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遺伝子ノックアウトブタ

国内特許コード P170014079
整理番号 (S2014-0034-N0)
掲載日 2017年5月9日
出願番号 特願2016-512568
出願日 平成26年10月7日(2014.10.7)
国際出願番号 JP2014076768
国際公開番号 WO2015155904
国際出願日 平成26年10月7日(2014.10.7)
国際公開日 平成27年10月15日(2015.10.15)
優先権データ
  • 特願2014-078986 (2014.4.7) JP
発明者
  • 花園 豊
  • 渡邊 將人
  • 長嶋 比呂志
出願人
  • 学校法人自治医科大学
  • 学校法人明治大学
発明の名称 遺伝子ノックアウトブタ
発明の概要 発明者らは、ブタにおいて、従来技術の欠点を解消し効率的に遺伝子改変を行う方法を開発すること、また、繁殖年齢に達する前に致死となる遺伝子ノックアウトブタの繁殖を可能にすることを課題とした。
本発明は、目的遺伝子に対して特異的なZincフィンガーヌクレアーゼをコードするmRNAを使用して、目的遺伝子を切断することにより、遺伝子ノックアウトブタ細胞を作製し、その細胞核を取り出し、除核未受精卵に移植の上、代理母子宮に移し、遺伝子ノックアウトブタ個体を作出した。このようにして作出した遺伝子ノックアウトブタは、実施例のXSCIDブタのように繁殖年齢に達し得ない致死的なものがあるが、正常胚を用いる胚盤胞補完技術により繁殖可能な遺伝子ノックアウトブタを作出できることも示した。
従来技術、競合技術の概要


ブタは、遺伝学的に見た場合に、ヒトとの遺伝学的距離がマウスとヒトとのあいだの遺伝学的距離よりも大きいにもかかわらず、解剖学的特徴、生理学的特徴そして血液学的特徴はマウスよりもヒトに類似している。そのため、ヒトに対して高度に価値のある、外挿可能な情報を提供することができる大型実験動物として興味を集めている。



今日まで、様々なヒト疾患(例えば、嚢胞性線維症、糖尿病、アルツハイマー病、および網膜色素変性)についてのブタモデルが、作出されてきた。さらに、ヒトに異種移植するための器官/組織のドナーとして、遺伝子修飾されたブタを使用することに付いての研究が、進められている(非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3)。



内在性遺伝子のノックアウト(KO)は、遺伝子機能の解析やヒト疾患を模倣する動物モデルの作出のための有用なツールである。これまでに、相同組換えにより遺伝子的に修飾された胚性幹細胞(ES細胞)を使用して、様々な遺伝子ノックアウトマウスが作出されてきた。ブタの場合には、信頼性のあるES細胞が樹立されておらず、ES細胞を利用できないことから、体細胞を使用した相同組換え技術を用いて遺伝子ノックアウト細胞を取得し、これを核ドナー細胞として体細胞核移植(SCNT)技術と組み合わせて使用して、遺伝子ノックアウトブタを作出してきた。しかしながら、哺乳動物の培養細胞に付いては相同組換えの効率性が低い(頻度、10-6~10-8)ため、実際に個体を得るまでには多くの時間を要し、この非効率性と煩雑さのためにノックアウトブタの作出が妨げられており(非特許文献4~非特許文献6)、そして相同組換え技術を介したノックアウトブタの作出は、依然として限定的である。



新たな技術の一つとして、Zincフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)を使用して、内在性遺伝子をノックアウトする方法があり、そしてこの方法は、哺乳動物における相同組換えの非効率性や複雑性を解消することを期待されている(非特許文献7)。遺伝子操作されたZFNは、ZincフィンガーDNA-結合ドメインおよびDNA切断ドメインを含む人工の制限酵素である(非特許文献8)。本発明者らは、以前に、in vitroでのブタの初代胎仔線維芽細胞における遺伝子ノックアウトが、ZFNを使用して可能であること(非特許文献9)、そしてZFNにより遺伝子的に修飾された体細胞が体細胞核移植(SCNT)の後に遺伝子ノックアウトブタを作出することができること(非特許文献10~非特許文献13)を、それぞれ初めて示した。これらの研究においては、ZFNをコードするプラスミドDNAを、体細胞または体細胞核移植(SCNT)のための核ドナー細胞中に導入した。



しかしながら、プラスミドDNAは、細胞のゲノム中に無作為に組み込まれる可能性もあり、それが内在性遺伝子の破壊およびZFNの構成的発現を引き起こす可能性がある。従来のZincフィンガーヌクレアーゼを用いたノックアウトブタの作出では、Zincフィンガーヌクレアーゼの発現にプラスミドDNAが利用されている。プラスミドDNAを用いた方法は、動物個体のゲノムに外来遺伝子が挿入される懸念があり、このことは動物が持つ本来の遺伝子を破壊してしまうリスクを含んでいることを意味する。

特許請求の範囲 【請求項1】
目的遺伝子の配列を標的とするZincフィンガードメインおよびヌクレアーゼとを含むZincフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)タンパク質をコードするmRNAを細胞内に導入する工程;
細胞内において目的遺伝子を標的とするZFNタンパク質を作製する工程;
ZFNタンパク質の作用により、ゲノム中の目的遺伝子のDNA配列を切断し、除去する工程;
細胞内のDNA損傷修復機構により、切断されたゲノム部分をつなぎ直す工程;
を含む、目的遺伝子がノックアウトされた細胞の製造方法。

【請求項2】
細胞が、ブタの細胞である、請求項1に記載の製造方法。

【請求項3】
ZFNタンパク質が、複数のZincフィンガードメインを含む、請求項1または2に記載の製造方法。

【請求項4】
ZFNタンパク質に含まれるヌクレアーゼが、FokI、またはSts Iである、請求項1~3のいずれか1項に記載の製造方法。

【請求項5】
目的遺伝子が、インターロイキン-2受容体γ遺伝子(IL2RG遺伝子)である、請求項1~4のいずれか1項に記載の製造方法。

【請求項6】
請求項1~5のいずれかの方法により目的遺伝子がノックアウトされた細胞を製造する工程;
その後、製造された目的遺伝子がノックアウトされた細胞から核を取り出し、除核未受精卵細胞中に体細胞核移植する工程;
体細胞核移植により作製した初期胚を、代理母の子宮内に胚移植し、胚発生を行う工程;
を含む、遺伝子ノックアウト動物の作出方法。

【請求項7】
請求項1~5のいずれかの方法により目的遺伝子がノックアウトされた細胞を製造する工程;
その後、製造された目的遺伝子がノックアウトされた細胞から核を取り出し、除核未受精卵細胞中に体細胞核移植して、ホスト胚を作製する工程;
健常ブタの細胞から核を取り出し、除核未受精卵細胞中に体細胞核移植して、ドナー胚を作製する工程;
ドナー胚の桑実胚期までの細胞を、桑実胚期までのホスト胚に注入する工程;
ドナー胚由来の細胞を注入したホスト胚の初期胚を、代理母の子宮内に胚移植し、胚発生を行う工程;そして
目的遺伝子がノックアウトされた精子を形成することができるキメラオス個体を選抜する工程;
を含む、繁殖可能な遺伝子ノックアウトオス動物の作出方法。

【請求項8】
請求項1~5のいずれかの方法により目的遺伝子がノックアウトされた細胞を製造する工程;
その後、製造された目的遺伝子がノックアウトされた細胞から核を取り出し、除核未受精卵細胞中に体細胞核移植して、ホスト胚を作製する工程;
健常ブタの細胞から核を取り出し、除核未受精卵細胞中に体細胞核移植して、ドナー胚を作製する工程;
ホスト胚およびドナー胚の桑実胚期までの細胞を分散させ、ドナー胚由来の細胞、ホスト胚由来の細胞を混合して、凝集胚を作製する工程;
凝集胚から胚盤胞を形成させた後、胚盤胞を代理母の子宮内に胚移植し、胚発生を行う工程;そして
目的遺伝子がノックアウトされた精子を形成することができるキメラオス個体を選抜する工程;
を含む、繁殖可能な遺伝子ノックアウトオス動物の作出方法。

【請求項9】
目的遺伝子が、IL2RG遺伝子で
ある、請求項6~8のいずれか1項に記載の遺伝子ノックアウト動物の作出方法。

【請求項10】
IL2RG遺伝子のコード領域の一部または全部が欠損し、IL2RG遺伝子の機能が喪失された、遺伝子ノックアウト動物。

【請求項11】
X染色体連鎖性重症複合型免疫不全症(XSCID)を生じる、請求項8に記載の遺伝子ノックアウト動物。

【請求項12】
動物が、ブタ、サル、ラット、マウス、ウシ、ヒツジから選択される、請求項10または11に記載の遺伝子ノックアウト動物。

【請求項13】
動物がブタである、請求項12記載の遺伝子ノックアウト動物。

【請求項14】
IL2RG遺伝子以外の遺伝子に、外来遺伝子がゲノム中に導入されていない、請求項10~13のいずれか1項に記載の遺伝子ノックアウト動物。

【請求項15】
請求項6~9のいずれかの方法により作出される、請求項10~14のいずれか1項に記載の遺伝子ノックアウト動物。

【請求項16】
胸腺を復活させた繁殖可能なオスブタである、請求項10~15のいずれか1項に記載の遺伝子ノックアウト動物。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 公開
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