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重水素化方法および重水素化触媒

国内特許コード P170014108
整理番号 (S2014-0394-N0)
掲載日 2017年5月9日
出願番号 特願2016-505299
出願日 平成27年2月26日(2015.2.26)
国際出願番号 JP2015055652
国際公開番号 WO2015129813
国際出願日 平成27年2月26日(2015.2.26)
国際公開日 平成27年9月3日(2015.9.3)
優先権データ
  • 特願2014-035554 (2014.2.26) JP
発明者
  • 栗山 正巳
  • 尾野村 治
  • 佐藤 香菜子
  • 矢野 玄馬
  • 濱口 典久
  • 鯨田 翔太
出願人
  • 国立大学法人 長崎大学
発明の名称 重水素化方法および重水素化触媒
発明の概要 本発明は、コスト面と重水素化率との両方に優れた重水素化方法、さらには、芳香族化合物の脱離基を選択的に重水素置換する方法、およびそれらに用いる重水素化触媒を提供する。本発明は、式(I)で表される化合物から誘導されるカルベン配位子と遷移金属とを含む重水素化触媒、およびそれを用いた重水素化方法に関する。


従来技術、競合技術の概要


重水素化された化合物は、化学反応機構の解明や、体内動態解析に有用であるほか、医薬品の生理活性や薬物相互作用の制御において効果があることが知られている。とりわけ、高い重水素化率で重水素を導入した化合物が必要とされており、効率的な重水素導入法の必要性が近年急激に高まってきている。



特に、芳香環は生理活性物質に遍在する重要構造であり、芳香環への様々な重水素化手法が検討されている。芳香環の触媒的重水素化手法として、水素/重水素(H/D)交換反応が盛んに研究されているが、当該方法では、高価な重溶媒等の重水素化合物を大量に使用する必要があるのに加え、反応点の制御が難しく、高い重水素化率で重水素化生成物を得ることが困難である(非特許文献1参照)。



一方で、反応点の制御が容易な重水素化法として、ハロゲン化芳香族化合物のような脱離基を有する芳香族化合物を重水素化する方法が知られている。しかし、当該方法で問題になるのが、水素化の副反応であり、溶媒等に含まれる水素の反応系への混入による水素と重水素の競合、想定されないメカニズムの水素化反応の進行等により容易に重水素化率が低下する。



これに対して、重水素化率を高めるために、高価な重溶媒等の重水素化合物を大量に用いる方法(非特許文献2~5参照)や、高価な遷移金属を基質に対して1モル当量以上使用する方法(非特許文献6および7参照)が知られているが、いずれもコスト面に問題がある。



また、これらの方法の多くで、芳香環以外の不飽和部位(例えば、アルケン部位)も同時に重水素化されるなど選択性に乏しいという問題もある(非特許文献4、5および7参照)。



このように、コスト面と重水素化率との両方に優れた、芳香環への選択的な重水素導入法は知られていない。



一方、遷移金属触媒に用いられる様々なN-ヘテロ環状カルベン(NHC)型配位子が知られており、例えば、特許文献1には、クロスカップリングなどに有用な触媒の配位子前駆体が開示されている。しかし、特許文献1のようなカルベン配位子からなる遷移金属触媒を重水素化反応に用いた例は知られていない。

産業上の利用分野


本発明は、遷移金属触媒およびそれを用いる有機化合物の重水素化方法に関し、特に、N-ヘテロ環状カルベン(NHC)型配位子の前駆体、およびその配位子を含む重水素化触媒に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
式(I):
【化1】



[式中、
環A及び環Bは、それぞれ独立して、さらに置換されていてもよい芳香環を示し;
環Cは、さらに置換されていてもよいカチオン性二窒素含有環を示し;
は、アニオンを示し;
及びYは、それぞれ独立して、結合手又はメチレンを示す。]
で表される化合物から誘導されるカルベン配位子と遷移金属とを含む重水素化触媒。

【請求項2】
式(I):
【化2】



[式中、
環A及び環Bは、それぞれ独立して、さらに置換されていてもよい芳香環を示し;
環Cは、さらに置換されていてもよいカチオン性二窒素含有環を示し;
は、アニオンを示し;
及びYは、それぞれ独立して、結合手又はメチレンを示す。]
で表される化合物と遷移金属化合物とから調製される重水素化触媒。

【請求項3】
遷移金属がパラジウムである、請求項1または2に記載の重水素化触媒。

【請求項4】
が、塩化物イオンである、請求項1~3の何れか1項に記載の重水素化触媒。

【請求項5】
芳香族炭素原子に結合した脱離基の重水素原子への置換反応を触媒するための、請求項1~4の何れか1項に記載の重水素化触媒。

【請求項6】
脱離基がハロゲン原子である、請求項5に記載の重水素化触媒。

【請求項7】
式(I):
【化3】



[式中、
環A及び環Bは、それぞれ独立して、さらに置換されていてもよい芳香環を示し;
環Cは、さらに置換されていてもよいカチオン性二窒素含有環を示し;
は、アニオンを示し;
及びYは、それぞれ独立して、結合手又はメチレンを示す。]
で表される、重水素化触媒のための配位子前駆体。

【請求項8】
式(II):
【化4】



[式中、
1a及びR1bは、それぞれ独立して、水素原子、置換されていてもよい炭化水素基又は置換されていてもよいアミノ基を示し;
1cは、それぞれ独立して、置換基を示し;
2a及びR2bは、それぞれ独立して、水素原子又は置換されていてもよい炭化水素基を示し;
2cは、それぞれ独立して、置換基を示し;
及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は置換されていてもよい炭化水素基を示すか、或いはR及びRが結合する炭素原子と一緒になって置換されていてもよい環を形成していてもよく;
は、アニオンを示し;
Yは、結合手又はメチレンを示し;
n1及びn2は、それぞれ独立して、0~3の整数を示す。]
で表される化合物(ただし、3-(2-エチルフェニル)-4,5-ジメチル-1-(2,4,6-トリメチルベンジル)イミダゾリウムクロリド、1-(2,4,6-トリメチルベンジル)-3-(4-メトキシフェニル)-4,5-ジメチルイミダゾリウムクロリド及び1-(2,4,6-トリメチルベンジル)-4,5-ジメチル-3-フェニルイミダゾリウムクロリドを除く)。

【請求項9】
1a及びR1bは、それぞれ独立して、水素原子、置換されていてもよいアルキル基又は置換されていてもよいアミノ基である、請求項8に記載の化合物。

【請求項10】
1a及びR1bの少なくとも一方が、水素原子ではない、請求項8または9に記載の化合物。

【請求項11】
2a及びR2bは、それぞれ独立して、水素原子又は置換されていてもよいアルキル基である、請求項8~10の何れか1項に記載の化合物。

【請求項12】
Yが、結合手である、請求項8~11の何れか1項に記載の化合物。

【請求項13】
及びRが、メチルである、請求項8~12の何れか1項に記載の化合物。

【請求項14】
が、塩化物イオンである、請求項8~13の何れか1項に記載の化合物。

【請求項15】
請求項8~14の何れか1項に記載の化合物から誘導されるカルベン配位子と遷移金属とを含む錯体。

【請求項16】
請求項8~14の何れか1項に記載の化合物と遷移金属化合物とから調製される錯体。

【請求項17】
脱離基を有する芳香族化合物を、有機溶媒中、請求項1~6の何れか1項に記載の重水素化触媒、重水素化剤及び塩基の存在下反応させることにより、芳香族炭素原子に結合した上記脱離基を重水素原子に置換する方法。

【請求項18】
重水素化剤が、式(III):
【化5】



[式中、R及びRは、それぞれ独立して、置換基を示し;Dは、重水素原子を示す。]
で表される化合物である、請求項17に記載の方法。

【請求項19】
重水素化剤の使用量が、上記脱離基に対して、1モル当量~3モル当量である、請求項17または18に記載の方法。

【請求項20】
有機溶媒が重溶媒ではない、請求項17~19の何れか1項に記載の方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2016505299thum.jpg
出願権利状態 公開
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