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超伝導高周波加速空洞の純ニオブ製エンドグループ部品の製造方法 NEW

国内特許コード P170014134
整理番号 (S2014-1109-N0)
掲載日 2017年5月10日
出願番号 特願2016-529342
出願日 平成27年6月15日(2015.6.15)
国際出願番号 JP2015067221
国際公開番号 WO2015194517
国際出願日 平成27年6月15日(2015.6.15)
国際公開日 平成27年12月23日(2015.12.23)
優先権データ
  • 特願2014-123673 (2014.6.16) JP
発明者
  • 川端 信行
  • 中村 日出好
  • 宮島 恭平
  • 篠原 正幸
  • 野原 清彦
  • 早野 仁司
  • 山本 明
  • 佐伯 学行
  • 加藤 茂樹
  • 山中 将
出願人
  • しのはらプレスサービス株式会社
  • 野原 清彦
  • 大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構
発明の名称 超伝導高周波加速空洞の純ニオブ製エンドグループ部品の製造方法 NEW
発明の概要 【課題】量産化を視野に入れ、超伝導高周波加速空洞の厚肉純ニオブ製エンドグループ部品を、従来の切削加工やウォータジェット加工からプレス加工へ工法転換した製造方法を提供する。
【解決手段】荷電粒子の加速に用いられる超伝導高周波加速空洞の純ニオブ製エンドグループ部品の製造方法であって、
(1)厚肉純ニオブ板材の板厚の0.5%以下の微小クリアランスとし、束縛治具で前記厚肉純ニオブ材を束縛しつつ素形品を成形する、精密打抜き法とは異なるせん断打抜き加工と、
(2)前記素形品を室温から200℃における低温域温度制御によって青熱脆化を回避し加工品を成形する、熱間・温間・冷間鍛造のいずれとも異なる鍛造加工とからなり、
前記厚肉純ニオブ製のエンドグループ部品の切削加工やウォータジェット加工をプレス加工へ工法転換したことを特徴とする純ニオブ製エンドグループ部品の製造方法とした。
【選択図】図8
従来技術、競合技術の概要


近時、ヒッグス粒子の発見やビッグバン及びインフレーション理論の進展もあり、30~50kmに及ぶ長大な線形加速器である国際リニアコライダー(ILC)建設計画が鋭意進められている。



ILCの中核をなすのが超伝導高周波加速空洞であり、その最小単位を「9連空洞」と称し、図1に示すように、9個のセルからなるセンター部品2と、両エンドグループ部品3からなる。エンドグループ部品3は電力の入力やモニターのためのポート類(ビームパイプ3a,ポートパイプ3b)のほかに、複雑形状を有するHOM(高調波)カプラー3c等から構成される。



HOMカプラー3cは、図2に示すように、HOMカップ4とHOMアンテナ5が一体化されたものである。即ち、粒子ビームが電磁加速され、空洞内を通過するときにHOM(高調波)を励起してしまい、ビームの加速を阻害するため、空洞外に吸い出して減衰させる必要がある。この機能を受け持つのがHOMカプラー(高調波減衰器)である。



9連空洞のセンター部品2もエンドグループ部品3も使用素材は、希少金属の純ニオブである。主たる理由は、純ニオブは超伝導遷移温度が9.2Kと高く、これを2Kで使用することにより、最重要な超伝導特性、即ち粒子ビームの易加速性を向上するための単位長さあたりの加速電圧を高く取れる可能性が大きいことによる。



純ニオブは極めて高価、かつ難プレス加工・難切削材料である。その主たる理由は、プレス加工については低塑性歪比、切削については工具との凝着現象にある。従来、HOMアンテナ5は、素材から全切削加工もしくはウォータジェット加工等によって作成した素形品を切削加工によって製品化しているのが実情である。



また、HOMカップ4に関しては全切削加工もしくは後方押し出し後切削及び熱処理、あるいは複数工程のプレス加工とその間の熱処理並びに加工後熱処理の挿入によっている。



従って、いずれも生産性及び経済性の点で、深刻な課題を内包しており、これらの課題解決のため、先進的なプレス加工法への工法転換が強く期待されている。



そこで、発明者等は、HOMカップ4について、超深絞り加工に工法転換する技術について研究し、既に国内及び国際特許出願(特許文献1及び2)をしている。



しかしながら、HOMアンテナ5は、図2(D)の外観図からも判別されるように、プレス加工化に関しては「難加工形状品」であり、かつ純ニオブは、機械切削加工やプレス加工のいずれにおいても「難加工材」である。そして、HOMアンテナ5の初期板厚が10mmの「厚板」ゆえ、目標とする障壁は高い。



HOMアンテナ5において、特に、超伝導特性の適正化を図るために、各部位の距離寸法が重要である。同時に板厚や辺縁部のR寸法にも配慮する必要がある。本来エンドグループ部品3のプレス加工化にあたっては「材料技術」と「塑性加工技術」を同時に配慮する必要がある。また、ほぼ四角形状の打抜き穴部分の一部が狭小になっており、応力集中が生じやすいのでネッキング(くびれ)/亀裂、肉余り/不足、形状出し、残留応力等の発生が予想され、加工難度が高いものと推測される。



さらに、仕上げ工程においてCP(化学研磨)及びEP(電解研磨)を行うが、その負荷をできるだけ低減するためにも、表面性状や表面もしくはその近傍の異物や微量不純物元素の付着・侵入にも注意しなければならない。



そのため、HOMアンテナ5の切削加工やウォータジェット加工以外の加工法については、知られておらず、確立もされていない。そして、切削加工やウォータジェット加工からの工法転換による、量産性の飛躍的向上及び製造コストの低減が強く期待されている。



ここで期待に沿う手段として、従来工法を全プレス加工に転換するために、「新たなせん断打抜き加工」とそれに続く「新たな鍛造加工」の先進化技術による「新たな全プレス加工」の未だ試みられたことのない発想のもとに、その実現のために開発研究した成果が本発明である。



ここで既存の慣用せん断打抜き加工、精密打抜き法は除外される。前者では通常打抜きクリアランスが板厚(t)の5~10%であるため、所要形状寸法精度を出すことは不可能であり、後者では高価な専用機と高価な金型費用が発生し、技術難度も高く、生産効率が問題になる可能性があることによる。



発明者等は、「新たなせん断打抜き法」の検討に先んじて、まず切削に替えて現在模索中の「ウォータジェット加工」での素形品成形の可能性について評価した。ウォータジェット加工による素形品の加工は、比較的高速化・高能率化が期待されるところから、後続の切削加工を、周知の「冷間鍛造加工」によってプレス加工に置き換えられないかを視野に入れつつ、種々の実験・検討を行ったものである。



その結果、幾つかの技術課題の存在が認識された。主たる問題点は、試作品のCP後の表面SEM観察及びEDX元素分析によって異物の存在と、それらが素地中に埋入されているのが認められたことである(図3)。SEM像(図3(A))からは、明らかに数μ~数10μの白点が散在しており、その周辺の色調がおそらく応力場により変化している。



SEM像中の観察視野(白丸で表示)のEDX測定チャート(図3(B))では、白点(粒子群)はアルミナ、シリカ、酸化鉄もしくは酸化マグネシウム等によるものと同定された。これら粒子状異物の存在原因は、素形品製作のウォータジェット切断時に使用する「砥粒」と見なされる。現在のところ、この切断手法を適用する限り、製品表面への砥粒の埋入は避けられない。



砥粒の埋入があると、高周波共振モードの発生を促進させる恐れが大きく、空洞性能に悪影響を与える懸念が拭えないので、この素形品のウォータジェット加工は回避せざるを得ない。しかも、ウォータジェット加工は、プレスせん断打抜き加工に比べれば、生産性及び経済性に劣ることも否めない。HOMアンテナ5であれば、1個成形するために、10分程度の時間を要するゆえ、数万個の量産には向かないといえよう。



他方、素形品の製品形状への加工においては、従来の冷間鍛造が先ず考えられた。しかし、試験の結果、例えば、ネッキングや寸法不同あるいは応力集中及び形状問題(だれ・バリ・材料の肉余りや充填不足等)あるいは凝着現象等の問題が確認された。これらに共通する原因に関わるのは、材料と金型間の「塑性流動」と云ってよい。



その中で、特に、冷間鍛造試験後の一部に図4に示すようなネッキング現象の発生が重大問題である。技術的な塑性加工上の冷間鍛造条件を種々変動させた実験を行ったが、ネッキング(円内)の発生を回避することはできなかった。



ネッキングの発生確率がいかに小さくてもこれはHOMアンテナ5の機能を損ない、加速器に使用される全体の内1個であっても加速器が作動しなくなるような重要な問題であるため、容認することはできない。



このネッキングは応力集中によって生じたのは確かだが、材料の強度不足・延性不足・塑性流動・加工変形過程における変形余裕度不足のいずれが主原因であるかは未詳である。



上記砥粒の材料への埋入、ネッキングは、材料と加工との相互作用によって生じた現象である。当然HOMカップ4との組み合わせや電子ビーム溶接(EBW)後に共振モードの制御や超伝導特性等の加速空洞の機能を劣化させることが確実ゆえ、発生を失くす必要がある。そのため、材料と加工の両者に配慮した新たなHOMアンテナ5の加工法の検討が、極めて重要になる。

産業上の利用分野


本発明は、超伝導高周波加速空洞の純ニオブ製エンドグループ部品を、従来の切削加工やウォータジェット加工からプレス加工へ工法転換した製造方法に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
荷電粒子の加速に用いられる超伝導高周波加速空洞の純ニオブ製エンドグループ部品の製造方法であって、
(1)厚肉純ニオブ板材の板厚の0.5%以下の微小クリアランスとし、束縛治具で前記厚肉純ニオブ材を束縛しつつ素形品を成形する、精密打抜き法とは異なるせん断打抜き加工と、
(2)前記素形品を室温から200℃における低温域温度制御によって青熱脆化を回避し加工品を成形する、熱間・温間・冷間鍛造のいずれとも異なる鍛造加工とからなり、
前記厚肉純ニオブ製のエンドグループ部品の切削加工やウォータジェット加工をプレス加工へ工法転換したことを特徴とする純ニオブ製エンドグループ部品の製造方法。

【請求項2】
前記せん断打抜き加工は、
100mm/sec以上の高速にて前記厚肉純ニオブ板材を連続打抜きするとともに、前記せん断打抜き金型が抜熱冷却機能を有することを特徴とする請求項1に記載の純ニオブ製エンドグループ部品の製造方法。

【請求項3】
前記せん断打抜き加工には、
マルチアクションダイ及びサーボダイクッションを使用して多重作動しつつ前記素形品の板押え及び面圧制御をするとともに、プレス機のサーボ化を計り打抜き速度及びモーション制御を含むことを特徴とする請求項1に記載の純ニオブ製エンドグループ部品の製造方法。

【請求項4】
前記鍛造加工の低温域温度制御は、
前記素形品の表面酸化被膜の生成を極小化する温度制御であることを特徴とする請求項1に記載の純ニオブ製エンドグループ部品の製造方法。

【請求項5】
前記鍛造加工の低温域温度制御は、
前記素形品の塑性流動性を容易化する温度制御であることを特徴とする請求項1に記載の純ニオブ製エンドグループ部品の製造方法。

【請求項6】
前記厚肉純ニオブ板材は、
粒径が数10μmの細粒結晶組織からなることを特徴とする請求項1に記載の純ニオブ製エンドグループ部品の製造方法。

【請求項7】
前記鍛造加工で使用する金型は、
焼付き防止のため、表面改質された金型で、かつ前記金型に温度非依存型潤滑性能を有する固形被膜潤滑剤を使用することを特徴とする請求項1に記載の純ニオブ製エンドグループ部品の製造方法。

【請求項8】
前記鍛造加工には、
プレス機のサーボ化を計り速度及びモーション制御を含むことを特徴とする請求項1に記載の純ニオブ製エンドグループ部品の製造方法。

【請求項9】
荷電粒子の加速に用いられる超伝導高周波加速空洞の純ニオブ製エンドグループ部品の製造方法であって、
(1)厚肉純ニオブ板材から素形品を成形するために、微小クリアランスとする金型と、前記金型での高速・連続せん断打抜き加工による発熱を逃がす抜熱用冷却装置と、前記厚肉純ニオブ板材移動を防ぐ束縛治具と、複数系統の外力負荷を制御するマルチアクションダイと、前記厚肉純ニオブ板材の板押え及び面圧制御用サーボダイクッションと、前記厚肉純ニオブ板材の速度・モーションを制御するサーボ機構をプレス機に搭載する、精密打抜き法とは異なるせん断打抜き加工と、
(2)前記素形品の製品形状の加工品を成形するために、前記素形品の青熱脆化回避と塑性流動容易化を計るための前記金型及び前記素形品の温度制御を行う加熱装置と、前記素形品の成形性向上と表面酸化極小化のために表面改質した金型と、前記素形品と金型間の焼付きを防止するための温度非依存固形被膜タイプの潤滑剤と、前記せん断打抜き加工した素形品の速度及びモーションを制御するサーボ機構をプレス機に搭載する、熱間・温間・冷間鍛造のいずれとも異なる鍛造加工とからなり、
前記厚肉純ニオブ製のエンドグループ部品の切削加工やウォータジェット加工をプレス加工へ工法転換したことを特徴とする純ニオブ製エンドグループ部品の製造方法。

【請求項10】
請求項1~請求項9のいずれか1項に記載の純ニオブ製エンドグループ部品の製造方法によって得られた前記加工品が、純ニオブ製のHOMアンテナのプレス加工品であることを特徴とする。
国際特許分類(IPC)
Fターム
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出願権利状態 公開
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