列番号4で表されるアミノ酸配列または当該アミノ酸配列に対して1,2,3,4または5個のアミノ酸の置換、付加、挿入または欠失を有するアミノ酸配列からなるL鎖可変領域とを有する、抗ヒトCD300a抗体である、請求項4に記載の医薬品。

【請求項6】
前記CD300a結合性物質が、配列番号1で表されるアミノ酸配列または当該アミノ酸配列に対して1,2,3,4または5個のアミノ酸の置換、付加、挿入または欠失を有するアミノ酸配列からなるH鎖可変領域と、配列番号2で表されるアミノ酸配列または当該アミノ酸配列に対して1,2,3,4または5個のアミノ酸の置換、付加、挿入または欠失を有するアミノ酸配列からなるL鎖可変領域とを有する、抗マウスCD300a抗体である、請求項4に記載の医薬品。

【請求項7】
前記アレルギー疾患が、アトピー性皮膚炎または喘息である、請求項1~6のいずれかに記載の医薬品。

【請求項8】
アレルギー疾患について、病態解析を行うための、またはその治療薬もしくは予防薬の有効成分となりうる候補物質をスクリーニングするための、CD300a遺伝子欠損マウスの使用であって、
前記CD300a遺伝子欠損マウスを、アレルギー疾患を誘導させる物質を投与したときにアレルギー疾患を誘発しにくいモデルマウスとして使用することを特徴とする、CD300a遺伝子欠損マウスの使用。

【請求項9】
アレルギー疾患について、病態解析を行う際、またはその治療薬もしくは予防薬の有効成分となりうる候補物質をスクリーニングする際の、比較解析用のツールとしての、
CD300aとホスファチジルセリンの結合を亢進する物質を含有する、CD300aを発現するミエロイド系細胞の抑制性シグナル伝達を亢進するための活性調節剤の使用。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 公開
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