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アミノ酸組成変更培地を用いた幹細胞の分化促進方法、及び該方法を用いて処理された幹細胞、並びに培地

国内特許コード P170014090
整理番号 (S2014-0554-N0)
掲載日 2017年5月9日
出願番号 特願2016-504051
出願日 平成27年2月10日(2015.2.10)
国際出願番号 JP2015053607
国際公開番号 WO2015125662
国際出願日 平成27年2月10日(2015.2.10)
国際公開日 平成27年8月27日(2015.8.27)
優先権データ
  • 特願2014-032068 (2014.2.21) JP
  • 特願2014-184294 (2014.9.10) JP
発明者
  • 粂 昭苑
  • 遠藤 文夫
  • 白木 伸明
  • 白木 恭子
  • 粂 和彦
  • 馬渡 一徳
出願人
  • 国立大学法人 熊本大学
  • 味の素株式会社
発明の名称 アミノ酸組成変更培地を用いた幹細胞の分化促進方法、及び該方法を用いて処理された幹細胞、並びに培地
発明の概要 本発明は、ES細胞やiPS細胞などの幹細胞の分化誘導効率を改善する方法及び培地を提供することを目的とする。本発明により、幹細胞を、分化誘導培地で培養して分化誘導する前に、メチオニンを除去した未分化維持培地で培養することにより、効率よく分化誘導できる。本発明は、哺乳動物由来の多能性幹細胞を分化誘導する方法であって、該多能性幹細胞を、メチオニンを含まない培地からなる多能性幹細胞の未分化維持培地で培養する工程、および、該多能性幹細胞を、分化誘導培地で培養して分化誘導する工程、を含む分化誘導方法を提供する。本発明はまた、メチオニンを含まない培地からなる哺乳動物由来の多能性幹細胞の未分化維持培地で培養された多能性幹細胞を提供する。本発明はさらには、培地中にメチオニンを含まない多能性幹細胞の未分化維持培地を提供する。
従来技術、競合技術の概要


個体のすべての細胞に分化しうる分化多能性(pluripotency)を保ちつつ、無限に増殖できる自己複製能を併せ持つ胚性幹細胞(ES細胞)がヒトにおいて樹立されて以来、ES細胞を、インビトロで主要臓器細胞へと分化誘導する研究が盛んに行われている。また、体細胞へ特定の遺伝子を導入することにより、ES細胞のように分化多能性と自己複製能を併せ持つ人工多能性幹細胞(iPS細胞)が作られてからは、ES細胞に加え、iPS細胞を用いて、インビトロで主要臓器細胞へと分化誘導する研究が盛んに行われている。



このように、胚性幹細胞(ES)および多能性幹細胞(iPS)は、無限の複製能力および生物の全ての細胞タイプを生じる多分化能をもっている。ES細胞は、多分化能状態を維持する独特の転写回路(transcriptional circuit)をもっている。これらの細胞は、細胞の運命決定の準備状態である特異的なエピジェネティックな状態にある。さらに、様々なヒストンメチル化様式は、ES細胞の多能性と柔軟性(plasticity)を調節している。ES細胞はまた、高い増殖速度および短縮されたG1期という特徴を有する。これらのユニークな分子特性は、体細胞から、ES細胞およびiPS細胞を区別している。



これらの特徴は、ES細胞が特殊な代謝状態にあることを示している。ES細胞およびiPS細胞は、特に解糖に依存しているが、一方、体細胞は、エネルギー生産のためにミトコンドリアの酸化的リン酸化を利用している。幹細胞のこの特有の代謝要求は、多能性獲得の結果ではなく、原因としての役割を果たしていると考えられる。最近の報告では、
代謝と細胞内シグナル伝達がリンクしており、これら2つのプロセスが相互にお互いを調節し、細胞の生存、増殖、および幹細胞機能の調節などの細胞活性を調節していることが示されている(非特許文献1:Wellen and Thompson, 2012) (非特許文献2:Takubo et al., 2013)。



ヒトの胚性幹細胞(hES細胞)や人工多能性幹細胞(hiPS細胞)は、再生医療の重要なソースとして注目されている。本発明者らは、以前、ES細胞を、胚性内胚葉ならびに膵臓、肝臓、腸のような特定の消化器官に順次誘導するための方法を確立した(非特許文献3:Ogaki et al., 2013)(非特許文献4:Shiraki et al., Genes Cells, 2008)(非特許文献5:Shiraki et al., PLoS One, 2011)(非特許文献6:Shiraki et al., Stem Cell, 2008)。しかし、hES/iPS細胞株の分化指向性において顕著な違いが存在し、このことは、インビトロでの、hES/iPS細胞の特定の方向への効率的な分化において障害になっている(非特許文献7:Osafune et al., 2008) (非特許文献8:Kajiwara et al., 2012)。



この問題はES/iPS細胞を用いた再生医療において克服しなければならない問題となっている。現状では、樹立された多くのES/iPS細胞株の中から自分が目的とする組織への分化効率が良い株を予め選抜し、その後分化誘導を行うということがなされており、目的の細胞を作成するまでに多くの検討期間が必要である。この細胞株間の差を克服できる方法が開発できれば、細胞株選別のタイムラグを解消でき、かつ効率的な分化が期待できる。



本発明者らは、これまでに必須アミノ酸メチオニンがヒトiPS細胞の分化制御因子であることを見出し、内胚葉分化過程の一定期間に分化誘導培地中からメチオニンを除去することで未分化細胞の選択的細胞死を誘導し、効率的な内胚葉分化に成功した(特許文献1:WO2012/056997)。しかしながら、上記の細胞株選別の問題は未解決であった。

産業上の利用分野


本発明は、多能性幹細胞の分化誘導の技術に関する。より詳細には、本発明は、多能性幹細胞、例えば、ES細胞やiPS細胞の分化誘導効率を改善するための方法及び培地に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
哺乳動物由来の多能性幹細胞を分化誘導する方法であって、
(a)該多能性幹細胞を、メチオニンを含まない多能性幹細胞の未分化維持培地で培養する工程、および
(b)該未分化維持培地で培養した該多能性幹細胞を、分化誘導培地で培養して分化誘導する工程、
を含む分化誘導方法。

【請求項2】
前記哺乳動物由来の多能性幹細胞が、ヒト又はマウス由来のES細胞、又はヒト又はマウス由来のiPS細胞である、請求項1に記載の分化誘導方法。

【請求項3】
前記細胞を前記未分化維持培地で少なくとも5時間培養することを含む請求項1または2に記載の分化誘導方法。

【請求項4】
前記細胞を前記未分化維持培地で少なくとも10時間培養することを含む請求項3に記載の分化誘導方法。

【請求項5】
前記細胞を前記未分化維持培地で24時間を超えない期間で培養することを含む請求項1~4のいずれか一つに記載の分化誘導方法。

【請求項6】
メチオニンを含まない多能性幹細胞の未分化維持培地で培養された哺乳動物由来の多能性幹細胞を、さらに内胚葉、中胚葉または外胚葉のいずれかに分化誘導する、請求項1~5のいずれかひとつに記載の分化誘導方法。

【請求項7】
前記多能性幹細胞が内胚葉への分化に耐性である幹細胞であって、かつ、前記分化誘導培地が内胚葉への分化誘導培地である、請求項1~6いずれかひとつに記載の方法。

【請求項8】
前記多能性幹細胞が中胚葉への分化に耐性である幹細胞であって、かつ、前記分化誘導培地が中胚葉への分化誘導培地である、請求項1~6のいずれかひとつに記載の方法。

【請求項9】
前記多能性幹細胞が外胚葉への分化に耐性である幹細胞であって、かつ、前記分化誘導培地が外胚葉への分化誘導培地である、請求項1~6のいずれかひとつに記載の方法。

【請求項10】
メチオニンを含まない多能性幹細胞の未分化維持培地で培養されたヒトiPS細胞を、さらに、膵臓分化誘導培地で培養してインスリン産生能をもつ膵臓細胞へと分化誘導する、請求項2~5のいずれか一つに記載の分化誘導方法。

【請求項11】
メチオニンを含まない多能性幹細胞の未分化維持培地で培養されたヒトiPS細胞を、さらに、肝臓分化誘導培地で培養してアルブミン分泌能をもつ肝臓細胞へと分化誘導する、請求項2~5のいずれか一つに記載の分化誘導方法。

【請求項12】
メチオニンを含まない多能性幹細胞の未分化維持培地で培養された哺乳動物由来の多能性幹細胞。

【請求項13】
前記哺乳動物由来の多能性幹細胞が、ヒト又はマウス由来のES細胞、又はヒト又はマウス由来のiPS細胞である、請求項12に記載の細胞。

【請求項14】
前記細胞が前記未分化維持培地で少なくとも5時間培養された細胞である、請求項12または13に記載の細胞。

【請求項15】
メチオニンを含まない多能性幹細胞の未分化維持培地で培養され、次いで膵臓分化誘導培地で培養された経歴を有する、ヒトiPS細胞から分化誘導されたインスリン産生能をもつ細胞。

【請求項16】
メチオニンを含まない多能性幹細胞の未分化維持培地で培養され、次いで肝臓分化誘導培地で培養された経歴を有する、ヒトiPS細胞から分化誘導されたアルブミン分泌能を有する細胞。

【請求項17】
前記未分化維持培地での培養が少なくとも5時間である請求項15または16に記載の細胞。

【請求項18】
培地中にメチオニンを含まない多能性幹細胞の未分化維持培地。

【請求項19】
多能性幹細胞が、ヒト又はマウス由来のES細胞、又はヒト又はマウスのiPS細胞である、請求項18に記載の未分化維持培地。

【請求項20】
請求項18または19に記載の未分化維持培地と多能性幹細胞の分化誘導培地からなる、多能性幹細胞分化誘導培地キット。
国際特許分類(IPC)
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出願権利状態 公開
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