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前がん病変の進行を予測する方法

国内特許コード P170014033
整理番号 (S2014-0453-N0)
掲載日 2017年4月10日
出願番号 特願2015-560997
出願日 平成27年2月4日(2015.2.4)
国際出願番号 JP2015053041
国際公開番号 WO2015119132
国際出願日 平成27年2月4日(2015.2.4)
国際公開日 平成27年8月13日(2015.8.13)
優先権データ
  • 特願2014-019201 (2014.2.4) JP
発明者
  • 大野 茂男
  • 水島 大一
  • 平原 史樹
  • 宮城 悦子
  • 佐藤 美紀子
  • 中谷 雅明
出願人
  • 公立大学法人横浜市立大学
発明の名称 前がん病変の進行を予測する方法
発明の概要 子宮頸がん等のがんの前がん病変が将来増悪するかどうかを予測できる新規な手段が開示されている。本発明の前がん病変の進行を予測する方法は、被検者から分離された試料におけるaPKCλ/ιタンパク質の発現を調べることを含む。aPKCλ/ιタンパク質の発現量が高い場合及び/又はaPKCλ/ιタンパク質が核に局在している場合に、前がん病変が増悪する可能性が高い又は改善する可能性が低いと予測される。aPKCλ/ιタンパク質の発現の解析は、好ましくは、抗aPKCλ/ι抗体又はその抗原結合性断片を用いた免疫染色により行われる。
従来技術、競合技術の概要


子宮頸部上皮内腫瘍 (Cervical Intraepithelial Neoplasia, CIN)とは、子宮頸部上皮で発生したがんの前駆病変である。CINの診断は病理組織のHE染色(ヘマトキシリンエオジン染色)で行われており、異形度が軽度で形態が正常上皮に近いCIN1、異形度が強く形態が浸潤癌に近いCIN3、その中間的な異形度のCIN2の3段階に分類されている。



子宮頸がん及びCINはヒトパピローマウイルス(HPV)が原因である。ただし、HPV感染は発がん(CINの発生)に必要ではあるが十分ではない。HPVに感染した女性のうち、子宮頸部の浸潤癌にまで進行するのは、約1000人に1人だけである。発がん性のHPVに感染しても、多くの場合自然に排除される。一部は感染が持続し、前がん病変に進む場合があるが、CINを発症してもがんに進まずに軽快する場合もある。



子宮がん検診などで高リスクと判断された場合に、生検による診断が行われる。生検で病変が認められない場合の多くは通常のがん検診に戻り、CIN3と診断された場合は手術の適応となる。CIN1又はCIN2と診断された場合は経過観察となり、必要に応じて数か月後に再度生検を行ない病変の進行を評価する。CIN2が長期持続している場合も手術の適応となる。手術は子宮頸部円錐切除であり、子宮は温存されるが、術後の子宮頸管狭窄・出血・早産率の上昇などの術後合併症を生じる可能性がある。



CINのグレードは症例により増悪して浸潤癌になる場合も、軽快して正常にもどる場合もあるため、リスクを分類して各症例のリスクに合わせた診療内容を立てることが理想である。確かに、これまでの診断方法(子宮頸部組織のヘマトキシリンエオジン(HE)染色の病理学的診断)では、CINグレードを分類することができたが、同じCINグレードの症例であっても病変が将来増悪する場合も軽快する場合もあり、それはHE染色では予測できなかった。



そこで、これまでCINのグレードの増悪や軽快を予測する診断補助法が開発されてきた。現在までに実用化されている方法は、子宮頸部上皮内病変の発生および増悪にはHPVが関連することを利用し、子宮頸部より採取した体液や組織からHPVの感染を検出する方法(ロッシュ・ダイアグノスティックス社、商品名:アンプリコアHPV; 積水メディカル社、商品名:Clinichip; キアゲン社、商品名:Hybrid Capture IIなど)や、HPV E7蛋白に反応して過剰発現するp16蛋白質を検出する方法(Roche社、商品名:CINtec p16 Histology)である。しかしながら、HPV関連の補助診断だけでは増悪を予見する精度が充分ではない。



一方、atypical Protein Kinase C λ/ι(aPKCλ/ι)とは、細胞の極性を制御するタンパク質の一つであり、正常な組織形態の構築および維持に重要な役割を果たしている。細胞極性の異常はがんの特徴の一つであり、様々ながんでaPKCλ/ιが発現異常をきたしていることが報告されている。子宮頸がんに関しては、これまでに、浸潤がんにおいてaPKCλ/ιの局在異常と発現異常が予後不良因子であることが報告されている(非特許文献1)。



しかしながら、子宮頸がんを含め、がんの前駆状態におけるaPKCλ/ιの動態についてはこれまでに報告がなく、前がん病変におけるaPKCλ/ιの病的意義も知られていない。

産業上の利用分野


本発明は、前がん病変の進行を予測する方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
被検者から分離された試料におけるaPKCλ/ιタンパク質の発現を調べることを含む、前がん病変の進行を予測する方法であって、aPKCλ/ιタンパク質の発現量が高い場合及び/又はaPKCλ/ιタンパク質が核に局在している場合に、前がん病変が増悪する可能性が高い又は改善する可能性が低いと予測される、方法。

【請求項2】
抗aPKCλ/ι抗体又はその抗原結合性断片を用いた試料の免疫染色によりaPKCλ/ιタンパク質の発現を調べる、請求項1記載の方法。

【請求項3】
aPKCλ/ιタンパク質の細胞内分布を調べることを含む、請求項1又は2記載の方法。

【請求項4】
前記試料が組織試料である、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法。

【請求項5】
前記前がん病変が子宮頸がんの前がん病変である、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の方法。

【請求項6】
前記前がん病変が子宮頸部上皮内腫瘍グレード1である、請求項5記載の方法。

【請求項7】
前記前がん病変が子宮頸部上皮内腫瘍グレード2であり、aPKCλ/ιタンパク質の細胞内分布を調べることによりaPKCλ/ιタンパク質の発現を調べる、請求項5記載の方法。

【請求項8】
前記試料におけるp16タンパク質の発現を調べることをさらに含む、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の方法。

【請求項9】
ヒトパピローマウイルス16型及び/又は18型に感染しているか否かの検査と組み合わせて行なわれる、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の方法。

【請求項10】
抗aPKCλ/ι抗体又はその抗原結合性断片を含む、前がん病変の進行を予測するための診断剤。

【請求項11】
前記前がん病変は子宮頸がんの前がん病変である、請求項10記載の診断剤。

【請求項12】
前記前がん病変は子宮頸部上皮内腫瘍グレード1又はグレード2である、請求項11記載の診断剤。

【請求項13】
p16タンパク質に対する抗体又はその抗原結合性断片と組み合わせて用いられる、請求項10ないし12のいずれか1項に記載の診断剤。

【請求項14】
抗aPKCλ/ι抗体又はその抗原結合性断片を含む、前がん病変の進行を予測するための診断キット。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2015560997thum.jpg
出願権利状態 公開
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