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アルコールの製造方法 UPDATE

国内特許コード P170014097
整理番号 (S2014-0762-N0)
掲載日 2017年5月9日
出願番号 特願2016-510578
出願日 平成27年3月30日(2015.3.30)
国際出願番号 JP2015059854
国際公開番号 WO2015147318
国際出願日 平成27年3月30日(2015.3.30)
国際公開日 平成27年10月1日(2015.10.1)
優先権データ
  • 特願2014-068757 (2014.3.28) JP
発明者
  • 三宅 英雄
  • 田丸 浩
出願人
  • 国立大学法人三重大学
発明の名称 アルコールの製造方法 UPDATE
発明の概要 バイオ燃料の製造において、従来の技術に対してさらに有用な方法を提供することを課題とする。セルロソーム発現プラスミドを構築し、該プラスミドにより形質転換された微生物を得て、これを培養することにより、従来の技術に対してさらに有用なアルコールの製造方法を提供する。
従来技術、競合技術の概要


近年、稲わら、バッカス、植物残渣等のセルロース系バイオマスからエタノール、ブタノール等のアルコールをバイオ燃料として製造する様々な技術が開発されている。しかし、これらのバイオ燃料の製造はコストが高いという問題がある。そこで、次世代のバイオ燃料生産をはじめとしたバイオリファイナリーにおいて、「前処理、糖化、発酵」の工程を統合(Consolidated Bio-Processing:CBP(以下、単にCBPと示す場合がある))する技術開発が求められている。CBPによる技術革新により、さらにバイオ燃料製造のコストダウンが可能であり、最大で41%のコストダウンが見込めるとされている(非特許文献1)。



この前処理、糖化に関して、稲わらなどのソフトバイオマスを直接分解できる微生物として、嫌気性中温菌であるクロストリジウム セルロボランス(Clostridium cellulovorans)が報告された(非特許文献2)。その後、クロストリジウム セルロボランスは「セルロソーム」とよばれる超タンパク質複合体を生産することが確認された(非特許文献3)。



セルロソームは、セルロソーム骨格タンパク質にセルラーゼやヘミセルラーゼなどの酵素を搭載した超タンパク質複合体であり、基質に応じて酵素を組み合わせることでソフトバイオマスを効率よく分解する(非特許文献4)。本発明者らは、クロストリジウム セルロボランスの全遺伝子情報を全ゲノム解析により解読し(非特許文献5)、この結果から、セルロソームの土台となるセルロソーム骨格タンパク質、セルロソーム骨格タンパク質と相互作用することができるセルラーゼ、ヘミセルラーゼなどの酵素やタンパク質、さらに分泌型の糖質関連酵素であるノンセルロソームの同定および分類を完了した。また、プロテオーム解析の結果から基質に応じたセルロソームやノンセルロソームに関する情報も得ている(非特許文献6~8)。



このうちクロストリジウム セルロボランスが生産するセルロソーム骨格タンパク質の一つであるCbpA(Cellulose binding protein(以下、単にCbpAと示す場合がある))は、(1)結晶性セルロースと結合することができる糖質結合モジュール(CBM)が1つ、(2)菌体の細胞表層と結合する表層ホモロジードメイン(SLH)が4つ、(3)セルロソームを構成する酵素が持つドックリンドメインと結合するコヘシンドメインが9つあり、これらの(1)~(3)から構成される分子量が189,000の比較的大きなタンパク質である。cbpA遺伝子の下流にはセルラーゼおよびヘミセルラーゼの遺伝子が多数存在し、cbpA遺伝子クラスターと呼ばれる遺伝子クラスターを形成している(非特許文献9)。



クロストリジウム属の微生物には、クロストリジウム セルロボランスのようにセルロソームを形成してリグノセルロースを分解したり、ブタノールやエタノール等のアルコールやアセトンなどの有機溶媒を生産したりするものがいくつか知られている。
例えば、クロストリジウム アセトブチリカム(Clostridium acetobutylicum)やクロストリジウム ベイジェリンキ(Clostridium beijerinckii)はブタノール生産菌として知られており、これらの微生物によるアセトン・ブタノール・エタノール(ABE)発酵が、酵母を使ったエタノール発酵に続いて実用化されている(非特許文献10)。
ABE発酵によるアセトン・ブタノール生産は、化学合成法により安価な合成アルコールが普及するにつれて衰退したが、化石燃料の高騰や地球温暖化等の問題から、近年、再び世界的に注目されている。



このようなバイオ燃料の製造のための技術として、例えば、特許文献1は、効率的にブタノールを得るために、クロストリジウム アセトブチリカムやクロストリジウム ベイジェリンキ等のクロストリジウム属に属する微生物を、一定量の乳酸を基質として含む環境(medium)で培養する方法を開示している。
特許文献2は、酪酸の形成に関与するホスホトランスブチリラーゼをコードする遺伝子等の遺伝子が削除されているクロストリジウム属に属する微生物を培養することで、n-ブタノールを高収率で生物学的に製造する方法を開示している。
特許文献3は、アルコールの製造に直接関与するものではないが、セルロソ-ム足場タンパク質等の融合タンパク質をコードするポリ核酸を含む組換え微生物として、クロストリジウム属に属する微生物を得て、異種セルラーゼを分泌させる方法等を開示している。
また、特許文献4は、クロストリジウム属に属する微生物等を培養することによって得られた1-ブタノール、2-ブタノール等の有機成分を特定のステップを経ることにより高濃度で回収する方法等を開示している。
さらに、特許文献5は、クロストリジウム セルロリティカム由来のセルロソーム構成タンパク質をコードする遺伝子(Cel5A遺伝子またはCel9M遺伝子)やピルビン酸脱炭酸酵素(PDC)やアルコール脱水素酵素(ADH1)をコードする遺伝子等を組み込んだクロストリジウム アセトブチリカムを得て、これを培養することにより、グルコースやセルロースを基質としてエタノールを産生させる方法等を開示している。
この方法もセルロソーム発現プラスミドにより形質転換されたクロストリジウム属の微生物を用いて、アルコールを製造する方法に関するものであるが、セルロソームを構成しているタンパク質の種類や該タンパク質の由来、また生産させたセルロソームのサイズ等が本発明と異なり、生産しているアルコールも主にエタノールである。
これらの技術により、バイオ燃料の製造において、微生物によるアルコール生産を効率化したり、回収率を高めたりすることが可能となりつつあるが、さらに有用な方法の提供が望まれている。

産業上の利用分野


本発明はセルロソーム発現プラスミド、該プラスミドにより形質転換された微生物、および該微生物によるアルコールの製造方法に関する。さらに詳しくは、セルロース系バイオマスを直接糖化可能なセルロソームを発現するためのプラスミドに関する。また、該プラスミドによって、アルコール発酵が可能な微生物の形質転換体を得て、ブタノール等のアルコールを製造する方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
cbpA遺伝子のプロモーター領域を含むセルロソーム発現プラスミド。

【請求項2】
さらに、cbpA遺伝子のシグナルペプチドをコードする領域を含む請求項1に記載のセルロソーム発現プラスミド。

【請求項3】
配列表配列番号2に示される塩基配列を含むcbpA遺伝子のプロモーター領域と、配列表配列番号3に示される塩基配列を含むcbpA遺伝子のシグナルペプチドをコードする領域を含む、請求項2に記載のセルロソーム発現プラスミド。

【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載のプラスミドを微生物に導入して得られる形質転換体。

【請求項5】
微生物がクロストリジウム属に属する微生物または酵母である請求項4に記載の形質転換体。

【請求項6】
微生物がクロストリジウム ベイジェリンキまたはクロストリジウム アセトブチリカムである請求項5に記載の形質転換体。

【請求項7】
請求項4~6のいずれかに記載の形質転換体を培養する工程を含む、基質からアルコールを製造する方法。

【請求項8】
基質がセルロース系バイオマスである請求項7に記載のアルコールを製造する方法。

【請求項9】
セルロース系バイオマスがローカストビーンガム、稲わら、バガス、コーンストーバー、スイッチグラス、ポプラまたは植物残渣である請求項8に記載のアルコールを製造する方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2016510578thum.jpg
出願権利状態 公開
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