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光検出装置、光検出方法およびプログラム

国内特許コード P170014122
整理番号 (S2014-0567-N0)
掲載日 2017年5月10日
出願番号 特願2016-504052
出願日 平成27年2月10日(2015.2.10)
国際出願番号 JP2015053615
国際公開番号 WO2015125665
国際出願日 平成27年2月10日(2015.2.10)
国際公開日 平成27年8月27日(2015.8.27)
優先権データ
  • 特願2014-033129 (2014.2.24) JP
発明者
  • 鈴木 隆行
  • 三沢 和彦
  • 小原 祐樹
出願人
  • 国立大学法人東京農工大学
発明の名称 光検出装置、光検出方法およびプログラム
発明の概要 電気的な処理による位相敏感検出機構を確立し、簡易な構成で、微弱光を高速、高感度に検出可能な光検出装置、光検出方法およびプログラムを提供する。
第1パルス光を発生する光源部、第1パルス光が示す周波数スペクトルの一部から成る第2パルス光を透過し第1パルス光が示す周波数スペクトルの他部から成る第3パルス光を反射するフィルタ部、第2パルス光に対して複数の位相で位相変調する位相変調部、第3パルス光と位相変調部で位相変調された第2パルス光とを合波して第4パルス光とする合波部、および第4パルス光が対象物に照射されて発生した散乱光を分光して検出する検出部を含む光検出装置において、検出部で検出された散乱光の周波数スペクトルから位相変調部で位相変調された第2パルス光に基づいて散乱した散乱光の周波数スペクトルを所定の演算処理により位相変調部における位相変調と同期させて抽出する。
従来技術、競合技術の概要


本発明は、光検出装置、光検出方法およびプログラムに関し、特に、物質の分析においてラマン分光技術を用いる場合の光検出装置、光検出方法およびプログラムに関する。すなわち、2つ以上のパルスレーザ光を試料に照射し、その結果試料から発せられるラマン散乱光を観察することにより、試料内の物質を分析する場合の光検出装置に関する。



ラマン分光技術による微量物質の検出は、分析装置における基本技術としての重要性が高く、多くの技術開発が行われてきた。一方、昨今の医療技術の進歩と共に、微量物質検出技術の医療診断技術への応用が試みられており、当該医療診断技術の分野においてもより一層の微量物質の検出感度の向上が求められようになってきている。



上記ラマン分光技術として、コヒーレントアンチストークスラマン散乱法(Coherent Anti-stokes Raman Scattering;CARS)が知られている(特許文献1)。これは、二種類又はそれ以上の光パルスを試料に照射し、それらの間に起こる非線形光学過程によって試料から発せられるコヒーレントアンチストークスラマン散乱光(CARS光)を観察するものである。



たとえば、図10(a)に示されるようなエネルギー準位を持った分子をCARSによって観察することを考える。まず、初期状態のエネルギー準位L1において、角周波数ω1をもった第1のパルス光(励起光)の入射によって試料の分子が励起され、そのエネルギー準位が矢印Aで示すようにL3まで上がる。そして、角周波数ω2を持った第2のパルス光(ストークス光)を入射させることにより、分子のエネルギー準位は光子放出により矢印Bで示すようにL3からL2に下がる。さらに角周波数ω3を持った第3のパルス光(プローブ光)を入射させることにより、分子のエネルギー準位は、矢印Cで示すように、L2からL4に上昇し、CARS光の発生によって矢印Dで示すように、L4からL1に下がる。



このように、角周波数ω1、ω2、ω3をもった3種類のパルス光の入射によって、いわゆる四光波混合過程が生じ、結果として角周波数ω1+ω3-ω2を持つCARS光が発生する。このようなCARS光は、入射パルスの周波数差Δω=ω1-ω2が、観察すべき分子のエネルギー準位差に共鳴するときに特に強く現れる。現実に用いることの可能な光パルスを考慮すると、Δωが分子の振動モード周波数に一致するときに強いシグナルが得られることが考えられるため、このような振動モードを持つ分子の検出が可能となる。また、この手法は2種類のパルス光を用いて上記第3のパルス光によって生ずる光学過程を第1のパルス光によって起こすことにより、2ω1-ω2の角周波数を持つCARS光を検出することによっても実現される。



図10(b)は、試料に照射されたパルス光のスペクトルSPと、当該照射によって発生したCARS光のスペクトルSCを示している。スペクトルSPの一部に対応するパルス光によりラマン散乱が発生し、波長λがΔλだけ短波長側に遷移した位置にCARS光のスペクトルSCが発生している。この波長の遷移幅Δλは、一般にラマンシフトと呼ばれ、波長の代わりに波数n(波長λの逆数、cm-1)で表す場合もある。なお、以下では、パルス光の波長に言及する場合には、当該パルス光のスペクトルの中心波長で示すこととする。



図11に、このような原理を利用した、従来技術に係るラマン分光装置80を示す。ラマン分光装置80は、2種類のレーザパルス光源である第1レーザパルス光源82、第2レーザパルス光源84、これら光源からのパルス光を試料88の同一箇所に照射するための光学系86、試料88より放出されるCARS光を検出する検出装置90を含んで構成されている(特許文献1、非特許文献1)。そして、たとえば、第1レーザパルス光源82および第2レーザパルス光源84から発せられるパルス光の波長を変化させることにより、試料88に含まれた特定分子から発せられるCARS光を選択的に検出することが可能となっている。



CARS光は、試料88中の分子に固有の性質である分子の振動によって検出されるので、たとえば生体内の微量分子を同定する場合において、当該微量分子に対する標識物質による染色等を必要としない。したがって、特に標識物質の分子よりも小さい分子から構成される小分子化合物を観測する場合に、標識物質の影響により阻害されることなく観測が可能となる。このように、CARS光の観察によるラマン分光装置は、特に生体観察において他の方法に対する優位性を有している。

産業上の利用分野


本発明は、光検出装置、光検出方法およびプログラムに関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
第1パルス光を発生する光源部と、
前記第1パルス光が示す周波数スペクトルの一部から成る第2パルス光を透過し前記第1パルス光が示す周波数スペクトルの他部から成る第3パルス光を反射するフィルタ部と、
前記第2パルス光を複数の位相で位相変調する位相変調部と、
前記第3パルス光と前記位相変調部で位相変調された第2パルス光とを合波して第4パルス光とする合波部と、
前記第4パルス光が対象物に照射されて発生した散乱光を分光して検出する検出部と、
前記検出部で検出された散乱光の周波数スペクトルから前記位相変調部で位相変調された第2パルス光に基づいて散乱した散乱光の周波数スペクトルを所定の演算処理により前記位相変調部における位相変調と同期させて抽出する抽出部と、
を含む光検出装置。

【請求項2】
前記複数の位相が、
φ、φ+2π/3、φ+4π/3 (φは固定位相)
である
請求項1に記載の光検出装置。

【請求項3】
前記抽出部は、前記検出部で検出された散乱光の前記複数の位相の各々における強度I(φ)、I(φ+2π/3)、I(φ+4π/3)について下式に示すIを演算し、当該Iの値が0または許容範囲内で0に近い値になる周波数スペクトルを抽出する
請求項2に記載の光検出装置。



【請求項4】
前記複数の位相が互いに直交する
請求項1に記載の光検出装置。

【請求項5】
前記複数の位相が、
φ、φ+π/2、φ+π、φ+3π/2(φは固定位相)
である
請求項4に記載の光検出装置。

【請求項6】
前記抽出部は、前記検出部で検出された散乱光の前記複数の位相の各々における強度I(φ)、I(φ+π/2)、I(φ+π)、I(φ+3π/2)について下式に示すIを演算し、当該Iの値が0または許容範囲内で0に近い値になる周波数スペクトルを抽出する
請求項5に記載の光検出装置。




【請求項7】
前記光源部が超短パルスレーザを用いた光源であり、
前記第2パルス光の周波数スペクトルの帯域幅が前記第3パルス光の周波数スペクトルの帯域幅より狭い
請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の光検出装置。

【請求項8】
前記位相変調部が電気光学効果に基づく変調器、または、入射した光の光路長を変化さて出射させる光路長調整部である
請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の光検出装置。

【請求項9】
前記フィルタ部および前記合波部は、前記第2パルス光および前記位相変調部で位相変調された第2パルス光を透過し、前記第3パルス光を反射する単一のバンドパスフィルタで構成された
請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の光検出装置。

【請求項10】
前記抽出部で抽出する周波数スペクトルがコヒーレントアンチストークスラマン散乱光の周波数スペクトルである
請求項1~請求項9のいずれか1項に記載の光検出装置。

【請求項11】
フィルタ部において、光源部から発生した第1パルス光が示す周波数スペクトルの一部から成る第2パルス光を透過させ、前記第1パルス光が示す周波数スペクトルの他部から成る第3パルス光を反射させ、
前記第2パルス光を位相変調部により複数の位相で位相変調し、
前記第3パルス光と前記位相変調部で位相変調された第2パルス光とを合波部で合波させて第4パルス光とし、
前記第4パルス光が対象物に照射されて発生した散乱光を分光して検出部で検出し、
前記検出部で検出された散乱光の周波数スペクトルから前記位相変調部で位相変調された第2パルス光に基づいて散乱した散乱光の周波数スペクトルを所定の演算処理により前記位相変調部における位相変調と同期させて抽出する
光検出方法。

【請求項12】
第1パルス光を発生する光源部と、
前記第1パルス光が示す周波数スペクトルの一部から成る第2パルス光を透過し前記第1パルス光が示す周波数スペクトルの他部から成る第3パルス光を反射するフィルタ部と、
前記第2パルス光を複数の位相で位相変調する位相変調部と、
前記第3パルス光と前記位相変調部で位相変調された第2パルス光とを合波して第4パルス光とする合波部と、
前記第4パルス光が対象物に照射されて発生した散乱光を分光して検出する検出部と、
を含む光検出装置を制御するためのプログラムであって、
コンピュータを、
前記検出部で検出された散乱光の周波数スペクトルから前記位相変調部で位相変調された第2パルス光に基づいて散乱した散乱光の周波数スペクトルを所定の演算処理により前記位相変調部における位相変調と同期させて抽出する抽出部
として機能させるためのプログラム。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 公開
※ 国立大学法人東京農工大学では、先端産学連携研究推進センターにおいて、知的財産の創出・権利化・活用に取り組んでいます。上記の特許・技術の内容および導入に興味・関心がありましたら、当センターまでお気軽にお問い合わせください。


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