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形質転換体の製造方法 UPDATE

国内特許コード P170013924
整理番号 (S2015-1794-N0)
掲載日 2017年3月29日
出願番号 特願2015-140526
公開番号 特開2017-018061
出願日 平成27年7月14日(2015.7.14)
公開日 平成29年1月26日(2017.1.26)
発明者
  • 三宅 英雄
  • 岡田 昌子
出願人
  • 国立大学法人三重大学
発明の名称 形質転換体の製造方法 UPDATE
発明の概要 【課題】クロストリジウムセルロボランスの形質転換体の製造方法、及び該製造方法により製造されたクロストリジウムセルロボランスの形質転換体の提供。
【解決手段】クロストリジウムセルロボランスの増殖を抑制し得る抗生物質を選択し、該抗生物質の耐性遺伝子を含むプラスミドを作製する。該プラスミドをクロストリジウムセルロボランスに導入する工程を経ることにより、クロストリジウムセルロボランスの形質転換体を製造する方法。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要


クロストリジウム属(Clostridium属)にはクロストリジウム アセトブチリカム(Clostridium acetobutylicum)やクロストリジウム ベイジェリンキ(Clostridium beijerinckii)のように、ブタノール、アセトン、エタノール等のソルベントを生産するブタノール生産性クロストリジウム属が存在する。また、クロストリジウム セルロボランスやクロストリジウム サーモセラム(Clostridium thermocellum)のように、セルロソームと呼ばれる超タンパク質複合体を形成し、リグノセルロースを分解することのできるセルロソーム生産性クロストリジウム属も存在する。



クロストリジウム セルロボランスは稲わらなどのソフトバイオマスを直接分解することができる微生物であり、近年、ゲノム解析やバイオマス分解に関与する糖質分解酵素の諸性質の解析が行われてきた(特許文献1、非特許文献1、2、参照)。
クロストリジウム セルロボランスの主な代謝産物はギ酸、酢酸、酪酸、乳酸等の有機酸であり、既存の技術において、乳酸からポリ乳酸等の石油系プラスチックに近い特性を持つ化成品の原料を作製することが可能である。
また、クロストリジウム セルロボランスは再生可能なセルロース系バイオマスから直接乳酸を生産できるが、生産量が少なく遺伝子改変による生産量増大が期待されている。



近年、次世代型の遺伝子改変方法として脚光を浴びているゲノム編集は、細胞種や生物種を問わず、ゲノム情報を自在に書き換えることのできる技術として急速に広がっている。中でも、RNA誘導型ヌクレアーゼを用いた第3世代のゲノム編集ツールであるCRISPR/Cas9(clustered regularly interspaced short palindromic repeats/CRISPR-associated protein 9)の開発により、ゲノム編集の敷居は格段に低くなった(非特許文献3、参照)。
CRISPR/Cas9は元来真正細菌や古細菌が有する外来DNAの排除機構であるCRISPR/Casシステムの一部をゲノム編集に応用したものである。CRISPR/Cas9システムを用いた遺伝子編集の研究はHuman細胞やマウス細胞にはじまり、コオロギや小型魚類に至るまで、幅広く報告されている(非特許文献4、5、参照)。元来排除機構として持っている細菌類についても、近年いくつかの細菌についてはCRISPR/Cas9システムの利用が報告されている。



目的遺伝子の遺伝子改変を行うためには宿主となる菌に遺伝子を導入する手法、すなわち形質転換法が必要である。クロストリジウム属で初めに形質転換方法を確立したのはブタノール生産菌であるクロストリジウム アセトブチリカムであり、Oultramらによってクロストリジウム アセトブチリカムのホスト-ベクター系である大腸菌-クロストリジウム アセトブチリカム(E.coli-C.acetobutylicum)のシャトルベクターが作製された(非特許文献6、参照)。
その後クロストリジウム アセトブチリカムにセルロース分解能力を付与させるために、クロストリジウム セルロボランス由来のエンドβ-1,4-D-グルカナーゼの発現をさせることがKimらによって行われた(非特許文献7、参照)。また、Mintonらのグループは、ClosTronというベクターを開発し、クロストリジウム アセトブチリカムをはじめ、いくつかのクロストリジウム属の微生物において、形質転換が可能となった(非特許文献8、参照)。



同じブタノール生産菌であるクロストリジウム ベイジェリンキではLopez-Contrerasらによってクロストリジウム アセトブチリカムと同種のシャトルベクターを用いて、クロストリジウム ベイジェリンキにカビ由来のセルラーゼを形質転換させることに成功している(非特許文献9、参照)。さらにBlaschekのグループでは、クロストリジウム ベイジェリンキにおいて、CRISPR/Casシステムによるゲノム編集を成功させている(非特許文献10、参照)。



一方で、セルロソーム生産性クロストリジウム属では、クロストリジウム サーモセラムにおいてLyndらによってホスト-ベクター系の作製が行われ、形質転換方法が確立されている(非特許文献11、参照)。その後、その形質転換方法を応用しTripathiらによってクロストリジウム サーモセラムの標的遺伝子の破壊が報告された(非特許文献12、参照)。これらの経緯から、セルロソーム生産性クロストリジウム属においても形質転換方法の確立によって遺伝改変を行うことが期待できる。



なお、特許文献2においても、クロストリジウム アセトブチリカム等のブタノール生産性クロストリジウム属や、クロストリジウム サーモセラム等のセルロソーム生産性クロストリジウム属のいずれをも対象として、DNA配列を置換する方法として、クロストリジウム菌で複製可能な複製起点と標的DNA配列のまわりの選択された領域と相同な2つの配列に挟まれた第1のマーカー遺伝子を含んでなる置換カセット、および第2のマーカー遺伝子を含むベクターで形質転換する方法等も開示されている。



しかし、これらの従来の技術においてはクロストリジウム セルロボランスを形質転換することについて報告されておらず、クロストリジウム セルロボランスの形質転換を目的とするホスト-ベクター系も確立していない。そこで、本願発明者らは、クロストリジウム セルロボランスのホスト-ベクター系の構築と形質転換方法の確立を試みた。

産業上の利用分野


本発明はクロストリジウム セルロボランス(Clostridium cellulovorans)の形質転換体、およびその製造方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
クロストリジウム セルロボランスの増殖を抑制し得る抗生物質の耐性遺伝子を含むプラスミドをクロストリジウム セルロボランスに導入する工程を含む、クロストリジウム セルロボランスの形質転換体を製造する方法。

【請求項2】
クロストリジウム セルロボランスの増殖を抑制し得る抗生物質が、クロラムフェニコール、スペクチノマイシンまたはチアンフェニコールから選ばれるいずれか一種以上である請求項1に記載の方法。

【請求項3】
クロストリジウム セルロボランスの増殖を抑制し得る抗生物質の耐性遺伝子がクロストリジウム属由来である請求項1または2に記載の方法。

【請求項4】
クロストリジウム セルロボランスの増殖を抑制し得る抗生物質の耐性遺伝子が配列表配列番号1に示されるクロラムフェニコール耐性遺伝子である請求項1~3のいずれかに記載の方法。

【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載の方法によって製造されるクロストリジウム セルロボランスの形質転換体。

【請求項6】
クロストリジウム セルロボランスの形質転換用であるクロストリジウム セルロボランスの増殖を抑制し得る抗生物質の耐性遺伝子を含むプラスミド。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 公開
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