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偏光感受型光画像計測システム及び該システムに搭載されたプログラム

国内特許コード P170014107
整理番号 (S2014-1015-N0)
掲載日 2017年5月9日
出願番号 特願2014-118159
公開番号 特開2015-230297
出願日 平成26年6月6日(2014.6.6)
公開日 平成27年12月21日(2015.12.21)
発明者
  • 安野 嘉晃
  • カサラゴッド ディーパ カマス
出願人
  • 国立大学法人 筑波大学
発明の名称 偏光感受型光画像計測システム及び該システムに搭載されたプログラム
発明の概要 【課題】偏光感受型光画像計測では、SN比(signal-to- noise ratio)が低く信号強度の低い周辺の領域において無視できないバイアスを含み複屈折がずれてしますが、この複屈折のずれを除去し、高精度の定量計測を可能とする。
【解決手段】偏光OCTで取得したノイズを含んだOCT信号を、複屈折を求めるアルゴリズムで処理することで、計測複屈折を求め、ノイズを統計的に変化させて、計測複屈折の分布をシミュレートし、計測複屈折値のノイズ特性を決定し、モンテカルロ法の計算を、ノイズ量及び真の複屈折値をそれぞれ異なる値に仮定して繰り返すことによって、真の複屈折値、SN比及び計測複屈折値の組み合わせの三次元のヒストグラムを形成し、三次元のヒストグラムから、所定の計測複屈折値とSN比を仮定することで、真の複屈折の確率密度分布を得て、真の複屈折の確率密度分布から、真の複屈折値を推定する。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要


従来、物体(試料)の内部情報、つまり後方散乱、反射率分布及び屈折率分布の微分構造を非破壊、高分解能で捉えるために、OCTを用いることが行われている。



医療分野等で用いられる非破壊断層計測技術の1つとして、光断層画像化法「光コヒーレンストモグラフィー」(OCT)がある(特許文献1参照)。OCTは、光を計測プローブとして用いるため、被計測物体(試料)の反射率分布、屈折率分布、分光情報、偏光情報(複屈折率分布)等が計測できるという利点がある。



基本的なOCT43は、マイケルソン干渉計を基本としており、その原理を図5で説明する。光源44から射出された光は、コリメートレンズ45で平行化された後に、ビームスプリッター46により参照光と物体光に分割される。物体光は、物体アーム(試料アーム)内の対物レンズ47によって被計測物体48に集光され、そこで散乱・反射された後に再び対物レンズ47、ビームスプリッター46に戻る。



一方、参照光は参照アーム内の対物レンズ49を通過した後に参照鏡50によって反射され、再び対物レンズ49を通してビームスプリッター46に戻る。このようにビームスプリッター46に戻った物体光と参照光は、物体光とともに集光レンズ51に入射し光検出器52(フォトダイオード等)に集光される。



OCTの光源44は、時間的に低コヒーレンスな光(異なった時刻に光源から出た光同士は極めて干渉しにくい光)の光源を利用する。時間的低コヒーレンス光を光源としたマイケルソン型の干渉計では、参照アームと物体アームの距離がほぼ等しいときにのみ干渉信号が現れる。この結果、参照アームと物体アームの光路長差(τ)を変化させながら、光検出器52で干渉信号の強度を計測すると、光路長差に対する干渉信号(インターフェログラム)が得られる。



そのインターフェログラムの形状が、被計測物体48の奥行き方向の反射率分布を示しており、1次元の軸方向走査により被計測物体48の奥行き方向の構造を得ることができる。このように、OCT43では、光路長走査により、被計測物体48の奥行き方向の構造を計測できる。



このような軸方向(A方向)の走査のほかに、横方向(B方向)の機械的走査(Bスキャン)を加え、2次元の走査を行うことで被計測物体の2次元断面画像が得られる。この横方向の走査を行う走査装置としては、被計測物体を直接移動させる構成、物体は固定したままで対物レンズをシフトさせる構成、被計測物体も対物レンズも固定したままで、対物レンズの瞳面付近においたガルバノミラーの角度を回転させる構成等が用いられている。



以上の基本的なOCTが発展したものとして、光源の波長を走査してスペクトル干渉信号を得る波長走査型OCT(Swept Source OCT、略して「SS-OCT」という。)と、分光器を用いてスペクトル信号を得るスペクトルドメインOCTがある。後者としてフーリエドメインOCT(Fourier Domain OCT、略して「FD-OCT」という。特許文献2参照)、及びPS-OCT(特許文献3参照)がある。



波長走査型OCTは、高速波長スキャニングレーザーにより光源の波長を変え、スペクトル信号と同期取得された光源走査信号を用いて干渉信号を最配列し、信号処理を加えることで三次元光断層画像を得るものである。なお、光源の波長を変える手段として、モノクロメーターを利用したものでも、波長走査型OCTとして利用可能である。



フーリエドメインOCTは、被計測物体からの反射光の波長スペクトルを、スペクトロメーター(スペクトル分光器)で取得し、このスペクトル強度分布に対してフーリエ変換することで、実空間(OCT信号空間)上での信号を取り出すことを特徴とするものであり、このフーリエドメインOCTは、奥行き方向の走査を行う必要がなく、x軸方向の走査を行うことで被計測物体の断面構造を計測可能である。



PS-OCTは、B-スキャンと同時に直線偏光したビームの偏光状態を連続変調し、試料(被検物体)のもつ偏光情報を捉え、試料のより微細な構造および屈折率の異方性を計測可能とする光コヒーレンストモグラフィー装置である。



さらに詳しくは、PS-OCTは、フーリエドメインOCTと同様に、被計測物体からの反射光の波長スペクトルをスペクトル分光器で取得するものであるが、入射光及び参照光をそれぞれ1/2波長板、1/4波長板等を通して水平直線偏光、垂直直線偏光、45°直線偏光、円偏光として、被計測物体からの反射光と参照光を重ねて1/2波長板、1/4波長板等を通して、例えば水平偏光成分だけをスペクトル分光器に入射させて干渉させ、物体光の特定偏光状態をもつ成分だけを取り出してフーリエ変換するものである。このPS-OCTも、奥行き方向の走査を行う必要がない。

産業上の利用分野


本発明は、光コヒーレンストモグラフィー(OCT:Optical coherence tomography)の技術分野の発明であり、特に、局所的な複屈折(偏光)情報を抽出可能な偏光感受型光画像計測装置(PS-OCT。「偏光感受型光コヒーレンストモグラフィー装置」、あるいは「偏光感受型光干渉断層計」ともいう。)を備えた偏光感受型光画像計測システムに関する。



即ち、偏光を入射光として用い、試料(被検物体)のもつ複屈折による偏光依存性を試料の偏光情報として捉え、試料のより微細な構造を高精度定量計測可能とする偏光感受型光画像計測システムに関する。



また、本発明は、ベイズ統計を用いた組織複屈折の高精度定量計測を特徴とする偏光感受型光画像計測システム及び該システムに搭載されたプログラムに関する発明である。

特許請求の範囲 【請求項1】
偏光感受型光画像計測装置と、偏光感受型光画像計測装置で得られた画像データの処理を行うためのプログラムを搭載したコンピュータと、を備えた偏光感受型光画像計測システムであって、
前記コンピュータは、入力装置、出力装置、CPU及び記憶装置を備えており、前記プログラムに従って、
試料の計測で得られたノイズを含んだOCT信号を、複屈折を求めるアルゴリズムで処理することで、ノイズの存在下で計測される複屈折値である計測複屈折値を得る手段と、
モンテカルロ法の計算によって、ノイズを統計的に変化させて、前記アルゴリズムで処理するプロセスを繰り返すことで計測複屈折の分布をシミュレートし、計測複屈折値のノイズ特性を決定する手段と、
前記モンテカルロ法の計算を、ノイズ量及び真の複屈折値をそれぞれ異なる値に仮定して繰り返すことによって、真の複屈折値、SN比及び計測複屈折値の組み合わせがどのような頻度で出現するかを表す三次元のヒストグラム情報を形成する手段と、
三次元のヒストグラム情報から、所定の計測複屈折値とSN比を仮定することで、真の複屈折の確率密度分布を取り出す手段と、
真の複屈折の確率密度分布から、真の複屈折値を推定する手段と、
して機能することを特徴とする偏光感受型光画像計測システム。

【請求項2】
コンピュータは、前記計測を複数回行い、それぞれの計測値に対して前記真の複屈折の確率密度分布を得て、全ての複屈折の確率密度分布をすべて掛け合わせることで、最終的な真の複屈折の確率密度分布を得る手段として機能することを特徴とする請求項1に記載の偏光感受型光画像計測システム。

【請求項3】
真の複屈折値は、真の確率密度分布から得られる真の複屈折値の期待値であることを特徴とする請求項1又は2に記載の偏光感受型光画像計測システム。

【請求項4】
真の複屈折値は、真の複屈折の確率密度分布が最大になる真の複屈折の値である最尤値であることを特徴とする請求項1又は2に記載の偏光感受型光画像計測システム。

【請求項5】
コンピュータは、真の複屈折の確率密度分布に基づき、最尤値の信頼度を求める手段として機能することを特徴とする請求項4に記載の偏光感受型光画像計測システム。

【請求項6】
試料を複数回計測するに際して、試料の所定の箇所のうち、1つのピクセルの点のみを複数回スキャンすることで、試料の1つのピクセルの点について多数の複屈折値を計測することを特徴とする請求項2~5のいずれかに記載の偏光感受型光画像計測システム。

【請求項7】
試料を複数回計測するに際して、試料の所定の箇所のうち、1つのピクセルの点を含め複数のピクセルの点をスキャンすることで、試料の所定の箇所のうちの複数のピクセルの点についてそれぞれの複屈折値を計測することを特徴とする請求項2~5のいずれかに記載の偏光感受型光画像計測システム。

【請求項8】
試料を計測するに際して、試料の所定の箇所のうち、1つのピクセルの点を含め複数のピクセルの点を1回スキャンすることで、所定の箇所における複数のピクセルの点に対する複数の複屈折値を計測することを特徴とする請求項2~5のいずれかに記載の偏光感受型光画像計測システム。

【請求項9】
コンピュータは、真の複屈折値に基づく画像を、擬似カラー表示し、この擬似カラー表示において、輝度はOCT信号の強度によって決定し、色は複屈折の最尤値によって決定し、濃度は最尤値の信頼度によって決定する手段として機能することを特徴とする請求項5~8のいずれかに記載の偏光感受型光画像計測システム。

【請求項10】
偏光感受型光画像計測装置と、入力装置、出力装置、CPU及び記憶装置を備え光感受光画像計測装置で得られた画像データを処理するコンピュータと、を備えた偏光感受型光画像計測システムのコンピュータに搭載されるプログラムであって、
前記コンピュータを、
試料の計測で得られたノイズを含んだOCT信号を、複屈折を求めるアルゴリズムで処理することで、ノイズの存在下で計測される複屈折値である計測複屈折値を得る手段と、
モンテカルロ法の計算によって、ノイズを統計的に変化させて、前記アルゴリズムで処理するプロセスを繰り返すことで計測複屈折の分布をシミュレートし、計測複屈折値のノイズ特性を決定する手段と、
前記モンテカルロ法の計算を、ノイズ量及び真の複屈折値をそれぞれ異なる値に仮定して繰り返すことによって、真の複屈折値、SN比及び計測複屈折値の組み合わせがどのような頻度で出現するかを表す三次元のヒストグラム情報を形成する手段と、
三次元のヒストグラム情報から、所定の計測複屈折値とSN比を仮定することで、真の複屈折の確率密度分布を取り出す手段と、
真の複屈折の確率密度分布から、真の複屈折値を推定する手段と、
して機能させることを特徴とするプログラム。

【請求項11】
コンピュータを、前記計測を複数回行い、それぞれの計測値に対して前記真の複屈折の確率密度分布を得て、全ての複屈折の確率密度分布をすべて掛け合わせることで、最終的な真の複屈折の確率密度分布を得る手段として機能させることを特徴とする請求項10に記載のプログラム。

【請求項12】
真の複屈折値は、真の確率密度分布から得られる真の複屈折値の期待値であることを特徴とする請求項10又は11に記載のプログラム。

【請求項13】
真の複屈折値は、真の複屈折の確率密度分布が最大になる真の複屈折の値である最尤値であることを特徴とする請求項10又は11に記載のプログラム。

【請求項14】
コンピュータを、真の複屈折の確率密度分布に基づき、最尤値の信頼度を求める手段として機能させることを特徴とする請求項13に記載のプログラム。

【請求項15】
試料を複数回計測するに際して、試料の所定の箇所のうち、1つのピクセルの点のみを複数回スキャンすることで、試料の1つのピクセルの点について多数の複屈折値を計測することを特徴とする請求項11~14のいずれかに記載のプログラム。

【請求項16】
試料を複数回計測するに際して、試料の所定の箇所のうち、1つのピクセルの点を含め複数のピクセルの点をスキャンすることで、試料の所定の箇所のうちの複数のピクセルの点についてそれぞれの複屈折値を計測することを特徴とする請求項11~14のいずれかに記載のプログラム。

【請求項17】
試料を計測するに際して、試料の所定の箇所のうち、1つのピクセルの点を含め複数のピクセルの点を1回スキャンすることで、所定の箇所における複数のピクセルの点に対する複数の複屈折値を計測することを特徴とする請求項11~14のいずれかに記載のプログラム。

【請求項18】
コンピュータを、真の複屈折値に基づく画像を、擬似カラー表示し、この擬似カラー表示において、輝度はOCT信号の強度によって決定し、色は複屈折の最尤値によって決定し、濃度は最尤値の信頼度によって決定する手段として機能させることを特徴とする請求項14~17のいずれかに記載のプログラム。
国際特許分類(IPC)
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出願権利状態 公開
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