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siRNA細胞内送達のための脂質膜構造体

国内特許コード P170014132
整理番号 (S2014-1007-N0)
掲載日 2017年5月10日
出願番号 特願2016-521092
出願日 平成27年5月18日(2015.5.18)
国際出願番号 JP2015064196
国際公開番号 WO2015178343
国際出願日 平成27年5月18日(2015.5.18)
国際公開日 平成27年11月26日(2015.11.26)
優先権データ
  • 特願2014-104131 (2014.5.20) JP
発明者
  • 原島 秀吉
  • 佐藤 悠介
  • 藁科 翔太
  • 畠山 浩人
  • 兵藤 守
  • 中村 孝司
出願人
  • 国立大学法人北海道大学
発明の名称 siRNA細胞内送達のための脂質膜構造体
発明の概要 siRNAが内部に封入されており、かつ脂質成分として式(I)の脂質化合物を含む脂質膜構造体(R1及びR2はCH3-(CH2)n-CH=CH-CH2-CH=CH-(CH2)m-、nは3~5、mは6~10、pは2~7の整数、R3及びR4はC1-4アルキル基又はC2-4アルケニル基を示す)。



従来技術、競合技術の概要


薬剤を患部に特異的に輸送する手段として脂質膜構造体であるリポソームに薬剤を封入する方法が提案されている。特に、悪性腫瘍の治療分野において抗腫瘍剤を封入したリポソームの有効性が数多く報告されている。また、遺伝子発現に利用可能な脂質膜構造体として多機能性エンベロープ型ナノ構造体(MEND: Multifunctional envelope-type nano device;以下、本明細書において「MEND」と略す場合がある。例えばDrug Delivery System, 22-2, pp.115-122, 2007などを参照のこと)が提案されている。この構造体は、遺伝子などを特定の細胞内に選択的に送達するためのドラッグデリバリーシステムとして用いることができ、例えば、腫瘍の遺伝子治療などに有用であることが知られている。



脂質膜構造体を用いて薬物、核酸、ペプチド、ポリペプチド、糖などの目的物質を標的臓器や腫瘍組織など特異的な部位に送達するための手段として、脂質膜構造体の表面を機能性分子で修飾する方法が多数提案されている。抗腫瘍剤などの薬剤を内包した脂質膜構造体は標的細胞に到達するとエンドサイトーシスにより細胞内に取り込まれエンドソーム内に包含された状態となるが、その後、リソソームの酵素による加水分解作用などを受けて内包されていた薬剤を細胞質内に放出する。エンドソーム内に取り込まれたリポソームからの薬剤放出性を高めるために、リポソームの表面をペプチド(GALA: Biochemistry, 26, pp.2964-2972, 1987)で修飾したリポソーム(Biochemistry, 43, pp.5618-5623, 2004)やMEND(特開2006-28030号公報)が提案されている。



また、核酸などの目的物質を内包した脂質膜構造体を標的細胞の核内に移行させるための手段としては、例えば、リポソームの外側表面をオクタアルギニンで修飾したリポソーム(国際公開WO2005/32593; Journal of Controlled Release, 98, pp.317-323, 2004)、核移行性ペプチドで修飾された脂質膜を有する2枚膜リポソーム(国際公開WO2006/101201)、ガラクトースやマンノースなどの単糖で表面を修飾したリポソーム(国際公開WO2007/102481)が提案されている。単糖で修飾された多重脂質膜構造体(T-MEND)は脂質膜及び核膜と融合性を示し、in vitroでの試験結果において遺伝子発現効率を改善できたとされている。さらに、KALAペプチド(Biochemistry, 36, pp.3008-3017, 1997)により修飾された脂質膜構造体が細胞の核内に核酸などの物質を効率的に送達できることが報告されている(国際公開WO2011/132713)。



一方、樹状細胞は、免疫応答の中心を担っている抗原提示細胞であることから、癌免疫療法の重要な標的細胞の1つであり、癌患者から樹状細胞を採取し、体外で抗原導入や活性化を行った後、再びその患者に投与する免疫細胞療法(樹状細胞療法)にも使用されている。近年、樹状細胞における免疫抑制因子が発見されたことからsiRNA医薬の標的としての注目も集めており、樹状細胞療法と組み合わせることにより、より強力な癌免疫誘導を行なえるものと期待されている。



従来、樹状細胞の核内へのRNA導入に関してshRNAを発現するレンチウイルスベクターを用いて免疫抑制因子をノックダウンしたとの報告(Nat. Biotechnol. 2004; Nat. Med. 2008)はあるが、人工デリバリーシステムを用いた樹状細胞へのsiRNA導入の報告は殆どない。ウイルスベクターの使用は標的遺伝子の高効率ノックダウンを実現可能であるが、安全面に問題がある。



siRNA導入用の人工デリバリーシステムとしてR8/GALA-D-MEND(D-MEND)が報告されている(J. Control. Release, 143, pp.311-317, 2010)。D-MENDは細胞親和性素子であるオクタアルギニン(R8)ペプチドとエンドソーム脱出性素子であるGALAペプチドをMENDに修飾し、MENDのエンベロープ膜枚数を制御したナノキャリアである。D-MENDは一般的に使用される癌細胞であるHeLa細胞においてはsiRNA濃度が12 nMという低濃度で約70%のノックダウンを示し、その活性は一般導入試薬として汎用されているリポフェクタミン2000(LFN2000)と比較して2倍以上の活性を示す。



しかしながら、マウス骨髄細胞から誘導した樹状細胞にD-MENDでトランスフェクションを行う場合には70-80%のノックダウン効率を達成するためにsiRNA濃度を高濃度(80-120 nM)にする必要があり、siRNAの標的因子によっては40%程度のノックダウン効率に留まるという問題もある(Biol. Pharm. Bull., 34, pp.1348-1351, 2011)。このように従来の人工デリバリーシステムを用いた場合には、一般的な癌細胞に比べて樹状細胞におけるノックダウン効率は大きく低下する傾向があり、siRNA医薬の免疫療法分野への展開を妨げている。

産業上の利用分野


本発明はsiRNA細胞内送達のための脂質膜構造体に関する。より具体的には、本発明は、免疫細胞の核内、特に樹状細胞の細胞内にsiRNAを容易に送達することができるリポソームなどの脂質膜構造体に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
下記の式(I):
【化1】


[式中、R1及びR2はそれぞれ独立にCH3-(CH2)n-CH=CH-CH2-CH=CH-(CH2)m-(nは3~5の整数を示し、mは6~10の整数を示す)を示し、pは2~7の整数を示し、R3及びR4はそれぞれ独立にC1-4アルキル基又はC2-4アルケニル基を示す]
で表される脂質化合物又はその塩。

【請求項2】
nが4、mが7~9の整数であり、pが3~5の整数であり、R3及びR4がそれぞれ独立にC1-4アルキル基である請求項1に記載の脂質化合物又はその塩。

【請求項3】
R1及びR2が同一であり、nが4、mが8であり、pが4であり、R3及びR4がメチル基である請求項1に記載の脂質化合物又はその塩。

【請求項4】
細胞内にsiRNAを送達するための脂質膜構造体の脂質成分として用いるための請求項1ないし3のいずれか1項に記載の脂質化合物又はその塩。

【請求項5】
細胞内にsiRNAを送達するための脂質膜構造体であって、siRNAが内部に封入されており、かつ脂質成分として請求項1ないし3のいずれかに記載の脂質化合物を含む脂質膜構造体。

【請求項6】
リポソームである請求項5に記載の脂質膜構造体。

【請求項7】
樹状細胞において標的遺伝子をノックダウンするために用いる請求項5又は6に記載の脂質膜構造体。

【請求項8】
患者から樹状細胞を分離・採取し、インビトロで樹状細胞の細胞内にsiRNAを導入した後、標的遺伝子がノックダウンされた樹状細胞をその患者に投与する免疫療法において、樹状細胞における標的遺伝子をノックダウンするために用いる請求項7に記載の脂質膜構造体。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 公開
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